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カストマー・サービス(その6) 多様性とカストマー・サービス

前号では、英国と日本のカスタマーサービスの水準の違いについて話をしました。その中で根本的な文化の違いから、英国のカスタマーサービスに日本の水準を期待するのは無理であろうという結論に達しました。その理由は日本人は一般的に、周囲の目にとても敏感であるからです。

何故日本人は英国、また他国の人々と比べて他人を思いやることに心を注ぐのでしょう?多くの比較文化評論家が日本の歴史について語る時、日本は協調的な‘村’を基本とした稲作国家であるとする一方、西洋社会は個人主義的で、その日その日の収穫を追う狩猟集団と考えます。ただ、この考え方は西洋でも共同作業による農作があるという事実に背を向けているだけでなく、文化は工業化や都市化と共に変動するという事実も否定しているのです。

国家の歴史的背景はさておき、思いやりの度合いというのは、いかにその社会が多様的で、変動的であるかに帰するでしょう。礼儀正しさとか思いやりという点では、私が住んだ事のある英国の他エリアと比べ、ロンドンは著しく乏しいといえます。ロンドン住民の40%は英国以外で生まれています。それ以外の生粋の英国人でさえも仕事や教育、家庭の事情などでロンドンを出たり入ったりの状態ですから、今後二度と会うことも無いであろう周囲に対して思いやりを持つ動機付けも無いのでしょう。また、これだけ人種のるつぼとなれば、礼儀正しさそのものへの概念も国籍の数だけあると理解できます。
日本人は多様的な先祖を持つ国民ですが、それは何千年も昔の事であって、それ以降は日本への移民の流入はあまりありません。日本国内では、地域によって文化・振る舞い・作法等に顕著な差はありますが、礼儀や正しい行いについてはとても厳しい水準を全国で持っているようです。

礼儀正しさが多様な形で共存しているロンドンのような社会では、文化の衝突が生じ易くなります。丁寧に接しているつもりが、相手には無礼に感じられたりということもあります。こんな例えがあります。あるアフリカの文化では、目上の人と話す時に直接目を見るのは無礼とされています。そんな訳で、アフロカリブ系イギリス人の若者と白人の警察官とでひと悶着が起こったりして、「おい、ちゃんと俺の目を見て話を聞け!」などとなるのですね。

私は学生時代にロンドンで、中華レストランで夏のアルバイトをした事があります。私はウエトレスとしてはかなり役立たずでした。北京ダックの肉を切って給仕するという長けた技の必要な事は、全て中国人のウエトレスに任せきりでした。ところが中国流のいいサービスとは、てきぱきと動き、感情を顔に出さず、お客様と世間話などしない、という事でした。つまりそのイスラエル人のオーナーは私とイラン人の女性を雇うことで、笑顔で四方山話をしながら飲み物を給仕するように企んだようです。お客様への笑顔さえあれば、私たちのウエトレスとしての技量は問題でなかったようです。とは言え、氷入りのコカコーラを載せたトレーを男性のお客様の膝に落っことしてしまった時には、笑顔作戦でもさすがに対処は難しかったのですが!

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思いやりとカスタマー・サービス

カスタマーケアを題材としたシリーズの前号で、英国のサービス産業で働く社員のお客様に対する不躾、不快な対応は、社員による仕事自体そして会社に対する誇りの欠如から来ると説明をしました。会社は社員をいいように利用し、株主だけに注意を向け、社会に対してはそっぽを向くし、大体において人々に仕えるような仕事は品位に欠けるという心理がその根底にあるのです。

