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様々なカレンダーが店頭に並び、販促用のカレンダーも送られてきましたが、今年も去年と同じものを選びました。壁掛けのカレンダーには、移ろう季節を感じさせてくれる俳句と浮世絵をテーマにしたカレンダー、卓上カレンダーには、実用的な理由から日本とヨーロッパの休日が書かれたカレンダーです。
カレンダー選びは私の年中行事になっていますが、毎年これをやると、ロンドンの三菱商事で働いていた頃のことを思い出します。私たち現地採用の社員は、日本から送られてくるお客様送付用の卓上カレンダーが残ると、それを奪い合ったものです。静嘉堂文庫に所蔵された美しい美術品の写真が印刷されていて、しかも月の表示をアレンジして3か月を一目で見られるようになっていました。日本とヨーロッパの海運スケジュールを計算するには、これが重要な機能だったのです。
私が選んだ卓上カレンダーも1ページに3か月分が印刷されていますが、在ヨーロッパ日系企業の社員にとって使い勝手をもっと良くするには、日本の会計年度の期末など重要な日付をあらかじめ入れておくとよいかもしれません。
在ヨーロッパ日系企業の4分の3以上は、親会社に合わせて4月1日から3月31日までの年度で経営されています。ご存じのとおり、業績発表や株主総会の日付は日本ではほぼ固定的で、同業企業が軒並み集中する傾向にあります。ただし、これに基づいて決まってくる提案企画とその意思決定の年間サイクルや、多くの日本企業が導入している3か年中期計画のサイクルは、ヨーロッパではあまりよく理解されていません。
ヨーロッパ企業のほとんどは、1月から12月の暦年で年度を締めています。しかし、同じ年度サイクルを使用していても、業績発表や株主総会の日は会社ごとに異なり、数週間、場合によっては数か月という開きがあります。
このためヨーロッパの社員に対しては、日本の本社で開かれる重要な会議や意思決定の期日を常に通達する必要があります。4月から3月の年度のリズムを直感的に知っているわけではなく、イギリスの実業界のリズムともたいていは異なるためです。実際、日本企業に数年前に買収されたあるイギリスの小売会社は、すべての記録を12月31日までに提出せよという日本の本社からの要請に応えるのが非常に難しいと感じました。12月31日というのは、3月31日を年度末として日本の本社が連結決算を出せるよう設定された期日でしたが、イギリスの小売店が最も多忙を極めるクリスマスショッピングの時期と重なっていたためです。
この日本の会社は、数年前に会計年度を1月から12月に変更し、その理由としてグローバル化する必要があると説明しました。ただし、先週イギリスの子会社を訪ねる機会があったので年度の変更でプレッシャーが和らいだかどうかを聞いてみたところ、あまり違いが感じられないとのことでした。事業がますますグローバル化しているため、結局は年中忙しいのだそうです!
Pernille Rudlinによるこの記事は、帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
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