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社内コミュニケーション

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Category: 社内コミュニケーション

日本が「グローバル・スパナー」を歓迎すべき理由

先日、MBA課程で学ぶ日本人留学生のグループに対して、在外の日系企業で働くことについて話をする機会がありました。私はコミュニケーション問題につい て触れ、単に言葉の壁だけではなく、多くのことを暗黙の了解で進める日本のコミュニケーションスタイルが海外ではうまく伝わらないという問題があることを 説明しました。こうしたなかで、外国在住経験のある日本人のMBA取得者は、日本の親会社と外国の現地法人の異なるコミュニケーションスタイルのブロー カーとして存在価値を発揮できると、私は強調しました。

その後のディスカッションでは、なぜ日本の若者が留学や海外就職をしなくなっているかに必然的に話題が及びました。ある学生が言ったのは、外国に住んで日 系ではない会社に勤めた経験があるにもかかわらず、ひょっとするとそれゆえに、日本企業での就職ができないと感じているということでした。「私のような社 員がうまくやっていけると思ってもらえないのです」と、彼女は言いました。

会の終わりに一連の名刺交換をした際、この学生は、フェイスブックをやっているからぜひ見てくださいと言いました。これを聞いて私は、最近読んだある記事 に日本人のフェイスブック・ユーザーの多くが海外在住の日本人だと書かれていたことを思い出しました。私が思うに、欧米ではフェイスブックが友達との連絡 方法として一般的に使われているという事実もさることながら、長くにわたって母国を離れて暮らすような人は天性のネットワーカーである可能性が高く、ゆえ にソーシャルメディアにも積極的に参加する傾向にあるのではないでしょうか。

生まれ育った国を飛び出した人にとって、連絡を取り続けることは重要です。これは、母国にいる友達や親戚とだけでなく、新しい国で知り合った友達との連絡にも当てはまります。各地を転々としても、音信不通にならないようにするためです。

また、長い間外国に暮らした人は、社会学で言う「弱い紐帯」を厭わない傾向にあるのではないかと思います。弱い紐帯とは、友達でも親戚でもなく、知り合い という程度のつながりです。グリーやミクシィは日本で人気のソーシャルネットワークですが、最近の調査によると、これらのサイトのユーザーが友達としてつ ながっている相手は平均29人で、フェースブックの全ユーザーの平均130人に比べて著しく低いことが分かりました。

世界を股にかける「グローバル・スパナー」は、このような弱い紐帯をたくさん持っている一方で、緊密なグループにも所属していて、それらの間の架け橋とな ることができます。つまり、日本企業ではグローバル・スパナーが、日本の本社の同僚や海外現地法人の同僚と強い紐帯を持てる可能性があるのです。彼らの弱 い紐帯が他のグローバル・スパナーにつながっていれば、2つの内向きグループの間にコミュニケーションのラインを開くことができるでしょう。

ただし、以前のこの連載でも申しあげたとおり、日本企業の問題は、グローバル・スパナーのようなタイプの社員をしばしばアウトサイダーとして懐疑的な目で 見て、内輪のグループに入れようとしない点にあります。これは日本だけでの問題ではありません。アメリカのオバマ大統領は即座に同意するでしょう。けれど も、日本は特にその傾向が強いように見えるのも確かです。

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング・ヨーロッパでは、PS Englishと協力して「ビジネスのためのコミュニケーション」というコースを提供いたします。オフィスや自宅、あるいはSkypeを介して、経験豊富 な講師との毎回1時間半のセッションを、10回または20回のシリーズで受講していただけます。日本人がビジネスの場面で英語を使うことについて、それに 必要な「筋肉」と文化について、あらゆる側面を取り上げるコースです。詳しくはこちらへクリック(日本語・英語pdf)お願いします。