このような心理は、社員が雇用主に対して前向きな気持ちを持つよう、会社として努力をする事で、多少の改善は図れるのではないかと思います。ご存知のように顧客対応が優秀とされる英国の会社の例では、John Lewisを挙げる事が出来ます。社員は会社のパートナーであり、そして株主でもあるのです。また、日本のように現場で働く人に権限を与える「現場主義」や、職人としてのみでなく、サービス一般の誇り高い「物づくり」の考え方も役立つのではないかと思います。
今回、年末・年始の時期に日本と英国内を行き来しましたが、英国のサービスレベルが果たして日本のレベルにまで到達し得るのかと、疑問に思いました。埋めるには余りにも難しい根本的な文化の違いがあるのです。例えば、日本社会では自分の発言が他の人にどう受け止められるか、などという他人の気持ちを優先する部分が、英国のそれとは比較にならない度合いで浸透しているのです。

ある英国人記者が、「監視カメラの国―日本」と称したことがあるように、日本では他人の目や反応を気にするばかりに、圧迫感となることさえあるのです。とは言え、これは英語で言うところの ‘forethought’や ‘consideration’、つまり「思いやり」という言葉と表裏一体なのです。他の人が何を必要としてるのか、または何を感じているのかを察し、求められる前に手を差し伸べる能力と言えるのではないでしょうか。

この“思いやり”のコンセプトを私がある英国人のマネジャーに説明した時、彼は面白い話をしてくれました。彼がヒースロー空港で日本人の同僚を出迎えて、会社の工場に案内して欲しいと頼まれた時の事です。この英国人マネジャーは多忙なスケジュールを縫って出迎えたので、空港から目的地の工場まで一刻も早く到着するよう、急いで運転をしていました。道中で例の日本人同僚が、あなたの好きなジュースは何かとか、ダイエットセブンアップの方がダイエットスプライトよりもいいのではないかとか、唐突に聞いてきたというのです。それを聞いて私がこの英国人マネジャーに’思いやり‘について説明をすると、そうか、彼は喉が渇いたと仄めかしていたのかと、はたと気付いたようです。

「では、もし次にこのようなことがあったら、どう‘思いやり‘を示すべきでしょうか。どこかで飲み物でも取りながら一休みしませんか、と聞いた方がいいんでしょうね。」このマネジャーが質問してきました。もし日本人同僚も同じように思いやりの気持ちを持っていたら、あなたの多忙ぶりを考慮して、そうしましょうとは言わないでしょう。とアドバイスしました。この状況での最善策は、予め飲み物を用意しておき、車中で勧めることでしょう。これこそが究極のカスタマーサービスなのです!

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日本のカスタマーサービスは物づくりに繋がっている

前項で、日本のカスタマーサービスは物づくりに繋がっているのではと申し上げました。通常、物づくりという言葉はサービス産業でなく製造業で使われる言葉で、社会的にもとても重要な概念なので、どうして物作りがカスタマーサービスなの?とお思いの方もおられると思います。ここでこの言葉の意味するのは熟練技能であり、これは手作業を通して名工たることへの誇りを意味します。

幼少期に私は仙台に住んでいたのですが、ある時私達の住む一風変わった異人館を、大工さん達が修理していたことがあります。ある日私が学校から帰ると、休憩時間にその大工さん達は私が収集していた切手で折り紙の鶴を折っていたのです。私は大事な切手収集をだめにされてぶすっとしてしまったのですが、私の両親は大工さんのごつごつした手がこれほど繊細で器用に折り紙を折ることが出来るのを見て驚嘆していました。

私は折り紙を日本の幼稚園で習ったのですが、うまく折れたことが一回もありませんでした。上手に折ろうと思う半面、正確無比に紙を折る我慢強さが足りなかったのだと思います。そのせいか、私は日本のデパートで買い物をする度に、その品々を上手に包装する販売員の器用さには感動しない訳にはいきません。クリスマスプレゼントの包装が苦手な私にとっては、特にこの時季になるとそれを思い出します。

私は幼少期に日本舞踊も習いました。折り紙も勿論の事、茶道や剣道のように日本で広く伝授されている芸事の真髄には、体の動きだけでなく、対象となる物をいかに扱うかが重要視されます。例えば、着物をきれいにたたむとか、また扇子を美しく開く、という事が、実は日本でのカスタマーサービスが品よくきちんとに提供されている背景にあるのだと思います。

