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Category: M&A

2022年ヨーロッパ、中東、アフリカの日本企業上位30社

2022 年のヨーロッパ、中東、アフリカの日系企業上位 30 社 (以下から無料でダウンロード可能) によると、日系企業上位 30 社の総従業員数は 2021 年の 575,962 人から約 3% 増加し、592,811 人* まで緩やかに増加しています。 EMEA 地域では日本企業に100万人位雇用されており、その約 60% がこれらの大企業グループで働いています。

スウィンドンの英国工場閉鎖のおかげでホンダが撤退しまして、オリンパスに取って代わられました。ホンダがTop30に残れば総従業員数は3%ではなく、 2% の成長になります。 EMEA で従業員数が減少した日本の企業グループは、主にホンダだけでなく、日産 (-8%)、NSG (-6%)、デンソー (-5%) などの自動車セクターでした。

従業員数の増加の一部は買収によるものでした。たとえば、ABB パワーグリッド事業の買収後、欧州中東アフリカ(EMEA)の地域の日立の従業員数は 3 分の 1 近く増加しました。ソニーはまた、2021 年から 2022 年にかけて EMEA で 27% 成長しました。これは、主に英国、オランダ、フィンランド、および米国のビデオゲーム会社による複数の買収の結果である可能性があります。

これは現在、日立のグローバル従業員の 12% とソニーのグローバル従業員の 11% が EMEA 地域にいることを意味し、トップ 30 の平均の14% と比較できます。 EMEA で従業員の割合が平均よりも大幅に高いグループは、大規模な製造業のプレゼンスを持つグループである傾向があります。住友電工は東ヨーロッパと北アフリカに労働集約型のワイヤーハーネス工場を持っているとか、豊田通商はフランスの会社 CFAOを買収して以来、アフリカで大きな存在感を示しています。

全世界の従業員の 38% を EMEA 地域に持つ日本たばこ産業は、日本の最大の企業グループのトップ 10 に入り、16 位から上昇しました。しかし、現在ヨーロッパと中東のウェブサイトに掲載されている数字から判断すると、弊社の計算が過小評価であることが判明しました。約 4,000 人の従業員を雇用するロシアでの事業については、投資の一時停止以外には何も発表していません。リクルートとアサヒはまた、全世界の従業員の 30% 以上を EMEA に配置しています。リクルートは USG People、グラスドアと Indeed を買収し、アサヒはグロールシュやペローニなどのさまざまなビールブランドを数年前買収しました。

2014/5 年以降、この地域で最も拡大した企業グループは、日立 (262%)、NTT (157%)、パナソニック (89%) です。最も縮小したグループは、ホンダ (-55%)、アサヒ (-30%)、富士通 (-25%)、日産 (-22%)、リコー (-15%) です。

このリンクをクリックしすると、2022 年 EMEA の日本企業トップ 30 の PDF を無料でダウンロードはできます。

*この数字は、三菱電機がトップ 30 に含まれたことを反映するために更新されました (2023 年 4 月 17 日)

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グローバル・ブランドの管理に長けたフランス

日本ペイントホールディングスが最近、フランスの塗料メーカー、Cromologyを買収したというニュースを見て、理解するのに少し時間がかかりました。この買収は、オーストラリアにある連結子会社のDuluxGroupが新しくイギリスに設立したDGL International UKを通じて行われていました。イギリス人にとってはDuluxは親しみのあるブランドで、1960年代からオールド・イングリッシュ・シープドッグを使ったマーケティングで知られています。CMやペンキの缶でお馴染みのこの犬種がDulux犬と呼ばれているほどです。

調べてみたところ、オーストラリアでも広告にDulux犬が使われていましたが、今ではイギリスのDuluxとオーストラリアのDuluxはまったく異なる親会社の傘下に収まっています。Duluxブランドのペンキは、1930年代に初めてイギリス市場で販売されました。イギリス企業のICIが開発した塗料で、ブランド名は「Durable」(長持ちする)と「Luxury」(贅沢)を組み合わせた造語でした。1986年までには、ICIの豪州法人がDuluxの豪州法人を100%所有していましたが、1997年、親会社のICIがこの豪州事業を売却しました。

そして2008年には、イギリスのICIがオランダのAkzoNobelに買収されました。一方、オーストラリアのDuluxGroupは、2010年に独立企業としてオーストラリア証券取引所に上場し、以来、オーストラリア、イギリス、フランスの様々な塗料ブランドを買収してきました。そして

