Rudlin Consulting Rudlin Consulting
  • 会社概要
  • サービス内容
  • ブログ
  • クライアント
  • 著書
  • お問い合わせ
  • English
  • 日本語
  • 会社概要
  • サービス内容
  • ブログ
  • クライアント
  • 著書
  • お問い合わせ
  • English
  • 日本語
  •  
日本企業の対エジプト投資について

最近、日本の自動車会社のために開催したオンラインの研修に、エジプトからの社員が数人参加していました。これは、コロナ後の世界の利点のひとつです。研修がオンラインで行われるようになったため、西欧の地域本社に出張するのが難しい人たちも、教室形式の研修に参加できるようになりました。ただし、技術的な問題はまだ残っています。エジプト人の参加者の一人はシニア・マネージャーで、他の参加者と共有できる優れた洞察を持っていましたが、音声の品質が悪くて、よく聞き取れませんでした。

ですから、アフリカに事業拠点のある日本企業を対象としたJETROの最近の調査で、エジプトに投資する魅力としてインフラの充実が挙がらなかったのは驚きではありませんでした。むしろエジプトの魅力は、市場規模と成長潜在性にありました。人口が1億人を超えていて、世界最大のアラブ国家、かつアフリカで3番目に大きい国です。

この調査の回答者は、政治の安定性という点でもエジプトを比較的高く評価していました。現在のアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が2013年にムハンマド・ムルスィー大統領を解任に追い込んでから状況が改善し、2021年に非常事態宣言が解除されました。ただし、現在も軍政で、様々な人権の懸念があります。他のアラブ国家は、ムルスィー氏の解任以来、エジプト経済を支えてきました。ムルスィー氏の時代には、同氏がムスリム同胞団のメンバーであることを理由に反対していたのです。

ムスリム同胞団のルーツは、第二次世界大戦前にまで遡ります。イスラム教の宗教的・政治的・社会的な運動としてエジプトで創始され、19世紀からのエジプトのイギリス支配に反対してきました。この占領の結果としてエジプトでは英語が広く話されていて、特に管理層では浸透しています。

しかし、エジプトを魅力的な投資先として安易にとらえるわけにはいかないことを、私は自分の家族の歴史から学んでいます。スカンジナビア航空に勤めた祖父は、1950年代にカイロに駐在していました。使用人や料理人のいる贅沢な暮らしを2年ほど送った後、スエズ危機が発生し、ヨーロッパからの他の駐在員の救出活動を取り仕切る立場に立たされました。その前にも、イギリス人や他の外国人がよく出入りする建物でムスリム同胞団のテロ行為が起こっていました。

近年には、外国人を狙って断続的に起こるテロ行為のせいで観光業に影響が及んでいました。そして今は、重要な収入源となっていたロシアとウクライナからの観光客が失われています。また、ロシアとウクライナは、世界の輸出小麦の4分の1以上を供給していて、ヒマワリ油は世界供給の約80%を占めています。このため、小麦と調理油の価格が高騰し、これがエジプトに大きく響いています。エジプトは世界最大の小麦輸入国で、人口の3分の2が公的補助制度を通じてパンを購入しているからです。ヨーロッパ・中東・アフリカ地域の国々の絡み合う歴史は、絶えず進化を続けています。

(この記事は帝国ニュースの2022年5月11日号に掲載されました)

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
ウクライナ ― デジタル情報戦では優位

ロシアがウクライナに侵攻する1週間前に、リヴィウにある日系技術企業で働くウクライナ人の社員2人からメールをもらいました。私が提供している研修についての問い合わせでした。紛争の緊張が高まっていることは知っていましたが、普通どおり返信すべきと思い、オンライン・ミーティングを翌週にスケジュールしました。

当然ながら、このミーティングはキャンセルされました。キャンセルを申し入れてきた彼らに、何かできることがあったら教えてほしいと返信すると、「ここで起こっていることを、いろいろな人に話し続けてほしい」とのことでした。彼らはすでに、21世紀の戦争でコミュニケーションが果たす重要な役割を認識していました。

白状すると、この出来事があるまで、自分の仕事に関係することとしてウクライナ情勢に注目していたわけではありませんでした。2014年のユーロマイダンとクリミア併合のことは知っていました。顧客の日系企業の人事マネージャーの弟さんがウクライナ軍で戦ったことを聞いていました。

