About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in spoken and written Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation (the Fortune 100 $190bn Japanese investment and trading conglomerate) working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures

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インクルーシブな言葉

イギリスのビジネスで許容される用語がいかに変わり続けているかについて、最近クライアントと話す機会がありました。明らかに、「flexible working」は最近では「agile working」に改称されました。「agile」のほうが「flexible」よりも意味が広いためです。「agile」な働き方とは、パフォーマンスや成果にむしろ重点を置いていて、その業務遂行に当たってのwho、what、when、whereに柔軟性があることを意味します。一方、「flexible」な働き方とは通常、(日本語でもそうであるように)勤務時間に柔軟性があることを意味し、子供のいる女性にとって働きやすい職場を作ろうとする際によく使われます。「agile」な働き方は、すべての社員を対象としたものであることを示唆しています。

この話をしたクライアントの役職名も、この種の変化を象徴していました。「ダイバーシティ&インクルージョン責任者」というのです。ダイバーシティは今や日本でもよく使われるようになっていて、主に性別の多様性を意味していますが、最近では多くの企業が国籍や性的指向など他の面の多様性を考慮するようになっています。イギリスで「ダイバーシティ」に加えて「インクルージョン」が使われるようになっている理由は、企業が単に多様な人材を雇用することだけに集中するのではなく、それらの多様なバックグラウンドを持った社員が意思決定や昇進、さらには自分の周りで起こっている会話や会議から疎外されていると感じることのない企業文化を作っていくよう促すためです。

私自身は、用語の正しさばかりを気にするこの種のアプローチに時として苛立ちを覚えます。「言葉狩り」のように思えるからです。でも、そう思うたびに、日本企業の本社で外国人社員として働いていた時のことも思い出します。個人としてどう処遇されたかに関しては、まったく不満はありませんでした。が、年次報告書のような英語の資料について意見を求められるたびに、社員を男性・女性、日本採用・外国採用に分けるのは海外の読者にとって違和感があると幾度となく指摘したものです。これらの区分がなぜ存在するかは知っていました。当時、女性社員の99.9%は一般職で、男性社員は100%総合職だったためです。このため、事務系と管理系または営業系の社員割合を示すには、これが手っ取り早い方法だったのです。日本採用と外国採用の区分は、単体か連結かという会計方式に関係していました。

とはいえ私には、「女性」や「外国」というのが格下であるように感じられたのです。もちろん、これらの区分は後に変更されました。多くの企業で正社員を事務系と管理系に分ける慣習がなくなったためです。最近では持株会社という形態が登場したため、会計基準も変わり、社員について単体と連結を区別するのは以前ほど意味を持たなくなりました。

しかし今でも、日本のクライアントから、社員の区分をどう呼ぶべきかについて相談されることがあります。日本からの駐在員を「rotating staff」と呼んでいる企業もありますが、これもまた、日本以外で採用された社員は他国に赴任する可能性がないことをほのめかす言い方です。あるイギリス人の社員は、日本の本社が送信してきたメールに部下という意味で「subordinate」が使われていることに不満を感じ、それを私に伝えてきました。階級意識の強いイギリス社会ですら、一般社員に対しては「colleagues」や「team members」の呼称が好まれています。

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真のグローバル化を目指す日本企業にはフレキシブルな勤務形態が必要

2011年の東日本大震災の後、節電方法としてクリエイティブな提案が多数出されました。金曜日を休みにして土曜日に働くといったアイデアもありました。こうしたアイデアについての記事を読むにつけ、私は、フレキシブルな勤務形態がようやく日本でも普及するのではないかと希望を高めました。フレキシブルな勤務形態は、女性の再雇用を促す方策として長らく議論されてきましたが、必ずしも普及したとは言えません。職場のダイバーシティを高めるための儀礼的な取り組みとして女性だけを対象に導入するのではなく、重要な社会のニーズを感じてこの種の制度を実践的に運用する日本企業がクリティカルマスに達しないかぎり、社会に広く浸透した働き方になることは決してないと、私は常日頃思ってきました。

自宅勤務ができれば、電力不足の状況にとって明らかにプラスの効果をもたらします。エネルギーを大量に消費する交通機関への負担が減るためです。また、災害に強い社会を作ることにもつながります。仮に日本がまたも大きな震災に見舞われたならば、社員が各所に分散していることで、1カ所のオフィスビルに全員が集まっているという弱さを緩和できます。

