About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in spoken and written Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation (the Fortune 100 $190bn Japanese investment and trading conglomerate) working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures

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技術とサービス

イギリス赴任は2度目という2人の日本人駐在員に、10年ほど前の前回の駐在時と比べてイギリスのどこが変わったと思うかを尋ねてみました。すると驚いたことに、2人とも、カスタマーサービスが良くなったと言ったのです。

これを聞いて、私は最初、レストランのウェイターや小売店の店員として働く東欧からの移民が格段に増えたせいかなと感じました。東欧出身の人々は、かつてイギリスで普通と考えられていたレベルをはるかに上回る情熱と能率で、こうした仕事をこなしているからです。

でも、よく話してみて、自分の最近の体験もあらためて考えてみた結果、駐在員の言っているサービスの改善は、サービス業に就く人の文化的なマインドセットというよりは、むしろ技術によるところが大きいことに気付きました「家で修理が必要になって人を手配すると、そのとおりにやって来る」と、駐在員の一人は言いました。実際、かつてはこういう確かさはありませんでした。修理人を待って一日仕事を休む羽目になり、遅れの理由を説明する電話ひとつないことも当たり前でした。

私も最近、洗濯機を買った際に、オンラインで注文して配達の日にちと時間枠を選ぼうとしたところ、夜9時まで配達の時間枠が設けられているのに驚かされました。注文後は店からメールとテキストメッセージ(SMS)のリマインダが何度も届き、時間を変更するオプションも提供してきました。配達当日にテキストメッセージが何度か配信され、1時間以内の正確さで到着時刻を予告してくるのもごく普通です。配達の人が何らかのGPS機器を持っていて、効率の良いルートを計画し、途中経過をアップデートしているのです。オフィスのスタッフも、彼らの現在地を把握して、サポートを提供することができます。

また、これは先週のことでしたが、アマゾンで注文した商品が届いていないことに気付いて「call me」というボタンをクリックしてみたところ、1秒以内に私の携帯が鳴り、(インドのコールセンターからと思われる担当者が)あらためて翌日発送で商品を手配してくれました。

この種のサービスは他の国でも提供されていることと思いますが、様々な調査によると、イギリス人は世界で最もオンラインショッピングを愛用している国民のようです。マッキンゼーの調べでは、インターネット普及率はヨーロッパより米国のほうが高いにもかかわらず、ヨーロッパの人のほうがアメリカ人よりデジタルの購入チャネルやバンキング・サービスを好む確率がはるかに高いことが分かりました。

イギリス経済に占めるサービス業の構成比は今や80%ですから、イギリスがサービス提供のあり方を改善したとしても驚きではないのかもしれません。日本企業にとっては、EU離脱があるとはいえ、イギリスのサービス業界の企業はなおも魅力的な投資機会です。技術を手に入れ、かつ世界の他の国のバーチャル市場を開拓するチャンスをつかめるからです。日本からイギリスへの最近の投資案件が、ソフトバンクのARM買収、あいおいニッセイ同和損保のInsure The Box買収など、技術主体のサービス業に集中していることは、注目に値します。

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ポーランドと東欧にとってのEUの魅力

イギリス在住の最大の外国人グループがポーランドからの移民になったと、先日ニュースで報じられました。ポーランド生まれのイギリス在住者は、2015年時点で約83万1,000人で、インド出身者を上回りました。ポーランドがEUに加盟した2004年から75万人の増加を意味し、東欧からの移民がいかに急速かつ大幅に拡大しているかを示しています。これは、イギリス国民がEU離脱に票を投じた根本原因のひとつでした。

とはいえ、ポーランドとイギリスのつながりには長い歴史があります。第二次大戦後に大量の移民がポーランドからイギリスに流入して定住しました。バトル・オブ・ブリテンで活躍したポーランド人パイロットの功績ゆえに、ポーランドからの移民は温かく歓迎されました。