このような技術は英国の学校では通常教わりません。その為、英国では贈り物を包装するというサービスは提供されませんし、もしされたとしても、何ともお粗末なものです。実際、包装については通常英国では特別に頼まないとなりませんし、しかも料金がかかります。最近私が訪れた店で、唯一贈り物の包装が無料で、しかも綺麗に仕上げてくれるお店が、ロンドンのJermyn 通りにあるFlorisでした。ここは家族経営で、伝統的な製法の香水を売っています。一見したところ販売員は家族の一員ではないのですが、誇りを持ってとてもいい対応をしてくれたばかりでなく、充分な商品知識を持ち合わせていました。

深い商品知識とそこから生まれる誇り、という点では、もう一つのチェーン店が思い浮かびます。このお店は常にいいサービスを提供するという事で話題の、Majesticというワイン専門販売店です。Majesticはカスタマーサービスが会社のブランドであるとして、そこに大きな力点を置いています。そのため、社員のトレーニングにたくさんの力を注ぐのですが、恐らくこれがMajesticのワイン愛好者を惹きつける理由なのだと思います。そして更には彼らの深い商品知識と誇りあるサービスがお客様に大きな満足をもたらしているのではないでしょうか。

物づくりには双方向性が大切です。提供する側・される側とも、物づくりの宿す技能と知識を深く認識する必要があります。英国の消費者は日本のように、物づくりへの深い認識を養われていない為、サービスを提供する側も自分達の対応に誇りを持てないという結論に至るのだと思います。
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カスタマー・サービス(その3)

前項でどのように消費者がサービス産業の社員から扱われるかを見てみました。サービス産業では150年に渡る階級社会の中で醸造され鬱積した憤り、熟練労働者の誇りの喪失感を持つ背景を抱えた社員の働いていることに言及しました。
大体においてサービス産業は、社員の福利厚生、お客様そして社会的責任に関心が薄いのです。このようなサービス産業で働く社員にお客様第一のカスタマーサービス精神を持って意欲的に働いてもらうことの難しさは火を見るよりも明らかです。英国の消費者は、この様な背景に根ざす問題点を持つサービス産業からカースタマーサービスを受けているのです。

勿論、全てがそうではなく例外もあります。例えば最もよく知られた例としては英国のJohn Lewis Partnership で、これはJohn Lewisデパートと Waitrose スーパーマーケットのチェーンを包括しています。この会社の構成はパートナーシップで、社名の示すとおり、6万9千人の社員は社員でありながら会社の所有者でもあります。被雇用者でも、スタッフでもなく、“パートナー”なのです。この会社の創立者 John Spedan Lewisの考える会社のあるべき姿は究極の目的としてパートナーとしての幸福を社員全員で共有するとしています。例えば、ボーナスとして会社の利益を受け取る割合は、2007年は、役職に関わらずサラリーの18%でした。そして13名の取締役のうち、5名はスタッフによって選任されています。

こういった会社としての構造が、高いカスタマーサービスの水準を支え、そして更には現在のような不況さえも切り抜けるに至っているのではないかと思います。パートナーは顧客に奉仕することで自分の品位が冒されるとは感じず、むしろビジネスに誇りを持ちながら、お客様と対等の立場として業務を遂行しています。

サービス産業で働く人たちの劣等感が、これまでこの国においてカスタマーサービスそのものを毒することとなっていました。もし顧客が奉仕する側に優越感を抱かず接すれば、必ずしもぴか一でないにせよ、しっかりとした親しみのあるサービスを受ける事は可能なのです。
最近ある会合で英国在住の日本人のグループと英国のカスタマーサービスについて話し合ったことがあります。その時、日本と英国の両国でレストランのフロアスタッフまたは販売員をしたことがある一番若い参加者が、英国のカスタマーサービス文化についてとても好意的に感じると言っていました。英国のお客様の接し方が日本にいた時と比べると数段感じがいいと話をしてくれました。