長期的に社会にもたらされる恩恵は、女性の職場復帰を促すという明らかなメリット以外にもあります。同僚や会社に気を遣って長時間オフィスに居残ることを良しとする「プレゼンティーイズム」を規範とする状況が、ついに解消されるかもしれません。日本企業にとって、プレゼンティーイズムの自然消滅を受け入れるのは困難です。残業の背後にある基本的な姿勢として、集団志向があるためです。その結果、自分のその日の仕事をすべて終えるということが、決してできません。チームの誰かを手伝うことは常にできるからです。

過去10年ほどの間にイギリスの職場で起こった大きな変化のひとつは、私が「グレーゾーン」と呼んでいる働き方です。スマートフォンのおかげで、朝晩の通勤途中に仕事のメールをチェックできるようになりました。また、小型軽量のノートパソコンや会社のサーバーにリモートからログインできる機能によって、仕事を家に持ち帰るのも簡単になりました。日本企業は、こうした働き方がもたらすセキュリティのリスクを案じています。とはいえ、データを1カ所のハードウェアにまとめておくことにもセキュリティのリスクがあることは認識されるようになっています。

イギリスでフレキシブルな勤務形態が重用されるようになった背景には、タイムゾーンという点で理想的なロケーションにあることが影響しています。朝のうちにアジアから業務を引き継ぎ、午後には北米の同僚にバトンタッチすることができます。朝早くや夜遅くの電話も、自宅からかけられるのであれば、それほど耐え難いものではなくなります。とはいえ、同僚との交流や情報共有という点でバランスを取らなければならないことも認識されています。月曜から金曜までずっと自宅勤務をすれば、業務の効果的な遂行には役立ちません。日本には、北米からアジア経由でヨーロッパへと業務をつなぐ際の溝を埋める橋渡し役になってほしいと思います。ただし、それにはフレキシブルな勤務時間を認める必要があるでしょう。

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ミレニアル世代と海外勤務

shutterstock_290042417日本と同様にヨーロッパでも、雇用主はミレニアル世代の社員の管理方法に悩んでいます。1980年代から2000年代初めに生まれた若手の社員です。

国を問わずミレニアル世代に共通する点をひとつ挙げるとすれば、言うまでもなく、ソーシャルメディアの使用度でしょう。この結果、この世代は世界に対して比較的オープンマインドであることが、一部で報告されています。イギリスでは、ミレニアル世代は年上の世代に比べてEUを支持する傾向にあり、移民に対しても心を開いています。ミレニアル世代は、会ったことのない人と関係を作り、住んでいる場所や国籍や性別に関係なく、お互いの興味や趣味を介して友情を育んでいくのに慣れています。

これに呼応して、外国に住みたい、外国で働きたい、外国に留学したいと思う割合も、年上の世代より高くなっています。PwCが2015年に行った国際調査によると、男女を問わずミレニアル世代の71%は、キャリアのどこかの時点で外国で働いてみたいと回答しました。また、やはりPwCが2015年に行った複数世代にわたる調査では、すべての年齢層と性別の回答者が、キャリアの早いうちに海外勤務を経験することが重要だと考えていました。

しかし、日本のミレニアル世代の調査では、留学や海外勤務の経験者が以前の世代に比べて減っています。留学や海外勤務から帰ってきた後にどんなポストが待っているか分からないという懸念があることは推測できますし、それは他の国でも最大の懸念となっています。

また、会社の側にも、誰を海外に赴任させるべきか、どんな役職を与えるべきかについて、一定の考え方があると思われます。私は最近、イギリス在住の様々な日本人女性にインタビューしたことのあるイギリス人の研究者と話す機会がありました。彼女の話によると、インタビューした日本人女性の多くは、海外駐在になることを期待して日本の日本企業に入社したそうです。けれども、海外駐在希望が無視され続けたため、自分で会社を辞めてイギリスに来ていました。

日本企業が抱えている問題には、若い人材の確保、社員の高齢化、男女を問わずグローバルな管理業務を担うことのできる人材の欠如などがありますが、こうした問題の多くは、転勤や人事異動についてもっと統合的でインクルーシブなアプローチを取れば解決することのように思われます。ヨーロッパの企業では、ヨーロッパ全域から大学卒業生を雇い入れて、様々な国の事業部門をローテーションさせることが普通に行われています。私のクライアント企業でも大手のいくつかが現在、ローテーションで社員を日本に送っています。グローバルな仕事というのは、必ずしも3~5年の海外勤務である必要はなく、期間は数か月から無期まで、あるいはバーチャルにグローバルな業務を担当することも考えられます。

