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社内コミュニケーション

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Category: 社内コミュニケーション

ハイブリッドのリモート勤務のアプローチ

イギリス政府は2021年7月半ば以降、一般企業が社員にオフィス勤務を奨励するのを認めました。ただし、今後フレックス勤務を常態とすべきかどうかについては、政府内でも対立する見方があります。通勤が恒常的に減少すれば、通勤者から収入を計上している産業に影響すると案じる見方があります。鉄道、サンドイッチ店、オフィスビルの保有会社など、様々な商業活動が含まれます。

イギリスでは2003年以降、社員がフレックス勤務をリクエストできるようになっていました。私も10年前に週2、3日の自宅勤務をしました。私のチームは世界各地に点在していて、メンバーのほとんどは他の国にいました。チーム・ミーティングは電話会議でしたので、1時間半の通勤で朝8時に出社するより自宅からしたほうが好都合でした。それでも最低週2日、場合によっては3日は出社するのが重要だと感じました。同僚とコミュニケーションする必要がありました。オフィスの人間関係にまつわる雑談をするためと、アイデアや見方を交換してクリエイティブになるための両方です。

Institute of Directorsが実施した調査では、イギリスのビジネスリーダーの63%がハイブリッドな勤務形態への移行を計画していました。週1~4日は社員に在宅勤務をしてもらう形態です。

言うまでもなくイギリス企業は、リモート勤務が心身の健康、データ・セキュリティ、生産性などに及ぼす影響を懸念しています。日本では、生産性がより大きな懸念になっているようです。レノボ・ジャパンの調査では、日本企業の40%が在宅勤務によって生産性が下がると考えていました。欧州企業では、わずか11~15%です。

これはおそらく、日本では社員が机を並べてコラボレーションする働き方が浸透しているためと思われます。上司や同僚に即座に相談して、助けてもらったり意見交換したりすることができます。

ヨーロッパのチームでも、クリエイティブな業務が多い場合は、同じ場所にいる必要があります。リモート勤務が必要になるのであれば、事前にチーム・ビルディングをして信頼関係を作っておくといった投資が必要です。チームメンバーが円滑にコミュニケーションできるようになるためです。

Boston Consulting Groupでは、このタイプの「クリエイティブ・コラボレーター」は勤務時間の50~60%をオフィスで過ごすべきだと推奨しています。一方、あまり中断されずに集中する必要のある業務、例えば会計・経理などの社員は、50~80%の時間を在宅勤務にすることができるとしています。また、明確に定義されたプロセスやパターンに従って業務を遂行し、あまりサポートを必要としない社員の場合は、ほぼ完全に在宅勤務とすることができます。もちろん、物理的に出社しなければできないタイプの仕事もあります。工場の仕事や顧客と物理的に接する仕事で、これらはリモートにすることはできません。

日本企業がこのようなカテゴリーに従ってハイブリッドなフレックス勤務のアプローチを認めるのであれば、ジョブ型の体制を整える必要があるでしょう。この新しい働き方では、仕事の内容にかかわらず、すべての社員に同じ条件で働くよう求めることはできなくなるでしょう。

帝国ニューズ・2021年6月9日・パニラ・ラドリン著

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仕事を自宅に持ち込むために

通常であれば、イギリスの会社は、9月に新卒の新入社員を迎えるところです。しかし今年は、新型コロナウイルス感染症のため、大企業の多くが新卒採用やインターンシップを見合わせました。Institute of Student Employersがイギリス企業を対象に今年3月に実施した調査では、回答企業の4分の1以上が新卒採用を減らすと答えました。

とはいえ、今も採用活動を行っている会社や、新入社員を迎えるための計画を立てている会社はあります。新入社員の多くは、在宅勤務を強いられるでしょう。このため、新入社員にチームの一員になったのだと感じてもらうための方法を、クリエイティブに発想しなければなりません。

