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グローバル化

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Category: グローバル化

イギリスが「ノルウェーのように」なろうとすれば、日本企業が離れる恐れも

2016年、イギリスではEUを離脱するかどうかの国民投票が行われる可能性があります。在英日本商工会議所で講演したセンター・フォー・ヨーロピアン・リフォームのチャールズ・グラント氏の発言で、この国民投票の結果としてイギリスがEUを離脱すると予想しています。

イギリスのEU残留派は、EU離脱派ほど資金繰りが潤沢ではありません。また、あらゆる政治的説得力を駆使してくるEU懐疑派の政治家もたくさんいます。イギリスのメディアもほとんどは、EU離脱を支持する色眼鏡をかけた報道を繰り返しています。
EUがイギリスに残留すべきとする理論は、外国直接投資や経済への影響など、おおむね技術的な視点に立っています。一方、EU離脱派のキャンペーンは、国家としての独立を脅かすといった感情的なアピールをすることができます。

イギリスの実業界の人々は全般的にEU残留を支持していますが、情熱に欠けるという点では、私もグラント氏と同意見です。また、イギリスがEUを離脱した場合の成り行きついて、ある種の自己満足があるようにも見受けられます。イギリスの企業は、イギリスはノルウェーのようになることができると思っています。何らかの自由貿易圏に属しながら独立を保ち、国としては繁栄できるという考え方です。しかし現実には、ノルウェーは、傍から見るほどEUの政策と無縁ではありません。にもかかわらず、EUの政策策定のプロセスに対して影響力は持たないのです。

私の日本関係のビジネスという視点から言えば、「ノルウェーのように」というのは、イギリスに大変な悪影響を招くと思われます。過去10年間に、70社ほどの私のクライアントにもゆっくりと統廃合の流れが及んできました。そうしたなかイギリスは欧州本社をコーディネートする重要な役割を果たしていて、企業はEU加盟国の人材プールを大いに活用していますが、これはイギリスから、あるいはイギリスへの人の動きを容易にするEUの自由移動政策のおかげです。こうした人材は、日系企業の欧州本社の社員として、あるいはそれらに対して法務、財務、コンサルティングなどのサービスを提供する専門サポート会社の立場で働いています。

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、ヨーロッパ全域における日系企業の雇用者数は43万7,000人です。群を抜いてその恩恵を受けているのがイギリスで、日系企業に雇われている人数は14万人。ドイツの5万9,000人と比べてもいかに多いかが分かります。

とはいえ、ドイツも日系多国籍企業にとって魅力的な土地です。特にエンジニアリング系の企業にはそれが当てはまります。イギリスが国境を閉ざし、EUへの影響力を放棄したならば、日系企業が欧州本社機能をミュンヘンかデュッセルドルフ又はアムステルダムに移し始めることは簡単に想像できます。

私が話した在英の日本人ビジネス関係者は皆、イギリスにEUに残留してほしいと思っています。しかし、内政干渉のように見られるという恐れから、その立場を声高に言うのは避けているようです。

EU残留のメリットを説得する責任は、私を含め、会社の事業がEU全体にわたっているイギリス人のビジネス関係者の肩にかかってくるでしょう。これは雇用だけでなく、グローバルな舞台におけるイギリスのイメージにもかかわることです。「リトル・イングランダー」風の孤立主義によって、そのイメージにどれだけダメージが及ぶかを考えなければなりません。グローバル経済で役割を果たし、影響力を及ぼし、イニシアチブを取って率いていくことに消極的と思われれば、グローバルな企業のほうからイギリスに留まることなど願い下げだと言ってくるでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2013年9月16日の日経ウイークリーに最初に掲載されました。

パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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買収した外国企業を「下宿人」ではなく「婿養子」として扱ってみては?