イギリスのEU残留支持派が展開している政治運動では、ミレニアル世代をターゲットにしたこんなメッセージが語られています。イギリスがEUを離脱すれば、若いイギリス人がヨーロッパの他の国で勉強したり仕事したりするのは難しくなる、というものです。しかし、残念ながらミレニアル世代のもうひとつの特徴は、低投票率です。EU離脱を支持する年上の世代のほうが、熱心に投票所に行くでしょう。

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グローバル標準のためにプライドを抑えることも必要

shutterstock_310028435日本企業に買収されたヨーロッパ企業の上級幹部から不満の声を聞きました。ヨーロッパがあたかも同質な1つの国であるかのように扱われているというのです。その会社は、非常に異なるヨーロッパの5か国にオフィスを有していて、地域本部はドイツにあります。「確かにヨーロッパの人は、お互いへの接し方を心得ているかもしれません。何百年も前から一緒に暮らし、働いてきたのは事実です。でも、ヨーロッパ、北米、アジアという3地域の構造を取っていることが不思議に思えるのです。北米には社員が2人しかおらず、アジアには地域本部がなくて、台湾、中国、韓国、日本が別々に経営されています」。

この会社は小さな会社でしたが、同様の状況は、はるかに大きな日本の多国籍企業の多くで見られます。不満の背景には、ヨーロッパの人が「地位」に敏感であることがあるかもしれません。つまり、他の地域と同じように扱われたい、ヨーロッパが1つの地域なのであればアジアも1つの地域であるという考えです。

しかし、もっともな懸念も作用しています。それは、製品やサービスをグローバルに提供するのであれば、会社自体がバランスの取れたグローバルな構造を持ち、共通のプラットフォームやシステム、プロセスに則らなければならないという考えです。買収を通じて成長する企業は、国によって非常に異なる製品とサービスを持つことになりがちです。業務のプロセスやシステムも異なれば、グローバルな事業に寄与している各地域が売上高と経費をどう共有するかについても明確な理解が存在しないことが多いのです。

これは非常に大きな、長期にわたる論争を招く可能性があります。事業と生産工程と技術を標準化するというのは、お互いに絡み合った問題だからです。どの製品とサービスがグローバルで、どれがローカルかをひとたび決めれば、売上高を分担するための基礎ができます。しかし、この結果として各地域が旨みの大きいローカルの事業ばかりに重点を置き、グローバルな契約への参加を拒んだりしないよう、注意する必要があります。

グローバルに提供するものが決まれば、技術を標準化できるようになります。すべてのウェブサイトを同じコンテンツ・マネジメント・システムで動作させ、製品を同じプラットフォームで生産し、グローバルな会計システムを使って販売や調達を記録するといったことです。

日本企業は、スピードと効率を重視するため、時にはプライドを抑えなければならないでしょう。野村證券がリーマン・ブラザーズを買収した際、取引プラットフォームをリーマンのプラットフォームに移行すると決定したのは印象的でした。リーマンのプラットフォームのほうが技術的に優れていて、2つのプラットフォームを統合したり日本のシステムに全員を移行したりするよりも速かったためです。

このような問題にかかわりたいと思う人は誰もいません。あまりにも複雑で、内部闘争を招きかねないうえ、グローバル標準が自分の国ではうまく行かないと主張する人から抵抗を受けるのが目に見えているからです。でも残念ながら、買収後すぐにこれらの問題に対応しておかないと、わだかまりが増殖して、解決はますます困難になるでしょう。

 

 

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日本とアフリカ

ticad多くの日系企業が、イギリス、ドイツ、オランダなどの欧州本社を拠点にして地域全体の管理業務を司ってきました。最近では、その管轄地域を欧州、中近東、アフリカ、略してEMEAとすることが増えています。特にイギリスはアフリカおよび中近東と歴史的に深いつながりがあり、ロンドンからこれら地域への空の便が便利なうえ、イギリスに居ながらにしてアフリカと中近東に関する情報が比較的容易に得られます。この地域の出身者や専門家がイギリス国内にたくさんいるためです。

