ヨーロッパのEコマースの今
最近、近くの古本屋で書棚を見ていたところ、買い取ったばかりの古本の箱が床をほぼ埋め尽くしているのに気付きました。これに好奇心をそそられて、在庫品をどうやって管理しているのかを店主に聞いてみました。書棚に収まらない本はオンラインで販売しているのかと聞いたところ、ウェブサイトは持っていないとのことでした。コロナ禍の間にEコマースを使ってみたが、利益が出なかったというのです。
Amazonやその傘下の古本販売サイトのAbeBooksとは検索エンジンのランキングで競争ができなかったと、店主は説明してくれました。AbeBooksで古書を売ることはできるけれども、価格競争が激しく、希少本でないかぎり利鞘が非常に小さいのだそうです。
私は今この原稿を書きながら、イギリスの美術品のオンライン競売の様子を見ています。イギリスの美術品や骨董品の競売は、コロナ禍を経て今やほぼ完全にオンラインに移行し、これらがsaleroom.comというウェブサイトに統合されています。大陸欧州や米国の競売も手がけるサイトです。とはいえ、競売会場の入札者も戻りつつあります。私も入札するのであれば、この目で美術品や骨董品を見てからしたいものだと思います。もちろん、知られた作家の作品で出所が確かであれば、リスクはそれほど高くないでしょう。
一方で、ある友人の息子は、オンラインで様々なものを販売して、かなりの稼ぎを得ています。ブランド品でもなく、「毛玉取り」のようにありふれた安価な中国製の商品であるにもかかわらずです。その成功の秘訣は、データを徹底的に活用している点です。休暇中ですら販売実績と競合の価格やレーティングをくまなくチェックして、自分の価格とソーシャルメディアの広告を調整しています。
イギリスのB2Cの会社の多くがオンラインのみの業態に変更していて、実店舗は持たなくなりました。その一因は、諸経費、特に光熱費が最近高騰したこと、それに人手不足です。とはいえ、B2Cで最も成功しているオンラインの会社は、最初は実店舗を持っていて、そこでブランドを確立しました。
ですから、日系企業がヨーロッパのEコマース販売を伸ばそうとする際の障壁として最もよく言われる点のひとつが、(特に中小企業の場合)ブランド認知度だというのは、決して驚きではありません。すでにEコマースで海外販売してきた日系企業にとっては、海外市場に関する情報不足の次に2番目に大きな懸念が、ブランドの知名度を向上させることが困難な点です。これは比較的大手の場合にも当てはまります。
最近のJETROの調査に回答した企業の20%以上が、
帝国ニューズ・2023年5月17日・パニラ・ラドリン著
For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。
Read More