今年第1四半期、日本企業による外国企業の買収件数が前年同期比33%減となりました。円安の影響を受けた一時的な落ち込みだと、私は考えています。とは いえ、最近発表された企業再編を見ていると、外国企業の大型買収を成功させられなかったと見なされた上級幹部が引責辞職を求められている様子がうかがえま す。このことから、必ずしも円安だけではなく、「一度痛い目にあって二度目は臆病になる」の心理が作用している可能性もあります。

日経新聞が大手日本企業148社を対象に行った今四半期の調査では、買収意欲が依然として高い状況が報告されました。回答した企業幹部の42.6%は、国内と国外の両方で買収をしたいと答え、国外では北米とヨーロッパの企業が好まれていました。

日本企業が外国企業の買収を成功させるために1つ気を付けるべき点があるとすれば、日本企業は伝統的な日本の家族のように行動し、買収・統合のプロセスに も家族のように順応するという事実を自覚することでしょう。例えば、日本の家族制度には今でも婿養子という縁組のあり方があり、夫が妻の姓を名乗り、妻の 親の相続人となることがあります。特に家業がある場合に、このような養子縁組が選ばれます。

ただし、日本企業は、買収した外国企業に対して「婿養子」モデルを適用することには消極的です。時には買収は、結婚のようでもあります。外国の大手企業の 株式を保有する長い求愛期間を経て、数年後にようやく完全買収に踏み切るというパターンです。そして、やはり結婚と同様に、このアプローチには両側の努力 とコミットメントが求められます。様々な努力を講じて、新しい価値感と習慣を持った新しい家族を作っていく必要があります。

日本企業による外国企業の買収で比較的よくあるのは、買収した企業を家族の一員としてではなく、下宿人のように処遇するモデルのように見受けられます。下 宿人が品行方正に暮らしていて、深夜に大音量で音楽をかけたり家賃を滞納したりしないかぎりは、自由気ままに暮らすことができます。

北米やヨーロッパの企業は、当初はこのアプローチを歓迎するかもしれません。今までどおりの事業運営が許され、あまり干渉もなく、十分に自治が認められる からです。けれども、下宿人と同様に、いずれは家族の団らんから阻害されていると感じ始め、別の良い下宿先を探すべきだろうかと考えるようになります。あ るいは、金銭問題に直面して家賃を払わなくなり、日本の大家が厳しく処遇する可能性もあります。

北米やヨーロッパの企業が他の企業を買収する際、文化的な側面に少なくとも最低限の注意は払われますが、主な関心はシステム、組織編制、ポリシー、目標数 値の統廃合に置かれます。通常、買収された企業が、新しい親会社にどのように順応しなければならないかを知らないまま放置されることはありません。買収合 意のかなり前に、そのことは明確にされるためです。

このドライなアプローチを日本企業が好まないのであれば、外国子会社とどのようにして婿養子のような関係、あるいは配偶者のような関係を構築するかについて、はるかに多くの思案をめぐらせる必要があるでしょう。

パニラ・ラドリン著 The Nikkei Weekly 2013年4月22日号より

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欧州サプライ・チェーンにおける失望と期待

馬との関係が深い英国の友人に馬刺しを食べることを話すと、かつて彼らは、あまりの野蛮さから恐怖におののいたものだ。しかし、近年スーパーで販売されているハンバーガーやラザニアなどに入っている牛肉が馬肉混合である事実を知った時、気付かずに食べてしまった嫌悪感よりも、食品の中に何が含まれているかを把握していないことへの恐れの方が遥かに強かった。

英国人は一般的に馬肉を食べないが、他の欧州諸国の多くでは食品として認識されている。英国人の中流階級者は、ここ十年で、食品の質に高い関心を抱くようになった。料理に関するテレビ番組も多数(日本ほど多くないが)放映され、レストランのクオリティも向上している。問題なのは、サプライ・チェーンが複雑化したことで、食品に含まれる成分(材料)が何で、どこから調達したのかを把握できなくなっている点にある。