ポーランドとイギリスの貿易の歴史はさらに古く、中世のハンザ同盟にまでさかのぼります。ロシアからバルト海地域を通ってドイツへ、さらにオランダやベルギーなどの低地地方、そしてイギリスへと至る交易が栄えました。

しかし、これをEUのような国家同盟と考えるのは間違いです。ハンザ同盟は都市同盟でした。私たちが今日知っているヨーロッパ諸国の多くは、当時は存在しませんでした。加盟していた都市は、グダニスクやハンザ同盟の盟主リューベックなど、準自治都市であるか、または神聖ローマ帝国かロシアかデンマークに統治されていました。もちろん、より最近では、東欧は共産主義国ソビエト連邦の影響下にありました。

今グダニスクを訪れると、戦後復元された旧市街は、プロイセンによるドイツ同化政策が取られる前の様子を映し出した、ある意味で想像の産物とも言える美しさがあります。本当の旧市街は第二次大戦で廃墟となったためです。連帯博物館も、やはり訪れる価値があります。グダニスクの造船所で労働組合「連帯」が起こした1980~1981年のストライキが、民主化のプロセスとなって世界を動かし、1989年にベルリンの壁を崩壊させたことを思い起こさせてくれます。

各国におけるEUの存在意義

EUに懐疑的なイギリス人は、EUが貿易のみに特化した同盟になるべきであって、イギリスの国境と財務と法律をめぐる統治権はイギリスが取り戻すべきだと訴えています。他のEU加盟国にとってEUとは、平和と民主主義を支えることで人々の暮らしを再び保障できるようになるための手段でした。しかし、この狙いはイギリスにとってあまり魅力的には感じられませんでした。最近の歴史において国内で地上戦が戦われたり、独裁者に支配されたり、はたまた他国に制圧されたりした経験がなかったからです。

他のEU諸国でも、EUは国の統治権にとって脅威をもたらすようになっていると、多くの市民や政治家が言い始めていて、これにはポーランドも含まれます。国境警備があらためて導入されつつあり、EU自体が最終的には崩壊する可能性も多々あります。

イギリスに住むポーランド人は、イギリスがEUから離脱した後の身分を案じています。EU域内に住む数百万人というイギリス人も、やはり不安を抱えています。

EUの日系企業で働いている社員の多くは移民であるため、日系企業に今できる最善のことは、確実に面倒を見ると約束し、必要とあらば日本や他国の子会社への転籍も可能にすると説明することでしょう。

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ヨーロッパの反米感情

私と同世代の人であれば、トランプ氏の選挙勝利のニュースを、レーガン大統領が選出された35年前と重ね合わせて聞いたことでしょう。私はティーンエイジャーでしたが、レーガンを選んだアメリカ人を揶揄する音楽や番組がイギリスで人気を博したのを覚えています。あまり頭が良くなく、戦争好きなB級映画俳優と思われていたためです。

私はこの選挙の直前に、半年だけペンシルベニア州に住み、アメリカのハイスクールに通いました。私の世界観に多大な影響を及ぼした経験でした。自分の目で見た「チャンスの国」は、何もかもが新しく、エネルギーに溢れ、豊かに見えたものです。当時イギリスは、失業率が高く、暴動が多発していました。

イギリス人のみならず、ほとんどのヨーロッパの国民は、アメリカとアメリカ人に対して、憧れと憤りと恐れの入り混じった複雑な感情を抱いています。私の両親と祖父母は、第二次大戦後に駐留したアメリカの軍人のことを覚えています。ヨーロッパの解放を助けてくれたことに感謝しつつも、自分たちよりはるかに豊かそうで体格も良い軍人たちを妬ましく思ったのでした。

日本人のなかにも似たような感情と記憶を共有する人は多いことでしょう。とはいえ、アメリカは、もっと大きな影響を日本に及ぼしてきました。戦後の占領の後もアメリカ文化が影響し続け、日本の学校で指導される英語はアメリカ英語です。

