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ガバナンス

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Category: ガバナンス

日本語に「リスク」という言葉がないのはなぜか?

以前から思っていたことですが、先日、日本エマージェンシーアシスタンスの吉田一正社長の講演を聴きながら、あらためて思ったことがありました。英語の「リスク」に相当する日本語の言葉が存在しないという事実です。吉田社長がプレゼンのスライドで「リスク」の定義を説明した際にも、カタカナで書かれていて、これが外来の概念であることを示唆していました。吉田社長いわく、「リスク(risk)」は危機が発生する潜在性であり、その潜在性が現実になれば「脅威(threat)」、そして有害な事態になれば「危機(crisis)」とのことでした。

でも、「危機」が「リスク」の代わりに使われていることもあり、このため「risk management」と「crisis management」を日本語で区別しようとすると問題が生じます。多くの場合、前者は「リスク・マネジメント」という外来語で、後者は「危機管理」と日本語で語られているように見受けられます。

そこで、なぜ日本語に「リスク」に相当する言葉がないのかを吉田社長に聞いてみたところ、同感といった面持ちで、特に日本は自然災害が多いことを考えると不可解だと語ってくれました。危機が目の前で起きれば対処できるけれども、事前には対処できない日本人のマインドセットに関係があるのではないかと、吉田社長は考えていました。それゆえに、東日本大震災が福島原発事故という人災につながったように、自然災害がさらなる危機に発展しないように予防することにかけては日本人は得手でないという見方でした。

たいていの人は、リスクの評価やリスクへの対応は得意ではありません。個人的にコントロールできない状況(飛行機の墜落やテロ)に直面する可能性をはるかに過大評価し、コントロールできると思う状況(道路の横断やスキー)のリスクははるかに過小評価しています。このため、地震や火山や津波といった大規模な自然災害に定期的に見舞われてきた歴史こそが、日本人を麻痺させるのかもしれません。言わば「まな板の上の鯉」という心境でしょうか。

危機がそもそも発生しないようするための努力は盛んに行われていますが、避けられないリスクに対処するための計画を策定する努力はそれほどでもありません。そして、危機が発生すれば、通常は対処するよりも隠匿されています。日本企業は、間違いが起こった後に導入された再確認と再々確認の手順でいっぱいです。

吉田社長は、日本企業がすべきことについて明確な考えを持っていました。「リスク」を担当する執行幹部を指名することです。しかも、この役職者は、事業部門の管理職から横すべりするような形で指名されるべきではありません。社長に直結するパイプを持ち、事業部門に司令を出せる必要があります。このため、この役職は要職であると社内で認められなければなりません。スペシャリストをこの役職に就けるか、さもなければ将来社長になるうえでこのポストの経験が必須とすべきです。そして、吉田社長の言葉を借りるならば、「逃げ隠れしない」人物でなければなりません。世の中はますますリスクの高い、不透明な世界になりつつあります。グローバルな「リスク」を翻訳する担当者が、日本企業に求められています。

パニラ・ラドリン著 帝国データバンクニューズより

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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取締役会は顧客と社員とコミュニティを反映すべき

大手日本企業の欧州子会社の取締役会が、日本人と現地人、および男女の構成比という点でどれだけ多様性を実現しているかについてのリサーチの第1段階を終えました。

取締役の女性比率は、ヨーロッパよりも日本のほうが高いという結果が出ました。これは社員構成を考えると驚きです。社内の昇進で上位の役職へと上がってくる女性管理職者の割合は、間違いなく日本の本社よりも欧州子会社のほうが高いためです。

一方、日系子会社の取締役に占めるヨーロッパ国籍者の割合は、会社によって大きな差がありました。東芝、シャープ、ファーストリテイリング(ユニクロの英国法人)のゼロから、旭硝子、ブリヂストン、キヤノン、日本電産の100%まで開きがありました。つまり、国籍の多様性は、業界によって傾向があるわけではなさそうです。また、取締役会が多様性を重視すべき理由として最も有力と思われる、顧客の構成を反映すべきであるという論は、思ったほど大きな要因ではないことも示唆されました。