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英語使用の義務付け

「経営の神様」と呼ばれるピーター・ドラッカーが、 かつてこう言いました。日本のビジネスピープルは、問題点を正しくとらえる傾向にあるが、誤った答えを出すことがある。一方の欧米人は、たいていは正しい 答えを出すが、答えるべき質問が間違っていることがある、と。これは、日本人は解決策へと話を進める前に問題を定義するのに多大な時間を費やし、欧米人は きわめて迅速に、おそらくは迅速すぎるほどに、問題だと思う点を何であれ修正しようとするということを説明した発言でした。

企業のグローバル化という点では、日本企業による向こう見ずとも言える対策が導入されてきました。その目的は社員をグローバル化することにあり、たいてい は英語を話すことに特化したものです。昇進に際してTOEICの点数を条件のひとつにしたり、英語を社内公用語にしたり、あるいは一定レベルの社員全員を 海外に派遣して英語学習させるといった対策です。これはまさに問題点を正しく分析した結果だと思います。日本の多国籍企業は、今後も成長を続けていこうと 思うのであれば、グローバル化を進める必要があります。それには海外で事業開発して管理していく能力が必要とされ、これは究極的に人材開発の問題です。

でも、海外で事業を開発・管理する能力が全員に英語を話させようとする一律の規則で実現するかどうかは、私は確信できません。日本マクドナルド会長の原田泳幸氏は最近、日経ビジネスオンラインの取材で次のように語りました。 「日本語で考えているのであれば、日本語で話せばいい。英語で考えているのであれば、英語で話せばいい。日本語で考えて英語で話したり、英語で考えて日本 語で話したりすれば、相手に理解されないだろう」。私が思うに、原田氏の言いたかったことは、語学力があることが必ずしも有効にコミュニケーションするた めのバイカルチュラルな理解を意味するのではないということではないでしょうか。バイカルチュラルな理解がなければ、海外の顧客に対するマーケティング訴 求も成功しないし、本社が正しい意思決定を下すのにどのような情報を必要としているかも分からないことを意味します。

かねてから日本企業は、そのようなバイカルチュラルな理解を持つうえで必要とされる海外在住経験のある日本人の大卒者採用には積極的ではありません。しか も、海外留学を志望する日本人の学生は減っています。現在の雇用環境で留学すれば、新卒採用の就職活動のタイミングを逃し、内定をもらえなくなるという恐 怖感があるためです。

私の以前の勤め先のある日本企業は、留学経験者を対象とした別枠の採用プロセスを設けて、このハードルを乗り越えようとしました。ただし、これが正しいアプローチかどうかは分かりません。こうして採用された社員は特 別視されてしまい、日本の大手企業では、どんな意味でも「スペシャリスト」とされると、主流から外れてしまう傾向があるためです。この企業は、今では内定 を出すスケジュールを遅らせて、留学経験者かどうかにかかわらずすべての学生が、就職活動よりも本業の学問に集中できるようにしていると思います。これは 正しい方向性と言えるでしょう。全員に一律の規則をあてがうのではなく、柔軟性と多様性がグローバル企業では標準となるべきです。

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日本の本社からの情報欠如を解決するプロセス

先の日本出張で、ある日本の顧客企業からもろもろの文書を託されて帰ってきました。ようやくすべてを翻訳し終えて、その会社のしかるべき海外事業部門に転送したところです。翻訳に時間をかける前に、日本以外の事業部門にこれらの文書の内容がすでに伝わっているかどうかを顧客に聞いてみたところ、伝わってはいないけれども、これらの文書の内容は「きわめて重要」とのことでした。

これは、日本企業の海外事業部門が不満に思う点として幾度となく指摘されている問題です。日本から十分な情報が提供されず、その状況があまりにもひどいため、日本側が故意に何かを隠しているのではないかとすら疑い始める事態が見られます。