このサプライ・チェーン問題は、オランダからルーマニアまでほぼEU全諸国にまたがっており、食べ物の季節感や質の高さにこだわるフランス人やイタリア人を悩ませている。評論家はこの問題を、低価格指向の低所得者層を問題の根源であると非難、また、スーパー間の熾烈な価格競争が、サプライ・チェーンへのプレッシャーへとつながり、品質管理がおろそかになってしまったとしている。スーパー側は自己防衛の手段として、単に顧客の要望するものを提供しただけだと主張し、サプライヤーを非難。

低所得者でも、スーパー側は顧客を裏切りたくないのだ。このためスーパーは農場と卸売間の仲介業者を排除したり、肉類の加工を店内で行うなどの手段を講じている。

日本の自動車メーカーとサプライヤー この流れは、80年代の米国自動車産業に酷似している。米国自動車メーカーは価格競争のため、サプライヤーへ一方的に値下げを強要、結果として品質を妥協した。一方、日本の自動車メーカーは、サプライヤーと相互に協力し手頃な価格で上質な自動車を生産し市場を独占していった。

欧州市場に参入した際も日本の自動車メーカーは自社サプライ・チェーンを欧州に再現した。地元サプライヤーを日本と同レベルに引き上げ、日本国内と同様の生産体制を築いた。それは彼らが品質がもたらす自社ブランドの重みを認識し、それを顧客への責任と考える企業精神にまで及んでいた。

とりわけ、品質の問題が発生すると、日本の自動車メーカーは、顧客に向け公に謝罪を行い、製品をリコールする。問題の根本的な原因がサプライヤーの欠陥であっても、サプライヤーの名前を公に出すことはない。ブランドの所有者である各メーカーが、すべての責任を取る。顧客は誰かに責任を押し付けるような言い訳を聞きたくないことを十分理解しているからだ。日本は独自の食品汚染スキャンダルを経験してきたが、沈静化させてきた。日本企業はサプライ・チェーンをとても上手に管理している。

頻繁に欧州ブランドを買収している小売・食品や、グローバル化を目指して躍進する次世代の日本企業が、信頼のおけるサプライ・チェーンを欧州に築けるか、いまここで試されている。牛肉問題で消費者が商品購入に慎重になっている欧州市場において、それは同時に期待でもある。

パニラ・ラドリン著

日刊帝国ニューズ2013年3月13日より

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日系企業の欧州本社は何処へ

最近、弊社の顧客データベースをクラウド・ベースのサービスプロバイダに移行したことで、LinkedInなどのソーシャル・ネットワークとクロス検証できるようになりました。この更新作業を通じて、日系企業の顧客が欧州でどのように組織を編成し、どこに本社を設置しているかに注目してみました。

私の分析は決して統計的なものではありません。また、私自身がイギリスで勤務しているため、イギリス拠点の企業が多いと思います。それらを考慮しても、日系企業の欧州本社はイギリスに最も多く、先のデータベースで本社企業96社の例を挙げると、イギリス(53社)、ドイツ(24社)、オランダ(10社)、ベルギー(5社)、フランス(2社)、スイスとポーランド(各1社)と続きます。

つづきは定期購読者のみ。

パニラ・ラドリン 帝国ニューズ2013年4月10日より

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ヨーロッパで現地採用の社員と地位

最 近、英系の小規模な会計事務所のパートナーにこんなことを聞いてみました。大手会計事務所で人員削減に遭った会計士の方から、多くの仕事の問合せが来るの ではないですか?と。彼曰く、確かに多くの応募が来るのですが、大手の企業で経験した人の採用にあたっては、より慎重に検討しないと、ということでした。 要は、中小企業では、大企業のようなキャリアパスを提供できないからだそうです。晴れて入社しても、自分の昇進や将来性の可能性が会社に見られないとなる と、フラストレーションとなって退職する羽目になってしまうそうです。