日本企業のウクライナへの投資は比較的限られていて、ほとんどが自動車関連だと思っていましたが、この日系技術企業から連絡を受けたことで、リヴィウに技術産業のクラスターがあり、IT関連の企業やスタートアップが多いことを知りました。事実、日立製作所は、最近買収した米国のソフトウェア会社、GlobalLogicを通じて、ウクライナに7,000人以上の社員を有していました。

ITサービス産業がウクライナで活況を呈している理由は、在欧日系企業を対象にジェトロが実施した最新の調査結果で分かりました。日系企業はヨーロッパでの投資分野として、炭素削減技術に次いで2番目にデジタル・トランスフォーメーション技術に関心を寄せていました。

在欧日系企業の37%が、すでにその種の技術を使用しています。この割合は、東欧と中欧の日系企業では50%以上です。西欧に比べて低いコストでデジタル・スキルのある人材を見つけられます。

デジタルに明るい人材の厚さは、現在の戦況にも表れています。ウクライナは、ロシアのウェブサイトに侵入しただけでなく、西欧にいる私たちの目には、少なくともソーシャルメディアの情報戦では優勢に立っているように見えます。爆撃と殺害のおぞましい映像の間にも、ウクライナの人たちがシェアしている動画のブラックユーモアと明るい勇気に、私たちは感銘を受けています。ウクライナの農夫がロシア側の戦車をトラクターでけん引して盗んでしまったり、タバコを口にくわえたまま素手で地雷を運んで除去したりしている様子が伝わっています。

ウクライナ人のコミュニケーション・スキル、特にゼレンスキー大統領の手腕は、戦争と独裁者と侵攻の記憶を持つ欧州の人たちに共感を誘っています。イギリスでは、あるテレビ局がゼレンスキー大統領のかつてのコメディ番組を放映しています。一介の歴史の教師が選挙で大統領に選ばれてしまうシリーズです。この物語では、この歴史の教師が罵り言葉もたっぷりに白熱した政治汚職反対の演説をしたのを生徒がスマホで撮影してフェイスブックに投稿したことから、有権者の支持を集めてしまったという筋書きになっています。

(この記事は帝国ニュースの2022年4月13日号に掲載されました)

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
100年前の日英関係

今から100年前に終了した「英米訪問実業団」について、最近リサーチしています。日本の財界代表者によるイギリス訪問の歴史に、今日に通じるものがあるかどうかを見たいからです。

この訪問は、1902年に結ばれた日英同盟が破棄されつつある時期に行われました。1921ワシントン会議で日本、イギリス、米国、フランスの四カ国条約が調印され、日英同盟が解消することになったためです。ワシントン会議は1922年に2月に終了しましたが、四カ国条約が発効した1923年8月に日英同盟は正式に失効しました。

日英同盟は、もともと極東におけるロシアの拡張主義に対抗するために締結され、後にドイツからの脅威にも対抗しましたが、1921年までには、イギリスにとってロシアは脅威ではなくなり、ドイツは第一次世界大戦で敗北していました。代わりにイギリスが望んだのは、米国との関係強化でした。米国は、日本に対してより敵対的な姿勢を示していて、太平洋地域や中国で利害対立の可能性を感じていました。

團琢磨が率いた英米訪問実業団は、ワシントン会議のタイミングを見計う格好で、1921年10月から1922年2月にかけて、米国、イギリス、フランスを訪れました。イギリスでは、この使節団の呼び名にいくらかの揺れがありました。産業使節や商業使節と称されたこともありましたが、スピーチの記録などから察するに、イギリスの受け入れ側の多くは、外交目的も兼ねた訪問であることを認識していたようです。

日本は当時、輸出が輸入を上回り、また第一次世界大戦で債権国にもなっていて、国際経済に深く関与していました。渋沢栄一は、日本が国際的影響力を拡大すべき時であり、それには経済と社会の基盤を先進国のレベルに引き上げる必要があると考えていました。

このため、訪問団に参加した財界のメンバーは、造船所や工場を訪れ、関税や商標について議論する一方で、イギリスの労使関係、協同組合運動、イギリス産業連盟にも大きな関心を寄せていました。イギリスの輸送交通インフラを理解することにも熱心でした。イギリスの次にフランスを訪れた使節団は、新たに創設された国際商工会議所を視察しました。

