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日 本研究協会の毎年恒例の会議が今年はイスタンブールで開かれるというのを口実に、この7月、初めてトルコを訪れてきました。トルコ訪問は、前々から実現し たいと思っていたことのひとつでした。イスタンブールは文字どおり西と東が交わる場所であり、ヨーロッパとアジアの境目に位置しているという地理的な魅力 もさることながら、私がコンサルティングを提供している日本企業の多くが、最近トルコに事業を拡大しつつあったためです。日本とトルコの二国間貿易は、 2012年に前年比25%増となり過去最高の46億ドルに達しました。2013年時点でトルコに事業所を開いている日本企業は120社に上っています。会議開幕の前日には、トヨタがトルコ工場で新型カローラの生産を開始しました。その晩、私は、ビジネススクール時代の同級生で、今はトルコのプライベート エクイティ会社の社長として成功しているトルコ人の友人と夕食を共にしました。この友人は、トヨタの事業展開のこともよく知っていて、また日本の企業連合 がトルコに原子力発電所を建設すると発表したことに対し、いささかの懸念を抱いていました。
日本企業が、トルコのみならずヨーロッパの他の場所でこの種のインフラ開発プロジェクトを積極化させるのであれば、提携パートナーや地元政府との良好な関 係が不可欠です。私が最近ロンドンで目にしたかぎりでは、駐英トルコ大使と日本のビジネス界の人々の関係は今のところ友好的なように見えました。ただし、 2020年のオリンピック招致をめぐってライバル意識はあったかもしれません。
日本人との仕事経験があるトルコ人数人に話を聞いてみましたが、日本人とトルコ人は上手にコミュニケーションが取れているとのことでした。問題がないということは、私のビジネスにとっては商機があまりがないことを意味するのかもしれませんが、何はともあれ朗報です。
トルコ語と日本語には似た部分があり、同系性を論じる説もあります。どちらも「WYSIWYG(What You See Is What You Get)」の言語、つまり書かれた文字のとおりに読むことができる言語で、各音節が明確に発音されます。英語のように、単語のスペルに発音しない文字が含 まれていたり、スペルを見ただけでは正しい発音が分からなかったりすることがありません。トルコ語は、文法的にも日本語に似ています。動詞が文末に来るこ と、かなりの度合いで曖昧さが許されること、そして主語を省略したりぼやかしたりすることなどです。
また、トルコの人々は、教室で行われるフォーマルな研修よりも、「見習い」式の学習方法に馴染みがあり、日本人の言う「身につける」学習スタイルに似てい ることも分かりました。これらの特徴は、製造業の環境ではポジティブな要因として作用するでしょう。けれども、対等な立場の二者間で経営にかかわるコミュ ニケーションが必要になる状況、例えばインフラ開発プロジェクトの提携パートナー間などの状況では、コミュニケーション・スタイルや意思決定スタイルの違 いがより明らかになる可能性があるのではないかと思えるのです。ということは、トルコにも、やはり私のビジネスの商機があるかもしれません!
パニラ・ラドリン著 Teikoku Databank News 2013年8月14日号より
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