イギリスの法律事務所に入社したある社員は、ノートパソコンと在宅勤務に必要な機器だけでなく、会社のロゴ入りウォーターボトルやバックパックが入ったウェルカム・パッケージが会社から送られてきて嬉しかったと語っています。ビデオ会議中に他の社員が同じボトルから水を飲んでいたり、バックパックからファイルを取り出したりしたのを見て、チームへの帰属意識を感じたそうです。また、別の会社は、会社のロゴ入りマスク、家庭用お菓子作りキット、それに鉢植えの植物を、新入社員に送りました。

新入社員研修の内容にも、工夫が凝らされています。オフィスの様子をビデオで紹介したり、ランチの金券を送って、ビデオ会議で上司とインフォーマルに食事をしながら話す機会を作ったりしています。

これは、世界各地の日系企業にとっても、良い機会になり得ます。現地採用で入社した社員に、これからはこの会社の一員なのだと感じてもらうチャンスです。日本の本社の様子や日本文化の様々な側面を、ビデオで案内できるかもしれません。

同僚とのランチには、お弁当のデリバリーに使える金券を配布することができます。あるいは、バーチャル・カラオケ大会をグローバルに開催するというアイデアもあります。タイムゾーンが異なるので、早朝参加の人もいれば、晩酌後に参加する人もいて、少しおかしな体験になるかもしれませんが。

これは、日本のメーカーにとって商機でもあります。これまでに私が仕事上で受け取ったなかで、デザインや品質が最も良かったペンや日記帳やノートは、すべて日本企業のものでした。日本製のマスコットやぬいぐるみは、世界中で愛されています。ですから、親しみやすい会社のマスコットを作って、社員が机上に飾れるようにすると良いかもしれません。さらには、シャツ、Tシャツ、ネクタイ、スカーフなどのユニフォーム風のアイテムを歓迎する社員もいます。在宅勤務をしている間も仕事と私生活の線引きをハッキリさせるという点で、実用的なグッズになり得ます。

また、コンピュータ上で使えるバーチャルなデザインも名案です。スクリーンセーバーや壁紙だけでなく、ビデオ会議の際のバックグラウンドなどが挙げられます。ただし、バックグラウンドを合成ではめ込むにはグリーンバックが必要です。さもなければ、髪の毛が会社のロゴと一体化してしまうでしょう。グリーンバックをウェルカム・パッケージに入れるというのは、新入社員を歓迎する方法としては、やや込み入りすぎているかもしれません。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年39月9日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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在宅勤務のジェネレーション・ギャップ

イギリス政府は、2020年8月1日以降のオフィス業務再開を許可しましたが、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは、2021年まで在宅勤務を継続すると5万人の社員に通達しました。同行のシティ・オブ・ロンドンのオフィスに週1回通勤している友人によると、今も気味が悪いほど人気がなく、必須の社員だけが来ています。エレベーターは1人しか乗れず、トイレの個室は半分が閉鎖されているそうです。多くの企業が長期の変更を導入していることから、ロンドンの高層オフィスビルには終焉が来るだろうと、イギリスのある建築家は予測しています。比較的小さな企業は、シティのオフィスを廃止しました。また、他の会社にオフィスを又貸している企業もあります。

似たようなトレンドは、日本でも見られます。みずほや富士通など、銀行とIT業界の企業が、デジタル・トランスフォーメーションを加速しようとしています。

私は10年前にイギリスの富士通の社員でしたが、かなり頻繁に自宅で仕事をしていました。部署のメンバーが世界各地に散らばっていたため、ほとんどの会議が電話会議でした。ヨーロッパでは、在宅勤務はすでに働き方として定着しています。共働きで子供がいる人にとっては、ほかに現実的な方法が見つからないこともしばしばあります。

ロンドン中心部に住むのは高すぎるため、子持ちで職場がロンドンという人のほとんどは、日本さながら、混み合う電車で長距離通勤しています。この人たちは、新型コロナウイルスのワクチンが広く流通するまで、満員電車に乗るつもりはありません。