イギリスの実業家が開いた夕食会や昼食会では、貿易の継続が幾度となく話題に上がっていました。とはいえ、イギリスが日本を植民地における競争相手と見なし始めていることは明らかでした。特に綿花製品をめぐる競合があり得ると予期していました。これに対し、團琢磨は、日本とイギリスの両方にとって競争相手は中国だと返しました。

日本の使節団は、日英同盟の解消によって貿易障壁が増えること、また日本の国際的な地位が弱まることを懸念していました。日英同盟は、日本の信用の証左となっていたからです。

この懸念は的中したと言えるでしょう。1929年に世界恐慌が起こると、米国は保護主義を強めました。1932年にはイギリスが帝国特恵関税を導入して、第一に国内の生産者、第二に帝国内の生産者、最後に外国の生産者という政策を取るようになりました。この同じ年に、團琢磨は暗殺されています。

(この記事は帝国ニュースの2022年3月9日号に掲載されました)

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
アラブ首長国連邦 ― 多様性と脱炭素

イギリスのBBC放送で「Inside Dubai: Playground of the Rich」という番組が放送されています。ドバイに移住したイギリス人たちの様子を追いかけるシリーズです。彼の地ならではの「太陽と栄華と無税」を謳歌しながらも「規則遵守」が求められ、生活のペースの「凄まじい変化」に対応しなければなりません。

ほとんどのイギリス人にとって、ドバイのイメージは「無税と贅沢と石油」です。とりわけ新型コロナの発生以来、多くのイギリス人セレブリティが機会を見つけては休暇に訪れ、そんなイメージを伝えてきました。彼らがインスタに投稿する写真は、明るい日差しをエンジョイしている写真ばかりで、背後には豪華絢爛な建物や調度が写り込んでいます。でも、居心地の悪さがあるのも否めません。ドバイのイギリス人が植民地時代のようなふるまいをする傍らで、ドバイに住む他の民族の人たちは、はるかに困難な生活を送っているからです。人権侵害にまつわる懸念も払拭できませんし、飲酒、不倫、同性愛に関する厳しい規則もあります。

このイメージは、ジェトロが最近の報告書で説明した結論とは対照的です。いわく、日本企業は再生可能エネルギーや脱炭素に関係する事業開発の場所として中東に魅了されていて、アラブ首長国連邦はサウジアラビアに次いで注目されているとのことでした。

アラブ首長国連邦が中東で最も日系企業の多い国であることは、私も以前から認識していました。数年前に2回訪問して現地の日系銀行で異文化研修を開催しましたし、移民の構成比率が世界で最も高いこの国の文化的な複雑さを理解するために時間を費やしてきました。

この知識が、最近も役に立ちました。ある日本のエネルギー会社から、アラブ首長国連邦でダイバーシティとインクルージョンの研修をサポートしてほしいと依頼されたのです。この研修は、インクルージョンを拡大するための幅広い取り組みの一環と位置付けられていました。年齢や性別や人種にかかわらず、すべての社員の意見に耳を傾けることで、特に脱炭素に関するイノベーションを奨励しようとする取り組みです。

ドバイでは現在、万博が開催されていますが、そのテーマもESG(環境・社会・ガバナンス)を強調しています。「Programme for People and Planet」と称して「新しいアイデアとイノベーションをオープンに交換する」ための活動を展開していて、「人類の進歩の中心に平等、敬意、尊厳を据える」と説明しています。

外国直接投資を誘致する意図もあって、アラブ首長国連邦の指導者らは、すでに万博の準備期間中から、多様性に対して寛容な法律の枠組みが必要になると認識していました。今では、特に特別経済区でのハラスメントと差別を禁じる新法が制定されているほか、飲酒法や個人生活にかかわるイスラム法が緩和されています。

ですから、日本企業がアラブ首長国連邦に対して再びポジティブな感情を抱く理由は理解できます。事業開発の観点だけでなく、会社が変化・進化するうえで必要な多様性を許容する法律の枠組みになりつつあるという点で、この国に魅力を感じているのでしょう。

帝国ニューズ・2022年2月9日・パニラ・ラドリン著

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
イギリスの飲食業界の未来

イングランドでソーシャル・ディスタンスの制限がほぼすべて解除されたのを受けて、都市に生じた変化が見え始めました。これらの変化が恒久的なものかどうかを考えてみましょう。

一部のトレンドは、昨年3月よりも前から明らかに観察されていました。例えば、大型チェーン店の多くは、過去何年にもわたって業績不振でしたが、今や閉店に追い込まれました。新たに小規模な店が開店していて、主に家庭用品やテイクアウト・フードを販売しています。