そうした専門家の一人、オックスフォード大学のポール・コリアー経済学教授がロンドン在住の日本人ビジネスマングループを前に講演を行いました。G8首脳会議で安倍首相に面会したコリアー教授の話は、アフリカとの関係を強化するという安倍内閣および日本企業の最近の方向性をおおむね支持する内容でした。

ただし、現実的な見方も持っています。「アフリカがすばらしいところだと言うつもりはありません。アフリカは複雑で、経済規模も小さなものです。しかし、大きな事業機会があります」。コリアー教授の説く事業機会は、主に4分野に分かれます。(1)天然資源、(2)その資源を利用するためのインフラ、(3)電力、建設、消費財セクターの成長、(4)モバイル決済などの「電子経済」です。

また、コリアー教授は、アフリカが日本にとって魅力的な市場となる理由を説明しました。まず第一に、アフリカの成長は商品価格に大きく依存していて、一方の日本は一次産品の一大輸入国であることから、アフリカに投資しておくことで商品価格の変動にヘッジをかけることができます。第二に、日本はアフリカで歓迎される存在です。「アフリカはヨーロッパには飽き飽きしていて、命令されたくないと思っています」。米国は、植民地保有国のようにふるまい、でもアフリカに投資する資本は持ち合わせていません。中国は、10年前は非常に歓迎されましたが、今ではアフリカの指導者の多くが中国への依存過多を恐れ、中国とのビジネスに消極的になっています。

一方、コリアー教授は、日本にとって最大のネガティブ要因として文化的な側面を挙げています。「アフリカは日本の正反対です。日本は信頼性と社会的結束力の高さを特徴とする社会ですが、アフリカはそうではありません」。言うまでもなくアフリカは国ではなく、54か国から成る地域です。事業機会とリスクの度合いは国によって大きく異なります。そのなかでコリアー教授は、ラゴスとナイロビを重視し、場合によってはルワンダにサブオフィスを開くことを勧めています。汚職については、リスクはむしろ評判上のものであって金銭的なものではないとしていて、会社のポリシーを徹底して、その内容を取引相手にも明確に伝えることが重要だと説明しています。

さらに、コリアー教授は、イギリスの拠点からアフリカにアプローチするのが賢明な戦術だと語りました。「イギリスは、官民のどちらのセクターでも、アフリカについての知識や人脈を持っています。ただ、アフリカがほしがるような製品は持っていません」。日本はアフリカがほしがる製品を持っています。ゆえに、イギリスと手を組むことにより互恵関係が実現するでしょう。

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イギリスのEU離脱で生じる事業機会

shutterstock_407998837最近ランチを一緒にした日本人駐在員が、次のような話をしてくれました。イギリス人の同僚が、EU離脱が決まった後のショックからすぐに立ち直り、EU離脱の結果として生じる事業機会について、すぐさま考えるようになったので驚いたというのです。私自身もポジティブ思考を心がけていて、在英日系企業の今後についてリサーチを開始しています。これまでに特定できた事業機会は、次の3点に分けられそうです。

アフリカと中東

イギリスは歴史的にアフリカおよび中東との太いパイプを有してきたため、この地域の事業活動をコーディネートする拠点としては今後も好適地であり続けるでしょう。アフリカや中東の出身者、およびこれら市場の専門家がイギリスには多数いて、情報や管理能力をもたらしてくれます。

また、イギリス政府は、非EU諸国との貿易拡大を図ることで、EU離脱のマイナス影響を相殺しようとするでしょう。このため、アフリカや中東の事業開発に対して多大な支援が寄せられる可能性があります。

アフリカや中東の出身者をイギリス国内で雇い入れることも、以前より容易になるかもしれません。イギリス国民がEU離脱に票を投じた背景には、移民の抑止がありました。しかしこれは、主に東欧からの非熟練労働者の流入に対する反応です。ほとんどの日系企業はそもそもこのような労働者を雇用していませんから、この種の移民の制限が大きな影響を及ぼすとは思えません。

日本の金融サービス企業はすでに、イギリス以外の支店のステータスをEU支店または現地法人に変えていて、さらにアフリカ事業を強化しつつあります。しかし、これらの事業拠点は今後もロンドン・オフィスが管轄し、ロンドンがEMEAのコーディネーション機能を果たすと見られます。