透明性を高め現地に受け入れられるには

20年前は、海外と日本国内の両方で日本人顧客への依存度を低くしたいという狙いが、多くの日本企業が「国際化」に乗り出す主な理由となっていました。キヤノンは当時、ヨーロッパ出身者を海外子会社で高い地位に指名した先駆者となり、結果として同業他社よりも日本とヨーロッパの両方で良い業績を上げたように見えました。

現在、日本企業がグローバル化の方策として好むのは、国際事業部門を拡大し社内で幹部を育てることではなくて、M&Aを通じて海外事業を拡大することです。過去10年の大型買収が、旭硝子(グラバーベルを買収)をはじめ、富士通(インターナショナル・コンピューターズ・リミテッド)、野村證券(リーマン・ブラザーズ)、日本板硝子(ピルキントン)など、ヨーロッパ出身者の取締役が多い企業の要因となっています。

ただし、業界の特色も一部に見られます。例えば金融サービス業界は、取締役の指名に対して承認権を有する欧州当局から厳しい目を向けられています。現地市場に対して深い理解と経験を有する取締役であることを当局が期待しており、日本人の経営幹部の多くはこの要件を満たすことができません。

また、富士通と日立は、イギリスで公共セクター向けの事業(行政サービス、原子力、鉄道)がかなり大きな部分を占めているため、政府調達基準となる多様性の要件を満たすだけでなく、事業展開する地元コミュニティで受け入れられる必要があります。例えば、日本企業が保有するイギリスの公益会社が最近、取締役を公募しましたが、応募要件のひとつに、その公益会社の顧客であることという条件が含まれていました。

比較的規模の小さい日本企業やヨーロッパに進出したばかりの日本企業は、少人数の取締役会を好むかもしれません。現地に在住しない日本人の取締役が2人だけといったケースも見られます。が、ヨーロッパでは昨今、透明性を高め、ガバナンスを向上させるべきとの大きなプレッシャーが取締役会にかかっています。現地出身の取締役を最初から指名しておけば、規制当局、顧客、社員との関係を向上させるのに役立つでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2015年12月5日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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申年を迎えて

私の会社では2016年、設立12周年を記念して、クライアントとのランチセミナー・シリーズを開催することにしました。12周年というのは半端な数字に聞こえるかもしれませんが、干支を一回りして申年に戻ってきたことを意味します。

この間の日本企業のトレンドを振り返ってみると、最も明らかなものとして、欧州に本社のある多国籍企業の買収が挙げられます。最近では三井住友海上が、イギリスのロイズ保険市場などで保険事業を展開するアムリンを約6,350億円で買収すると発表しました。今年初めには、日立製作所がイタリアのアンサルドブレダ、およびフィンメカニカが保有するアンサルドSTSの株式を約約1,044億円で買収した案件もありました。

どちらの買収も、日本の多国籍企業の多くに見られる構造変化を物語っています。日立は、鉄道事業の世界本社をイギリスに移転しました。また、日本の大手保険各社は、すでにそれぞれイギリスの保険会社を買収しており、これを足がかりとしてさらにグローバルな事業拡大を図りたい意向です。

明らかに日本企業は、買収を通じて単に市場を拡大するだけでなく、グローバルな経営力を付けることを目指しています。かつて日本企業が米国子会社を通じてグローバルなネットワークを管理した事例がいくつかありましたが、最近では欧州の子会社が、米国をはじめ他の海外市場も管理することを求められているように見えます。

この一因となっているのが、日本で起きているもうひとつの長期的なトレンド、「グローバルな人材」の欠如です。特に上級マネジメントのレベルで、海外での成長を管理する人的資産が足りないのです。しかし、それ以外にも、ヨーロッパの多国籍企業は多数の国に散らばった企業をバーチャルなマトリックス構造で管理するのに慣れているという事実も加担しています。すなわち、様々な事業部門の責任者が物理的に同じ本社にいないかもしれないことを意味します。ヨーロッパのマネージャーは、グローバルに有効性を発揮する高い専門知識を持ちながら、同時に多文化のコミュニケーションスキルを活かしてチームの遠隔管理ができなければなりません。