日本人社員の間に情報を渇望する姿勢があることについては、この連載で以前に言及しました。日本では、暗示的な知識共有によって、その渇望が部分的に満たされています。オフィス空間に間仕切りがほとんどなく、同僚が机を並べて何年も一緒に働きます。しかも全員が日本語を話す環境ですから、フォーマルに明示的なコミュニケーションを行う必要はありません。よりフォーマルな形式のコミュニケーション方法も、ほとんどの部署に存在します。週間報告書や月間報告書、さらには多くの人が忌み嫌っているA3サイズの計画書や稟議書が、多くの人に回覧されています。

しかし問題は、これらがすべて日本語であることです。これを英訳する面倒な仕事は誰もやりたがりません。もっと優先順位の高い毎日の業務を抱えているためです。翻訳会社に外注するのはひとつの方法ですが、重要な情報は何か、社内文書が真に意味するところは何かを見分けるために、インサイダーの目が必要になることも多々あります。

私自身が至った結論は、日本の事業部門と海外の事業部門の間に意識的なコミュニケーションのプロセスを導入する必要があり、それを誰かの職務責任として認識する必要があるということです。このポストに就く社員は、「海外」グループのような部署ではなく、実際の事業グループの一員であるべきです。さもなければ、情報の背景を理解することができないからです。そうした情報の機微こそが、海外の子会社が最も必要としている情報なのです。

そして、このプロセスの最後のパズルの一片が、組織図を作成して、どの部署とどの部署が、またどの社員とどの社員が「タメ」の関係にあるかを明らかにし、これらの部署同士、社員同士が情報共有する必要があると定めることです。これは、言うは易く行うは難しの作業かもしれません。私の経験によると、日本の大手企業のほとんどは、欧米の大手企業とは非常に異なる組織構造になっているためです。日本では、特定の地域や顧客セグメントを専門とする営業の責任者がいません。マーケティングの責任者もおらず、マーケティングの部署が独立して存在することも稀です。組織がきわめて縦型の構造になっているため、欧米の組織に見られる役職に似たグローバルな職権や機能的な役割を持った社員を見つけるには、各部署に深く踏み入る必要があります。

しかも、日本では個別の社員に対して職務内容を定めて文書化していることがほとんどないため、この作業をさらに難しくしています。とはいえ、しかるべき担当者とチームがひとたび確立すれば、日本以外からの情報を渇望する姿勢と海外の同僚のために役立つことで得られる満足感が、このプロセスを浸透させる要因となるでしょう。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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情報への渇望が過剰に感じられることも

高校時代に日本の家庭にホームステイをしていた時、外出するたびにホストマザーから行き先を尋ねられたので、それに慣れる必要がありました。自分の家だったら、「出かけてくるね!」とだけ言って、すばやくドアを閉めていたことでしょう。自分の予定に親が介入するなどもってのほかだと思っていたのです。でも、日本のホームステイ先のホストマザーが私に行き先を尋ねる時は、「介入」などという隠れた意図はまったくなく、単に知りたいという気持ちで聞いているのであって、子供のことを気にかけている姿勢の表れにすぎないのだということを、私もすぐに学びました。

日本の企業社会では、隠れた意図は存在するものの、「情報があったほうがいいから情報を求める」という姿勢は続いています。日系企業で働いている日本人以外の社員から、日本人の同僚から聞かれる質問の数がとにかく多すぎるという不満をよく耳にします。重要とは思えないような詳細にまで踏み込んで質問してくるというのです。

こうした不満を口にする外国人社員は、答えれば約束したと見なされることを恐れています。計画の詳細を逐一説明する前に、事業上の理由を整理したり戦略を明確にしたりする余地を与えてほしいと感じています。あるいは、私が高校生だった時のように、何か思惑のある質問なのではないかと疑っているだけのこともあります。

こうした態度に対して日本人の社員が苛立ちを感じている様子も伺えます。彼らにしてみれば、詳細が分かり次第すべて把握して、日本の関係者に報告する必要があるためです。「海外」や「グローバル」の付く肩書きを与えられている社員は、海外事業部門で何が起こっているかを即座に回答できる必要があるのです。現地の市場や文化がどんなに複雑であるかは考慮されません。現地の「ネタ」、すなわち内部の実情に通じていることは、彼らにとって「通貨」に等しいのです。日本人は、どんなことにもうわべと実情があるという考え方に慣れ親しんでいるため、実情を知っていると称する人が実権と知恵のある人だと見なしがちです。