一方日本では、力関係と社会的な地位の違いを受忍するという、長い儒教の精神の影響があります。これは社会的地位の低い人が人間として価値がないとか、軽蔑に値するとかいう事ではありません。地位の低い人は親しみがあるまたは対等な扱いを必ずしもを受けないのですが、しかしそれは社会的通年として受け入れられているのです。儒教は正しいやり方とか礼儀作法をきちんと守ることに重点を置いているので、目に見える形でカスタマーサービスに有効な意味を提供することとなります。礼儀作法を重要視することは、カスタマーサービスの‘ものづくり’的精神に繋がってきます。ここが英国では欠けていることなのですが、次回にこの部分を検証してみたいと思います。
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カストマー・サーブス(その2)

前回の記事で、日英のカスタマーサービスに差があるのは多くの理由が背景にあることに触れました。そしてこれらの理由から日英の企業文化の違いの成り立ちに辿りつき明らかにすることが出来るのかも知れません。

ここで、私がまず最初に検証したいのは、企業理念と日英の会社の歴史的背景の違いです。ご存知の通り、人類最初の産業革命は英国で興りましたが、必ずしも最初が最良と同義語ではありません。これはロンドンの地下鉄が一つの例と言えるかもしれませんね。実際、私達が多くの失敗を重ねる事で、他の人が何かを学ぶことができます。

英国の産業革命の副産物として生まれた社会問題に対する意識は、未だに英国国民の心に影を落としています。例えば英国人は会社の経営者と聞けば、腹黒い金持ちの資本主義者をイメージするのです。のどかな田園風景を黒々とした不吉な工場に塗り替え(有名な英国の賛美歌エルサレムからの抜粋)、職場環境や健康には目もくれず、労働者を家畜のごとく酷使する悪代官として捉えてしまいます。

日本で後に始まった産業革命でも社会問題は起こったものの、日本は国家の近代化と、産業力・軍事力において西洋諸国にひけを取らない実力をつける為に精一杯でした。19世紀の終盤に成熟した日本の会社の企業理念は、企業は富国の為にあるという概念のもとにあり、これは20世紀初頭に設立され、社是7条の中に“工業を通じて国家に奉仕“を掲げる松下電器のような企業にも引き継がれていきました。そして第2次大戦後、日本は国を挙げて働きつめ、再び一流工業国に復興させ、”奇跡の日本経済発展“を遂げました。やはりその頃に設された企業、例えばホンダ技研などは、「社員の幸せと社会貢献」を強く謳っています。

それに対し、英国の産業革命以降の製造企業と社是を見てみると、往々にして社会貢献とか、社員の幸せという言葉は見当たりません。といっても、ごく最近は企業の社会貢献がファッショナブルな傾向になってきていますが。1970-1980年代に多くの伝統産業が打撃を受け、これまで自分達に良くしてくれていた会社が大幅な人員削減を決行していく中、人々の会社への信頼感と、労働階級としての誇りは消え失せてしまいました。炭鉱、鉄鋼、エンジニアリングといった産業で失職した人々は、俗語でMc Jobsと言われた、不安定なサービス業へと移行せざるを得なかったのです。

アングロサクソン資本主義における企業は、利益率や投下資本の株主へのリターンが目的の、株主中心主義と捉えられています。これに対し日本の会社は会社を支える基本要素は利害関係がまずは社員であり、次にお客様であり、社会であり、そして最後に株主であり、英国の会社は日本のステークホルダー型企業の在り方とその様相を異にしているのです。英国の顧客サービス担当者は、過去150年の階級社会で培養された恨みとか憤り、単純労働者の誇りの喪失感と、自分の雇用主は自分や顧客や社会の事なんか、本当はこれっぽちも考えてくれていないんだ、という混ざり合った思いで対応している訳です。とは言え、勿論全てがこのようなわけではありません。次回はまた違うケースを明らかにしてみたいと思います。