彼らは欧州域内でこれをするのには慣れていて、米国とのつきあいにもある程度は馴染みがあります。しかし、日本を向いて仕事をするのは、多くにとって新しい経験です。専門知識や遠隔コミュニケーションスキルだけでは日本の本社を説得して賛同させられないことが分かると、ヨーロッパのマネージャーはしばしば動揺します。日本の本社のマネージャーは、物理的に同じオフィスにいる相手とコミュニケーションすることにしか慣れていません。また、たいていはジェネラリストのため、専門分野の意見のみを論拠とする議論を説得力があるとは見なさない傾向にあるのです。

こうしたコミュニケーションの壁を克服する意識的な努力が講じられないかぎり、日本の本社は「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿のように映るかもしれません。日本ではこれが徳の高い行動と見られていると思いますが、西欧では手遅れになるまで問題を直視しようとしない姿勢と受け取られます。私の会社では、どちらの世界に対しても目と耳と口を開くことを大切にして、これからの12年を歩んでいく所存です。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年1月13日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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HSBC に学ぶ、海外でのコンプライアンス

HSBC銀行の昨今の状況を見ていて、買収を通じてグローバル化しようとしている日本企業の課題と重なる点があると思いました。HSBCは今から150年 前、英国とインドのイギリス人実業家によって、香港で商業銀行として設立されました。しかし、スイスのプライベート・バンキング部門が脱税の疑いをかけら れたことで、その記念の年が台無しになりつつあります。

HSBCは、1999年にこのスイスのプライベート・バンクを買収しました。イギリスのリテール・バンクの「ビッグ4」とされたミッドランド・バンクを買 収してから数年後のことでした。その後2003年には、米国の消費者金融機関、ハウスホールド・ファイナンスを買収しています。この多角化に至るまで、同 行は、駐在員の緊密なつながりを通じて各地の事業を管理していました。駐在員は1989年まで全員男性で、香港の「メス」と呼ばれる施設(日本の寮や研修 所に似ています)でジェネラリストとして軍の士官のような研修を受けた後、任を任されて世界各地の「要所」に送られていたのです。

しかし相次ぐ買収の後、ジェネラリストの管理職者が知らない国で知らない事業を管理するのは無理があったため、買収した企業では現地のエグゼクティブが実 務の管理を続けることを許されました。スイスのプライベート・バンキング部門のスキャンダルは、残念ながらこのアプローチの失敗を物語る唯一の事例ではあ りません。HSBCは2年前にも米当局に19億ドルの罰金を支払っています。メキシコで2002年に買収したバンキングおよび金融サービス会社のビタル が、麻薬関連資金のマネーローンダリングを阻止しなかったという咎めでした。

現地の管理職者に任せておくのが危険なのであれば、海外で子会社を買収している日本企業は日本人駐在員による管理を続けるべきなのでは、という疑問が湧い てくるかもしれません。けれども、これは現実的ではなく、解決策でもありません。海外に派遣できる経験豊富な日本人の管理職者は不足していると思われま す。それにHSBCの駐在員と同様で、そのような管理職者はジェネラリストのため、外国の専門的な事業部門で何が起こっているかを理解するのは難しいで しょう。

リエゾンであり通訳でもある日本人駐在員が不在となれば、コンプライアンスとリスク管理を目的とした情報提供を求める日本本社からのリクエストが、現地エ グゼクティブのところにすぐさま山のように舞い込むでしょう。彼らはできるかぎり回答しようとしますが、それに対しての見返りはありません。そのうち自分 が信頼されていないと感じ始め、正しい方向性についても混乱してしまう可能性があります。