レストランやパブも営業を再開しましたが、多くが週に数日のみの営業です。人手不足が生じていて、スタッフを雇えないからです。コロナで仕事に戻ってきていない従業員がいるうえ、一部のレストランではEU諸国からの出身者がスタッフの半分ぐらいを占めていて、その人たちが本国に戻ってしまったためです。イギリス人の若者たちは、低賃金・長時間労働には興味がなく、飲食業界ではキャリアの展望が描けないと考えています。

もちろん、また外に出て飲食できることを人々は喜んでいますが、混雑した屋内の空間には不安も感じています。多くの都市がロックダウンの期間を利用して、「車通りの少ない地区」を設置することにしました。これまでは車が通行していた路上に植物のプランターや手すりを設置して道幅を狭め、カフェやバーが舗道にテーブルといすを置けるようにしたのです。

この方策は、必ずしも全員に歓迎されているわけではありません。路上駐車のスペースが減って、近くに車を停められなくなったため、かえって商売に響くという懸念があります。また、消防車や救急車が通れなくなって、緊急時に遠回りを余儀なくされるということも起きています。イギリスのお天気は屋外での食事には向いていませんが、イギリス人は意志が固いと見え、雨が降っても風が吹いても、温かい洋服を着込んでカフェが設置した傘やテントの下で飲食しています。

カフェ文化が出現して、イギリス各地の都市が大陸ヨーロッパの都市のような様相を呈しつつあります。不動産開発をしている人の話によると、このトレンドはコロナ前からあったそうです。この人は以前はナイトクラブのオーナーでしたが、ナイトクラブは衰退産業だと感じたそうです。スーパーで安価なアルコール飲料が売られていて、若者たちは自宅で「前飲み」してから外出するため、ナイトクラブの高いドリンクにあまりお金を費やしません。友達と集まるのなら、入場料金のないパブやカフェを好み、友達サークル以外の出会いを求めるのであれば、ナイトクラブよりも恋愛サイトに向かいます。

私の住んでいる市では、市議会が10年前に「夜間経済地区」と称して、あるひとつの通りにナイトクラブを集めようとしました。警察のパトロールがしやすくなるうえ、騒音を一地区に押さえ込めるという発想です。  私の家は、その通りからそう遠くありません。7年前にここに引っ越してきた時には、許可時間を過ぎてもあちこちから大音量の音楽が聞こえてくるという問題がありましたが、今ではそのナイトクラブのうち1軒がビーガンのレストランとなり、もう1軒はアパートへの改修工事中です。さらにもう1軒はサービス付きオフィスビルになっていて、1階にカフェが入っています。

この記事は帝国ニュースの2021年9月8日号に掲載されました)

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
グローバル・ブランドの管理に長けたフランス

日本ペイントホールディングスが最近、フランスの塗料メーカー、Cromologyを買収したというニュースを見て、理解するのに少し時間がかかりました。この買収は、オーストラリアにある連結子会社のDuluxGroupが新しくイギリスに設立したDGL International UKを通じて行われていました。イギリス人にとってはDuluxは親しみのあるブランドで、1960年代からオールド・イングリッシュ・シープドッグを使ったマーケティングで知られています。CMやペンキの缶でお馴染みのこの犬種がDulux犬と呼ばれているほどです。

調べてみたところ、オーストラリアでも広告にDulux犬が使われていましたが、今ではイギリスのDuluxとオーストラリアのDuluxはまったく異なる親会社の傘下に収まっています。Duluxブランドのペンキは、1930年代に初めてイギリス市場で販売されました。イギリス企業のICIが開発した塗料で、ブランド名は「Durable」(長持ちする)と「Luxury」(贅沢)を組み合わせた造語でした。1986年までには、ICIの豪州法人がDuluxの豪州法人を100%所有していましたが、1997年、親会社のICIがこの豪州事業を売却しました。

そして2008年には、イギリスのICIがオランダのAkzoNobelに買収されました。一方、オーストラリアのDuluxGroupは、2010年に独立企業としてオーストラリア証券取引所に上場し、以来、オーストラリア、イギリス、フランスの様々な塗料ブランドを買収してきました。そして

Cromologyは、欧州で4位の建設用塗料のメーカーで、20種類のブランドを有し、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスで製品を販売しています。明らかに日本ペイントは、Duluxをはじめ様々なブランドを中欧・東欧にも拡大する手段としてこの買収を位置付けています。

