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イギリスがEUから離脱すれば悪影響が及ぶと考えているイギリス企業は全体の3分の2に上っていますが、残留支持を表明してもよいとするイギリス企業は7%しかありません。もちろん、現在のギリシャ情勢がEUについてのポジティブな見解を言いにくくしているのは確かですが、それは別にしても、イギリス人はネガティブなことを言うのが好きな国民であるように私には思えます。特に何かに対してコミットメントする際、デメリットが多いと感じると、その性質が表れます。
ネガティブな姿勢を取っておけば、最近私が話したイギリス人の経済学教授のように、うまく行かなかった時に斜に構えて「ほらね」と言えるのです。この教授は、2008年のリーマンショックを予想しただけでなく、イギリスのユーロ導入にも反対した人物でした。けれども、この知恵は、イギリス人が何かに介入することにした時にどうなるかは考えていません。もしかするとユーロ圏は、イギリスが参加していれば今よりも強固で、ギリシャ情勢に対しても、問題の指摘だけでなく解決策の模索という点でもバランスの取れたアプローチができていたかもしれません。
私自身、ヨーロッパのチームと働いていると、イギリスのプラグマティズムがフランスの説得力やドイツの厳密な方法論に対して良いバランスを発揮することに気付きました。しかし、日本人とアメリカ人のマネージャーは、問題の可能性を最初にすべて指摘して解決策を提案しないイギリス人に対して、大きな苛立ちを覚えます。
アメリカ人は、「とにかくやってみよう」という姿勢で、過去には興味がありません。けれどもイギリス人は、過ちを繰り返さないために過去を振り返ろうとします。アメリカの経営スタイルに慣れている日本人マネージャーから最近、「イギリス人の社員にやる気を起こさせるにはどうすればよいのか」と尋ねられました。「アメリカでは、私が言ったことを皆がやってくれた。成果に対してボーナスを約束できたし、やらなければクビだと脅すこともできた。でもイギリスの社員は、お金であまり意欲を高めるようではないし、アメリカほど解雇が容易でないことも知っている」。
もちろんイギリスにも、特に金融業界には、お金で意欲を高めるタイプの社員がいます。とはいえ、ほとんどのイギリス人の社員にとって、意欲とは自己実現から来るもの、自分の経験と専門知識を活かして社会に貢献することで感じられるものです。それゆえにイギリス人は、できないと思うとトライすらしません。失敗すれば失望と屈辱が待っていることを知っているからです。
前出の日本人マネージャーと話しているうちに、「人事を尽くして天命を待つ」という考え方に話題が及びました。日本人にも宿命観のようなものはあるけれども、なおもできるかぎりのことをする姿勢は持っています。この話をイギリス人のエグゼクティブに話したところ、身に覚えありという笑みを浮かべて自分の体験を話してくれました。いわく、彼女は日本人の上司に対して、あるプロジェクトが実行不可能だと訴えたことがありました。でも、その上司は最終的に彼女を説得し(彼女の経験と専門知識に訴えかけたのでしょう)、彼女がプロジェクトを進めてみたところ、驚いたことに成功を収めたのでした。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2015年8月12日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
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