とはいえ、ヨーロッパでは、在宅勤務の受け止め方にジェネレーション・ギャップがあるため、企業はこれに対応しなければならないでしょう。若い独身世代は、「デジタル・ネイティブ」であるにもかかわらず、在宅勤務に大きなストレスを感じています。その一因は、孤独感です。若い独身者にとって、職場は社交の場としても重要です。また、信頼の問題もあります。年配の社員は、同僚との人間関係を確立していて、自分の能力にも自信があります。一方、若い社員は、自信がなく、同僚に自分の能力を証明するという点においても十分な歳月を経ていません。

さらには、在宅勤務の物理的な環境もあります。年配の社員は、比較的広い家に住んでいますが、ロンドンに住む若い人たちは、ルームメイトと家やアパートをシェアしています。プライベートな空間は狭いベッドルームで、共有空間はキッチンだけかもしれません。

これはもちろん、日本の都市生活者にも当てはまることです。1DKのアパートに住んでいれば、デスクを置く場所はなく、ドアを閉めて雑音や邪魔をシャットアウトすることもできないかもしれません。

でも、日本とヨーロッパには、ひとつ相違点があります。日本では、中年の人たちも在宅勤務にストレスを感じているという点です。特に管理職者は、仕事の成果物ではなく努力の量に基づいて部下を評価するのに慣れているうえ、報・連・相と以心伝心でコミュニケーションしてきました。このようなアプローチは、リモートな勤務形態には向きません。デジタル・トランスフォーメーションにおいては、情報通信技術の管理もさることながら、人の管理もカギを握っています。

 

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アメリカ英語とイギリス英語の言語の壁

先日、日本へ出張してきました。イギリス企業の日本の子会社でトレーニングを提供して、イギリスの本社と効果的に働く方法を指導するためでした。日本の社員が指摘する問題点を聞きながら、イギリスの社員から聞いてきた話とすり合わせているうちに、誤解の多くが言葉の壁によって引き起こされていることをあらためて実感しました。

ただし、日本語と英語という明らかに異なる言語の間にある壁ではありません。むしろアメリカ英語とイギリス英語の間の壁であって、言葉というよりは文化の違いから来ているものが多々ありました。

子会社で働いている日本人の社員は、学校でアメリカ英語を教わってきただけでなく、米国に住んだり米系の会社で働いたりした経験を有していました。イギリスの会社は、彼らの英語力と経験に引かれて採用していました。多国籍企業に馴染みやすいだろうと考えたのです。

しかし、多くの日本人社員が指摘したのは、イギリス人も日本人も、指示を出したりフィードバックを提供したりする際に曖昧で間接的だという点でした。特にフィードバックがネガティブな場合にそれが当てはまります。「イギリスの同僚が怒っているのかどうかが分かりません。メールが長い時は怒っているのだと考えることにしています」と、ある日本人社員は言いました。

イギリス人に対しては、理解しようとしてくれる、下手な英語を大目に見てくれる、目下の社員に対しても礼儀正しいといった称賛がありました。ドイツ人やアメリカ人は、あまりソフトでなく、体面を重視すると見られていました。また、アジアで働いたことのあるイギリス人は、ゆっくりと分かりやすく話してくれるけれども、そうでないイギリス人は、非常に言葉数が多くて、何を言おうとしているのかまったく明確でないとのことでした。

イギリスのマネジメントのスタイルが、得てして気さくな相談者のようなスタイルで、ぼんやりとした全般的な指示を出して部下の意見を聞くスタイルなのだということを説明しました。一方、米国のリーダーシップのスタイルは、スピード重視です。目標を設定し、報告を標準化して、個人個人に対してすべきことを指示します。

米系の多国籍企業に勤めた経験があり、アメリカ英語を流暢に話す日本人マネージャーは、イギリスから明確な回答が返って来ないため、同じ依頼をメールで何度も繰り返す必要があることに不満を募らせていました。「私の求めていることが分からないのでしょうか。それとも意図的に無視しているのでしょうか」。

この問題の解決法は、回答に期限を設け、緊急のコミュニケーションやネガティブなフィードバックのプロセスを確立して、リクエストが理解されたかどうか、対応中かどうかを明確にすることだという点で意見が一致しました。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年5月15日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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日本好きだけど日系企業だ働きたくない