最近までフランスは、日本企業がヨーロッパに進出する際の拠点として、イギリスやドイツのように大きな存在ではありませんでした。しかし、今回の日本ペイントの動きを見て、これが変化しつつあるのかどうかを考えさせられました。日本企業がフランス拠点の多国籍企業を買収した事例としては、豊田通商による

CFAOは、日本の商社に似たような業態で、170年近い歴史を有しています。アフリカ39か国、特にフランス語圏の国に大きく事業展開しているほか、ベトナムなどかつてのフランス植民地にも進出しています。全世界の従業員数は2万1,000人以上で、トヨタ車の販売のほか、醸造酒、医薬品、小売り、自動車整備サービスなどの事業を有しています。

フランスはこれまで長年にわたり、有名ブランドをグローバルに管理してきた経験があります。しかし、以前にもこの連載で言及したとおり、多国籍企業はしばしば、事業コストが高く、労使関係に問題があるうえ、複雑な官僚主義のある国への投資には消極的です。フランスのマクロン大統領は、労働法を改革し、退職年齢を引き上げ、年金制度の経済負担を軽減しようとしてきましたが、コロナ禍でこれらの動きが停滞しています。来年4月の大統領選で再選を果たすために人気を維持しておかなければならないという事情も働いています。フランスが模様替えのムードになるのかどうかは、来年後半まで見えてこないかもしれません。

(この記事は帝国ニュースの2021年12月8日号に掲載されました)

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
イギリスのEU離脱から6か月、日本企業への影響

(この記事は帝国ニュースの2021年7月14日号に掲載されました)

イギリスがEUから離脱し、その移行期間が終了して6か月になります。私自身のリサーチと経産省および三菱UFJリサーチ&コンサルティングが最近実施した調査によると、イギリスの日系企業は多くの人が予想したほどの深刻な影響は感じていません。

その一因は、日系企業が2016年の住民投票以来5年以上かけて、入念な準備で最悪の事態に備えてきたためです。経産省の調査では、大手企業(売上高100億円以上、在英日系企業の約60%)は、イギリスの事業拡大に関して中小企業よりもポジティブな見方を持っています。在庫や原材料を蓄え、物流施設や倉庫を大陸に設置し、通関手続きの増加に伴うコストを吸収するためのリソースとネットワークを持っています。今でもイギリスが重要な市場であり、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)全域の地域コーディネーション拠点として便利な場所だと見なしています。

ただし、大手企業の間でも見方にばらつきは見られます。経産省の調査では、日本の自動車メーカーがイギリス市場の先行きを厳しいと見ていたのに対し、化学、製薬、食品、電機メーカーはより肯定的に見ていました。この見方の違いは、従業員数の推移に如実に表れています。日産は2020年末時点の従業員数が前年比11%減でした。ホンダはイギリス工場を7月に閉鎖する計画で、2020年末時点の従業員数は前年比14%減です。イギリスの従業員数が2桁減になった他の企業には、野村証券、三菱電機、コニカミノルタがあります。

ただし、従業員数を正確に把握するのは以前に比べて困難になっています。イギリスのEU離脱の影響のひとつとして、ソニーやパナソニックのような大手がヨーロッパ法人をオランダやドイツに移転したためです。イギリス拠点は法人化された子会社ではなく支店という扱いになったため、従業員数などの詳細をイギリスの政府機関に申告する必要がなくなりました。

みずほや三菱UFJなど金融サービス会社の多くは以前から日本の本社またはヨーロッパ子会社の支店でしたが、ほかにも数社がこのモデルに移行し、また大陸に子会社を開設することで、今後もEUで金融サービスを提供していくための事業許可を確保しています。EUは、金融サービス会社にさらに圧力をかけて、意思決定機能と顧客対応の担当者をEUに移すよう働きかける可能性を示唆しています。

イギリスは今まで以上にサービス産業の経済になりつつあり、これは雇用を拡大させている日系企業にも表れています。NTTはグローバル本社をロンドンに移しましたし、アウトソーシングはヨーロッパ全域で人材会社の買収を続けています。

経産省の調査では、今後もイギリスの事業を拡大する理由として、英語が使えること、他の多国籍企業があること、そして司法制度の透明性が高いことが挙げられました。地域内の人と事業のネットワークはますます分散しつつありますが、イギリスは今後もそのコーディネーション拠点であり続けると思われます。