このため、他の西洋文化を知らない日本人は、アメリカ流のコミュニケーションが国際的に通用すると考えがちです。しかし、ヨーロッパの人は、日本企業が明らかにアメリカ流のやり方をしていると感じると、非常に敏感に反応します。日本企業が米国法人を通じて海外事業を管理しようものなら、即座に反感が広まります。トップダウン方式でコントロールしてくるマネジメント・スタイルは受け入れられないのです。

米国駐在を経てヨーロッパに赴任する日本人駐在員は、「とにかくやれ」風の命令方法が通用しないことに苛立ちを覚えます。ヨーロッパでは、無能な社員や命令に従わない社員を解雇するのは、アメリカほど簡単ではありません。ヨーロッパの社員は、業務について意見を求められることを期待していて、正当な懸念があれば上司に異議を唱えたり問題点を指摘したりするのが重要だと考えています。

文書や資料ですら、明らかにアメリカ風であれば抵抗を招きます。私自身、顧客企業から学習教材やマニュアルを導入したくないと言われたことが2度ありました。日本で作成されたものでしたが、アメリカ英語を使っていて、アメリカ風の語調が見られたためです。

アメリカ企業は、自分たちのやり方が世界的な標準であると日本の顧客を説得するのが得意ですし、実際、それはある程度まで真実です。けれども、ベストのやり方は、アメリカの素材を基本としながら、各国の好みに合わせてカスタマイズできる余地を多分に残しておくことです。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのトレーニングもこの方式を取っています。

適度なバランスを見つけるのは容易ではありません。が、その努力をしなければ、ヨーロッパでは執拗に抵抗され拒否される結果になるでしょう。

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イギリスのEU離脱が示唆するヨーロッパの経営管理についての洞察

イギリスのEU離脱交渉がどんな結果になるとしても、日系企業の反応という点においては、これまでの展開からすでに2つの結論を導くことができそうです。ひとつは、ヨーロッパで以前から明確化していた組織構造のトレンドが今後加速すること、もうひとつは、ヨーロッパにおける交渉法の違いがEU単一市場の25年近い歴史をもってしても依然存在することです。

組織構造に関しては、物理的な統合が分解する一方でバーチャルの統合が進んでいます。現時点でヨーロッパの最大手日系企業の半分以上が、地域本社をイギリスに置いています。その理由は、第一に金融をはじめ層の厚いサポートサービスがイギリスに存在すること、第二に人の移動の自由のおかげで様々な国籍者をイギリス国内で雇うことができ、また英語でビジネスができる便利さがあることです。後者の利点はEU離脱で消えるわけではありませんが、イギリスがEUの財務上の“パスポート”を返上するのであれば、金融セクターや他のサービスセクターの多くがアムステルダムやフランクフルトに移動するかもしれません。また、イギリスのEU離脱は、EUとイギリスの間の人の移動の自由に終焉をもたらす可能性もあります。

どちらにしても、バックオフィスや業務機能、コーディネーションといった仕事の多くは、すでにイギリスから流出しつつあります。英語を話し、教育水準も高く、それでいて安価な人材が、EU域内の他の場所で見つかるからです。大手の日系企業は、すでにヨーロッパ全域にわたる管理構造を構築していて、様々なチームが数か国に点在しています。これは、チーム全員が物理的に机を並べて一緒に働く状況に慣れている日本人社員にとっては非常に困難です。日系企業は、コミュニケーション手段を使ってディスカッションを行い意思決定を下すためのプロセスを確立し、なおも出張予算を多めに確保する必要があるでしょう。

