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イギリス政府は2021年7月半ば以降、一般企業が社員にオフィス勤務を奨励するのを認めました。ただし、今後フレックス勤務を常態とすべきかどうかについては、政府内でも対立する見方があります。通勤が恒常的に減少すれば、通勤者から収入を計上している産業に影響すると案じる見方があります。鉄道、サンドイッチ店、オフィスビルの保有会社など、様々な商業活動が含まれます。
イギリスでは2003年以降、社員がフレックス勤務をリクエストできるようになっていました。私も10年前に週2、3日の自宅勤務をしました。私のチームは世界各地に点在していて、メンバーのほとんどは他の国にいました。チーム・ミーティングは電話会議でしたので、1時間半の通勤で朝8時に出社するより自宅からしたほうが好都合でした。それでも最低週2日、場合によっては3日は出社するのが重要だと感じました。同僚とコミュニケーションする必要がありました。オフィスの人間関係にまつわる雑談をするためと、アイデアや見方を交換してクリエイティブになるための両方です。
Institute of Directorsが実施した調査では、イギリスのビジネスリーダーの63%がハイブリッドな勤務形態への移行を計画していました。週1~4日は社員に在宅勤務をしてもらう形態です。
言うまでもなくイギリス企業は、リモート勤務が心身の健康、データ・セキュリティ、生産性などに及ぼす影響を懸念しています。日本では、生産性がより大きな懸念になっているようです。レノボ・ジャパンの調査では、日本企業の40%が在宅勤務によって生産性が下がると考えていました。欧州企業では、わずか11~15%です。
これはおそらく、日本では社員が机を並べてコラボレーションする働き方が浸透しているためと思われます。上司や同僚に即座に相談して、助けてもらったり意見交換したりすることができます。
ヨーロッパのチームでも、クリエイティブな業務が多い場合は、同じ場所にいる必要があります。リモート勤務が必要になるのであれば、事前にチーム・ビルディングをして信頼関係を作っておくといった投資が必要です。チームメンバーが円滑にコミュニケーションできるようになるためです。
Boston Consulting Groupでは、このタイプの「クリエイティブ・コラボレーター」は勤務時間の50~60%をオフィスで過ごすべきだと推奨しています。一方、あまり中断されずに集中する必要のある業務、例えば会計・経理などの社員は、50~80%の時間を在宅勤務にすることができるとしています。また、明確に定義されたプロセスやパターンに従って業務を遂行し、あまりサポートを必要としない社員の場合は、ほぼ完全に在宅勤務とすることができます。もちろん、物理的に出社しなければできないタイプの仕事もあります。工場の仕事や顧客と物理的に接する仕事で、これらはリモートにすることはできません。
日本企業がこのようなカテゴリーに従ってハイブリッドなフレックス勤務のアプローチを認めるのであれば、ジョブ型の体制を整える必要があるでしょう。この新しい働き方では、仕事の内容にかかわらず、すべての社員に同じ条件で働くよう求めることはできなくなるでしょう。
帝国ニューズ・2021年6月9日・パニラ・ラドリン著
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