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
ハイブリッドのリモート勤務のアプローチ

イギリス政府は2021年7月半ば以降、一般企業が社員にオフィス勤務を奨励するのを認めました。ただし、今後フレックス勤務を常態とすべきかどうかについては、政府内でも対立する見方があります。通勤が恒常的に減少すれば、通勤者から収入を計上している産業に影響すると案じる見方があります。鉄道、サンドイッチ店、オフィスビルの保有会社など、様々な商業活動が含まれます。

イギリスでは2003年以降、社員がフレックス勤務をリクエストできるようになっていました。私も10年前に週2、3日の自宅勤務をしました。私のチームは世界各地に点在していて、メンバーのほとんどは他の国にいました。チーム・ミーティングは電話会議でしたので、1時間半の通勤で朝8時に出社するより自宅からしたほうが好都合でした。それでも最低週2日、場合によっては3日は出社するのが重要だと感じました。同僚とコミュニケーションする必要がありました。オフィスの人間関係にまつわる雑談をするためと、アイデアや見方を交換してクリエイティブになるための両方です。

Institute of Directorsが実施した調査では、イギリスのビジネスリーダーの63%がハイブリッドな勤務形態への移行を計画していました。週1~4日は社員に在宅勤務をしてもらう形態です。

言うまでもなくイギリス企業は、リモート勤務が心身の健康、データ・セキュリティ、生産性などに及ぼす影響を懸念しています。日本では、生産性がより大きな懸念になっているようです。レノボ・ジャパンの調査では、日本企業の40%が在宅勤務によって生産性が下がると考えていました。欧州企業では、わずか11~15%です。

これはおそらく、日本では社員が机を並べてコラボレーションする働き方が浸透しているためと思われます。上司や同僚に即座に相談して、助けてもらったり意見交換したりすることができます。

ヨーロッパのチームでも、クリエイティブな業務が多い場合は、同じ場所にいる必要があります。リモート勤務が必要になるのであれば、事前にチーム・ビルディングをして信頼関係を作っておくといった投資が必要です。チームメンバーが円滑にコミュニケーションできるようになるためです。

Boston Consulting Groupでは、このタイプの「クリエイティブ・コラボレーター」は勤務時間の50~60%をオフィスで過ごすべきだと推奨しています。一方、あまり中断されずに集中する必要のある業務、例えば会計・経理などの社員は、50~80%の時間を在宅勤務にすることができるとしています。また、明確に定義されたプロセスやパターンに従って業務を遂行し、あまりサポートを必要としない社員の場合は、ほぼ完全に在宅勤務とすることができます。もちろん、物理的に出社しなければできないタイプの仕事もあります。工場の仕事や顧客と物理的に接する仕事で、これらはリモートにすることはできません。

日本企業がこのようなカテゴリーに従ってハイブリッドなフレックス勤務のアプローチを認めるのであれば、ジョブ型の体制を整える必要があるでしょう。この新しい働き方では、仕事の内容にかかわらず、すべての社員に同じ条件で働くよう求めることはできなくなるでしょう。

帝国ニューズ・2021年6月9日・パニラ・ラドリン著

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
ワクチン事情から見て取られる国の性格

(パニラ・ラドリン著 帝国ニュース 2021年5月12日)

ヨーロッパでワクチン接種が進められていますが、これが各国のリスク対応について多くを物語っています。

イギリスではこれまでに、人口の半分以上が少なくとも1回目の接種を済ませました。他の欧州諸国と比べてはるかに速いペースです。ドイツ、フランス、オランダは4月初め時点で人口の20%に達していませんでした。

ただし、EU加盟国は今後数週間で急速に追い上げるでしょう。接種1回のワクチンを含め、供給増が見込まれているためです。私も1回目を受けてきましたが、それを喜ぶ一方で、このウイルスがイギリスで12万7,000人以上の死者を出したと思うと考えさせられます。イギリスの死亡率は世界でも最高レベルです。初期段階でリスクを軽く受け止めすぎたのかもしれません。

イギリスはEUのワクチン調達制度に参加することもできましたが、不参加を選びました。代わりにベンチャー投資家を指名して、様々なワクチン候補に多額の投資をする権限を与えました。バイオの専門知識があり、バイテク投資で腕を鳴らしてきた女性です。