HSBCのケースでは、明確な会社の文化を醸成して価値観を徹底し、それをグローバルに伝達するプロセスと、厳格なコンプライアンス・ポリシーを実践する ことが重要だと、多くの評論家やCEO自身が述べています。そのようなシステムが整っていれば、ある程度は現地マネージャーの裁量に任せることができま す。

日本企業では人間関係が非常に重要ですから、この「プロセス」と「価値観」に「人」を加えることを、私は提案します。この3つの要素と実践的なステップについて、今後の記事で詳しく取り上げる予定です。

Pernille Rudlin著 帝国ニュースより

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取締役会の多様性

イギリスのメディアはここ最近、日本のビジネスの話題を盛んに取り上げてきました。日本で6月1日に「企業統治原則」の適用が開始されたためです。企業統治はイギリスで今もホットなトピックです。23年前に「キャドバリー・レポート」で今の日本の原則と同様の勧告が打ち出され、以来、EUや米国の規制に大きく影響してきました。

イギリス企業の取締役会では社外取締役がいるのが普通になりましたが、多様性がないという懸念は今も払拭できていません。「オールド・ボーイズ・ネットワーク」と呼ばれるものが、取締役の指名においては作用しています。自分と似た人を雇いたいと思うのは、人間の自然な本能です。その結果、公募をせずに人脈を通じて多くの指名が行われています。

企業統治をめぐる別の勧告に、2011年に発行された「デービス・レポート」があります。このレポートでは、FTSE100銘柄の企業に対して2015年までに女性取締役の割合を25%とすること、FTSE350銘柄の企業に対して2013年と2015年時点の女性取締役の割合の目標値を出すことを求めました。今年3月に発行された最新の年次報告書によると、執行幹部以外のポストや社外取締役では女性の割合が増えていますが、社内取締役の割合は依然としてきわめて低い状態です(FTSE250銘柄の企業で4.6%)。

オールド・ボーイズ・ネットワークに加えて、取締役会は、業界で高い実績がある人や財務を専門とする人を指名したがる傾向にあります。けれども女性は、ジェネラリスト的なキャリアを積んできたか、人事やマーケティングの専門家であることが多いのです。IT、金融、エンジニアリングといった、これまで伝統的に男性社会だった業界では、高い地位に上り詰める女性が今も欠如しています。

様々な専門性やバックグラウンドを取り込んで取締役会の多様性を実現するそもそもの目的は、取締役会での議論を活性化して情報の透明性を高めることにあります。それによって企業統治、革新性、リスク管理が向上すると考えられるためです。会社や業界のことを熟知していない人に物事を説明しなければならない状況に置かれることで、不注意な思い込みを発見し、新鮮な見方を持てるようになる可能性があります。

イギリスで事業展開する金融・保険業界の日系企業は、最近、金融規制当局であるPRA(プルーデンス規制機構)から厳しい目を向けられています。PRAは、業界企業で指名される取締役を面接して承認する権限を有しており、また「ボード・パック」と呼ばれる取締役向けの一連の文書や取締役会の議事録を確認する権限も持っています。

最近指名された日本人の取締役は、PRAが尋ねる標準的な質問に答えるのに苦労しました。それは、「なぜこの役職に就くことにしたのですか」という質問です。単に日本の本社から取締役になるよう言われたため、というのが現実だからです。イギリスで行われる取締役会のミーティングは、基本的に事前の根回しで決まっていることを確認するだけの内容です。このため、ボード・パックや議事録はほとんどなく、しかも日本語です。

日本で取締役会の多様性が高まるのに伴って、日本企業がもっと多くの情報を開示し、意思決定の透明性を向上させることが望まれます。そうすれば、海外子会社の取締役会もうまく機能するようになるでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2015年7月8日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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買収した外国企業を「下宿人」ではなく「婿養子」として扱ってみては?