Cromologyは、欧州で4位の建設用塗料のメーカーで、20種類のブランドを有し、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスで製品を販売しています。明らかに日本ペイントは、Duluxをはじめ様々なブランドを中欧・東欧にも拡大する手段としてこの買収を位置付けています。

最近までフランスは、日本企業がヨーロッパに進出する際の拠点として、イギリスやドイツのように大きな存在ではありませんでした。しかし、今回の日本ペイントの動きを見て、これが変化しつつあるのかどうかを考えさせられました。日本企業がフランス拠点の多国籍企業を買収した事例としては、豊田通商による

CFAOは、日本の商社に似たような業態で、170年近い歴史を有しています。アフリカ39か国、特にフランス語圏の国に大きく事業展開しているほか、ベトナムなどかつてのフランス植民地にも進出しています。全世界の従業員数は2万1,000人以上で、トヨタ車の販売のほか、醸造酒、医薬品、小売り、自動車整備サービスなどの事業を有しています。

フランスはこれまで長年にわたり、有名ブランドをグローバルに管理してきた経験があります。しかし、以前にもこの連載で言及したとおり、多国籍企業はしばしば、事業コストが高く、労使関係に問題があるうえ、複雑な官僚主義のある国への投資には消極的です。フランスのマクロン大統領は、労働法を改革し、退職年齢を引き上げ、年金制度の経済負担を軽減しようとしてきましたが、コロナ禍でこれらの動きが停滞しています。来年4月の大統領選で再選を果たすために人気を維持しておかなければならないという事情も働いています。フランスが模様替えのムードになるのかどうかは、来年後半まで見えてこないかもしれません。

(この記事は帝国ニュースの2021年12月8日号に掲載されました)

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日本企業による海外買収は恐るるに足らず

ロンドン証券取引所の子会社、Refinitivによると、過去2か月間に海外の企業に買収されたイギリス企業が史上最多になりました。買収されているのは主に、評価額が実価を下回っているサービス企業で、保険、カジノ、セキュリティなどの業界企業です。これらの買収は、好ましい投資というよりは、侵略や襲撃であるかのように説明されています。買い手の多くがプライベート・エクイティ会社で、SPAC(特別買収目的会社)でもあるためです。

SPACは、もともと米国で始まりました。投資家のグループが会社を設立して、株式市場で資金を調達し、その資金を元手に別の事業会社を買収します。その目的は、最終的にその事業会社を売却して利益を挙げることです。シティ・オブ・ロンドンでは現在、こうした企業をもっと引き付けるべきかどうかが議論されています。

これは単に新たな形式の資産収奪に終わる可能性があります。日本でハゲタカファンドと呼ばれるものに似ています。

日本企業も、再びイギリスやヨーロッパの企業を買収し始めています。パンデミックでデューデリジェンスが難しくなり、約1年間は買収が滞っていましたが、このところ動きが見られます。ルネサスエレクトロニクスは、イギリスとドイツを拠点とするチップ設計会社のDialogを買収しようとしています。西本Wismettacホールディングスは、冷凍水産品や麺類を輸入するスコットランドのSco-Froの買収を発表しました。リコーは、ヨーロッパでの買収資金を含む5年計画を発表しました。

言うまでもなく、これらの買収は、プライベート・エクイティやSPACによる買収とは非常に異なる性質の買収です。私のリサーチによると、過去5年以内に日本企業に買収されたイギリス企業では、社員数が平均して10~25%増加しています。日本企業は、海外で成長して収益を挙げていくための買収を追求しようとします。また、新規の設備投資や、追加買収をはじめとする他の形式の事業拡大をする意欲もあります。

最近発表されたイギリスの予算には、資本投資のためのさらなるインセンティブが盛り込まれました。2年間にわたる税制優遇で、投資の130%を課税所得から控除することができます。これは、法人税が現在の19%から2023年に25%に引き上げられる影響を緩和することを目的としています。ただし、これが2023年に予想される選挙と同じタイミングであることを皮肉る声もあります。経済が十分に回復すれば、また将来減税が発表されるだろうという見方です。

いずれにしても、日本企業にとっては、法人税率の低さが魅力というわけではありません。特にタックスヘイブン対策税制の改正後、これは理由にならなくなっています。日本企業は、成長を目指して長期的に投資していくつもりであって、リストラして短期に利益を挙げる意図ではないことをきちんとコミュニケーションするかぎり、イギリスでもヨーロッパでも歓迎される投資家になるはずです。

帝国ニューズ・2021年4月14日・パニラ・ラドリン著

Rudlin Consultingとジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングは、M&A後の企業文化統合について、多くの日本およびヨーロッパの企業と協力してきました。詳細については、Pernille Rudlinにお問い合わせください。

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英国の日本企業の縮小、Brexitのせいか?