それとは対照的に、欧米人の多くは、自分に直接関係する世界以外のことに対して驚くほど無頓着です。米国的な経営を実践している多国籍企業は、明示的な知識に基づいて物事を進める傾向にあります。グローバルな管理職者に向けて配信される定期的なアップデートのほか、週1回の電話会議などを介して、設定した目標値をどれだけ達成したかが報告され、達成できなかった部分については議論が行われます。この結果、米国的な多国籍企業は、本社に通じる情報網としてあらゆる事業部門に駐在員を置かなければならないと感じている日本の多国籍企業と比べて、本社から海外事業部門に派遣される社員がはるかに少なくなります。

私自身は、日本人以外のスタッフが感じている懸念に同感する部分もあります。日本人の社員同士でカジュアルに共有されている情報は、日本のヒエラルキーで上申され既成事実となって海外のスタッフに降り戻ってくる傾向にあるためです。海外のスタッフは、その計画を約束した覚えもないのに、その未達成を指摘されてしまうのです。また、インフォーマルな情報共有のやり方に馴染んでいる日本の本社のスタッフは、海外の同僚に対して情報を明確に共有することをしません。

情報の流れがうまく機能するには、双方向でなければなりません。ということは、私も高校時代、ホストマザーに今日は何をする予定なのと聞いてみるべきだったかもしれません。私が気にかけていることが伝わり、喜んでもらえたことでしょう。

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ビデオ会議は日本の本社とのコミュニケーション不足を解決するソリューションか

最近になってビデオ会議に出席することが増え、その有用性に対する私の見方はポジティブな方向へと変わってきました。これには近年の技術改良が大きく影響しています。とはいえ、日本とのコミュニケーションにかけては、ビデオ会議がフェイス・トゥ・フェイスのミーティングに代わるまでには至っていません。

日本のように「高コンテクスト」な文化の出身者を相手にした遠隔コミュニケーションの問題点は、これまでにもよく指摘されてきました。このような文化の出身者は、ボディランゲージや沈黙、声のトーンなど、言葉ではない表現に頼ったコミュニケーションを好みます。一方、「低コンテクスト」の文化(米国、ドイツ、オーストラリアなど)の出身者は、明示的な言葉によるコミュニケーションを好みます。

であれば、高コンテクストな文化の相手と話す時こそ、フェイス・トゥ・フェイスの次に良いのがビデオ会議だと思えるかもしれません。実際、メールや電話より良いことは間違いありません。しかし、私のこれまでの印象では、効果はあるものの、定期的かつフォーマルな全体会議のようなミーティングに限られると言えそうです。

そのような状況ですら、問題点がいくつかあります。まず第一に、ネイティブの英語話者は、自分たちの話し方が相手にとって分かりにくいことを理解していません。カジュアルな会話のように、ウィットを効かせながら、時には文章が完結せずに終わったりする話し方です。このような話し方を続ければ、日本人側は「引いて」しまい、会議でよく見せがちな典型的な行動をすべて示すようになります。目を閉じたり、眉をしかめたり、あるいは互いにヒソヒソ話して理解や意図を確認する行動です。

この問題を解決するには、「インターナショナル」な英語を話すことです。短くて分かりやすい文章にして、説明を十分に加え、相手の理解を確認する質問を差し挟みながら、トピックのリストやスライドなど目で見られる資料を使って話を進めることです。