センターピープルの2019年6月19日の人事セミナーで行ったパニラ・ラドリンの「日本好きだけど日系企業だ働きたくない」スピーチのスクリーンキャストです。

 


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信頼

私の仕事の目的を一文で言い表すならば、「文化を越えて信頼を築くこと」と言えるかもしれません。でも、こう言うと、信頼をどのように定義するのか、どうやって築くのかという疑問が自ずと浮上します。

これまでの経験を分析した結果、多国籍企業で信頼を築くには5つの要素が必要と言えそうです。それを順番に説明しましょう。

  1. コミュニケーション

共通の言語を持つことは非常に重要です。でも問題は、西洋人にとって日本語は最も難しい言語のひとつであり、また日本人も英語に対して同じような気持ちを抱いていることです。日本の企業は、外国人社員の日本語学習を支援し、また英語でのコミュニケーションを上達させるべきです。英語を公用語にしたり、最低レベルの英語を社員に求めるだけでは不十分です。経営陣がビジョンと戦略と計画を今よりももっと効果的に英語で伝えられなければなりません。

  1. 共通の関心

共通の関心を見つけ、関心の度合いに違いがあると理解することで、交渉に安定した基礎がもたらされます。このため私はいつも、日本人駐在員にヨーロッパの同僚やパートナーと世間話をするよう勧めています。共通の課題やニーズがあることが分かれば、共通の理解ができ、妥協や合意に至りやすくなるからです。

  1. プロセスと規則

信頼のレベルが低い場合は、法律や規則やプロセスが安全策として必要になります。しかし、日本企業もEUも、時として官僚主義やプロセスにとらわれすぎる嫌いがあります。信頼されるには、規則やプロセスに従っていることを示さなければなりませんが、究極的にはそれだけでは不十分です。どのように物事を進めるか、意図は何なのか、相手に対してどのようにふるまうかも、同じくらい重要です。

  1. 確実性

誰かを信頼するということは、その人が法律を守るだけでなく、言ったことを本当にやってくれると信じられることを意味します。日本企業にとって、これは定義が難しいかもしれません。ファミリーのようなスタイルの企業文化があり、全員の役割が曖昧で、職務上の責任が明文化されておらず、年功序列で動くためです。会社というファミリーのために、誰もが何であれ必要な行動を取るものとされています。家族の一員のためであれば、規則を曲げることもあります。しかし、この曖昧さは、多様な文化が混在する組織では通用しません。

  1. ビジョン

これゆえに、会社がどこへ向かっているのか、どのように見られたいのかに関する明確なビジョンが必要になります。このビジョンを社員に伝えて、チームの一員であるという帰属意識を社員に持ってもらう必要があります。そうすることで、この価値観が指針となって、ビジョンを達成するためにどのように行動すべきかが分かるようになるでしょう。与えられた規則やプロセスの枠内で様々な目標に達することだけがビジョンであって、社員が主体的に会社の価値観に参加していなければ、日本とヨーロッパの両方の企業で起きてきたようなスキャンダルが今後も続き、社会や文化を越えた信頼にとって悲劇的な結果を招くでしょう。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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データの視覚化 

ヨーロッパの人が日本の人に提案をする際、あるいはディスカッションをしようとする際は、アイデアを視覚的に示すといいと、私はよくアドバイスしています。これにはいくつかのメリットがあります。第一に、英語の文章量を減らせること。この結果、日本の人がそれほど奮闘しなくても、提案内容を理解できるようになります。第二に、図解があることにより、私情抜きで冷静なディスカッションができるようになることです。指し示して意見の不一致を認める「対象物」ができるため、誰かの抽象的な考えをめぐって論争する必要がなくなります。

第三に、そもそも日本人は漢字という視覚描写的な文字、つまりコミュニケーション方法に慣れていることです。欧米では文章で直線を示していくような形式のコミュニケーションが主流ですが、日本人は、複雑な概念を視覚的かつ全体的に提示されることに対して高い受容力を持っています。