日本のメーカーは、かねてより非熟練労働集約型の生産活動を東欧やアフリカに移動させてきました。イギリスのEU離脱でこのトレンドは加速し、イギリスはエンジニアリングや設計・開発を専門とする地域内のハブになるでしょう。

インフラストラクチャ

製造業が東や南(東欧やアフリカ)へ移動しつつあるとはいえ、イギリス政府は、高賃金で安定した肉体労働の雇用をイギリスに呼び戻さなければならないことを十分に認識しています。これを実現する最も明らかな方法と言えば、輸送交通やエネルギーといったインフラへの公的投資です。日立や他のインフラ関連企業は、この部分で多数の事業機会を見つけられるでしょう。ただし、エネルギーや輸送交通の開発プロジェクトに流れてきたEUからの予算が今後どうなるのかは明らかではありません。

イギリス企業の買収

ソフトバンクによるARMの買収が示したように、イギリスには買収標的として依然魅力のある企業が多数あります。単一市場への入口としてではなく、ブランドや技術やノウハウの点でユニークな特長がある企業です。例えば、イギリスの食品・飲料ブランド、保険市場ロイズのアンダーライター、イギリスの広告代理店などが、最近になって日本企業に買収されています。円高・ポンド安は今後もしばらく続きそうですから、勇気のある会社には“お値打ち品”が見つかるかもしれません。

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オランダのモチベーションと生産性

shutterstock_241982638先週、オランダへ出張した際、現地で会った日本人マネージャーから、スタッフのモチベーションを上げる方法で悩んでいるという話を聞きました。この悩みは、ヨーロッパ勤務の日本人マネージャーからよく相談されるのですが、いつも私が聞きたいと感じるのは、モチベーションとは具体的に何を意味するかということです。

通常、モチベーションの高い社員とは、努力を惜しまず、最後までやり抜く人と考えられています。けれども、これは客観的な測定が難しい性質です。このためヨーロッパの社員は、日本人マネージャーがデスクで仕事をした時間数という尺度でモチベーションを評価するのではないかと懸念しています。実際、この懸念には正当な理由があります。最近私が聞いた話では、スペイン勤務のある日本人マネージャーが、スペイン人のスタッフは日本人やイギリス人と比べてデスクに座っている時間が短いのはなぜかと問いかけたそうです。

オランダに長年住んだ日本人の話では、オランダ人のスタッフに何をすればモチベーションが上がるかなどと聞こうものなら、直ちに「私の時間を無駄にしないでください」という答えが返ってくるとのことでした。つまり、オランダ人にとっては、時間を無駄にすることがモチベーションを下げる大きな要因なのだそうです。

OECDとユニセフの調査によると、オランダは、生産性が高く(通常は労働時間当たりのGDPで定義されます)、また子供の幸せ度が高い国です。この2つの間には関係性があり、それはアムステルダムの風景を見れば明らかです。自転車の後ろに小さなカートや子供用自転車を付けて子供を学校へ送り迎えする父母で溢れています。オランダのファミリーは、午後6時頃に家族揃って夕食を取り、夕暮れ時にはスポーツや他の趣味を一緒に楽しみ、子供だけで出かけるのも自由に認めています。オフィスと学校と住宅はすべて混在しているため、通勤時間も長くありません。

私が現地で聞いた話によると、週に1日か2日は自宅勤務をすることも普通で、特に欧州域内やグローバルな同僚とかかわる仕事、つまり自分のチームが物理的に同じ場所にいない社員の間ではよく行われています。また、子供がいる人は、男女を問わずパートタイム勤務にして、なおも管理職であり続けることも珍しくありません。つまりは、オランダ人のモチベーションを高めようと思うのであれば、生産性の高い働き方ができていると感じさせるのがベストということです。

しかし一方で、オランダ出張中、同じホテルに滞在していたイギリス人のマネージャー2人が朝食を取りながらオランダ人の同僚について次のように話しているのも耳にしました。「オランダ人は確かに能率が良いし、仕事を片付けてくれる。でも、自分流のやり方で片付けるため、蓋を開けてみれば全員がバラバラなことをやっていることもあり、コーディネートが難しい」。

もしかすると、これは、日本とイギリスの特にサービス産業の生産性がオランダよりも低い理由を突いているかもしれません。私たちは、自分で付加価値を生産するよりも、他人の仕事をコーディネートしたり監督したりするのに時間を費やしているのです。その時間が、場合によっては長すぎるということもあるのかもしれません。