2つ目の結論は、ヨーロッパが今も現実主義者と原理原則主義者の2グループに分かれているということです。現実主義者は、昔からの貿易国、例えばイギリス、オランダ、デンマークなどに多く、ステップ・バイ・ステップで交渉し、ひとつずつ妥協点を確立していく傾向にあります。日系企業であれば、情報をすべて入手して、決定を下す前にリスクをすべて知っておきたいと考えるところでしょう。原理原則を重んじる国は、フランスやドイツなどで、現実主義者と衝突します。重要な原則と考える点(人の移動の自由がこれに該当します)について妥協することや、いったん決めたルールから逸脱することを拒否するからです。

ゆえにEUは、あまりにもしばしばプロセスやディスカッションの途中でつかえてしまい、現実離れした官僚的な組織、一般市民にとっては腐敗しているとすら見られる組織になりました。企業にとっては、ここから学ぶべき教訓がさらに2つあります。ひとつは、ヨーロッパに今後何が起こるとしても、イギリス人は経営陣のなかでフランス人やドイツ人とのバランスを取る作用をもたらすことです。現実的な問題解決を望むのであれば、これは重要かもしれません。そしてもうひとつは、経営陣があまりにも内向きになってはならないということです。内向きすぎる経営陣は、ビジョンを全社員に伝えられなくなるでしょう。

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ヨーロッパ人は議論好き

自分が11歳で日本に住んでいた頃の日記をふと読み直したところ、大人になったら政治家になりたいと書いてあり、我ながら興味をそそられました。大学時代の友人には政治家になった人も少なくありません。ということは、私にも決して不可能な夢ではなかったと言えるのでしょう。

どうしてこの野心を追求しようとしなかったのかを考えてみましたが、対立するのがあまり好きでなく、個人的に受け止めすぎる点にあったように思います。私のこの性質は、子供時代を日本で過ごしたことに起因しているのかもしれません。日本の学校は、イギリスやヨーロッパの多くの学校のように討論の機会をあまり作らないからです。でも、ティーンエイジャーの頃にはイギリスの学校にも通ったので、学校の討論会や弁論大会などを通じて議論のスキルを磨くチャンスも十分にありました。

大学に進学する頃までには、討論に参加するよりも討論を見るほうが好きになっていました。ヨーロッパのリベラルアーツ教育の主眼になっている論理立てて物事を説明する論文を書くのは好きでしたが、それでもジャーナリストになろうとは思いませんでした。

イギリスでは、ジャーナリズムと政治はどちらも「敵対的」な職業です。どんなことにも対立する2つの言い分があると主張して、その対立を故意に明るみに出すか、どちらが悪いかを示そうとするからです。ジャーナリストは、これが真実に迫るうえで必要なのだと論じています。

でも、政治家やジャーナリストが相手を負かそうとする時によく使う方法は、「アドホミネム」、すなわち「人身攻撃」的なやり方です。アドホミネムは、「人に対する」という意味のラテン語から来ていますが、つまりは相手の性格や人格を攻撃することで、その議論の有効性を否定しようとすることを意味します。

これは、優れた討論の手法とは見なされていません。相手の見解に含まれる事実や論理の欠点を突いているわけではないからです。職場では、この種の攻撃をすれば差別的と見なされるため、多くの人が回避しようとします。その代わり、ビジネス上の意思決定を下すに当たっては、定義、論理、理論、収益性、正当性などをめぐる議論が様々に行われます。

しかし、こうした議論は、伝統的な日本のアプローチとは相容れないようです。儒教的かつ帰属的な文化では、位が高いからという理由でその人の論が正当であろうと見なすことが決して不公平には当たらないからです。その結果、ヨーロッパの人が単に「なぜ」と尋ねただけで、日本の人は自分の権威を疑っている、個人的に攻撃されたと感じ取ります。

驚いたことに、哲学の伝統で最も知られる国、フランスには日本のような教育システムがあり、先生に質問することを奨励せず、この結果、職場で目上の人に質問することもあまり良しとされない傾向があります。ただし、フランスには、ストライキや血なまぐさい革命の伝統もあります。ヨーロッパ北部の職場で討論が「健康」な行為だと見なされるのは、そのためかもしれません。ヨーロッパで働く日本人のマネージャーは、自分の立場を論理的に説明することで、部下と良い関係を構築できる必要があるでしょう。