これを聞いて、在欧州の日系企業によく聞く話だな、と改めて感じました。欧州はアメリカのような大国と違い、多くの国々で成り立っていることから、日本企業はそれぞれの国に1人か2人 の日本人駐在員でオフィス運営する事がビジネス上の最善策と考える傾向があります。必然的に現地採用の社員は小さい組織ゆえ、任される職務も多岐に渡りそ れなりの面白みもあったりするのですが、いざマネジャーへの昇進があっても、このような規模では縦型の組織構成が無いので、実際に監督すべき部下がいな い、という問題が起こります。

で は一体、日系企業はどのように社員の高い意欲を維持させ、長期的な雇用を今後も期待できるのでしょうか。前述の会計事務所のパートナーによると、答えは充 実した給与と福利厚生、そして充分なスタッフトレーニングとのことでした。但し、これだけでは、上昇志向の強い社員には今ひとつ物足りないかも知れませ ん。在欧州の日系企業には、私の経験上、是非検討いただきたい提案が二つ程あります。

まず一つには、欧州全土を統括する汎欧州型人事組織をつくることです。 こ れにより、現地スタッフは結果的に一国だけでなく、欧州全体の組織の中で地位を得られるようになります。「欧州営業ダイレクター」などという役割はなかな か付与されにくいとしても、欧州全体会議やトレーニングを行う事により人的ネットワークを作り上げることが出来るのではないでしょうか。社員はブログ、 ウィキ等の電子手段で連絡を密にし、公私共々の情報交換も頻繁になります。こうすることで欧州全体の連帯感を高め、共有する経験の中から自ずと“出来る社員”なども明らかになってくるのです。またもう一つの利点は、欧州全体に点在する同僚達と交流を深め、それぞれの事業にも通じてくることから、いざ異動や、更なる汎欧州的業務なども、より前向きに考えるようになるでしょう。

更 にもう一つ、社員の動機付けに役立つのは、彼らの専門分野における社会的地位の向上に役立つ機会を付与することです。これは日本企業の管理側にとっては、 それは大丈夫、と思われるかもしれません。一般的に日本人は、自分の会社が有名で、広く認知されている=自分達のステータスは充分に確立、と考える傾向が あります。ところが、日本でそうであっても、一歩国外に出れば、知られていない会社なのだという事実にも目を向ける必要があるでしょう。私がここで申し上 げる「士気を維持する為の機会の提供」とは、専門家協会への加入の奨励、資格試験、産業会議でのスピーチや専門雑誌への投稿を積極的に奨めるなとが例とし て挙げられると思います。

こうして日系企業が現地採用社員の社内外の認知向上のサポート体制を提供し、社員がその産業会での専門性を高めることに積極的になれば、社員も必然的に士気の高い優秀な社員に継続して働いてもらえると思うのです。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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辞めていく社員を「卒業生」と考えること ― 門戸を閉ざさず「出戻り」も歓迎

最 近、ビジネススクールの卒業15周年shutterstock_126399968を記念した「反逆者」の同窓会に参加してきました。なぜ反逆者の同窓会などと銘打たれていたかというと、1997年の アジア通貨危機、2001年のドットコム・バブル、2008年のリーマン・ショックを経験した私たちは、とても倹約家で慎ましやかなグループだからです (億万長者になった人が1人か2人はいるという話もありましたが)。数千ドルもお金を出してどこかへ旅行したり、ホテルを予約したり、キャンパスでの公式 の同窓会に出席するための寄付を募ったりすることはしませんでした。その代わり、有志数人がロンドンのクラブで比較的お金をかけないパーティーを企画した のです。

90人ほどの同窓生が反逆者の同窓会には出席しましたが、そのうち15年前の当時の勤め先に今も勤めている人は10%に満たないと見受けられました。当 時、私をはじめ多くの人が、会社からの支援を受けてMBA課程に来ていて、なかには卒業後2年以上は会社に勤続するといった条件を付けられている人もいま した。それが15年後に会ってみると、自分の会社を起こした人、競合他社に転職した人、なかには完全に職業を変えてしまった人もいるという状況でした。