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エストニア-ヨーロッパ共通の文化を探して

shutterstock_312025430以前からエストニアを一度訪れてみたいと思っていました。小さな国で、人口もわずか130万人ですが、バルト海地域に所縁のある家族の歴史を調べた際に、 エストニアを知ることでヨーロッパの発展について理解を深めることができ、ヨーロッパのアイデンティティ、すなわち共通の文化のようなものがあるかどうか を理解するのにも役立つことが分かったからです。

そこで、エストニアの首都タリンでの会議に参加する機会に最近恵まれたのを受けて、観光の時間を十分に取ることにしました。日本ではヨーロッパの文化を 「石の文化」と呼ぶことがしばしばありますが、エストニアは間違いなくその範疇に収まるでしょう。美しい教会や中世の家並みなど観光の見所にある多くの建 物が、地元で採取される石灰岩で造られています。

歴史から見るヨーロッパのアイデンティティ

でも、エストニアの他の側面は、私が考える一般的なヨーロッパの概念には当てはまりませんでした。例えば、エストニアにキリスト教が伝播したのは13世紀 ときわめて遅く、西欧諸国への伝播から1,000年後のことです。キリスト教徒だったデンマーク王とスウェーデン王、さらにリヴォニア騎士団とドイツ騎士 団の率いる北方十字軍によって制覇されるまでは、異教徒の国でした(このうちドイツ騎士団が、私の母方のルーツです)。今日に至るまで、エストニアはヨー ロッパで最も宗教色の薄い国のひとつであり続けています。

キリスト教の伝播が遅れた一因として、エストニアがローマ帝国によって一度も征服されなかったことが挙げられます。この点が、西欧や南欧のほとんどの国とは異なっています。

ただし、エストニアは過去700年にわたって他の国々に征服されてきました。スウェーデン、それからロシア。1920~1930年代には短い独立を謳歌しましたが、その後ドイツに占領され、さらに最も最近ではソ連の一部として共産党の支配下に置かれていました。

共産党政権は、基本的に農業と商業で成り立っていたエストニアの経済を工業化しようとして、工場や鉱山を開設し、そこにロシアからの労働者を多数送り込み ました。当初エストニアはロシア人の移住先として好ましい土地と見なされましたが、この工業化の試みは成功せず、特にそれまでの西側諸国との通商路が絶た れたことで、エストニア経済は打撃を受けました。

タリンの古い商家が建ち並ぶエリアを歩きながら、私は確かにヨーロッパの息吹を感じました。タリンは、ハンザ同盟の加盟都市として栄えた街です。ハンザ同 盟とは、13世紀から17世紀にかけてイギリスからロシアまでの多数の北部ヨーロッパの国に広がった商人同盟、都市同盟です。

最近ではイギリスやオランダで反ヨーロッパ運動が盛んになっていますが、それでもほとんどの人は、何らかの貿易同盟に参加していたいと思うものです。通商 や海運で栄えたこの地域の人々は、ヨーロッパ中を旅して各地に移住しました。他者との交易を好んで追求する姿勢は、今も綿々と受け継がれています。これ は、ヨーロッパの誰もが失いたくないと思っているアイデンティティと言えるでしょう。

パニラ・ラドリン著 Teikoku Databank News 2013年11月7日号より

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イギリスがEUを離脱するなら日系企業はどうすべきか

Brugesノリッチに引っ越したのは今から2年弱前のことですが、こちらに来るなり驚かされたことがありました。当地の新しい税理士さんから「この辺りではユーロは取り扱いませんよ」と言われたのです。私の会社の売り上げの3分の1はユーロです。このため、ビジネスにとって良い場所を選んだのだろうかと不安を覚えずにはいられませんでした。私の主な顧客である日系企業がこの地域にあまりないのは事実です。でも、地域内には食品加工や風力発電など、イングランド東部の産業を反映する企業があります。

また、ノリッチはロンドンへのアクセスが至便です。こうしたことから、最近日本の保険会社に買収されたロンドンの会社から仕事を受けて、先月ベルギーへ行ってきました。

この出張中にはブルッヘを訪れてきました。ノリッチに似た側面があることに興味を覚えたからです。どちらも中世に栄えた川沿いの港町で、地元で作られた衣類の貿易が盛んでした。けれども産業革命に乗り遅れ、川の流れが淀んだ後は貿易も衰退しました。現代の産業には相違点があり、ブルッヘが主に観光経済で成り立っているのに対し、ノリッチには多様な産業があり、保険や他の専門サービス業界に入り込んでいます。

