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大手日本企業の欧州子会社の取締役会が、日本人と現地人、および男女の構成比という点でどれだけ多様性を実現しているかについてのリサーチの第1段階を終えました。
取締役の女性比率は、ヨーロッパよりも日本のほうが高いという結果が出ました。これは社員構成を考えると驚きです。社内の昇進で上位の役職へと上がってくる女性管理職者の割合は、間違いなく日本の本社よりも欧州子会社のほうが高いためです。
一方、日系子会社の取締役に占めるヨーロッパ国籍者の割合は、会社によって大きな差がありました。東芝、シャープ、ファーストリテイリング(ユニクロの英国法人)のゼロから、旭硝子、ブリヂストン、キヤノン、日本電産の100%まで開きがありました。つまり、国籍の多様性は、業界によって傾向があるわけではなさそうです。また、取締役会が多様性を重視すべき理由として最も有力と思われる、顧客の構成を反映すべきであるという論は、思ったほど大きな要因ではないことも示唆されました。
透明性を高め現地に受け入れられるには
20年前は、海外と日本国内の両方で日本人顧客への依存度を低くしたいという狙いが、多くの日本企業が「国際化」に乗り出す主な理由となっていました。キヤノンは当時、ヨーロッパ出身者を海外子会社で高い地位に指名した先駆者となり、結果として同業他社よりも日本とヨーロッパの両方で良い業績を上げたように見えました。
現在、日本企業がグローバル化の方策として好むのは、国際事業部門を拡大し社内で幹部を育てることではなくて、M&Aを通じて海外事業を拡大することです。過去10年の大型買収が、旭硝子(グラバーベルを買収)をはじめ、富士通(インターナショナル・コンピューターズ・リミテッド)、野村證券(リーマン・ブラザーズ)、日本板硝子(ピルキントン)など、ヨーロッパ出身者の取締役が多い企業の要因となっています。
ただし、業界の特色も一部に見られます。例えば金融サービス業界は、取締役の指名に対して承認権を有する欧州当局から厳しい目を向けられています。現地市場に対して深い理解と経験を有する取締役であることを当局が期待しており、日本人の経営幹部の多くはこの要件を満たすことができません。
また、富士通と日立は、イギリスで公共セクター向けの事業(行政サービス、原子力、鉄道)がかなり大きな部分を占めているため、政府調達基準となる多様性の要件を満たすだけでなく、事業展開する地元コミュニティで受け入れられる必要があります。例えば、日本企業が保有するイギリスの公益会社が最近、取締役を公募しましたが、応募要件のひとつに、その公益会社の顧客であることという条件が含まれていました。
比較的規模の小さい日本企業やヨーロッパに進出したばかりの日本企業は、少人数の取締役会を好むかもしれません。現地に在住しない日本人の取締役が2人だけといったケースも見られます。が、ヨーロッパでは昨今、透明性を高め、ガバナンスを向上させるべきとの大きなプレッシャーが取締役会にかかっています。現地出身の取締役を最初から指名しておけば、規制当局、顧客、社員との関係を向上させるのに役立つでしょう。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2015年12月5日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
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