日系企業の数とその従業員数は、イギリスでは減少し始めています。ヨーロッパの他の国で見られるトレンドと逆行していることから、これがブレグジット(イギリスのEU離脱)に対する反応だという結論は免れないでしょう。

この減少が始まる前のベースライン値は、高いレベルにありました。イギリスは、日本からの海外直接投資がヨーロッパで最も多く、日系企業の従業員数でも最多、日本国籍の居住者でも最多の国です。

イギリスの日系企業数が減っている理由は、主に製造業と金融業の日系企業の減少によるものです。また、自動車メーカーの従業員数も減っています。加えて、過去2、3年にわたって従業員数と企業数の増加の主な要因となってきた大型のM&A(合併買収)とそれに続く従業員数の拡大が、ここ最近はやや下火になりました。

最新のレポートは下記でダウンロードできます。

在英と在欧日系企業分析レポート

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ヨーロッパの人材業界

私の会社では在イギリス日系企業の社員数ランキングを管理していますが、最近ランクインした2社はいずれも人材業界の企業で、トラスト・テックとアウトソーシングでした。両社とも過去4年以内にイギリスで複数の人材会社を買収し、ドイツ、オランダ、ポーランドでも人材会社を買収してきました。

この動きを見ていて、13年前のことを思い出しました。イギリスと東欧で複数の企業を買収した別の日系人材会社のコンサルタントをした時のことです。買収したヨーロッパの企業が互いの連携を高め、統合的な戦略と構造を持つための方法を探してほしいと依頼されました。

しかし、ヨーロッパの人材市場はそれぞれ非常にローカルで、独自の慣習と法令があることがすぐに分かりました。最終的にその会社は、日本でさらに大手に買収され、国内市場を重点とする戦略を取るようになったため、ヨーロッパ市場から撤退しました。

今回ヨーロッパ事業を拡大させた2社の戦略的な意図は、売上高拡大という以外にあまり明確ではありません。海外で事業展開している日系企業の顧客に対して製造およびIT分野の人材を提供するとしていますが、これはヨーロッパよりもむしろアジアでのことと思われます。

ヨーロッパの日系メーカーは製造拠点を東へ移しているため、ポーランド、チェコ共和国、スロバキアなどのほうが需要があるでしょう。

イギリスは現在、エンジニアリングとITの人材が不足していています。EU離脱によってEU加盟国の国籍者がイギリスでの在住許可や労働許可を制約されることになれば、さらに悪化すると見られます。EU加盟国からイギリスへの人口流入はすでに劇的に減少し、医療、建設、食品加工などの業界で労働力不足を引き起こしています。

EU離脱の影響を別にして、イギリスの人材市場で過去10年間に起きた主な変化と言えば、規制強化と法令順守の負担増です。日系の人材会社が突如としてイギリス最大の日系雇用主のランキングに食い込んだ理由は、派遣社員が今の法令では人材会社の社員と見なされるようになり、年金や他の福利厚生の受給資格を有するようになったからです。このため人材会社は、賃金の男女差の報告要件やEUのGDPR(一般データ保護規則)などを順守しなければなりません。

業界関係者によると、ヨーロッパの人材会社には単に人材を見つけて紹介する以上のことが求められています。人材不足や多様な人材雇用のプレッシャーがあるため、データから洞察を得て、創意工夫を凝らすことで、顧客企業における役職と職務、および福利厚生や報酬体系の変更を支援し、雇用主としての魅力を高められるようサポートしていく必要があります。

これには、顧客企業に深く介入し、現地市場の人材プールにも精通する必要があります。このように考えていくと、日系の人材会社がヨーロッパの業界にどのような付加価値をもたらせるのか、ヨーロッパ市場から何を学べるのかは、いささか不明です。ということは、やはり売上高拡大だけが買収の目的なのかもしれません。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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技術とサービス

イギリス赴任は2度目という2人の日本人駐在員に、10年ほど前の前回の駐在時と比べてイギリスのどこが変わったと思うかを尋ねてみました。すると驚いたことに、2人とも、カスタマーサービスが良くなったと言ったのです。

これを聞いて、私は最初、レストランのウェイターや小売店の店員として働く東欧からの移民が格段に増えたせいかなと感じました。東欧出身の人々は、かつてイギリスで普通と考えられていたレベルをはるかに上回る情熱と能率で、こうした仕事をこなしているからです。