ブルッヘは、1988年に当時のサッチャー首相がさらなる欧州統合に反対する有名な演説をした場所です。この演説にちなんでブルッヘ・グループという名前を冠した団体が、最近ではイギリスのEU離脱を求める運動を展開するようになりました。

EU離脱派は、離脱こそが政治や規制に対する欧州からの干渉に終止符を打つ手段であると考えています。しかし、普通のイギリス人には、イギリスの国境を守り、特に欧州からのさらなる移民の流入を食い止める手段だと説明したほうが理解されやすいでしょう。

イギリス東海岸の他の港町は、ノリッチほど景況が芳しくありません。失業率が高いにもかかわらず、欧州から多数の人が流れ込んで、作物の収穫や食品の加工に携わっています。EU離脱を支持しているイギリス独立党は、この地域に強い支持基盤を有しています。彼らは、欧州からの移民がイギリス人の職を奪っていて、賃金を抑え込み、学校や病院に負担をかけているという見方を訴えています。

では、イギリスがEUを離脱することになった場合、日系企業はどうすべきなのでしょうか。おそらく、イギリスが業界の中心地である、あるいはイギリス市場そのものに魅力があるという理由でイギリス拠点に投資してきた企業は、今後もイギリスに留まるでしょう。しかし、イギリスを拠点に欧州全域の事業を展開している企業は、移転したり今後の投資を大陸欧州に傾けたりすることを検討するかもしれません。

欧州が過去40年にわたって追求してきた共通市場の形成と移動の自由を受けて、ほとんどの多国籍企業は組織構造を統合してきました。イギリスは、欧州本社機能のハブになることで、直接雇用と間接雇用の両方を生み出し、恩恵を受けました。が、この結果、ロンドンの事業経費は高騰し、雇用は東へ流れるようになりました。イギリス東部だけでなく、ポーランドといった国にまで及んでいます。私自身もポーランドでコンサルタントを雇い入れようとしている最中ですが、皮肉なことに、候補者のほとんどはイギリスで働いた経験を有しています。

Pernille Rudlin著 帝国データーバンク・ニュースより

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日系企業トップ30社の半数以上がイギリスに欧州本社

EU離脱か残留かをめぐる今回の国民投票に関係して盛んに引き合いにされている統計が、非欧州資本の企業の60%が欧州本社をイギリスに置いているという統計です。そこで、ヨーロッパで事業展開している日系企業トップ30社の統計を更新し、域内雇用者数で見た上位30社(ただし、欧州本社の管轄地域にアフリカ、トルコ、中東、ロシアを入れている会社もあります)のうち16社が欧州本社をイギリスに置いていることを確認しました。30社中16社ということは53%ですから、全体統計をわずかに下回る割合です。これら企業は、域内で実に42万人近い社員を直接雇用しています。
今回の更新に際して、矢崎総業を2位に追加しました。同社の欧州本社はドイツにあり、欧州事業とアフリカの工場を管轄しています。欧州とアフリカの社員数は計4万5,200人ですが、当然ながら大半はアフリカの工場の社員です。

イギリスがEUを離脱することになるとしても、イギリスはなおも歴史的な関係やイギリス連邦時代のつながりを理由に、ヨーロッパとアフリカまたはEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)を管轄する本社をロンドンに置くのが理にかなっていると議論できることでしょう。しかし明らかに、自動車業界にとっては、これは大きな要因ではありません。業界で欧州御社をイギリスに置いているのはホンダのみで、部品サプライヤは顧客に追随する傾向にあります。

エレクトロニクス業界でよく知られたブランドを有する企業のほとんどは、欧州本社をイギリスに置いています。金融機関はほとんどがロンドンに本社を置いていますが、雇用者数があまり多くないため、トップ30社には含まれていません。

矢崎を追加したことで日本電産が押し出されましたが、買収に積極的と見受けられることから、遠からず復活するのではないかと思われます。
改訂版トップ30社のリストをPDFでご覧になりたい方は、弊社の月刊ニュースレターをご購読ください。

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