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イギリスでは、夏の鉄道ストライキ、冬の電力削減が懸念され、インフレもますます深刻化していて、1970年代に戻ったかのようです。私はまだ幼かったですし、1970年代のほとんどは日本で暮らしましたが、それでも1年ほどはイギリスに住んで、初めての停電を経験しました。ろうそくの明かりで何でもしなければならないのがとても楽しかったことを覚えています。でも、大人は楽しいとは思わなかったことでしょう。
電気やガスの公益サービスに頼らない暖房の方法を探していて、日本に住んでいた子供時代の思い出がよみがえってきました。日本のメーカーがヨーロッパで灯油ストーブを販売しているのを見つけたのです。仙台に住んでいた時に使っていたのとそっくりですが、あまり匂いはしません。
これを同年代の友達に見せたところ、彼女も1970年代にイギリスで灯油ストーブを使っていたとのことでした。いわく、当時はセントラルヒーティングなどなくて、入浴する夜だけバスルームで灯油ストーブを使ったそうです。あの頃はお風呂が週に1回というのも、まったく珍しくありませんでした。家族で同じお湯を使い回したものです。
湯沸かしは電熱器でしたが、電気代の安い夜間にお湯を沸かしてタンクに貯めておくため、1日に使えるお湯は浴槽2杯分ぐらいしかありませんでした。
今ではほとんどのイギリス人が毎日シャワーを浴びて、いつでもお湯がある状態に慣れています。ガスボイラーが温水器とセントラルヒーティングの両方を兼ねています。電力削減の懸念が言われる前から、政府は、セントラルヒーティングと温水器をガスボイラーから空気熱利用ヒートポンプに切り替えるよう促すためのインセンティブの導入を検討していました。しかし、これまでのところ、切り替えはあまり進んでいません。
設置の初期費用が高いこともありますが、室外機の設置に許可が必要になることも問題です。同じことは、ソーラーパネルの設置が進まない理由にもなっています。イギリスでは多くの人が古い家や文化財保護の指定区域に住んでいて、周囲の景観に溶け込まないような目に見える変更を家屋に加えることができません。
これは、トヨタ自動車などの日系企業が発売している住宅用蓄電池でも問題になるかもしれません。これらは車の充電にも使用するため、屋外に設置しなければなりません。駐車スペースが自宅の敷地内にあれば問題はありません。でも、多くの都市住民は自宅前の路上に駐車していますから、玄関のドアから歩道を横切って車まで充電ケーブルを伸ばさなければなりません。
このエネルギー危機が最終的には創意工夫を刺激して、この問題を解決することは間違いないでしょう。でも、この冬は、私たちの多くがろうそくと灯油ストーブのお世話になるかもしれません。
Pernille Rudlin によるこの記事は、2022 年 7 月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。
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