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カレンダー

様々なカレンダーが店頭に並び、販促用のカレンダーも送られてきましたが、今年も去年と同じものを選びました。壁掛けのカレンダーには、移ろう季節を感じさせてくれる俳句と浮世絵をテーマにしたカレンダー、卓上カレンダーには、実用的な理由から日本とヨーロッパの休日が書かれたカレンダーです。

カレンダー選びは私の年中行事になっていますが、毎年これをやると、ロンドンの三菱商事で働いていた頃のことを思い出します。私たち現地採用の社員は、日本から送られてくるお客様送付用の卓上カレンダーが残ると、それを奪い合ったものです。静嘉堂文庫に所蔵された美しい美術品の写真が印刷されていて、しかも月の表示をアレンジして3か月を一目で見られるようになっていました。日本とヨーロッパの海運スケジュールを計算するには、これが重要な機能だったのです。

私が選んだ卓上カレンダーも1ページに3か月分が印刷されていますが、在ヨーロッパ日系企業の社員にとって使い勝手をもっと良くするには、日本の会計年度の期末など重要な日付をあらかじめ入れておくとよいかもしれません。

在ヨーロッパ日系企業の4分の3以上は、親会社に合わせて4月1日から3月31日までの年度で経営されています。ご存じのとおり、業績発表や株主総会の日付は日本ではほぼ固定的で、同業企業が軒並み集中する傾向にあります。ただし、これに基づいて決まってくる提案企画とその意思決定の年間サイクルや、多くの日本企業が導入している3か年中期計画のサイクルは、ヨーロッパではあまりよく理解されていません。

ヨーロッパ企業のほとんどは、1月から12月の暦年で年度を締めています。しかし、同じ年度サイクルを使用していても、業績発表や株主総会の日は会社ごとに異なり、数週間、場合によっては数か月という開きがあります。

このためヨーロッパの社員に対しては、日本の本社で開かれる重要な会議や意思決定の期日を常に通達する必要があります。4月から3月の年度のリズムを直感的に知っているわけではなく、イギリスの実業界のリズムともたいていは異なるためです。実際、日本企業に数年前に買収されたあるイギリスの小売会社は、すべての記録を12月31日までに提出せよという日本の本社からの要請に応えるのが非常に難しいと感じました。12月31日というのは、3月31日を年度末として日本の本社が連結決算を出せるよう設定された期日でしたが、イギリスの小売店が最も多忙を極めるクリスマスショッピングの時期と重なっていたためです。

この日本の会社は、数年前に会計年度を1月から12月に変更し、その理由としてグローバル化する必要があると説明しました。ただし、先週イギリスの子会社を訪ねる機会があったので年度の変更でプレッシャーが和らいだかどうかを聞いてみたところ、あまり違いが感じられないとのことでした。事業がますますグローバル化しているため、結局は年中忙しいのだそうです!

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インクルーシブな言葉

イギリスのビジネスで許容される用語がいかに変わり続けているかについて、最近クライアントと話す機会がありました。明らかに、「flexible working」は最近では「agile working」に改称されました。「agile」のほうが「flexible」よりも意味が広いためです。「agile」な働き方とは、パフォーマンスや成果にむしろ重点を置いていて、その業務遂行に当たってのwho、what、when、whereに柔軟性があることを意味します。一方、「flexible」な働き方とは通常、(日本語でもそうであるように)勤務時間に柔軟性があることを意味し、子供のいる女性にとって働きやすい職場を作ろうとする際によく使われます。「agile」な働き方は、すべての社員を対象としたものであることを示唆しています。