驚きではありませんが、25か国から成るEUのワクチン調達制度は、決定までに長い時間がかかりました。ただし、最終的には欧州医薬品庁が4種類のワクチンを承認し、西側で最多の承認数となりました。

ドイツは、ワクチンの大々的な導入に慎重でした。1回目の接種を開始する前に、定められた期間内に2回目用の製品が入手できることを確認しようとしたのです。イギリスは、それほど慎重ではなく、おかげで今、供給が不足しつつあります。私は6月に2回目を受けたいと思っていますが、18歳以下の多くが夏までにワクチンを接種できるかどうかは不透明です。

イギリスがEUのワクチン調達制度に参加していたならばEUの動きが迅速化したかどうかを憶測する向きもあります。イギリス人は、あまり計画や準備をせずに見知らぬ領域に踏み込んで、その後ズルズルと進んでいく傾向にあります。問題が起こるごとにプラグマティズムで物事を直していくのです。

ドイツ人のビジネスパートナーにこの話をしたところ、彼女いわく、ドイツ人は技術的に優れたソリューションを考案するのが好きで、プロジェクトに着手するよりも前に、リスクにどう対処するかを心配してそれに時間をかけるとのことでした。残念ながら、技術的に優れたソリューションが実際にうまく行くという保証はありません。このことは、ワクチンに対するドイツのアプローチに表れていました。中央一元管理のハイテクなワクチン接種センターを建設しましたが、おかげで立ち上がりに時間がかかり、大量のワクチンが未使用のまま備蓄される結果となりました。

イギリスも、同様の問題を起こしてきました。数十億ドルという資金を投じて「世界最先端」のウイルス検査と接触追跡のアプリ、それに一元管理のシステムを開発しましたが、いまだにあまり効果を示していません。ドイツもイギリスも、中央で管理しないローテクな方法を選んだほうが良かったかもしれません。リスクに対する姿勢もさることながら、最終的にはすべての国が、既存の技術インフラとプロセスから制約を受けています。この点では、パンデミックの間にトランスフォーメーションを試みた民間企業が遭遇した状況に通じるものがあります。

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More
日本企業による海外買収は恐るるに足らず

ロンドン証券取引所の子会社、Refinitivによると、過去2か月間に海外の企業に買収されたイギリス企業が史上最多になりました。買収されているのは主に、評価額が実価を下回っているサービス企業で、保険、カジノ、セキュリティなどの業界企業です。これらの買収は、好ましい投資というよりは、侵略や襲撃であるかのように説明されています。買い手の多くがプライベート・エクイティ会社で、SPAC(特別買収目的会社)でもあるためです。

SPACは、もともと米国で始まりました。投資家のグループが会社を設立して、株式市場で資金を調達し、その資金を元手に別の事業会社を買収します。その目的は、最終的にその事業会社を売却して利益を挙げることです。シティ・オブ・ロンドンでは現在、こうした企業をもっと引き付けるべきかどうかが議論されています。

これは単に新たな形式の資産収奪に終わる可能性があります。日本でハゲタカファンドと呼ばれるものに似ています。

日本企業も、再びイギリスやヨーロッパの企業を買収し始めています。パンデミックでデューデリジェンスが難しくなり、約1年間は買収が滞っていましたが、このところ動きが見られます。ルネサスエレクトロニクスは、イギリスとドイツを拠点とするチップ設計会社のDialogを買収しようとしています。西本Wismettacホールディングスは、冷凍水産品や麺類を輸入するスコットランドのSco-Froの買収を発表しました。リコーは、ヨーロッパでの買収資金を含む5年計画を発表しました。

言うまでもなく、これらの買収は、プライベート・エクイティやSPACによる買収とは非常に異なる性質の買収です。私のリサーチによると、過去5年以内に日本企業に買収されたイギリス企業では、社員数が平均して10~25%増加しています。日本企業は、海外で成長して収益を挙げていくための買収を追求しようとします。また、新規の設備投資や、追加買収をはじめとする他の形式の事業拡大をする意欲もあります。

最近発表されたイギリスの予算には、資本投資のためのさらなるインセンティブが盛り込まれました。2年間にわたる税制優遇で、投資の130%を課税所得から控除することができます。これは、法人税が現在の19%から2023年に25%に引き上げられる影響を緩和することを目的としています。ただし、これが2023年に予想される選挙と同じタイミングであることを皮肉る声もあります。経済が十分に回復すれば、また将来減税が発表されるだろうという見方です。