今年第1四半期、日本企業による外国企業の買収件数が前年同期比33%減となりました。円安の影響を受けた一時的な落ち込みだと、私は考えています。とは いえ、最近発表された企業再編を見ていると、外国企業の大型買収を成功させられなかったと見なされた上級幹部が引責辞職を求められている様子がうかがえま す。このことから、必ずしも円安だけではなく、「一度痛い目にあって二度目は臆病になる」の心理が作用している可能性もあります。

日経新聞が大手日本企業148社を対象に行った今四半期の調査では、買収意欲が依然として高い状況が報告されました。回答した企業幹部の42.6%は、国内と国外の両方で買収をしたいと答え、国外では北米とヨーロッパの企業が好まれていました。

日本企業が外国企業の買収を成功させるために1つ気を付けるべき点があるとすれば、日本企業は伝統的な日本の家族のように行動し、買収・統合のプロセスに も家族のように順応するという事実を自覚することでしょう。例えば、日本の家族制度には今でも婿養子という縁組のあり方があり、夫が妻の姓を名乗り、妻の 親の相続人となることがあります。特に家業がある場合に、このような養子縁組が選ばれます。

ただし、日本企業は、買収した外国企業に対して「婿養子」モデルを適用することには消極的です。時には買収は、結婚のようでもあります。外国の大手企業の 株式を保有する長い求愛期間を経て、数年後にようやく完全買収に踏み切るというパターンです。そして、やはり結婚と同様に、このアプローチには両側の努力 とコミットメントが求められます。様々な努力を講じて、新しい価値感と習慣を持った新しい家族を作っていく必要があります。

日本企業による外国企業の買収で比較的よくあるのは、買収した企業を家族の一員としてではなく、下宿人のように処遇するモデルのように見受けられます。下 宿人が品行方正に暮らしていて、深夜に大音量で音楽をかけたり家賃を滞納したりしないかぎりは、自由気ままに暮らすことができます。

北米やヨーロッパの企業は、当初はこのアプローチを歓迎するかもしれません。今までどおりの事業運営が許され、あまり干渉もなく、十分に自治が認められる からです。けれども、下宿人と同様に、いずれは家族の団らんから阻害されていると感じ始め、別の良い下宿先を探すべきだろうかと考えるようになります。あ るいは、金銭問題に直面して家賃を払わなくなり、日本の大家が厳しく処遇する可能性もあります。

北米やヨーロッパの企業が他の企業を買収する際、文化的な側面に少なくとも最低限の注意は払われますが、主な関心はシステム、組織編制、ポリシー、目標数 値の統廃合に置かれます。通常、買収された企業が、新しい親会社にどのように順応しなければならないかを知らないまま放置されることはありません。買収合 意のかなり前に、そのことは明確にされるためです。

このドライなアプローチを日本企業が好まないのであれば、外国子会社とどのようにして婿養子のような関係、あるいは配偶者のような関係を構築するかについて、はるかに多くの思案をめぐらせる必要があるでしょう。

パニラ・ラドリン著 The Nikkei Weekly 2013年4月22日号より

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欧州サプライ・チェーンにおける失望と期待

馬との関係が深い英国の友人に馬刺しを食べることを話すと、かつて彼らは、あまりの野蛮さから恐怖におののいたものだ。しかし、近年スーパーで販売されているハンバーガーやラザニアなどに入っている牛肉が馬肉混合である事実を知った時、気付かずに食べてしまった嫌悪感よりも、食品の中に何が含まれているかを把握していないことへの恐れの方が遥かに強かった。

英国人は一般的に馬肉を食べないが、他の欧州諸国の多くでは食品として認識されている。英国人の中流階級者は、ここ十年で、食品の質に高い関心を抱くようになった。料理に関するテレビ番組も多数(日本ほど多くないが)放映され、レストランのクオリティも向上している。問題なのは、サプライ・チェーンが複雑化したことで、食品に含まれる成分(材料)が何で、どこから調達したのかを把握できなくなっている点にある。

このサプライ・チェーン問題は、オランダからルーマニアまでほぼEU全諸国にまたがっており、食べ物の季節感や質の高さにこだわるフランス人やイタリア人を悩ませている。評論家はこの問題を、低価格指向の低所得者層を問題の根源であると非難、また、スーパー間の熾烈な価格競争が、サプライ・チェーンへのプレッシャーへとつながり、品質管理がおろそかになってしまったとしている。スーパー側は自己防衛の手段として、単に顧客の要望するものを提供しただけだと主張し、サプライヤーを非難。

