This post is also available in: 英語
三菱商事によるノルウェーのグリーグ・シーフード社のサーモン養殖事業の10億ドル規模の買収を、フィナンシャル・タイムズが「日本企業による過去最大規模の買収ラッシュの一環」として報じた際、私たちはやや懐疑的でした。少なくとも欧州においては、ブレグジットやパンデミック前と比べても、日本企業による買収活動が本格的に勢いを取り戻したようには見えなかったからです。
しかし本日、郵船ロジスティクスがEUの承認を前提に、オランダのヘルスケア物流企業モヴィアントを14億5,000万ドルで買収するとの発表がありました。親会社である日本郵船は、今年すでにスウェーデンのNorthern Offshore社の過半数株式を取得しており、昨年はイギリスのGlobal Freight Solutions社およびオランダのParts Express社も買収しています。モヴィアント社は欧州に約5,400人の従業員を擁しており、主にオランダ、フランス、イギリスに拠点を置いています。
フィナンシャル・タイムズが指摘している通り、三菱商事は20世紀半ばから水産・サーモン事業に関与してきた長い歴史がありますが、今回の養殖場買収はより広範な流れの一部とも言えます。すなわち、日本の食品関連企業が、農業からレストランチェーンに至るまで、食のサプライチェーン全体における日本の関与を強化しようとしているのです。最近、私たちの「英国における日本企業トップ30」ランキングに新たに加わった企業には、鳥貴族グループ傘下となったFulham Shore(The Real GreekおよびFranco Mancaを展開)や、現在はゼンショーが所有するYo! Sushiなどがあります。
郵船ロジスティクスはすでに英国における日本企業トップ30の一角を占めており、従業員数は1,863人です。もしモヴィアントUKが郵船ロジスティクスに統合されず独立したままであれば、従業員数1,354人でこちらもトップ30に入ります。統合される場合、郵船ロジスティクスは日産、富士通、伊藤忠傘下のKwik-Fitに次ぐ、英国で4番目に大きな日本企業となる見込みです。
なお、郵船ロジスティクスの親会社である日本郵船と三菱商事はいずれも、150年以上にわたり日本のグローバルサプライチェーンを支えてきた三菱グループの中核企業です。
For more content like this, subscribe to the free Rudlin Consulting Newsletter. 最新の在欧日系企業の状況については無料の月刊Rudlin Consulting ニューズレターにご登録ください。