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国内でのみ事業展開してきたイギリス企業の33%が今後3年以内に国際化の目標を持っていることが、今年春に実施されたサンタンデール銀行の貿易バロメーター調査で明らかになりました。これまでの調査で最も高い割合です。コロナ後の事業回復にとって海外市場が最も重視されるというのも、過去にない結果です。
イギリス国内の成長展望は明るくありませんし、EUとの貿易も離脱後は難しくなっていることから、イギリス企業は海外市場が主な成長源になると見ています。これは、バブル崩壊後の日本企業とまったく同じです。
この点はサンタンデールの報告書でも指摘されていて、タクシーでスマホを見ている芸者さんの写真が使われていました。ただし、この調査によると、イギリス企業が進出先として最も関心を寄せているのは米国、次いでオーストラリアです。ドイツ、フランス、インド、中国も、日本よりも前に来ていました。
この調査には、年商100万ポンド以上のイギリス企業約1,000社が回答しました。すでに海外で事業展開している企業は、EU離脱移行、EU以外での販売を増やしていると報告していました。 ほとんどの市場に共通する主な課題は、輸送コストと煩雑な行政手続きです。ただし日本だけは、言語と文化の違い、および製品やサービスを調整しなければならないことが、主な課題とされていました。日本は規制を緩和して投資の誘致を円滑化しているため、それが奏功しているのかもしれません。中国、米国、インド、ドイツ、アラブ首長国連邦、スペイン、イタリア、フランスと比べ、日本では行政手続きはさほど問題とされていませんでした。
現時点で国内事業のみのイギリス企業は、42%がオンラインのマーケットプレイスを使用するつもりだと回答し、40%が独自のコマースサイトを開設して製品を販売すると回答しました。日本の顧客に販売したいのであれば、たとえオンラインであっても、言語と文化が壁になることは間違いありません。ウェブサイトを日本語化するだけでなく、日本人の好みに合わせて製品を調整する必要があるでしょう。物理的な拠点を日本に置くことが成功にとって欠かせないと私は確信していますが、海外に拠点を開設する予定の企業は20%しかありませんでした。
また、これから海外進出を考えているイギリス企業は、海外事業のアドバイスを模索する際に主に頼っているのがインターネットだと回答していました。一方、すでに海外展開している企業は、アドバイスの主な提供者が現地市場のビジネスパートナーだと答えていました。
アドバイスを求めてネット検索する人の多くがジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのウェブサイトに行き当たるのではないかと思いますが、とはいえ弊社のコンサルティングについて真剣に照会してくる企業は、すでに日本に拠点を持っているか、これから開設予定の企業のみだというのは、興味深い点です。いずれもサービス業の企業で、人材紹介、IT、広告、金融サービスに集中しています。
これらの企業にとって日本進出に際しての課題は、人材の採用と管理、そして優秀な社員の引き留めです。今でも多くの企業がむしろ日本企業と提携することを選ぶ理由が、ここにあるかもしれません。
Pernille Rudlin によるこの記事は、2022 年 8月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。
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