それでも、会議というものに対する期待の違いが、ビデオ会議の成果に影響することがあります。日本では、意思決定は公式な会議以外の場で下されます。提案をしたいと思っている人が、事前にすべての関係者に非公式に話をしておき、場合によっては企画提案書も共有して、関係各位から承認を取り付けます。そのうえで会議が招集されるため、会議は「ハンコを押すだけ」の場となり、確認報告や実施計画の策定が目的になります。しかし、欧米の文化では、会議とは、ブレーンストーミングをして意見の違いを収拾する場と見られています。

さらに、ビデオ会議では達成できない重要なコミュニケーションの側面があります。それが「インフォーマルな接触」です。日本では、交渉や信頼関係の構築といった作業の大半がフォーマルな会議以外の場、すなわち居酒屋、カラオケバー、レストランなどで行われます。これが悪名高き「本音と建前」の問題です。全体会議で発言されるオフィシャルな意見はありますが、本当のところを知るには、オフィスを出て1対1か数人のグループで話し合う必要があるのです。

フェイス・トゥ・フェイスのミーティングは、バーチャルなチームビルディングの初期の段階はもちろん、その後も時々は必要です。私自身も、過去何年もの間に幾度となく日本の仕事仲間とビールを共にし、信頼を構築してきましたが、電話で1対1で日本語で話しても本音を聞けないことが時々あります。この理由はそう難しくはありません。日本では社員が机を並べて座っているため、電話の声が周囲に聞こえてしまうのです。

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社内コミュニケーションの重要なツール

日本企業や日系企業にサービスを提供している会社にとって、日本企業による買収の波が続いていることが、現時点で唯一の新規事業開拓の機会のように見受けられます。日本の国内市場が飽和した成熟状態にあるうえ、国外の優良企業が安価に買収されている現状を見れば、日本企業が再生と成長の方法として買収を選ぶのは驚きではありません。

欧米企業も、アジア企業に保有されることを受け入れるようになっています。アングロサクソン流の資本主義が引き起こす破壊に疲弊した欧米企業の間では、短期的な株主重視の経営ではなく、より長期的にステークホルダーを重視する姿勢を見直す時なのではないかとする議論が渦巻いています。

もちろん、この議論は以前にも行われたことがあります。1980年代に日本経済が躍進した時代には、日本的な価値観が脚光を浴びました。終身雇用、集団志向、長期的な観点、利益よりも成長を追求する姿勢などです。しかし、1990年代には、その同じ価値観が日本経済の低迷の原因とされました。現在の資本主義の形態に代わるものが本当に必要なのかどうか、儒教的な資本主義がベストの代替なのかどうかの議論は、間違いなく今後も続けられるでしょう。

しかし、その議論が続く間にも、外国企業を買収した日本企業は、独特な日本の企業文化や価値観を適応させるべきかどうか、どのように適応させるべきかという問いへの答えを見つけなければなりません。

とはいえ、選んだ道にかかわらず、多くの日本企業は、重要なツールを使わないがために失敗してきました。そのツールとは、社内コミュニケーションです。その例をひとつ挙げましょう。日本企業に買収されて2か月というイギリス企業でセミナーを開催した時のことです。ある参加者がセミナー終了後に私のところにやってきて、目に涙を浮かべながらお礼を言ってくれました。買収された後、何が起こっているかを深いレベルで説明してくれた人が今まで一人もいなかったというのです。彼女のチームメンバーは、まるで暗闇に置き去りにされたように感じていました。

また、別の会社で開催したセミナーのある参加者は、現地法人の社員がイギリスの業界誌で報じられたニュースを読んで自分たちの会社に関する重要な情報を知ったことがあったと話してくれました。

情報が共有されないことについて日系企業に勤務しているヨーロッパの社員が不満をこぼすのを、私は今まで幾度となく耳にしてきました。日本の同僚に情報を求めたかどうかを聞くと、たいていは求めておらず、向こうから情報を共有してきてくれるものと期待していたという答えが返ってきます。