私のように日本企業からの支援を得てビジネススクールに来ていた学生は、ごくわずかでした。残念ながら私は、日本企業の制度でビジネススクールに行かせて もらったものの、職場復帰後に会社が自分の活用方法を理解していないと感じて失望し、結局は辞めてしまった大多数の仲間入りをしました。

同様の不満は、MBA候補生とほぼ同じ年頃の時に勤めていた日本企業から海外転勤になったことのある若い日本人の人々からも、最近耳にしました。海外赴任 中に多くのことを学び、体験し、多少の自由と責任も謳歌したものの、日本に帰国してみれば、以前と同じ国内向きの下っ端レベルの仕事に戻されたという体験 談です。海外で身につけてきた見識やスキルには、ほとんど興味を示してもらえなかったというのです。ある会社から聞いたところによると、海外経験をした若 手の80%前後は、日本の本社に戻って2、3年以内に辞めていくそうです。

日本企業は、この状況を欧米企業のように楽観視することができません。欧米では、このコストをある意味、業界に支払う会費のようなものだと考えています。 つまり、将来の業界幹部を育てるための能力開発投資であって、その人材からいつか自社が恩恵を受けることもあると考えるのです。MBA卒業生のなかには ずっと勤続し続ける人もいれば、客先に転職して有用な人脈となる人、あるいは他社でさらに経験を積んだ後、より上級レベルの幹部として元の会社に戻る人も います。

けれども日本企業では、海外経験者のほとんどが、日本にある外資系企業に転職していきます。つまり、そもそも彼らを海外に送り出した最大の理由であるグローバル化の目標が、かえって後退してしまうのです。

もしかすると日本企業は、外資系企業に転職していく社員を「卒業生」と考える必要があるかもしれません。退職後も連絡を取り合い、決して門戸を閉ざさず、 数年後に彼らが戻りたいと希望した場合は、他の企業文化を経験して戻ってくる彼らを迎えられるようにするのです。それが実現して初めて、日本企業は真に多 様なグローバル企業になることができるでしょう。

様々に異なる経験を有した人材が上級幹部レベルにいてこそ、性別や国籍、キャリアのバックグラウンドが伝統的なメインストリームとは異なる優秀な人材を、海外経験者の若手も含めて、採用・留保しやすくなるでしょう。

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Wiggleがどのようにして日本市場を攻略したか

ロンドン・オリンピックでイギリスが自転車競技の金メダル最多獲得国となったのを受けて、数年前からイギリスで始まったサイクリング・ブームは、さらに加熱した感があります。ヘルシーなライフスタイルや環境意識の高まりを反映して、また通勤苦を回避するために、ますます多くの人が、趣味としてまたは通勤手段として、自転車に乗るようになっています。

日本でも、自転車は人気が高まっています。特に昨年の東日本大震災の後、このローテクな乗り物がいかに信頼性が高いかが注目されるようになりました。

自転車のアクセサリーを販売するイギリスのオンラインストア、Wiggle は、イギリスと日本で好調な売れ行きを謳歌しています。最近、私は同社のマネージャーの話を聞く機会に恵まれ、同社がこの人気の波に乗れたのは単なる幸運のめぐり合わせではなかったことに気付きました。

日本の顧客開拓にあたって重要な役割を担っている要因として、Wiggleでは、第一に日本人のカスタマーサービス担当者、第二に世界各地へのすばやい配送、そして第三に低価格を挙げています。これらの要因それぞれが、日本市場への扉を開くカギになったというのです。

Wiggleでは、日本に相当数の顧客がいると認識した当初、単純にGoogle Translateを使ってウェブサイトの英語を日本語に翻訳しました。その後、日本の顧客がさまざまな連絡をしてくるようになり、そのなかには訂正すべき日本語の個所を指摘するものもあったことから、日本語の話せる人を雇い始める必要があると自覚しました。