低所得者でも、スーパー側は顧客を裏切りたくないのだ。このためスーパーは農場と卸売間の仲介業者を排除したり、肉類の加工を店内で行うなどの手段を講じている。

日本の自動車メーカーとサプライヤー この流れは、80年代の米国自動車産業に酷似している。米国自動車メーカーは価格競争のため、サプライヤーへ一方的に値下げを強要、結果として品質を妥協した。一方、日本の自動車メーカーは、サプライヤーと相互に協力し手頃な価格で上質な自動車を生産し市場を独占していった。

欧州市場に参入した際も日本の自動車メーカーは自社サプライ・チェーンを欧州に再現した。地元サプライヤーを日本と同レベルに引き上げ、日本国内と同様の生産体制を築いた。それは彼らが品質がもたらす自社ブランドの重みを認識し、それを顧客への責任と考える企業精神にまで及んでいた。

とりわけ、品質の問題が発生すると、日本の自動車メーカーは、顧客に向け公に謝罪を行い、製品をリコールする。問題の根本的な原因がサプライヤーの欠陥であっても、サプライヤーの名前を公に出すことはない。ブランドの所有者である各メーカーが、すべての責任を取る。顧客は誰かに責任を押し付けるような言い訳を聞きたくないことを十分理解しているからだ。日本は独自の食品汚染スキャンダルを経験してきたが、沈静化させてきた。日本企業はサプライ・チェーンをとても上手に管理している。

頻繁に欧州ブランドを買収している小売・食品や、グローバル化を目指して躍進する次世代の日本企業が、信頼のおけるサプライ・チェーンを欧州に築けるか、いまここで試されている。牛肉問題で消費者が商品購入に慎重になっている欧州市場において、それは同時に期待でもある。

パニラ・ラドリン著

日刊帝国ニューズ2013年3月13日より

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先輩と後輩の絆が内部告発の有効性に影響

日本企業のコーポレート・ガバナンス、特に内部告発に影響する重大な要因として、先輩・後輩の力学があります。先輩・後輩関係は、特に終身雇用を保っている大企業で大きく作用します。

一般に日本の学生が大卒後すぐに国内大企業に就職すると、入社時点で即座に、自分よりも目上に当たる先輩ができます。先輩・後輩の関係は、とりわけ同じ場所から来た者、あるいは同じ場所に属する者の間で構築されます。

つまり、同じ大学の出身者や同じ部署に配属された社員同士が、先輩と後輩の関係を持つようになるのです。あるいは、部署が違っていても、共通の知人や親戚、または同じ出身地といったつながりで、先輩・後輩の関係ができることもあります。先輩はたいていの場合、メンターとなりますが、しかしそれ以上によくあるのが、部署や事業部門の派閥に先輩と後輩が一緒に所属するようになることです。

経営幹部レベルの指名は通常、派閥間の駆け引きや先輩からの後ろ盾に基づいて交渉されます。このため、強力な派閥の後ろ盾があれば、たとえどんなに不適材に見える人物でも、組織から単純に追放したり周辺へと追いやったりするのは非常に困難です。

忠誠と義務を伴う強い仲間意識が先輩と後輩をつなぎとめ、約30年にわたる雇用期間を通じてしっかりと固められていくのです。

ですから、会社の不正行為を告発するのはもとより、重大な過ちを指摘することすら、社員にとって難しいことは容易に理解できます。一般に日本や他のアジア文化では、自分のグループに所属する仲間に面目を失わなせるようなことはしません。先輩の顔を潰すなど、ほとんど考えられないのです。そのようなことが実際に起きるとすれば、先輩・後輩関係に取り返しのつかないダメージが及び、あらゆる感情の渦巻く状況が生じることは間違いありません。

