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ヨーロッパのアイデンティティ

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Category: ヨーロッパのアイデンティティ

春の大掃除 ― 宗教と一年のリズム

ヨーロッパ北部に住む日本人から、日本のはっきりした四季が恋しいという話をよくされます。初めて聞くと、ほとんどのヨーロッパの人にとっては不可解に聞こえるかもしれません。ヨーロッパにも明らかな四季があるというのが、こちらの通念だからです。でも、日本に比べると季節の移り変わりが不安定で予測できないのは確かですし、秋から春にかけてはただひたすら雨降りの寒いグレーな日が続くだけということもあります。

今年は冬が暖かかったおかげで、そのまま突入するかたちで早めに春がやって来ました。私が犬の散歩に行く公園ではスイセンとクロッカスが咲き始めていて、先の週末には街がなんだか賑わって活気づいて見えるという話を夫としたところです。シーズン終わりのセールは今も続いていますが、春物も入荷していて、フレッシュな明るい色がウィンドウを飾っています。明るい日差しに招かれて、私も外へ出て、冬の間に汚れた窓の外側をきれいに掃除しました。夫が進めているキッチンのペンキの塗り替えも、完成間近です。

イギリスではこれを春の大掃除と呼んでいて、日本で年末にやる大掃除に似ています。逆に私たちは、年の暮れに大掃除をすることはあまりありません。その一因は、日が短すぎるからです。12月末ともなると午後4時ぐらいには暗くなってしまい、朝は8時すぎまで日が出ません。それに、昼間でも陰鬱なお天気のせいか、汚れが目に付かないのです。

春はまた、キリスト教の暦で再生と復活の時でもあります。今年は2月10日から3月24日が四旬節で、この間は飲酒や喫煙などの不徳な行動、さらにチョコレートなど好きな食べ物を断つ時とされています。これには、イエス・キリストが荒野で断食した40日間を思い起こすという意義があります。そして、四旬節の準備期間を経て、イエス・キリストの死と復活を祝う復活祭(今年は3月26、27日の週末)へと至ります。これらの日付は年によって変わり、来年の復活祭と四旬節は、今年よりも3週間遅くなります。

イースター=「夜明け」が起源

復活祭は英語ではイースターですが、実はこの言葉にはキリスト教よりも古い起源があり、「夜明け」を意味する古いゲルマン語に由来しています。8世紀の歴史家ベーダによると、ヨーロッパ北部の異教に「エオストレ」という名の夜明けの女神がいました。そのシンボルが野ウサギであったことから、復活祭の飾り付けの多くがウサギをモチーフにしていると考えられています。復活祭のもうひとつのシンボルである卵は、現代では卵形のチョコレートやカラフルに色付けした鶏の卵が使われていますが、これもやはりキリスト教以前の、春分の頃に卵を贈った慣習から来ています。

日本のように4月1日から3月31日を年度とする会計方式は、ヨーロッパでは一般的ではありませんし、学校の新学年は9月か10月に始まります。とはいえ、3月や4月はなおも、会社をリフレッシュして新しくするのに良いシーズンです。2月と3月の大掃除や準備期間を経て、それに続く4月に新たな命を授けられるというリズムは、ヨーロッパの精神性にも深く根を下ろしています。

 

パニラ・ラドリン著       日刊帝国データバンク・ニューズ 2016年3月9日

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ポーランドと東欧にとってのEUの魅力

イギリス在住の最大の外国人グループがポーランドからの移民になったと、先日ニュースで報じられました。ポーランド生まれのイギリス在住者は、2015年時点で約83万1,000人で、インド出身者を上回りました。ポーランドがEUに加盟した2004年から75万人の増加を意味し、東欧からの移民がいかに急速かつ大幅に拡大しているかを示しています。これは、イギリス国民がEU離脱に票を投じた根本原因のひとつでした。

とはいえ、ポーランドとイギリスのつながりには長い歴史があります。第二次大戦後に大量の移民がポーランドからイギリスに流入して定住しました。バトル・オブ・ブリテンで活躍したポーランド人パイロットの功績ゆえに、ポーランドからの移民は温かく歓迎されました。