このような理解があったため、私は、イギリスの調査会社で働いている若い日本人の女性社員が言ったことに相当な驚きを覚えました。イギリスの同僚は、彼女が日本で経験してきたよりもはるかに多くの図解を使って調査結果を示していると言ったのです。特にインフォグラフィックが多用されていて、時にはインフォグラフィックと聞き取り調査の録画をビデオ形式の報告書にまとめて顧客に送ることもあるとのことでした。

ビッグデータ時代の到来に伴って、データの視覚化は成長産業になっています。そこで日本企業は、この種のスキルを持った会社や人材を雇い入れるべきなのでしょうか。それとも、これは何らかのソフトウェアを入手すれば簡単に自動化できることなのでしょうか。

データを視覚化するための自動化ツールは存在していますが、重要なのは、なぜそのデータを視覚的に示したいのかをまず考えることです。通常、視覚化する目的は、洞察をもたらしてディスカッションを刺激することです。インフォグラフィック自体が答えを示してくれるわけではありません。ディスカッションは、人間がインフォグラフィックの様々な解釈を説明し、取るべき行動について意見を語ってこそ成立します。インフォグラフィックは、指し示して意見の不一致を認める「対象物」であると同時に、バックグラウンドや母語が異なる人たちがより平等に討論する機会をもたらします。技術的なカベとしての言葉の重みを軽減するためです。

前述の日本人女性が働いている市場調査会社は、イギリスで設立され、2014年に日本企業から買収されました。ただし、アジア各地にオフィスがあり、多言語を話すスタッフがヨーロッパ全域に出張しているほか、イギリスにあるコールセンターは30言語以上に対応しています。

グローバルなマーケティング・サービスの会社にとって、イギリスは明らかに有利な事業拠点です。英語コミュニケーションの中心地であるうえ、多国籍の労働力があるため、様々な文化でデータが適切に解釈されるかどうかを確認できる人材が見つかります。日本のマーケティング会社や広告会社が近年イギリスの会社を多数買収しているのも、このためです。イギリスのEU離脱によって域内の移民や移動の自由にあまりにも多くの障害ができてしまい、この優位性が失われないことを願うばかりです。

 

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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私の新年の抱負 ― 話すよりも尋ねる

クリスマスパーティーに行く前に少し時間があったのでロンドンのバーで時間をつぶしていたところ、隣のテーブルに座っていた年配のアメリカ人の男性が突然身を乗り出して話しかけてきました。「イギリスのEU離脱について聞いてもいいですか」。聞くとその方は金融業界を専門とする弁護士で、今は半ば引退して仕事は少なめにしているものの、これから出席する米英間の夕食会の準備としてイギリス人の考え方を知りたいと思っているとのことでした。

私はこのリクエストを快諾し、ただし交換条件として米国についての彼の見解を聞かせてもらうことにしました。その週の後半に日本の新聞からトランプ氏の選挙の影響について取材されることになっていたからです。こうして私たちはしばしの意見交換をし、今のように不透明で混乱しがちな世の中にあって、グローバルなビジネスピープルが対話を続けることが重要だという点で意見が一致しました。そして今後も連絡を取り合うことにして別れました。

この方は、私が聡明そうで分別がありそうに見えたから声をかけたと言ってくれました。そんなふうに見えたとしたら、原因の一部は、2016年に入って白髪を隠さないことにしたせいかもしれません(新しい写真のとおりです)。50歳になったことを否定するより誇りにしようと思ったのです。とはいえ、この方と話したことで、見た目や話し方に年齢なりの知恵が表れるのを待っているのではなく、他の人の見方や考え方を自分から求めるのが真の知恵なのだということを学びました。

選挙運動中の政治家はよく市民の声に「耳を傾ける」と言いますが、声の大きい人ほど「耳に届く」のは否めません。イギリスの国民投票と米国の選挙の際も、声高な人々が人種差別や性差別、あるいは妄想とも言えそうなことを様々に語っていました。その結果、多くの人が「他人」をシャットアウトして、同じ見方をする友達だけとソーシャルメディアでコミュニケーションしていました。

でも、「耳を傾ける」だけでは十分ではありません。普段は話さないような相手に自分からアプローチして、どう思うのか、なぜそう思うのかを尋ねる必要があります。これは私がセミナーで努力している点です。実際、参加者が自分の経験を共有したい、別の解決法もあると言ってくれたほうが、自分の知識を単に話すよりも私にとって格段に楽しいのです。