このような世界にあって、経営コンサルティング会社や法律事務所、監査事務所など、外部からアドバイスを提供する専門サービス会社として立ち回るのは容易ではありません。職業人としての自分の行動規範に照らして明らかに修正の必要がある問題を診断したとしても、それを指摘すれば顧客から、社内の微妙な人間関係に波紋を投じることになると警告されるのです。

私が聞いたある若手監査人の話ですが、顧客企業で長年にわたる会計帳簿の虚偽計上が分かったため監査保証の署名を拒んだところ、あなたが署名しなければ会計監査を今まで担当してきた御社の先輩の顔を潰すことになると言われたそうです。それまでその監査法人の先輩たちは、会計報告の矛盾を承知のうえで物議をかもさず署名してきたのでした。

主義や原則に反することに立ち向かったり、正しいと信じることを貫いたりすることは、きわめて勇気のいる行動です。自分を支えてくれている人たちを傷付けると知りながらそれをするのは、愚行以外の何ものでもないと言う人もいるでしょう。

2011年10月31日 パニラ・ラドリン著 Nikkei Weekly

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オリンパス事件が示したガバナンスの新たな教訓

オリンパスの粉飾決算事件の初公判が開かれ、菊川剛元社長が損失隠しの起訴内容を認めました。また、ソニーがオリンパス株式の約11%を取得することに合意し、オリンパスの未来は確保されました。これをもって、会社が崩壊して多数の社員が路頭に迷うという、菊川氏本人が恐れた最悪の事態は回避されながらも、正義が下されつつあるように見受けられます。

オリンパスのマイケル・ウッドフォード前社長が回顧録として記した事件の全容を読むにつけ、私は、何か別の問題解決方法がなかったものかと考えずにはいられません。本に綴られたなかでも決定的な瞬間は、ウッドフォード氏の支持者であった菊川氏が、粉飾の責任を受け入れて辞職するよう事実上迫られていることに気付き、「マイケル、私のことが憎いか?」と尋ねた瞬間です。

ウッドフォード氏にとって、この問いは、理解を超えるものでした。菊川氏に対する追及は個人的なものではなく、役員として当然の務めと考えていたからです。起きた出来事を透明にし、罪を犯した者の責任を問うことは、立場を任された者の任務の一部でしかなかったのです。

けれども、菊川氏にとっては、粉飾が会社を救うための窮余の策であり、そこに私利私欲が介在していなかったことは、私にも想像がつきます。菊川氏には、会社の運命に対する役員としての務めと従業員に対する責任を、自分自身の運命と切り離すことができなかったのです。このため、自分の行動に対する攻撃は自分という人間に対する攻撃であって、しかも会社が存続できるかどうかなど気にかけていないかのように見える相手からの攻撃であると思えたのでした。

この点について、ウッドフォード氏は、オリンパスの存続を誠心誠意、気にかけていることを何よりも明らかにしています。ただし、告発、処罰、贖罪という過程こそが、会社の再生を可能にすると信じていました。アングロサクソン文化圏の資本主義世界で生まれ育った多くのエグゼクティブは、これに似たマインドセットを持っています。すなわち、自分が経営する会社から自分自身を切り離し、客観的に眺めることができるのです。

しかし、これには短所もあります。他人の築いてきた会社に乗り込んで、大胆な再編を行い、過去につながっている一部の人々を掃討して、自分の「てか」(ほぼ必ずと言っていいほど男性)を地位に就けることで、必要な結果を出そうとする傾向があることです。数字さえ良ければ株主は幸せで、犠牲者は落伍するけれども、どこかまた別の会社で新たなスタートを切れる、という考え方をしがちなのです。

これは、日本での現実とは異なります。そして、オリンパス事件を単なるコーポレート・ガバナンスの問題ケースとして片付けているだけでは、日本にもコーポレート・ガバナンスの基準があり、それを実践することが可能かつ義務であるという事実を見落としています。しかも、日本の企業環境は、欧米のそれと同じぐらい複雑化しています。残業や多様性についての法規はもちろん、外国人エグゼクティブが無視しては落とし穴にはまり込む「パワー・ハラスメント」を統制する規則も存在しています。