ポーランドとイギリスの貿易の歴史はさらに古く、中世のハンザ同盟にまでさかのぼります。ロシアからバルト海地域を通ってドイツへ、さらにオランダやベルギーなどの低地地方、そしてイギリスへと至る交易が栄えました。

しかし、これをEUのような国家同盟と考えるのは間違いです。ハンザ同盟は都市同盟でした。私たちが今日知っているヨーロッパ諸国の多くは、当時は存在しませんでした。加盟していた都市は、グダニスクやハンザ同盟の盟主リューベックなど、準自治都市であるか、または神聖ローマ帝国かロシアかデンマークに統治されていました。もちろん、より最近では、東欧は共産主義国ソビエト連邦の影響下にありました。

今グダニスクを訪れると、戦後復元された旧市街は、プロイセンによるドイツ同化政策が取られる前の様子を映し出した、ある意味で想像の産物とも言える美しさがあります。本当の旧市街は第二次大戦で廃墟となったためです。連帯博物館も、やはり訪れる価値があります。グダニスクの造船所で労働組合「連帯」が起こした1980~1981年のストライキが、民主化のプロセスとなって世界を動かし、1989年にベルリンの壁を崩壊させたことを思い起こさせてくれます。

各国におけるEUの存在意義

EUに懐疑的なイギリス人は、EUが貿易のみに特化した同盟になるべきであって、イギリスの国境と財務と法律をめぐる統治権はイギリスが取り戻すべきだと訴えています。他のEU加盟国にとってEUとは、平和と民主主義を支えることで人々の暮らしを再び保障できるようになるための手段でした。しかし、この狙いはイギリスにとってあまり魅力的には感じられませんでした。最近の歴史において国内で地上戦が戦われたり、独裁者に支配されたり、はたまた他国に制圧されたりした経験がなかったからです。

他のEU諸国でも、EUは国の統治権にとって脅威をもたらすようになっていると、多くの市民や政治家が言い始めていて、これにはポーランドも含まれます。国境警備があらためて導入されつつあり、EU自体が最終的には崩壊する可能性も多々あります。

イギリスに住むポーランド人は、イギリスがEUから離脱した後の身分を案じています。EU域内に住む数百万人というイギリス人も、やはり不安を抱えています。

EUの日系企業で働いている社員の多くは移民であるため、日系企業に今できる最善のことは、確実に面倒を見ると約束し、必要とあらば日本や他国の子会社への転籍も可能にすると説明することでしょう。

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ヨーロッパの反米感情

私と同世代の人であれば、トランプ氏の選挙勝利のニュースを、レーガン大統領が選出された35年前と重ね合わせて聞いたことでしょう。私はティーンエイジャーでしたが、レーガンを選んだアメリカ人を揶揄する音楽や番組がイギリスで人気を博したのを覚えています。あまり頭が良くなく、戦争好きなB級映画俳優と思われていたためです。

私はこの選挙の直前に、半年だけペンシルベニア州に住み、アメリカのハイスクールに通いました。私の世界観に多大な影響を及ぼした経験でした。自分の目で見た「チャンスの国」は、何もかもが新しく、エネルギーに溢れ、豊かに見えたものです。当時イギリスは、失業率が高く、暴動が多発していました。

イギリス人のみならず、ほとんどのヨーロッパの国民は、アメリカとアメリカ人に対して、憧れと憤りと恐れの入り混じった複雑な感情を抱いています。私の両親と祖父母は、第二次大戦後に駐留したアメリカの軍人のことを覚えています。ヨーロッパの解放を助けてくれたことに感謝しつつも、自分たちよりはるかに豊かそうで体格も良い軍人たちを妬ましく思ったのでした。

日本人のなかにも似たような感情と記憶を共有する人は多いことでしょう。とはいえ、アメリカは、もっと大きな影響を日本に及ぼしてきました。戦後の占領の後もアメリカ文化が影響し続け、日本の学校で指導される英語はアメリカ英語です。

このため、他の西洋文化を知らない日本人は、アメリカ流のコミュニケーションが国際的に通用すると考えがちです。しかし、ヨーロッパの人は、日本企業が明らかにアメリカ流のやり方をしていると感じると、非常に敏感に反応します。日本企業が米国法人を通じて海外事業を管理しようものなら、即座に反感が広まります。トップダウン方式でコントロールしてくるマネジメント・スタイルは受け入れられないのです。