ヨーロッパ駐在の日本人マネージャーに私がよく説明するのは、ヨーロッパの人は常に「なぜ」を知りたがるため、理由を説明できるよう準備しておかなければならないということです。また、ヨーロッパの人は、意見を求められたい、相談されたいとも考えています。「イエス」か「ノー」かで答えられない質問をされたいのです。イギリスとイタリアが示したように、「イエス」か「ノー」かの投票は、物事を明確化するよりもむしろ混乱を招くことがあります。イエスかノーかで質問すれば、ストレートな拒絶を招き、なぜ拒絶したのか、代わりにどうであったなら許容したかを尋ねる余地がないためです。

そこで私の新年の抱負は、自分の意見は内に留めておいて、他の人の意見を求めること、なぜそう思うのかを尋ねることです。

パニラ・ラドリン著 帝国データバンクニューズより

ヨーロッパ人の「なぜ」に対してどう答えればいいか?パニラ・ラドリンの多国籍チームと円滑に働く方法のオンラインコースをお勧めします。

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日本とオランダのコンセンサス作りの違い

日本のビジネスで最もよく実践されているコンセプトのひとつである「根回し」は、しばしば日本式のコンセンサス構築のやり方だと説明されています。もう少し詳しく説明する場合は、本来の言葉の意味に踏み込んで、植木を植え替える前に根の周りを掘ることと説明することもあるかもしれません。私自身は、トレーニングで根回しについて説明する際、できるだけ鮮明なイメージを描くために、ある程度成長した木を植え替えるに当たって単に地面から引っこ抜けば木が死んでしまうことを指摘するようにしています。この喩えは、日本企業に新しいアイデアを植え付けようとする際に特に当てはまります。意思決定の権限があると思われる人(「木の幹」)にアプローチしてその人から承認を得ても、その意思決定は植え替えの途中で死んでしまう可能性が高いのです。決定から影響を受けるであろう人、決定に興味を抱くであろう人すべての理解や合意を取り付けなかったためです。

コンセンサスを重視する文化があるヨーロッパの国

オランダやスウェーデンのようにコンセンサスを重視する文化があるヨーロッパの国の出身者は、この説明を聞くと次のように反応します。「もちろん、私たちもこの種のコンセンサス構築をしていますよ。常識です」。オランダでは、コンセンサスに基づく意思決定はポルダー・モデルと呼ばれています。ポルダーとは、堤防で守られた海面よりも低い干拓地です。かつてオランダでは、百姓であれ貴族であれ、ポルダーやその近くに住んでいれば、ポルダーをどうやって守るかについてコンセンサスを確立する必要がありました。そして計画を実行するには、全員の参加が不可欠でした。さもなければ、全員に影響が及んだためです。現代ではこの言葉が、賃金や社会福祉、あるいは環境保護をめぐって政府と労組と企業の間で確立する政治的なコンセンサスを言い表すのに使われるようになりました。

根回し=「誰もが責任を持っているが、誰も責任を取ることができない」

ですから、オランダ人も日本人も、コンセンサスに基づく意思決定にかけては長い歴史があると言うでしょう。しかし、『ジャーナル・オブ・マネジメント・スタディーズ』誌に今年発表された研究*では、「コンセンサスという概念の解釈が、日本とオランダの管理職者の間で大きく異なる」と結論されました。日本の会社では、根回しが一連の非公式な話し合い、多くの場合は1対1の会話を通じて行われます。こうすることで、「植え替え」について話し合う会議までにはコンセンサスが出来上がっているのです。このため、会議はどちらかというと形式的で、意思決定を確認する場と言えます。一方、オランダでは、コンセンサスが会議の最中に作られ、その過程では口角沫を飛ばす議論が行われることもしばしばあります。また、日本人の管理職者は、より完全なコンセンサスを求めます。他の部署も含めて全員が同意する状況です。けれどもオランダ人は、「コンセンサスを確立しようとするプロセスを重要だと見なす一方で、どうしても意見の相違が克服できない場合は誰かが意思決定を下す」のだそうです。