Wiggleは現在、日本語のネイティブスピーカーを5人、社員に抱えています。これらのスタッフは、ウェブサイトの文章を確認するだけでなく、電話とメールで日本の顧客に対応したり、マーケティング・キャンペーンが日本の文化的嗜好に即しているかどうかを確認したりする業務にも従事しています。

ウェブサイトに正しい日本語を記載することは、重要性が高まっています。以前に比べて日本の消費者は、海外のウェブサイトから商品を注文してPayPalなどの決済手段で支払うことに勇敢になっていますが、その一方で詐欺の被害に遭った人も多数いるためです。その結果、詐欺サイトかどうかを見分けるポイントの1つとして、日本語がおかしいサイトが警告されるようになっています。

迅速な配送は、もちろん日本国内のサプライヤと競争するうえで欠かせません。ただし、Wiggleでは、国外への製品販売を目指す他社へのアドバイスとして、国外配送を試みる前にイギリス国内の流通を確立することがきわめて重要だと強調しています。Wiggleのケースでは、日本に向けた相当量の販売を始めるよりも前に、国際空港に近い便利なロケーションに高度な倉庫システムを設置していました。

低価格については、円高の恩恵があるため、一企業の力ではどうにもできない部分があります。とはいえ、日本語を話せるカスタマーサービス担当者と配送網を確立した現在、為替が不利な方向に振れたとしても、それを乗り切るだけの忠誠な顧客がWiggleには付いているように、私には見えます。

もうひとつ、同社が日本の顧客ベースのロイヤリティを維持するうえで重要なカギを握る点として、日本人のカスタマーサービス担当者のロイヤリティを維持することが挙げられるでしょう。イギリスの会社が、日本の「難しい」顧客に対応するために日本語の話せる社員を雇っておきながら、その社員が顧客対応するのに必要なサポートと権限を与えないでいるというケースを、私はあまりにも多く耳にしてきました。

配送の遅れや品質の問題を「イギリスでは普通のこと」だと言って日本の顧客に納得してもらおうとするのは、たとえそのメッセージが丁寧かつ完ぺきな日本語で伝えられとしても、決して成功するアプローチではありません。

The Nikkei Weekly 2012年8月20日号より

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三つの文化を持つ子供

私が6歳の時に両親と一緒に日本に移住しましたが、このことがその後の私の人生に与えた影響の大きさを、両親は当時十分には理解していなかったと思いま す。異文化コンサルタントとして活動する今、日本での子供時代の」経験の大切さをあらためて感じています。専門家の世界で色々な議論がある中、多くの心理 学者や文化人類学者は、人間の人格形成期といわれる年齢層は5-6歳くらいから11-12歳くらいの時期とみています。つまり、この期間に人間性とか、文 化的理解が形づくられるとのことです。

実際、私が仙台と神戸で生活をしたのは、まさにこの時期でした。1970年代の仙台には宣教師や私の家族のような学者しか外国人としておらず、こ の時期の私の経験はまさに強烈そのものだったのです。インターナショナルスクールもなく、白百合小学校初の、セーラー服の金髪少女であった訳です。

通学を始めた数週間は涙ながらの日々でした。休み時間といえば学校中の子供たちが物珍しげに寄って来て、私の髪に触ってみたり、青い目を覗き込ん でみたりするのです。下校時間に私の父母が迎えにきたりする時は、いつも大騒ぎでした。とは言え、その年頃の子供はすぐに環境に順応し、スポンジのように 物事を吸収する上、すぐにまた目新しいことに心を移します。半年も過ぎる頃になると、私の日本語もかなり上達し、ちょっと変わった見かけだけど、私達と同 じよね、と受け入れてくれる友達も出来る様になりました。ある時などは作文で、一等賞をもらったことさえあるくらいで、その時は両親が私の涙の日々からの 成長・順応ぶりに、声を上げて大喜びしたものでした。(はじめの頃の私の苦労や辛い思いを見ていたので、私の成長ぶりに胸が一杯になるくらい嬉しかったの だと思います。)