米国駐在を経てヨーロッパに赴任する日本人駐在員は、「とにかくやれ」風の命令方法が通用しないことに苛立ちを覚えます。ヨーロッパでは、無能な社員や命令に従わない社員を解雇するのは、アメリカほど簡単ではありません。ヨーロッパの社員は、業務について意見を求められることを期待していて、正当な懸念があれば上司に異議を唱えたり問題点を指摘したりするのが重要だと考えています。

文書や資料ですら、明らかにアメリカ風であれば抵抗を招きます。私自身、顧客企業から学習教材やマニュアルを導入したくないと言われたことが2度ありました。日本で作成されたものでしたが、アメリカ英語を使っていて、アメリカ風の語調が見られたためです。

アメリカ企業は、自分たちのやり方が世界的な標準であると日本の顧客を説得するのが得意ですし、実際、それはある程度まで真実です。けれども、ベストのやり方は、アメリカの素材を基本としながら、各国の好みに合わせてカスタマイズできる余地を多分に残しておくことです。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのトレーニングもこの方式を取っています。

適度なバランスを見つけるのは容易ではありません。が、その努力をしなければ、ヨーロッパでは執拗に抵抗され拒否される結果になるでしょう。

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エストニア-ヨーロッパ共通の文化を探して

shutterstock_312025430以前からエストニアを一度訪れてみたいと思っていました。小さな国で、人口もわずか130万人ですが、バルト海地域に所縁のある家族の歴史を調べた際に、 エストニアを知ることでヨーロッパの発展について理解を深めることができ、ヨーロッパのアイデンティティ、すなわち共通の文化のようなものがあるかどうか を理解するのにも役立つことが分かったからです。

そこで、エストニアの首都タリンでの会議に参加する機会に最近恵まれたのを受けて、観光の時間を十分に取ることにしました。日本ではヨーロッパの文化を 「石の文化」と呼ぶことがしばしばありますが、エストニアは間違いなくその範疇に収まるでしょう。美しい教会や中世の家並みなど観光の見所にある多くの建 物が、地元で採取される石灰岩で造られています。

歴史から見るヨーロッパのアイデンティティ

でも、エストニアの他の側面は、私が考える一般的なヨーロッパの概念には当てはまりませんでした。例えば、エストニアにキリスト教が伝播したのは13世紀 ときわめて遅く、西欧諸国への伝播から1,000年後のことです。キリスト教徒だったデンマーク王とスウェーデン王、さらにリヴォニア騎士団とドイツ騎士 団の率いる北方十字軍によって制覇されるまでは、異教徒の国でした(このうちドイツ騎士団が、私の母方のルーツです)。今日に至るまで、エストニアはヨー ロッパで最も宗教色の薄い国のひとつであり続けています。

キリスト教の伝播が遅れた一因として、エストニアがローマ帝国によって一度も征服されなかったことが挙げられます。この点が、西欧や南欧のほとんどの国とは異なっています。

ただし、エストニアは過去700年にわたって他の国々に征服されてきました。スウェーデン、それからロシア。1920~1930年代には短い独立を謳歌しましたが、その後ドイツに占領され、さらに最も最近ではソ連の一部として共産党の支配下に置かれていました。

共産党政権は、基本的に農業と商業で成り立っていたエストニアの経済を工業化しようとして、工場や鉱山を開設し、そこにロシアからの労働者を多数送り込み ました。当初エストニアはロシア人の移住先として好ましい土地と見なされましたが、この工業化の試みは成功せず、特にそれまでの西側諸国との通商路が絶た れたことで、エストニア経済は打撃を受けました。

タリンの古い商家が建ち並ぶエリアを歩きながら、私は確かにヨーロッパの息吹を感じました。タリンは、ハンザ同盟の加盟都市として栄えた街です。ハンザ同 盟とは、13世紀から17世紀にかけてイギリスからロシアまでの多数の北部ヨーロッパの国に広がった商人同盟、都市同盟です。

