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最近、新しい案件でこれまでにない試みをしました。日系企業のヨハネスブルグのオフィスに集まったアフリカ人社員のグループを対象に、オンラインで研修を提供したのです。この会社にとっても、新しいビデオ会議システムを研修に使うのは初めてのことでしたが、すべて首尾よく運びました。Microsoft Teamsでスライドを見せながら、私が話している様子の動画をライブ配信し、天井に埋め込まれたマイクを介して受講生が私に話すことができました。また、ウェブサイトへのリンクやQRコードを使用して、受講生にスマホで投票にも参加してもらいました。全員が投票できました。
技術のおかげで今までよりもインタラクティブかつインクルーシブな研修ができ、嬉しい体験でした。数年前までは、アフリカの会社に研修を提供するとなると、それなりの覚悟が必要でした。対面形式の研修になり、私の出張費用を出せる顧客はおそらくいなかったのではないかと思われます。15年前に弊社の研修を現地で開催してくれる講師を探そうとしたことがありますが、南アフリカでさえ、弊社の資格条件を満たす人材が見つかりませんでした。
当時、日本とのビジネス経験がある人がアフリカには少なく、経験者は引く手あまたで、フリーランスのコンサルタント業に興味を持つ人はいませんでした。でも、それも変わってきたのかもしれません。今回の受講者の半数以上が、仕事や学業で日本に住んだことがありました。このため、日本についての知識も豊富で、ケーススタディのディスカッションでも非常に洞察に富んだ発言がありました。例えば、「根回し」のような概念を、多くの受講者がすでに熟知していました。
このような優秀な人材を雇えるのは、総合商社のような大手の日系企業だけができることかもしれません。とはいえ、比較的小規模な日系企業にとっても、アフリカ市場を検討する価値が生まれている証拠かもしれません。事業開発分野の優秀な人材を現地で雇っているパートナーが見つかる可能性があるからです。
アフリカの日系企業を対象にジェトロが実施した最近の調査では、ウクライナ侵攻の影響がアフリカ経済に波及していて、物流コストと原材料コストが高騰しているうえ、為替レートも変動が激しいながら、なおも成長機会があると結論されました。回答者の70%は、向こう5年間にアフリカの重要性が高まると期待していました。コートジボワール、エジプト、ケニアが特に明るいスポットで、消費者向け製品と資源・エネルギー、特に太陽発電が有望な産業と見られていました。日系企業が関心を寄せている国としては、かねてより南アフリカが最大ですが、人口の多いナイジェリア、さらにガーナとタンザニアにも注目が集まっています。
この調査の結論は、もう30年近く前に日本の商社で地域本社のプランニングに携わっていた時に目にした投資勧告と非常に似ています。でも、今回の研修で、たとえバーチャルのみとはいえ、これらの国々を代表するアフリカ人の若手の人材と接して、日本に対する理解に感銘を受けましたし、情報通信技術の便利さも実感しましたので、アフリカ市場の日系企業の未来をあらためて楽観するようになりました。
帝国ニューズ・2023年4月12日・パニラ・ラドリン著
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