この話をしたクライアントの役職名も、この種の変化を象徴していました。「ダイバーシティ&インクルージョン責任者」というのです。ダイバーシティは今や日本でもよく使われるようになっていて、主に性別の多様性を意味していますが、最近では多くの企業が国籍や性的指向など他の面の多様性を考慮するようになっています。イギリスで「ダイバーシティ」に加えて「インクルージョン」が使われるようになっている理由は、企業が単に多様な人材を雇用することだけに集中するのではなく、それらの多様なバックグラウンドを持った社員が意思決定や昇進、さらには自分の周りで起こっている会話や会議から疎外されていると感じることのない企業文化を作っていくよう促すためです。

私自身は、用語の正しさばかりを気にするこの種のアプローチに時として苛立ちを覚えます。「言葉狩り」のように思えるからです。でも、そう思うたびに、日本企業の本社で外国人社員として働いていた時のことも思い出します。個人としてどう処遇されたかに関しては、まったく不満はありませんでした。が、年次報告書のような英語の資料について意見を求められるたびに、社員を男性・女性、日本採用・外国採用に分けるのは海外の読者にとって違和感があると幾度となく指摘したものです。これらの区分がなぜ存在するかは知っていました。当時、女性社員の99.9%は一般職で、男性社員は100%総合職だったためです。このため、事務系と管理系または営業系の社員割合を示すには、これが手っ取り早い方法だったのです。日本採用と外国採用の区分は、単体か連結かという会計方式に関係していました。

とはいえ私には、「女性」や「外国」というのが格下であるように感じられたのです。もちろん、これらの区分は後に変更されました。多くの企業で正社員を事務系と管理系に分ける慣習がなくなったためです。最近では持株会社という形態が登場したため、会計基準も変わり、社員について単体と連結を区別するのは以前ほど意味を持たなくなりました。

しかし今でも、日本のクライアントから、社員の区分をどう呼ぶべきかについて相談されることがあります。日本からの駐在員を「rotating staff」と呼んでいる企業もありますが、これもまた、日本以外で採用された社員は他国に赴任する可能性がないことをほのめかす言い方です。あるイギリス人の社員は、日本の本社が送信してきたメールに部下という意味で「subordinate」が使われていることに不満を感じ、それを私に伝えてきました。階級意識の強いイギリス社会ですら、一般社員に対しては「colleagues」や「team members」の呼称が好まれています。

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真のグローバル化を目指す日本企業にはフレキシブルな勤務形態が必要

2011年の東日本大震災の後、節電方法としてクリエイティブな提案が多数出されました。金曜日を休みにして土曜日に働くといったアイデアもありました。こうしたアイデアについての記事を読むにつけ、私は、フレキシブルな勤務形態がようやく日本でも普及するのではないかと希望を高めました。フレキシブルな勤務形態は、女性の再雇用を促す方策として長らく議論されてきましたが、必ずしも普及したとは言えません。職場のダイバーシティを高めるための儀礼的な取り組みとして女性だけを対象に導入するのではなく、重要な社会のニーズを感じてこの種の制度を実践的に運用する日本企業がクリティカルマスに達しないかぎり、社会に広く浸透した働き方になることは決してないと、私は常日頃思ってきました。

自宅勤務ができれば、電力不足の状況にとって明らかにプラスの効果をもたらします。エネルギーを大量に消費する交通機関への負担が減るためです。また、災害に強い社会を作ることにもつながります。仮に日本がまたも大きな震災に見舞われたならば、社員が各所に分散していることで、1カ所のオフィスビルに全員が集まっているという弱さを緩和できます。

長期的に社会にもたらされる恩恵は、女性の職場復帰を促すという明らかなメリット以外にもあります。同僚や会社に気を遣って長時間オフィスに居残ることを良しとする「プレゼンティーイズム」を規範とする状況が、ついに解消されるかもしれません。日本企業にとって、プレゼンティーイズムの自然消滅を受け入れるのは困難です。残業の背後にある基本的な姿勢として、集団志向があるためです。その結果、自分のその日の仕事をすべて終えるということが、決してできません。チームの誰かを手伝うことは常にできるからです。