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三つの文化を持つ子供

私が6歳の時に両親と一緒に日本に移住しましたが、このことがその後の私の人生に与えた影響の大きさを、両親は当時十分には理解していなかったと思いま す。異文化コンサルタントとして活動する今、日本での子供時代の」経験の大切さをあらためて感じています。専門家の世界で色々な議論がある中、多くの心理 学者や文化人類学者は、人間の人格形成期といわれる年齢層は5-6歳くらいから11-12歳くらいの時期とみています。つまり、この期間に人間性とか、文 化的理解が形づくられるとのことです。

実際、私が仙台と神戸で生活をしたのは、まさにこの時期でした。1970年代の仙台には宣教師や私の家族のような学者しか外国人としておらず、こ の時期の私の経験はまさに強烈そのものだったのです。インターナショナルスクールもなく、白百合小学校初の、セーラー服の金髪少女であった訳です。

通学を始めた数週間は涙ながらの日々でした。休み時間といえば学校中の子供たちが物珍しげに寄って来て、私の髪に触ってみたり、青い目を覗き込ん でみたりするのです。下校時間に私の父母が迎えにきたりする時は、いつも大騒ぎでした。とは言え、その年頃の子供はすぐに環境に順応し、スポンジのように 物事を吸収する上、すぐにまた目新しいことに心を移します。半年も過ぎる頃になると、私の日本語もかなり上達し、ちょっと変わった見かけだけど、私達と同 じよね、と受け入れてくれる友達も出来る様になりました。ある時などは作文で、一等賞をもらったことさえあるくらいで、その時は両親が私の涙の日々からの 成長・順応ぶりに、声を上げて大喜びしたものでした。(はじめの頃の私の苦労や辛い思いを見ていたので、私の成長ぶりに胸が一杯になるくらい嬉しかったの だと思います。)

その後移り住んだ神戸の生活は仙台に比べとても順調でした。国際港都市ゆえインターナショナルスクールもあり、私のように色々な国籍や文化を持つ 子供が沢山いました。ちなみに、後で知った事なのですが、わたしの様な背景を持つ子供はTCKと呼ばれるそうです。これは即ちThird Culture Kidsということだそうで、自分の祖国以外で育ち、それ故に祖国とも、育った国とも故郷としての強い絆を感じない感覚を持つのです。その代わりに彼らに 特有の『第3の文化』なるものを作り上げるのです。そして価値観を共有する他のTCK達と交流しながら、生まれた国と育った国の両方の良いところを取り入 れていきます。また、このTCK達はひと所に腰を落ち着けるよりも、数年毎にそわそわしはじめ何処か他のところに移住したがる傾向があるようです。そうし てやがて落ち着くところが、TCK達のコミュニティーである、ロンドンやブルッセル、スイスなどの国際都市となるのです。

読者の中には、ひょっとしてご自身もTCKでは?と思われる方もおられるでしょう。または、TCKなるお子さんをお持ちの親御さんであれば、ご自 身の選択が、多大な影響をお子さんの将来にもたらしてしまったかと心配されるかもしれません。でも総合的に考えると、私は自分の息子がTCKになることを むしろ望んでいるのです。と言っても、我が息子はこの英国で典型的な英国人に育っていますけれど。

