This post is also available in: 英語
ヨーロッパの社員向けに日本人の同僚との働き方を説明するセミナーで、ビデオコンテンツを見せてほしいとリクエストされることがありますが、たいていはあまりお勧めしないことにしています。技術的な問題を起こすのが目に見えているからです。YouTubeからストリーミングしようとすれば、ファイアウォールやインターネット接続の問題にぶつかり、クライアントのオフィスにあるDVDプレーヤーを使わなければならなくなるなど、厄介なことが多々あります。
しかも、これまでは、そもそも良いコンテンツがあまりないというのが現実でした。『ベスト・キッド』や『ロスト・イン・トランスレーション』のような映画はありますが、ステレオタイプ化されていたり、全編を見ずに一部のシーンだけを見ても意味を成さないことがあるためです。
日本とヨーロッパの俳優を使って典型的なビジネスシーンのやりとりを描くビデオを独自に制作することも考えましたが、かなり高価につくうえ、内容がすぐに古くなりがちで、作為的でわざとらしく見える恐れもあります。
ビデオで見ることの意義は理解できます。トレーニングの内容がバラエティ豊かになるうえ、身近に感じられるシーンを通して様々な文化の人たちのふるまいを見ることで、他の文化に対する共感が生まれるからです。
最近になって、日本を題材にしたビデオコンテンツが以前よりもはるかに良くなっていることに気付きました。サンリオのアニメ『アグレッシブ烈子』は、現在イギリスのNetflixで配信されていて、レッサーパンダのOLの様子に、私も涙が出るほど爆笑しています。日本の職場を知らない人にとってはつまらないだろうと思っていたら、18歳の息子と香港から来たホームステイの学生に大受けでした。
おかげで息子とは興味深い会話ができました。やはり動物のキャラクターが出てくる日本の漫画『ビースターズ』と似ていると思ったようですが、『ビースターズ』もアニメ版が今春、Netflixにお目見えすることが分かりました。『深夜食堂』、『全裸監督』、『テラスハウス』などの他の日本発コンテンツに加わる予定です。
息子の世代は、コンテンツ消費のほとんどをNetflix、YouTube、Amazon Primeでしているため、今や私が息子と一緒にテレビを見ることはほとんどありません。おかげでイギリスの公共放送、BBCは、ライセンス料の売上高が下がり始めました。若い世代はノートパソコンやスマホでオンラインのコンテンツを見ていて、テレビは持っていないからです。
企業のほうも、若い世代に訴求しようと思うのであれば、テレビや新聞の広告やニュースではなく、オンラインのビデオに頼らなければなりません。
最も効果があるのは、俳優が台本を演じる会話ではなく、リアルな人たちの実際の会話、もしくはハウツーや体験談のビデオと思われます。この種のビデオは、かつての映画のようなビデオと比べて、はるかに安価に簡単に制作できます。そこで私も、独自に録画を始めました。ただし、セミナーではなく、弊社のPR目的で使う予定です。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年3月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。