過去10年ほどの間にイギリスの職場で起こった大きな変化のひとつは、私が「グレーゾーン」と呼んでいる働き方です。スマートフォンのおかげで、朝晩の通勤途中に仕事のメールをチェックできるようになりました。また、小型軽量のノートパソコンや会社のサーバーにリモートからログインできる機能によって、仕事を家に持ち帰るのも簡単になりました。日本企業は、こうした働き方がもたらすセキュリティのリスクを案じています。とはいえ、データを1カ所のハードウェアにまとめておくことにもセキュリティのリスクがあることは認識されるようになっています。

イギリスでフレキシブルな勤務形態が重用されるようになった背景には、タイムゾーンという点で理想的なロケーションにあることが影響しています。朝のうちにアジアから業務を引き継ぎ、午後には北米の同僚にバトンタッチすることができます。朝早くや夜遅くの電話も、自宅からかけられるのであれば、それほど耐え難いものではなくなります。とはいえ、同僚との交流や情報共有という点でバランスを取らなければならないことも認識されています。月曜から金曜までずっと自宅勤務をすれば、業務の効果的な遂行には役立ちません。日本には、北米からアジア経由でヨーロッパへと業務をつなぐ際の溝を埋める橋渡し役になってほしいと思います。ただし、それにはフレキシブルな勤務時間を認める必要があるでしょう。

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ミレニアル世代と海外勤務

shutterstock_290042417日本と同様にヨーロッパでも、雇用主はミレニアル世代の社員の管理方法に悩んでいます。1980年代から2000年代初めに生まれた若手の社員です。

国を問わずミレニアル世代に共通する点をひとつ挙げるとすれば、言うまでもなく、ソーシャルメディアの使用度でしょう。この結果、この世代は世界に対して比較的オープンマインドであることが、一部で報告されています。イギリスでは、ミレニアル世代は年上の世代に比べてEUを支持する傾向にあり、移民に対しても心を開いています。ミレニアル世代は、会ったことのない人と関係を作り、住んでいる場所や国籍や性別に関係なく、お互いの興味や趣味を介して友情を育んでいくのに慣れています。

これに呼応して、外国に住みたい、外国で働きたい、外国に留学したいと思う割合も、年上の世代より高くなっています。PwCが2015年に行った国際調査によると、男女を問わずミレニアル世代の71%は、キャリアのどこかの時点で外国で働いてみたいと回答しました。また、やはりPwCが2015年に行った複数世代にわたる調査では、すべての年齢層と性別の回答者が、キャリアの早いうちに海外勤務を経験することが重要だと考えていました。

しかし、日本のミレニアル世代の調査では、留学や海外勤務の経験者が以前の世代に比べて減っています。留学や海外勤務から帰ってきた後にどんなポストが待っているか分からないという懸念があることは推測できますし、それは他の国でも最大の懸念となっています。

また、会社の側にも、誰を海外に赴任させるべきか、どんな役職を与えるべきかについて、一定の考え方があると思われます。私は最近、イギリス在住の様々な日本人女性にインタビューしたことのあるイギリス人の研究者と話す機会がありました。彼女の話によると、インタビューした日本人女性の多くは、海外駐在になることを期待して日本の日本企業に入社したそうです。けれども、海外駐在希望が無視され続けたため、自分で会社を辞めてイギリスに来ていました。