最近ではイギリスやオランダで反ヨーロッパ運動が盛んになっていますが、それでもほとんどの人は、何らかの貿易同盟に参加していたいと思うものです。通商 や海運で栄えたこの地域の人々は、ヨーロッパ中を旅して各地に移住しました。他者との交易を好んで追求する姿勢は、今も綿々と受け継がれています。これ は、ヨーロッパの誰もが失いたくないと思っているアイデンティティと言えるでしょう。

パニラ・ラドリン著 Teikoku Databank News 2013年11月7日号より

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バルカン諸国とヨーロッパ

Krka waterfalls去年の夏、アドリア海で休暇を楽しんだ時のこと。クロアチアの観光名所、クルカ川の滝へ向かう途中で、ツアーガイドが突然、「クロアチアのバルカン側に入 りました」と言ったのです。バルカンという言葉は、歴史を知っているヨーロッパ人にとって多くのことを意味します。ユーゴスラビア紛争から約20年という だけでなく、第一次世界大戦から約100年。第一次世界大戦は、オスマン帝国やオーストリア=ハンガリー帝国の衰退とともに域内の地域や国家が互いに対立 する小さな地域や国家に分裂していった「バルカニゼーション」が一因となって勃発したとされています。私たちのガイドは明らかに、クロアチアがバルカン諸国というだけでなく地中海諸国でもあり、ゆえに近代ヨーロッパの一員であるということをアピールしようとしていました。

第二次世界大戦後、対立していたバルカン諸国は部分的にソビエト連邦の下で再統一されました。おかげで私の世代のヨーロッパ人のほとんどは、アドリア海が ユーゴスラビアの一部であり、安いけれども快適な保養地だと記憶しています。ユーゴスラビアは、友好的なソビエト衛星国の成功例のひとつとされていまし た。ですから、それが解体して内戦に陥った時、西欧の人はショックを受けたものです。

 

クロアチアは2013年、EUに加盟した最新の国になりました。旧ユーゴスラビア連邦の他のバルカン諸国であるマケドニア、セルビア、モンテネグロは公式な加盟候補国で、ボスニア・ヘルツェゴビナは「潜在的な加盟候補国」と見なされています。

ギリシャの危機とイギリスの離脱をめぐる国民投票でEU自体の崩壊の危険が取り沙汰されるなか、バルカン半島の候補国は、EU加盟が実際のところどんなメ リットをもたらすのかと案じているに違いありません。最近の歴史があることから、これらの国にとって、経済協力を通じて戦争を防止するというEU本来の狙 いは今も意味があります。

でも、経済協力のメリットはそれほど明らかではありません。EUに遅れて加盟するということは、多国籍企業の大規模な地域投資を逃すことを意味するという ことが、クロアチアの最近の加盟で明らかになりました。バルカン諸国の人口と経済規模は比較的小さいため、これら諸国に子会社を開設するほどの投資を誘う インセンティブはあまりありません。現地代理店を通じて、またはドイツやポーランドの地域拠点から、これらの市場を容易にカバーできるのです。

クロアチアは今も造船業が盛んで、国の輸出高の10%を構成しています。が、国の経済を支える主要産業は、これまでどおり観光業になると認めざるを得ませ んでした。日本からのツアーグループもたくさん来ていました。私たち同様、日本人観光客も、クロアチアの古い街並みの美しさと歴史に魅了され、新鮮な魚介 類に舌鼓を打ち、通りや建物が清潔でよく手入れされていることに感心したことでしょう。何よりも私の印象に残ったのは、出会ったクロアチアの人たちが皆、 とても仕事熱心で、テキパキとしていて、礼儀正しく、誠実で、学もあり、英語も上手で、陽気な人たちだったことです。クロアチア市場は外国投資にとって魅 力的ではないかもしれませんが、クロアチアの労働力は間違いなく魅力的です。

バルカニゼーションという言葉が新しい意味を持つような未来、すなわちバルカン諸国の人たちが欧州の単一市場に貢献し、そこからメリットを受けられる未来 に向かってヨーロッパが進んでいけることを願うばかりです。古くからの定義に基づく解体が敵意に満ちた民俗浄化による国家を生み出し、EUが本来防止しよ うとしたタイプの戦争に再びつながらないことが、私の希望です。

Pernille Rudlin著 帝国データーバンク・ニュースより

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Last updated by Pernille Rudlin at 2019-05-23.

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