その後移り住んだ神戸の生活は仙台に比べとても順調でした。国際港都市ゆえインターナショナルスクールもあり、私のように色々な国籍や文化を持つ 子供が沢山いました。ちなみに、後で知った事なのですが、わたしの様な背景を持つ子供はTCKと呼ばれるそうです。これは即ちThird Culture Kidsということだそうで、自分の祖国以外で育ち、それ故に祖国とも、育った国とも故郷としての強い絆を感じない感覚を持つのです。その代わりに彼らに 特有の『第3の文化』なるものを作り上げるのです。そして価値観を共有する他のTCK達と交流しながら、生まれた国と育った国の両方の良いところを取り入 れていきます。また、このTCK達はひと所に腰を落ち着けるよりも、数年毎にそわそわしはじめ何処か他のところに移住したがる傾向があるようです。そうし てやがて落ち着くところが、TCK達のコミュニティーである、ロンドンやブルッセル、スイスなどの国際都市となるのです。

読者の中には、ひょっとしてご自身もTCKでは?と思われる方もおられるでしょう。または、TCKなるお子さんをお持ちの親御さんであれば、ご自 身の選択が、多大な影響をお子さんの将来にもたらしてしまったかと心配されるかもしれません。でも総合的に考えると、私は自分の息子がTCKになることを むしろ望んでいるのです。と言っても、我が息子はこの英国で典型的な英国人に育っていますけれど。

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真のグローバル化を目指す日本企業にはフレキシブルな勤務形態が必要

2011年の東日本大震災の後、節電方法としてクリエイティブな提案が多数出されました。金曜日を休みにして土曜日に働くといったアイデアもありました。こうしたアイデアについての記事を読むにつけ、私は、フレキシブルな勤務形態がようやく日本でも普及するのではないかと希望を高めました。フレキシブルな勤務形態は、女性の再雇用を促す方策として長らく議論されてきましたが、必ずしも普及したとは言えません。職場のダイバーシティを高めるための儀礼的な取り組みとして女性だけを対象に導入するのではなく、重要な社会のニーズを感じてこの種の制度を実践的に運用する日本企業がクリティカルマスに達しないかぎり、社会に広く浸透した働き方になることは決してないと、私は常日頃思ってきました。

自宅勤務ができれば、電力不足の状況にとって明らかにプラスの効果をもたらします。エネルギーを大量に消費する交通機関への負担が減るためです。また、災害に強い社会を作ることにもつながります。仮に日本がまたも大きな震災に見舞われたならば、社員が各所に分散していることで、1カ所のオフィスビルに全員が集まっているという弱さを緩和できます。

長期的に社会にもたらされる恩恵は、女性の職場復帰を促すという明らかなメリット以外にもあります。同僚や会社に気を遣って長時間オフィスに居残ることを良しとする「プレゼンティーイズム」を規範とする状況が、ついに解消されるかもしれません。日本企業にとって、プレゼンティーイズムの自然消滅を受け入れるのは困難です。残業の背後にある基本的な姿勢として、集団志向があるためです。その結果、自分のその日の仕事をすべて終えるということが、決してできません。チームの誰かを手伝うことは常にできるからです。

過去10年ほどの間にイギリスの職場で起こった大きな変化のひとつは、私が「グレーゾーン」と呼んでいる働き方です。スマートフォンのおかげで、朝晩の通勤途中に仕事のメールをチェックできるようになりました。また、小型軽量のノートパソコンや会社のサーバーにリモートからログインできる機能によって、仕事を家に持ち帰るのも簡単になりました。日本企業は、こうした働き方がもたらすセキュリティのリスクを案じています。とはいえ、データを1カ所のハードウェアにまとめておくことにもセキュリティのリスクがあることは認識されるようになっています。