でも、よく話してみて、自分の最近の体験もあらためて考えてみた結果、駐在員の言っているサービスの改善は、サービス業に就く人の文化的なマインドセットというよりは、むしろ技術によるところが大きいことに気付きました「家で修理が必要になって人を手配すると、そのとおりにやって来る」と、駐在員の一人は言いました。実際、かつてはこういう確かさはありませんでした。修理人を待って一日仕事を休む羽目になり、遅れの理由を説明する電話ひとつないことも当たり前でした。

私も最近、洗濯機を買った際に、オンラインで注文して配達の日にちと時間枠を選ぼうとしたところ、夜9時まで配達の時間枠が設けられているのに驚かされました。注文後は店からメールとテキストメッセージ(SMS)のリマインダが何度も届き、時間を変更するオプションも提供してきました。配達当日にテキストメッセージが何度か配信され、1時間以内の正確さで到着時刻を予告してくるのもごく普通です。配達の人が何らかのGPS機器を持っていて、効率の良いルートを計画し、途中経過をアップデートしているのです。オフィスのスタッフも、彼らの現在地を把握して、サポートを提供することができます。

また、これは先週のことでしたが、アマゾンで注文した商品が届いていないことに気付いて「call me」というボタンをクリックしてみたところ、1秒以内に私の携帯が鳴り、(インドのコールセンターからと思われる担当者が)あらためて翌日発送で商品を手配してくれました。

この種のサービスは他の国でも提供されていることと思いますが、様々な調査によると、イギリス人は世界で最もオンラインショッピングを愛用している国民のようです。マッキンゼーの調べでは、インターネット普及率はヨーロッパより米国のほうが高いにもかかわらず、ヨーロッパの人のほうがアメリカ人よりデジタルの購入チャネルやバンキング・サービスを好む確率がはるかに高いことが分かりました。

イギリス経済に占めるサービス業の構成比は今や80%ですから、イギリスがサービス提供のあり方を改善したとしても驚きではないのかもしれません。日本企業にとっては、EU離脱があるとはいえ、イギリスのサービス業界の企業はなおも魅力的な投資機会です。技術を手に入れ、かつ世界の他の国のバーチャル市場を開拓するチャンスをつかめるからです。日本からイギリスへの最近の投資案件が、ソフトバンクのARM買収、あいおいニッセイ同和損保のInsure The Box買収など、技術主体のサービス業に集中していることは、注目に値します。

Pernille Rudlinによるこの記事は帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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グローバル標準のためにプライドを抑えることも必要

日本企業に買収されたヨーロッパ企業の上級幹部から不満の声を聞きました。ヨーロッパがあたかも同質な1つの国であるかのように扱われているというのです。その会社は、非常に異なるヨーロッパの5か国にオフィスを有していて、地域本部はドイツにあります。「確かにヨーロッパの人は、お互いへの接し方を心得ているかもしれません。何百年も前から一緒に暮らし、働いてきたのは事実です。でも、ヨーロッパ、北米、アジアという3地域の構造を取っていることが不思議に思えるのです。北米には社員が2人しかおらず、アジアには地域本部がなくて、台湾、中国、韓国、日本が別々に経営されています」。

この会社は小さな会社でしたが、同様の状況は、はるかに大きな日本の多国籍企業の多くで見られます。不満の背景には、ヨーロッパの人が「地位」に敏感であることがあるかもしれません。つまり、他の地域と同じように扱われたい、ヨーロッパが1つの地域なのであればアジアも1つの地域であるという考えです。

しかし、もっともな懸念も作用しています。それは、製品やサービスをグローバルに提供するのであれば、会社自体がバランスの取れたグローバルな構造を持ち、共通のプラットフォームやシステム、プロセスに則らなければならないという考えです。買収を通じて成長する企業は、国によって非常に異なる製品とサービスを持つことになりがちです。業務のプロセスやシステムも異なれば、グローバルな事業に寄与している各地域が売上高と経費をどう共有するかについても明確な理解が存在しないことが多いのです。

これは非常に大きな、長期にわたる論争を招く可能性があります。事業と生産工程と技術を標準化するというのは、お互いに絡み合った問題だからです。どの製品とサービスがグローバルで、どれがローカルかをひとたび決めれば、売上高を分担するための基礎ができます。しかし、この結果として各地域が旨みの大きいローカルの事業ばかりに重点を置き、グローバルな契約への参加を拒んだりしないよう、注意する必要があります。