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海外生活

前回のコラムで、祖国でない日本で育ったことによって、私がいかにTCK(a Third Culture Kid 、3つの文化を持つ子供)となり、そのことで私が受けた恩恵についてご説明しました。世界規模で国際化が進み、このように祖国以外で育つTCKが増えてい る中、当のTCK達は生まれた国と、育った国とに対して好き嫌いを聞かれたら、きっと答えるのに困るだろうな、と思ったりします。私にとっては日本も英国 も、言ってみれば歯磨きをするような、日常生活の中にあるのです。これまでのキャリアの中で、私は何度が自分と日本とを切り離して、全く違った方向を試み たりしましたが、どうもうまく行きませんでした。一つには日本というのは、私の心を捉えて放さない国であるということ、そして結局は私の日本での経験や知 識が職業上の価値となり、今日の収入にもつながっているからなのです。
一つ興味深いのは、TCKでなく、祖国で生まれ育った人が、なぜあえて祖国を離れて海外への移住を希望するのか、ということです。私が両親と元々 日本に住んだのは幼少期の5年間でした。そして私が18歳になった時、また日本に戻る事になりました。広島、そして東京と、結局通算して20年日本に住む 事になったのです。ちなみに、もし読者の皆さんが私の母に、“どうしてまたイギリスを離れることにしたのですか?”と聞いたら、母は多分冗談交じりに“英 国の鉄道とさよならしたかったからよ。”と答えると思います。というのも、その当時の国鉄サービスは、今よりももっとアテにならない状況だったのです。毎 日ロンドンへの通勤を余儀なくされていた母はその当時、重要な職務についており様々な会議の中心でした。だから交通事情で到着が遅れると、会議が中止とい うことが多々あったのです。結局母は体調を崩したのですが、それに輪をかけたのが日々の通勤ストレスだったのです。

勿論日本といえば、万事うまく運ぶ国で電車は定刻に走り、人々は時間厳守し、任せて安心かつ礼儀正しい国です。多くの外国人にとってはこれが魅力 となって日本を移住先とするので、祖国に戻って大ショックを受けたりします。物事は思うように運ばない、人々は礼儀知らず、おまけに街はごみだらけ。実 際、長いこと祖国を離れていると、いざ自分の国に戻っても、自分こそが外国人のように感じてしまうのです。英国に戻った私は、今でも自分の両親が外国人に 見えてしまいます。彼らはいつもきちんとした身なりをしているんですもの!

私の知る限り海外に長く暮らす日本人は、もはや自分が日本に属していないように感じていると思います。そういう人がよりによって、ひどい接客サー ビス、当てにならない天候や鉄道を持つ英国を滞在先に選ぶということが凄い驚きです。以前私の日本人の知人が、イギリスの自由さとか、寛容さが居心地いい と言っていました。ただ、これはイギリスだけに言えることではないと私は思います。誰しも海外に住むと、自分の祖国で求められる一定の基準とか文化的な束 縛から解放され、翼を広げられるような気持ちになるのは当然の事だと思うのです。冗談かと読者は思われるでしょうが、日本に住む外国人もそう感じているの ですよ。

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「さん」についてどのよう使ったらいいのか?

私のトレーニングでは必ずと言っていい程、現地の参加者から、‘さん’についてどのよう使ったらいいのか?と質問があります。実際にビジネスの礼儀作法について話をする時、一般に考えられている程これは難しい問題ではないんですよと説明します。要は、苗字に“さん”とつければほぼ間違いありません。

とは言うものの、もう少し説明を付け加えます。米国生活の長い日本人男性は西洋人のニックネームとか名前を縮めた呼び名を取り入れているようですし、日本人女性の場合は、男性よりもファーストネームで呼ばれる事をむしろ好むようです。一つには女性の名前は男性の名前より短く、外国人にも発音し易いという事もあります。
私の日本人顧客の中に、自分のニックネームをキースと称している人がいるのですが、ヨーロッパ人の同僚には、‘キースさん’でなく‘キース’、と呼んで欲しいと言っています。英国に長く住んでいる日本人女性が同様の事を言っているのを耳にした事があります。

‘さん付け’を止めて欲しいと思う日本人の気持ちが、私には分かる気がします。以前日本で働いていた頃、同僚の中に私を‘ミス・パニラ’と呼ぶ人がいたのですが、余り嬉しい呼ばれ方ではなかったのを覚えています。文化の違いを見せつける過剰な礼儀正しさによって、逆に私と同僚との距離感を広げてしまうように感じたのです。日本の職場環境にうまく順応しようと日々心がけているのに、‘ミス・パニラ’などというおかしな呼ばれ方をすると、何だか妙に目立ってしまうようになりました。