イギリスでフレキシブルな勤務形態が重用されるようになった背景には、タイムゾーンという点で理想的なロケーションにあることが影響しています。朝のうちにアジアから業務を引き継ぎ、午後には北米の同僚にバトンタッチすることができます。朝早くや夜遅くの電話も、自宅からかけられるのであれば、それほど耐え難いものではなくなります。とはいえ、同僚との交流や情報共有という点でバランスを取らなければならないことも認識されています。月曜から金曜までずっと自宅勤務をすれば、業務の効果的な遂行には役立ちません。日本には、北米からアジア経由でヨーロッパへと業務をつなぐ際の溝を埋める橋渡し役になってほしいと思います。ただし、それにはフレキシブルな勤務時間を認める必要があるでしょう。

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カストマー・サービス(その6) 多様性とカストマー・サービス

前号では、英国と日本のカスタマーサービスの水準の違いについて話をしました。その中で根本的な文化の違いから、英国のカスタマーサービスに日本の水準を期待するのは無理であろうという結論に達しました。その理由は日本人は一般的に、周囲の目にとても敏感であるからです。

何故日本人は英国、また他国の人々と比べて他人を思いやることに心を注ぐのでしょう?多くの比較文化評論家が日本の歴史について語る時、日本は協調的な‘村’を基本とした稲作国家であるとする一方、西洋社会は個人主義的で、その日その日の収穫を追う狩猟集団と考えます。ただ、この考え方は西洋でも共同作業による農作があるという事実に背を向けているだけでなく、文化は工業化や都市化と共に変動するという事実も否定しているのです。

国家の歴史的背景はさておき、思いやりの度合いというのは、いかにその社会が多様的で、変動的であるかに帰するでしょう。礼儀正しさとか思いやりという点では、私が住んだ事のある英国の他エリアと比べ、ロンドンは著しく乏しいといえます。ロンドン住民の40%は英国以外で生まれています。それ以外の生粋の英国人でさえも仕事や教育、家庭の事情などでロンドンを出たり入ったりの状態ですから、今後二度と会うことも無いであろう周囲に対して思いやりを持つ動機付けも無いのでしょう。また、これだけ人種のるつぼとなれば、礼儀正しさそのものへの概念も国籍の数だけあると理解できます。
日本人は多様的な先祖を持つ国民ですが、それは何千年も昔の事であって、それ以降は日本への移民の流入はあまりありません。日本国内では、地域によって文化・振る舞い・作法等に顕著な差はありますが、礼儀や正しい行いについてはとても厳しい水準を全国で持っているようです。

礼儀正しさが多様な形で共存しているロンドンのような社会では、文化の衝突が生じ易くなります。丁寧に接しているつもりが、相手には無礼に感じられたりということもあります。こんな例えがあります。あるアフリカの文化では、目上の人と話す時に直接目を見るのは無礼とされています。そんな訳で、アフロカリブ系イギリス人の若者と白人の警察官とでひと悶着が起こったりして、「おい、ちゃんと俺の目を見て話を聞け!」などとなるのですね。

私は学生時代にロンドンで、中華レストランで夏のアルバイトをした事があります。私はウエトレスとしてはかなり役立たずでした。北京ダックの肉を切って給仕するという長けた技の必要な事は、全て中国人のウエトレスに任せきりでした。ところが中国流のいいサービスとは、てきぱきと動き、感情を顔に出さず、お客様と世間話などしない、という事でした。つまりそのイスラエル人のオーナーは私とイラン人の女性を雇うことで、笑顔で四方山話をしながら飲み物を給仕するように企んだようです。お客様への笑顔さえあれば、私たちのウエトレスとしての技量は問題でなかったようです。とは言え、氷入りのコカコーラを載せたトレーを男性のお客様の膝に落っことしてしまった時には、笑顔作戦でもさすがに対処は難しかったのですが!

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