日本企業の多くは、社内コミュニケーションの部署を有していません。社内広報の責任者から、新しい日本の親会社に自分と同じ役割の人がいないという話をされたこともあります。日本の会社には、「以心伝心」のような伝統的なやり方で社員が会社の戦略や文化を理解していくと考える節があります。もちろん、こうした考え方は、日本で勤務していない社員や日本語を話さない社員には通用しません。にもかかわらず、当たり障りのない社内文書ですら、英語に翻訳すれば重要な企業秘密が漏えいするという恐怖心があるように見受けられます。

会社の価値観や戦略を理解する作業を意図的に社員任せにしておくことが、それ自体、会社の価値観になっているのです。このことをひとたび理解すれば、私もその考え方には賛同できる部分があります。社員を大人扱いしていることを意味するからです。とはいえ、どんなに逆説的であれ、日本企業がグローバル化するなかでこの価値観を守りたいと思うのであれば、それを明示的にコミュニケーションする必要があります。

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笑いのつぼ

私は以前日本で顧客満足度調査の会議に参加し、あるプレゼンをとり行ったことがあります。イギリスから参加してくれたお客様にこの会議に関する感想を聞くと、、『日本人の参加者がとてもよく笑うので、驚きました。』とのこと。ちなみにこの方にとって日本は初めての訪問で、日本語も話さない方でした。

日本に馴染みのない英国人は、一般的に日本人は形式的で礼儀正しく、生真面目であるという印象を持っています。だからと言って、日本人にユーモアが通じない、と思うのは大間違いです。むしろ日本人がよく言うのは、『もうちょっと英国人も肩の力を抜けばいいのに。アフター5は特にね!』とよく言います。

前述の会議での私のプレゼンですが、笑いを得るために特に冗談を言ったり、ジョークをうまく飛ばせるほどの日本語力を駆使したわけではありませんでした。勿論、飽きれた失笑を買ってしまったのでも(そう思いたいです!)、皮肉な笑いを誘ったわけでもありません。実は皮肉めいた、ブラックユーモアというのは英国人の常套手段で、このようなユーモアはビジネスの席でも使われることがあります。ただ、一歩間違うと、異文化間の誤解を招くことにもなるのです。

ユーモアと言えば、ある英国人のマーケティング・ダイレクターの経験談を思い出します。彼は日系の自動車メーカーに勤めていたのですが、惨憺たる取締役会議に同席してしまった、と言うのです。この席で、オランダ人とドイツ人の取締役同士が議論を始め、それぞれの主義主張をぶつけ、白熱していたそうです。しばらく成り行きを見守っていた日本人の社長が、余りの状況を柔和すべく『ちょっとコメントさせてもらおうかね』と言うと、英国人の取締役であるマイクが、『社長のコメントは結構ですから』と言いました。この言葉に、社長は部屋から立ち去ってしまったのです。恐らく激怒寸前で尊厳を保つためにされた、苦肉の策ではあったのでしょうけれど。

この話を私にしてくれたイギリス人のマーケティングダイレクターは、社長の後をすぐに追いかけ、『マイクは冗談のつもりで言ったんですよ』と取り成そうとしましたが、社長は一喝。『それくらいわからないと思っているのかね、君!』続いて、『それに言っていい冗談とそうでないものとが区別できんのか!馬鹿者めが!』と怒り顕わでした。要は、マイクはちょとした毒のある冗談で状況緩和を図ったつもりだったのですが、完全に逆の効果を奏してしまったのです。この話を聞いた大概の英国人は肩をすぼめて、「マイクもちょっと鈍いよ」という返事が返ってきます。

そして私は、日本人は辛辣な冗談をよく理解するし、職場でも同僚同士でからかいあうのが日常茶飯事、と彼らが持つユーモアのセンスについて説明を加えるのです。でも、特にビジネスの場で、文化の違いを考慮しないでこの微妙な一線を越えてしまうと誤解を招いてしまうんです。確かに日本人を交えた席での『和の精神』、そして上下関係を尊重する伝統に対して、マイクの冗談は毒気が過ぎたのです。