私は日本人の知人からは普段は‘パニラさん’と呼ばれ、それで全く問題はありません。もう少し若かった時は、上司からからかい半分でパニラちゃんと呼ばれたこともあります。ところが、最近聞くところによると、大手日系電子メーカーの日本本社では、パワーハラスメントの要素を含むとの理由で、社内で‘ちゃん’付け‘君’付けを禁止したそうです。

これに反して、日本企業に買収された金融機関のヨーロッパ人管理職の人達が言うには、日本人の同僚から、日本人部下を呼ぶ際には苗字に‘君’をつけるようにアドバイスされたというのです。そのアドバイスに反対する気持ちはないのですが、そうする事によって、力関係を自然と作り上げることにもなってしまいますよ、と意見しました。

また更にややこしいのは、英国やヨーロッパでののMrsとMsの使い方と名前の呼び方です。私はMrsラドリンと言われるより、Msラドリンと呼ばれる方を好みます。というのは、ラドリンという苗字は旧姓であり、結婚後も仕事上使っているからです。ところが、仕事上はいずれにしてもファーストネームを使うのにも拘わらず、英国人女性の中には結婚後、苗字を変えてMrsとなることをかなり重要に捉えています。一方ドイツやオーストリアでは、往往にして今でも苗字のHerr(Mr)とかFrau(Mrs)をつける呼び方にこだわるようです。

結局のところ、互いをどう呼ぶべきか、全ての人が最初からはっきりしておけばいいのではないでしょうか。例えばこちらから、初対面の時点であっても、もうちょっと慣れ親しんで来た時でも、「ところで、お名前はどうお呼びしましょうか?」と聞いてみるのが最良の策なのかもしれません。

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クールビズ

日本のクールビズキャンペーンに関する調査レポート読んで私は少しも驚かされないのです。これは、二酸化炭素削減の為に2005年から政府の環境対策の一環として、室内温度設定の摂氏28度に達しない場合はエアコンのスイッチを入れないことを推奨しているものです。数年前の夏、丸一日続いた東京での会議中、ずっーと汗のかき通しだったことを思い出すとぞっとします。(その時に一緒に参加した私の同僚のロシェルとみさこもこの事を覚えているはずです。)とは言ってもほとんどの会社の応接室はエアコンがONで快適な状態になっていることは申し上げておきます。

根本的な改革によって得る利益が大きい事が分かっていても、実際に痛い目に遭わなければ何もしない。- 文化的に背景に違いがあってもどこでも似たような認識があるのではないでしょうか。

この6月には英国に熱波(!)があったことはご記憶だと思います。その時、英国の住宅がこのような暑い気候に適してないかすぐに気がつきました。
この時ほど、爽やかなそよ風を入れてくれ、しかも強烈な日差しを遮ってくれる日本の簾(竹製ブラインド)を私の事務所の窓に欲しいと思ったことはありません。
しっかりしたブラインド、カーテン、2重サッシ、絨毯、煉瓦、壁の埋め込み式断熱材、これらは全て、寒くて、湿った英国の冬に備えたものであり、暑い夏にはただ単に熱を家の中に閉じ込める役しか果たしません。今月私がフランスで休暇を楽しんだ時のことですが、地中海性気候の中で如何にして涼をとるか、その理にかなった生活を経験しました。木製の日よけ戸が全ての窓についていたり、タイルまたは石の床、そして分厚い石壁などを挙げることが出来ます。