このため、この意思決定を下す人が、物事がうまく運ばなかった場合に責任を取ることになります。日本では、意思決定者と会社をリスクにさらさないために、また社員の調和と忠誠を守るために、完全なコンセンサスが必要だと考えます。そして、このように完全なコンセンサスに達するには時間もエネルギーもかかるため、ひとたび決定が下されると後戻りすることはありません。オランダ人にとっては、これが日本企業の病の兆候のように見受けられます。すなわち、「誰もが責任を持っているが、誰も責任を取ることができない」という状況です。

*Comprehensiveness versus Pragmatism: Consensus at the Japanese-Dutch Interface, Niels G. Noorderhaven, Jos Benders and Arjan B. Keizer, Journal of Management Studies, 2007

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ヨーロッパの反米感情

私と同世代の人であれば、トランプ氏の選挙勝利のニュースを、レーガン大統領が選出された35年前と重ね合わせて聞いたことでしょう。私はティーンエイジャーでしたが、レーガンを選んだアメリカ人を揶揄する音楽や番組がイギリスで人気を博したのを覚えています。あまり頭が良くなく、戦争好きなB級映画俳優と思われていたためです。

私はこの選挙の直前に、半年だけペンシルベニア州に住み、アメリカのハイスクールに通いました。私の世界観に多大な影響を及ぼした経験でした。自分の目で見た「チャンスの国」は、何もかもが新しく、エネルギーに溢れ、豊かに見えたものです。当時イギリスは、失業率が高く、暴動が多発していました。

イギリス人のみならず、ほとんどのヨーロッパの国民は、アメリカとアメリカ人に対して、憧れと憤りと恐れの入り混じった複雑な感情を抱いています。私の両親と祖父母は、第二次大戦後に駐留したアメリカの軍人のことを覚えています。ヨーロッパの解放を助けてくれたことに感謝しつつも、自分たちよりはるかに豊かそうで体格も良い軍人たちを妬ましく思ったのでした。

日本人のなかにも似たような感情と記憶を共有する人は多いことでしょう。とはいえ、アメリカは、もっと大きな影響を日本に及ぼしてきました。戦後の占領の後もアメリカ文化が影響し続け、日本の学校で指導される英語はアメリカ英語です。

このため、他の西洋文化を知らない日本人は、アメリカ流のコミュニケーションが国際的に通用すると考えがちです。しかし、ヨーロッパの人は、日本企業が明らかにアメリカ流のやり方をしていると感じると、非常に敏感に反応します。日本企業が米国法人を通じて海外事業を管理しようものなら、即座に反感が広まります。トップダウン方式でコントロールしてくるマネジメント・スタイルは受け入れられないのです。

米国駐在を経てヨーロッパに赴任する日本人駐在員は、「とにかくやれ」風の命令方法が通用しないことに苛立ちを覚えます。ヨーロッパでは、無能な社員や命令に従わない社員を解雇するのは、アメリカほど簡単ではありません。ヨーロッパの社員は、業務について意見を求められることを期待していて、正当な懸念があれば上司に異議を唱えたり問題点を指摘したりするのが重要だと考えています。

文書や資料ですら、明らかにアメリカ風であれば抵抗を招きます。私自身、顧客企業から学習教材やマニュアルを導入したくないと言われたことが2度ありました。日本で作成されたものでしたが、アメリカ英語を使っていて、アメリカ風の語調が見られたためです。

アメリカ企業は、自分たちのやり方が世界的な標準であると日本の顧客を説得するのが得意ですし、実際、それはある程度まで真実です。けれども、ベストのやり方は、アメリカの素材を基本としながら、各国の好みに合わせてカスタマイズできる余地を多分に残しておくことです。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのトレーニングもこの方式を取っています。

適度なバランスを見つけるのは容易ではありません。が、その努力をしなければ、ヨーロッパでは執拗に抵抗され拒否される結果になるでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年12月14日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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Last updated by Pernille Rudlin at 2022-01-06.

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