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前項でどのように消費者がサービス産業の社員から扱われるかを見てみました。サービス産業では150年に渡る階級社会の中で醸造され鬱積した憤り、熟練労働者の誇りの喪失感を持つ背景を抱えた社員の働いていることに言及しました。
大体においてサービス産業は、社員の福利厚生、お客様そして社会的責任に関心が薄いのです。このようなサービス産業で働く社員にお客様第一のカスタマーサービス精神を持って意欲的に働いてもらうことの難しさは火を見るよりも明らかです。英国の消費者は、この様な背景に根ざす問題点を持つサービス産業からカースタマーサービスを受けているのです。
勿論、全てがそうではなく例外もあります。例えば最もよく知られた例としては英国のJohn Lewis Partnership で、これはJohn Lewisデパートと Waitrose スーパーマーケットのチェーンを包括しています。この会社の構成はパートナーシップで、社名の示すとおり、6万9千人の社員は社員でありながら会社の所有者でもあります。被雇用者でも、スタッフでもなく、“パートナー”なのです。この会社の創立者 John Spedan Lewisの考える会社のあるべき姿は究極の目的としてパートナーとしての幸福を社員全員で共有するとしています。例えば、ボーナスとして会社の利益を受け取る割合は、2007年は、役職に関わらずサラリーの18%でした。そして13名の取締役のうち、5名はスタッフによって選任されています。
こういった会社としての構造が、高いカスタマーサービスの水準を支え、そして更には現在のような不況さえも切り抜けるに至っているのではないかと思います。パートナーは顧客に奉仕することで自分の品位が冒されるとは感じず、むしろビジネスに誇りを持ちながら、お客様と対等の立場として業務を遂行しています。
サービス産業で働く人たちの劣等感が、これまでこの国においてカスタマーサービスそのものを毒することとなっていました。もし顧客が奉仕する側に優越感を抱かず接すれば、必ずしもぴか一でないにせよ、しっかりとした親しみのあるサービスを受ける事は可能なのです。
最近ある会合で英国在住の日本人のグループと英国のカスタマーサービスについて話し合ったことがあります。その時、日本と英国の両国でレストランのフロアスタッフまたは販売員をしたことがある一番若い参加者が、英国のカスタマーサービス文化についてとても好意的に感じると言っていました。英国のお客様の接し方が日本にいた時と比べると数段感じがいいと話をしてくれました。
一方日本では、力関係と社会的な地位の違いを受忍するという、長い儒教の精神の影響があります。これは社会的地位の低い人が人間として価値がないとか、軽蔑に値するとかいう事ではありません。地位の低い人は親しみがあるまたは対等な扱いを必ずしもを受けないのですが、しかしそれは社会的通年として受け入れられているのです。儒教は正しいやり方とか礼儀作法をきちんと守ることに重点を置いているので、目に見える形でカスタマーサービスに有効な意味を提供することとなります。礼儀作法を重要視することは、カスタマーサービスの‘ものづくり’的精神に繋がってきます。ここが英国では欠けていることなのですが、次回にこの部分を検証してみたいと思います。
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このシリーズは人材紹介会社のセンターピープルのご協力の上提供させて頂いております。
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