グローバルに提供するものが決まれば、技術を標準化できるようになります。すべてのウェブサイトを同じコンテンツ・マネジメント・システムで動作させ、製品を同じプラットフォームで生産し、グローバルな会計システムを使って販売や調達を記録するといったことです。

日本企業は、スピードと効率を重視するため、時にはプライドを抑えなければならないでしょう。野村證券がリーマン・ブラザーズを買収した際、取引プラットフォームをリーマンのプラットフォームに移行すると決定したのは印象的でした。リーマンのプラットフォームのほうが技術的に優れていて、2つのプラットフォームを統合したり日本のシステムに全員を移行したりするよりも速かったためです。

このような問題にかかわりたいと思う人は誰もいません。あまりにも複雑で、内部闘争を招きかねないうえ、グローバル標準が自分の国ではうまく行かないと主張する人から抵抗を受けるのが目に見えているからです。でも残念ながら、買収後すぐにこれらの問題に対応しておかないと、わだかまりが増殖して、解決はますます困難になるでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2015年11月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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社内コミュニケーションの重要なツール

日本企業や日系企業にサービスを提供している会社にとって、日本企業による買収の波が続いていることが、現時点で唯一の新規事業開拓の機会のように見受けられます。日本の国内市場が飽和した成熟状態にあるうえ、国外の優良企業が安価に買収されている現状を見れば、日本企業が再生と成長の方法として買収を選ぶのは驚きではありません。

欧米企業も、アジア企業に保有されることを受け入れるようになっています。アングロサクソン流の資本主義が引き起こす破壊に疲弊した欧米企業の間では、短期的な株主重視の経営ではなく、より長期的にステークホルダーを重視する姿勢を見直す時なのではないかとする議論が渦巻いています。

もちろん、この議論は以前にも行われたことがあります。1980年代に日本経済が躍進した時代には、日本的な価値観が脚光を浴びました。終身雇用、集団志向、長期的な観点、利益よりも成長を追求する姿勢などです。しかし、1990年代には、その同じ価値観が日本経済の低迷の原因とされました。現在の資本主義の形態に代わるものが本当に必要なのかどうか、儒教的な資本主義がベストの代替なのかどうかの議論は、間違いなく今後も続けられるでしょう。

しかし、その議論が続く間にも、外国企業を買収した日本企業は、独特な日本の企業文化や価値観を適応させるべきかどうか、どのように適応させるべきかという問いへの答えを見つけなければなりません。

とはいえ、選んだ道にかかわらず、多くの日本企業は、重要なツールを使わないがために失敗してきました。そのツールとは、社内コミュニケーションです。その例をひとつ挙げましょう。日本企業に買収されて2か月というイギリス企業でセミナーを開催した時のことです。ある参加者がセミナー終了後に私のところにやってきて、目に涙を浮かべながらお礼を言ってくれました。買収された後、何が起こっているかを深いレベルで説明してくれた人が今まで一人もいなかったというのです。彼女のチームメンバーは、まるで暗闇に置き去りにされたように感じていました。

また、別の会社で開催したセミナーのある参加者は、現地法人の社員がイギリスの業界誌で報じられたニュースを読んで自分たちの会社に関する重要な情報を知ったことがあったと話してくれました。

情報が共有されないことについて日系企業に勤務しているヨーロッパの社員が不満をこぼすのを、私は今まで幾度となく耳にしてきました。日本の同僚に情報を求めたかどうかを聞くと、たいていは求めておらず、向こうから情報を共有してきてくれるものと期待していたという答えが返ってきます。

日本企業の多くは、社内コミュニケーションの部署を有していません。社内広報の責任者から、新しい日本の親会社に自分と同じ役割の人がいないという話をされたこともあります。日本の会社には、「以心伝心」のような伝統的なやり方で社員が会社の戦略や文化を理解していくと考える節があります。もちろん、こうした考え方は、日本で勤務していない社員や日本語を話さない社員には通用しません。にもかかわらず、当たり障りのない社内文書ですら、英語に翻訳すれば重要な企業秘密が漏えいするという恐怖心があるように見受けられます。

会社の価値観や戦略を理解する作業を意図的に社員任せにしておくことが、それ自体、会社の価値観になっているのです。このことをひとたび理解すれば、私もその考え方には賛同できる部分があります。社員を大人扱いしていることを意味するからです。とはいえ、どんなに逆説的であれ、日本企業がグローバル化するなかでこの価値観を守りたいと思うのであれば、それを明示的にコミュニケーションする必要があります。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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