外国人エグゼクティブが日本で挫折した事例はあまりにも多く散在しています。これを見れば、日本企業はもはや、単に外国人エグゼクティブを指名すれば何やら魔法のように事業がグローバル化すると願うわけにはいかないでしょう。外国人エグゼクティブには、強力なサポートと指導が必要です。日本の役員会の仕組みについてのトレーニングから、日本人従業員の管理経験がある先輩によるコーチングまで、彼らが崩壊を巻き起こさずに好ましい変化をもたらせるようになるための手段が講じられなければなりません。

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カストマー・サーブス(その2)

前回の記事で、日英のカスタマーサービスに差があるのは多くの理由が背景にあることに触れました。そしてこれらの理由から日英の企業文化の違いの成り立ちに辿りつき明らかにすることが出来るのかも知れません。

ここで、私がまず最初に検証したいのは、企業理念と日英の会社の歴史的背景の違いです。ご存知の通り、人類最初の産業革命は英国で興りましたが、必ずしも最初が最良と同義語ではありません。これはロンドンの地下鉄が一つの例と言えるかもしれませんね。実際、私達が多くの失敗を重ねる事で、他の人が何かを学ぶことができます。

英国の産業革命の副産物として生まれた社会問題に対する意識は、未だに英国国民の心に影を落としています。例えば英国人は会社の経営者と聞けば、腹黒い金持ちの資本主義者をイメージするのです。のどかな田園風景を黒々とした不吉な工場に塗り替え(有名な英国の賛美歌エルサレムからの抜粋)、職場環境や健康には目もくれず、労働者を家畜のごとく酷使する悪代官として捉えてしまいます。

日本で後に始まった産業革命でも社会問題は起こったものの、日本は国家の近代化と、産業力・軍事力において西洋諸国にひけを取らない実力をつける為に精一杯でした。19世紀の終盤に成熟した日本の会社の企業理念は、企業は富国の為にあるという概念のもとにあり、これは20世紀初頭に設立され、社是7条の中に“工業を通じて国家に奉仕“を掲げる松下電器のような企業にも引き継がれていきました。そして第2次大戦後、日本は国を挙げて働きつめ、再び一流工業国に復興させ、”奇跡の日本経済発展“を遂げました。やはりその頃に設された企業、例えばホンダ技研などは、「社員の幸せと社会貢献」を強く謳っています。

それに対し、英国の産業革命以降の製造企業と社是を見てみると、往々にして社会貢献とか、社員の幸せという言葉は見当たりません。といっても、ごく最近は企業の社会貢献がファッショナブルな傾向になってきていますが。1970-1980年代に多くの伝統産業が打撃を受け、これまで自分達に良くしてくれていた会社が大幅な人員削減を決行していく中、人々の会社への信頼感と、労働階級としての誇りは消え失せてしまいました。炭鉱、鉄鋼、エンジニアリングといった産業で失職した人々は、俗語でMc Jobsと言われた、不安定なサービス業へと移行せざるを得なかったのです。

アングロサクソン資本主義における企業は、利益率や投下資本の株主へのリターンが目的の、株主中心主義と捉えられています。これに対し日本の会社は会社を支える基本要素は利害関係がまずは社員であり、次にお客様であり、社会であり、そして最後に株主であり、英国の会社は日本のステークホルダー型企業の在り方とその様相を異にしているのです。英国の顧客サービス担当者は、過去150年の階級社会で培養された恨みとか憤り、単純労働者の誇りの喪失感と、自分の雇用主は自分や顧客や社会の事なんか、本当はこれっぽちも考えてくれていないんだ、という混ざり合った思いで対応している訳です。とは言え、勿論全てがこのようなわけではありません。次回はまた違うケースを明らかにしてみたいと思います。

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このシリーズは人材紹介会社のセンターピープルのご協力の上提供させて頂いております。

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