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先週、オランダへ出張した際、現地で会った日本人マネージャーから、スタッフのモチベーションを上げる方法で悩んでいるという話を聞きました。この悩みは、ヨーロッパ勤務の日本人マネージャーからよく相談されるのですが、いつも私が聞きたいと感じるのは、モチベーションとは具体的に何を意味するかということです。
通常、モチベーションの高い社員とは、努力を惜しまず、最後までやり抜く人と考えられています。けれども、これは客観的な測定が難しい性質です。このためヨーロッパの社員は、日本人マネージャーがデスクで仕事をした時間数という尺度でモチベーションを評価するのではないかと懸念しています。実際、この懸念には正当な理由があります。最近私が聞いた話では、スペイン勤務のある日本人マネージャーが、スペイン人のスタッフは日本人やイギリス人と比べてデスクに座っている時間が短いのはなぜかと問いかけたそうです。
オランダに長年住んだ日本人の話では、オランダ人のスタッフに何をすればモチベーションが上がるかなどと聞こうものなら、直ちに「私の時間を無駄にしないでください」という答えが返ってくるとのことでした。つまり、オランダ人にとっては、時間を無駄にすることがモチベーションを下げる大きな要因なのだそうです。
OECDとユニセフの調査によると、オランダは、生産性が高く(通常は労働時間当たりのGDPで定義されます)、また子供の幸せ度が高い国です。この2つの間には関係性があり、それはアムステルダムの風景を見れば明らかです。自転車の後ろに小さなカートや子供用自転車を付けて子供を学校へ送り迎えする父母で溢れています。オランダのファミリーは、午後6時頃に家族揃って夕食を取り、夕暮れ時にはスポーツや他の趣味を一緒に楽しみ、子供だけで出かけるのも自由に認めています。オフィスと学校と住宅はすべて混在しているため、通勤時間も長くありません。
私が現地で聞いた話によると、週に1日か2日は自宅勤務をすることも普通で、特に欧州域内やグローバルな同僚とかかわる仕事、つまり自分のチームが物理的に同じ場所にいない社員の間ではよく行われています。また、子供がいる人は、男女を問わずパートタイム勤務にして、なおも管理職であり続けることも珍しくありません。つまりは、オランダ人のモチベーションを高めようと思うのであれば、生産性の高い働き方ができていると感じさせるのがベストということです。
しかし一方で、オランダ出張中、同じホテルに滞在していたイギリス人のマネージャー2人が朝食を取りながらオランダ人の同僚について次のように話しているのも耳にしました。「オランダ人は確かに能率が良いし、仕事を片付けてくれる。でも、自分流のやり方で片付けるため、蓋を開けてみれば全員がバラバラなことをやっていることもあり、コーディネートが難しい」。
もしかすると、これは、日本とイギリスの特にサービス産業の生産性がオランダよりも低い理由を突いているかもしれません。私たちは、自分で付加価値を生産するよりも、他人の仕事をコーディネートしたり監督したりするのに時間を費やしているのです。その時間が、場合によっては長すぎるということもあるのかもしれません。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年4月13日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
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