話が最初に戻りますが、私の会議上での話しの一体何処が日本人出席者にとって面白かったのか、と自問しても、実は私自身、分からないのです。もしかしたら、話の節々に盛り込んだイギリス人に独特の茶目っ気や、少々自嘲的でもあるユーモアが受けたのかもしれません。自分を嘲笑できるユーモアのセンスというのは、イギリス人が誇る国民性なのですが、これは日本人にも通じるところがあるようです。どうやら皮肉っぽいジョークや駄洒落よりも、機転の利いた、自分を笑いのネタに出来るくらいのユーモアの方が国際的に通用するようですね。
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プレゼンテーション

英国のビジネスマンが日本人の主催するプレゼンテーションに出席すると、一様に面白くなかったと不満を漏らすようです。彼らにしてみると、日本人の行うプレゼンというのは説得力・決め手や理論性に乏しい割に、様々な文字サイズや形式に、カラフルな色で飾られたデータとかグラフ満載のスライドばかり、という印象だそうです。多くの日本人の場合、人前で話す事が余り得意では無いので、それが英語でとなると尚更、プレゼン中延々と手元の資料を読み上げることに終始したり、映し出されたスライドの内容をそのまま棒読みしてしまう、ということが非常に多いのです。

こういった英国・日本の人前で話すやり方の違いというのは、教育システムの違いから生じるのではないでしょうか。英国の教育現場では、演劇クラス、学芸会、スピーチ大会、クラス内での討論など、ふんだんに人前で話す機会を生徒は受けられます。その一方日本では、先生から生徒への一方的な情報の提供という教育パターンが確立されていて、英語の授業であっても、会話・スピーチでなく未だに読み書きに重点が置かれています。

とは言え、最近では多くの日本人が西洋人にも引けを取らないプレゼンテーションのスタイルに磨きをかけているのは事実で、日本の書店を覗いてみると、『パワーポイント上達法』などという本が沢山並んでいます。それでも、こと『プレゼンテーションがどうあるべきか』という点に於いては、日本とヨーロッパ・北米では基本的な理解が違っていると私は感じざるを得ないのです。

何年か前、私はドイツ人と日本人のマネジャー達が、取締役会でプレゼンテーションをする際にお手伝いをしたことがあります。ドイツ人マネジャー達はいわゆるヨーロッパの手法を用い、スライドを極力減らして、全体を分かり易い理論で運ぶように工夫しました。そして何度も何度も練習を繰り返し、最終的にはとてもスマートでちゃんと時間内で終わる内容に整えました。一方日本人マネジャー達は、この手法に次第に不満を積もらせていたのです。サポートする側の私としては、最初、英語の原稿を覚えなくてはならないストレスなのかな、と思っていましたが、彼ら曰く、根本的なやり方がしっくり来ない、と言うのです。彼らにしてみると、ドイツ人のやり方は、見栄えばかりに重点を置いている。日本人にとって大切なのは、いかに努力したかを見てもらうことであって、どういうプロセスを持ってここに至ったかを説明する必要がある、と言うのです。

どうしてこのような考え方の違いが生じるかというと、私は、理論性の捉え方に違いがあるのではないかと思います。西洋では、一般的にプレゼンテーションを作成する、小論文を書く場合は、言わんとすることを明確に、というのが重点となります。内容的にも、『はい、今からこういうことを言いますよ』の前置きに続き『かくかくしかじかなのです』と結論付け、更にそれを復唱する、という流れになります。この手法は、日本で言う起承転結に似たところがあるのですが、実際には聞き手に課題を与えて、結論は  聞き手の想像力に委ねるパターンが多いように思えるのです。日本人相手にプレゼンを行うヨーロッパ人には私はこうアドバイスします。プレゼンテーションを行う時には、数学の試験をを思い出して下さい。答えを出すだけでなく、どうやってその答えを導き出したか、経過をしっかり説明することでいい結果に結びつくはずです。

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