日本企業が抱えている問題には、若い人材の確保、社員の高齢化、男女を問わずグローバルな管理業務を担うことのできる人材の欠如などがありますが、こうした問題の多くは、転勤や人事異動についてもっと統合的でインクルーシブなアプローチを取れば解決することのように思われます。ヨーロッパの企業では、ヨーロッパ全域から大学卒業生を雇い入れて、様々な国の事業部門をローテーションさせることが普通に行われています。私のクライアント企業でも大手のいくつかが現在、ローテーションで社員を日本に送っています。グローバルな仕事というのは、必ずしも3~5年の海外勤務である必要はなく、期間は数か月から無期まで、あるいはバーチャルにグローバルな業務を担当することも考えられます。

イギリスのEU残留支持派が展開している政治運動では、ミレニアル世代をターゲットにしたこんなメッセージが語られています。イギリスがEUを離脱すれば、若いイギリス人がヨーロッパの他の国で勉強したり仕事したりするのは難しくなる、というものです。しかし、残念ながらミレニアル世代のもうひとつの特徴は、低投票率です。EU離脱を支持する年上の世代のほうが、熱心に投票所に行くでしょう。

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グローバル標準のためにプライドを抑えることも必要

shutterstock_310028435日本企業に買収されたヨーロッパ企業の上級幹部から不満の声を聞きました。ヨーロッパがあたかも同質な1つの国であるかのように扱われているというのです。その会社は、非常に異なるヨーロッパの5か国にオフィスを有していて、地域本部はドイツにあります。「確かにヨーロッパの人は、お互いへの接し方を心得ているかもしれません。何百年も前から一緒に暮らし、働いてきたのは事実です。でも、ヨーロッパ、北米、アジアという3地域の構造を取っていることが不思議に思えるのです。北米には社員が2人しかおらず、アジアには地域本部がなくて、台湾、中国、韓国、日本が別々に経営されています」。

この会社は小さな会社でしたが、同様の状況は、はるかに大きな日本の多国籍企業の多くで見られます。不満の背景には、ヨーロッパの人が「地位」に敏感であることがあるかもしれません。つまり、他の地域と同じように扱われたい、ヨーロッパが1つの地域なのであればアジアも1つの地域であるという考えです。

しかし、もっともな懸念も作用しています。それは、製品やサービスをグローバルに提供するのであれば、会社自体がバランスの取れたグローバルな構造を持ち、共通のプラットフォームやシステム、プロセスに則らなければならないという考えです。買収を通じて成長する企業は、国によって非常に異なる製品とサービスを持つことになりがちです。業務のプロセスやシステムも異なれば、グローバルな事業に寄与している各地域が売上高と経費をどう共有するかについても明確な理解が存在しないことが多いのです。

これは非常に大きな、長期にわたる論争を招く可能性があります。事業と生産工程と技術を標準化するというのは、お互いに絡み合った問題だからです。どの製品とサービスがグローバルで、どれがローカルかをひとたび決めれば、売上高を分担するための基礎ができます。しかし、この結果として各地域が旨みの大きいローカルの事業ばかりに重点を置き、グローバルな契約への参加を拒んだりしないよう、注意する必要があります。

グローバルに提供するものが決まれば、技術を標準化できるようになります。すべてのウェブサイトを同じコンテンツ・マネジメント・システムで動作させ、製品を同じプラットフォームで生産し、グローバルな会計システムを使って販売や調達を記録するといったことです。

日本企業は、スピードと効率を重視するため、時にはプライドを抑えなければならないでしょう。野村證券がリーマン・ブラザーズを買収した際、取引プラットフォームをリーマンのプラットフォームに移行すると決定したのは印象的でした。リーマンのプラットフォームのほうが技術的に優れていて、2つのプラットフォームを統合したり日本のシステムに全員を移行したりするよりも速かったためです。

このような問題にかかわりたいと思う人は誰もいません。あまりにも複雑で、内部闘争を招きかねないうえ、グローバル標準が自分の国ではうまく行かないと主張する人から抵抗を受けるのが目に見えているからです。でも残念ながら、買収後すぐにこれらの問題に対応しておかないと、わだかまりが増殖して、解決はますます困難になるでしょう。

 

 

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