This post is also available in: 英語
日本と同様にヨーロッパでも、雇用主はミレニアル世代の社員の管理方法に悩んでいます。1980年代から2000年代初めに生まれた若手の社員です。
国を問わずミレニアル世代に共通する点をひとつ挙げるとすれば、言うまでもなく、ソーシャルメディアの使用度でしょう。この結果、この世代は世界に対して比較的オープンマインドであることが、一部で報告されています。イギリスでは、ミレニアル世代は年上の世代に比べてEUを支持する傾向にあり、移民に対しても心を開いています。ミレニアル世代は、会ったことのない人と関係を作り、住んでいる場所や国籍や性別に関係なく、お互いの興味や趣味を介して友情を育んでいくのに慣れています。
これに呼応して、外国に住みたい、外国で働きたい、外国に留学したいと思う割合も、年上の世代より高くなっています。PwCが2015年に行った国際調査によると、男女を問わずミレニアル世代の71%は、キャリアのどこかの時点で外国で働いてみたいと回答しました。また、やはりPwCが2015年に行った複数世代にわたる調査では、すべての年齢層と性別の回答者が、キャリアの早いうちに海外勤務を経験することが重要だと考えていました。
しかし、日本のミレニアル世代の調査では、留学や海外勤務の経験者が以前の世代に比べて減っています。留学や海外勤務から帰ってきた後にどんなポストが待っているか分からないという懸念があることは推測できますし、それは他の国でも最大の懸念となっています。
また、会社の側にも、誰を海外に赴任させるべきか、どんな役職を与えるべきかについて、一定の考え方があると思われます。私は最近、イギリス在住の様々な日本人女性にインタビューしたことのあるイギリス人の研究者と話す機会がありました。彼女の話によると、インタビューした日本人女性の多くは、海外駐在になることを期待して日本の日本企業に入社したそうです。けれども、海外駐在希望が無視され続けたため、自分で会社を辞めてイギリスに来ていました。
日本企業が抱えている問題には、若い人材の確保、社員の高齢化、男女を問わずグローバルな管理業務を担うことのできる人材の欠如などがありますが、こうした問題の多くは、転勤や人事異動についてもっと統合的でインクルーシブなアプローチを取れば解決することのように思われます。ヨーロッパの企業では、ヨーロッパ全域から大学卒業生を雇い入れて、様々な国の事業部門をローテーションさせることが普通に行われています。私のクライアント企業でも大手のいくつかが現在、ローテーションで社員を日本に送っています。グローバルな仕事というのは、必ずしも3~5年の海外勤務である必要はなく、期間は数か月から無期まで、あるいはバーチャルにグローバルな業務を担当することも考えられます。
イギリスのEU残留支持派が展開している政治運動では、ミレニアル世代をターゲットにしたこんなメッセージが語られています。イギリスがEUを離脱すれば、若いイギリス人がヨーロッパの他の国で勉強したり仕事したりするのは難しくなる、というものです。しかし、残念ながらミレニアル世代のもうひとつの特徴は、低投票率です。EU離脱を支持する年上の世代のほうが、熱心に投票所に行くでしょう。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年5月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。
For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。