日本の伝統的な住宅は、日本の暑く湿度の高い夏を想定して建てられています。例えばスライドさせて開け閉めできる木製戸などは、隙間をどれくらいにするかによって、風通しの調整ができます。モダンな日本のオフィスビルはエアコンで調整されるようにデザインされた密閉空間です。根本的なオフィスビルのデザインが変わらなければ、どんなにエアコンを点けたり消したりしても、意味がありません。もし地球温暖化が日本や英国にも急速に影響を及ぼすなら、温度調整器をいじり回すのではなく、オフィスビルのあり方そのものについて考え直すべきではないでしょうか。
*http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601101&sid=aPqVjejK.hxU
レポートの全文をご覧いただけます。

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社内コミュニケーションの重要なツール

日本企業や日系企業にサービスを提供している会社にとって、日本企業による買収の波が続いていることが、現時点で唯一の新規事業開拓の機会のように見受けられます。日本の国内市場が飽和した成熟状態にあるうえ、国外の優良企業が安価に買収されている現状を見れば、日本企業が再生と成長の方法として買収を選ぶのは驚きではありません。

欧米企業も、アジア企業に保有されることを受け入れるようになっています。アングロサクソン流の資本主義が引き起こす破壊に疲弊した欧米企業の間では、短期的な株主重視の経営ではなく、より長期的にステークホルダーを重視する姿勢を見直す時なのではないかとする議論が渦巻いています。

もちろん、この議論は以前にも行われたことがあります。1980年代に日本経済が躍進した時代には、日本的な価値観が脚光を浴びました。終身雇用、集団志向、長期的な観点、利益よりも成長を追求する姿勢などです。しかし、1990年代には、その同じ価値観が日本経済の低迷の原因とされました。現在の資本主義の形態に代わるものが本当に必要なのかどうか、儒教的な資本主義がベストの代替なのかどうかの議論は、間違いなく今後も続けられるでしょう。

しかし、その議論が続く間にも、外国企業を買収した日本企業は、独特な日本の企業文化や価値観を適応させるべきかどうか、どのように適応させるべきかという問いへの答えを見つけなければなりません。

とはいえ、選んだ道にかかわらず、多くの日本企業は、重要なツールを使わないがために失敗してきました。そのツールとは、社内コミュニケーションです。その例をひとつ挙げましょう。日本企業に買収されて2か月というイギリス企業でセミナーを開催した時のことです。ある参加者がセミナー終了後に私のところにやってきて、目に涙を浮かべながらお礼を言ってくれました。買収された後、何が起こっているかを深いレベルで説明してくれた人が今まで一人もいなかったというのです。彼女のチームメンバーは、まるで暗闇に置き去りにされたように感じていました。

また、別の会社で開催したセミナーのある参加者は、現地法人の社員がイギリスの業界誌で報じられたニュースを読んで自分たちの会社に関する重要な情報を知ったことがあったと話してくれました。

情報が共有されないことについて日系企業に勤務しているヨーロッパの社員が不満をこぼすのを、私は今まで幾度となく耳にしてきました。日本の同僚に情報を求めたかどうかを聞くと、たいていは求めておらず、向こうから情報を共有してきてくれるものと期待していたという答えが返ってきます。

日本企業の多くは、社内コミュニケーションの部署を有していません。社内広報の責任者から、新しい日本の親会社に自分と同じ役割の人がいないという話をされたこともあります。日本の会社には、「以心伝心」のような伝統的なやり方で社員が会社の戦略や文化を理解していくと考える節があります。もちろん、こうした考え方は、日本で勤務していない社員や日本語を話さない社員には通用しません。にもかかわらず、当たり障りのない社内文書ですら、英語に翻訳すれば重要な企業秘密が漏えいするという恐怖心があるように見受けられます。

会社の価値観や戦略を理解する作業を意図的に社員任せにしておくことが、それ自体、会社の価値観になっているのです。このことをひとたび理解すれば、私もその考え方には賛同できる部分があります。社員を大人扱いしていることを意味するからです。とはいえ、どんなに逆説的であれ、日本企業がグローバル化するなかでこの価値観を守りたいと思うのであれば、それを明示的にコミュニケーションする必要があります。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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