いずれにしても、日本企業にとっては、法人税率の低さが魅力というわけではありません。特にタックスヘイブン対策税制の改正後、これは理由にならなくなっています。日本企業は、成長を目指して長期的に投資していくつもりであって、リストラして短期に利益を挙げる意図ではないことをきちんとコミュニケーションするかぎり、イギリスでもヨーロッパでも歓迎される投資家になるはずです。

帝国ニューズ・2021年4月14日・パニラ・ラドリン著

Rudlin Consultingとジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングは、M&A後の企業文化統合について、多くの日本およびヨーロッパの企業と協力してきました。詳細については、Pernille Rudlinにお問い合わせください。

For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。

Read More

最近の投稿

  • 日本企業の対エジプト投資について
  • ウクライナ ― デジタル情報戦では優位
  • 100年前の日英関係
  • アラブ首長国連邦 ― 多様性と脱炭素
  • イギリスの飲食業界の未来

カテゴリー

  • EU離脱
  • M&A
  • アフリカ
  • イノベーション
  • ガバナンス
  • デジタル・トランスフォーメーション
  • マーケティング
  • マネジメントとリーダーシップ
  • レポート
  • 中東
  • 人事
  • 在欧日系企業
  • 多様性
  • 日本人顧客
  • 異文化コミュニケーション
  • 社内コミュニケーション
  • 脱炭素
  • 英EU離脱
  • 貿易

RSS Rudlin Consulting

  • Top 30 Japanese companies in the UK – what’s changed over five years
  • Japanese with foreign MBAs are beginning to change corporate Japan
  • Which companies pay women the best in Japan?
  • “Job type system” not the cure-all for Japanese employee engagement
  • Has the time come for Japan’s Nadeshiko Brand to include overseas female employees?
  • Hitachi expands “job type” system to cover all employees, domestic + overseas
  • Mitsubishi Corporation – dealing with the Black Ship of digital transformation
  • Who’s getting the biggest pay rises in Japanese companies in Europe?
  • Top issues for Japanese companies in Europe, Middle East and Africa for 2022/3
  • Some thoughts for Japanese companies investing in Egypt

Search

Affiliates

Japan Intercultural Consulting

Cross cultural awareness training, coaching and consulting. 異文化研修、エグゼクティブ・コーチング と人事コンサルティング。

Subscribe to our mailing list

* indicates required
Email Format

To receive the newsletter, please tick "Email" below. Rudlin Consulting Ltd will also use the information you provide on this form to be in touch with you and to provide updates and marketing by email.

You can change your mind at any time by clicking the unsubscribe link in the footer of any email you receive from us, or by contacting us at pernille.at.rudlinconsulting.dot.com. We will treat your information with respect. For more information about our privacy practices please visit our website. By clicking below, you agree that we may process your information in accordance with these terms.

We use MailChimp as our marketing platform. By clicking below to subscribe, you acknowledge that your information will be transferred to MailChimp for processing. Learn more about MailChimp's privacy practices here.

Recent Blogposts

  • 日本企業の対エジプト投資について
  • ウクライナ ― デジタル情報戦では優位
  • 100年前の日英関係
  • アラブ首長国連邦 ― 多様性と脱炭素
  • イギリスの飲食業界の未来

Rudlin Consulting on Twitter

  • RT @AlinejadMasih: Her name is Elahe Tavakolian, a woman protesting who took to the street during the revolution of #WomanLifeFreedom. Iran… about 7 hours ago from Twitter for Android ReplyRetweetFavorite
  • OK so that's 2 things but anyway @DAaronovitch https://t.co/T3rjhUvln7 03:42:28 PM 3月 22, 2023 from Twitter Web App ReplyRetweetFavorite
  • @ItalianComments 😱 https://t.co/JAGlGeJh8h 10:25:05 PM 3月 20, 2023 from Twitter for Android in reply to ItalianComments ReplyRetweetFavorite
  • @Sime0nStylites Yup. Not regretting my cancellation of my Times subscription one bit. Less time wasted on positivit… https://t.co/b5Wjt3xIdP 01:21:30 PM 3月 20, 2023 from Twitter for Android in reply to Sime0nStylites ReplyRetweetFavorite
@pernilleru

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org

投稿ナビゲーション

1 2 … 16 »
Privacy Policy

Privacy Policy

Web Development: counsell.com