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今から20年ほど前、私は、日本のOLの終焉を宣言する記事を書きました。勤めていた会社が、新卒者を採用して「一般職」と呼ばれるコースに配属する慣行 を廃止したのです。この動きは当時、他の多くの日本企業にも見られました。OLの制服も廃止され、既存のOLには総合職コースへの転換が奨励されました。 将来の事務業務のニーズは派遣社員で埋められるという計画でした。
私はこの成り行きを嬉しく受け止めました。OLというシステムは、私のフェミニズム精神に反していたからです。ただし企業がこのシステムを廃止した理由 は、むしろ金銭的な理由でした。OLは、だいたい20~22歳で入社し、20代半ばまで勤続して、その後は結婚のために退職していくものと期待されていま した。
その間、OLは、机を拭き、ゴミ箱を空にし、部署内の同僚にお茶を入れ、電話に出て、書類仕事を処理したのです。けれども1990年代半ばまでには、30 代後半になっても勤め続けるOLが増え、年功序列の報酬体系ゆえに、そのように基本的な事務業務にしては相当に高い給与を取るようになっているのが明らか でした。
その後の10年間は、大卒者の就職が困難を極め、特に派遣会社での雇用を望まない女子大生にとっては氷河期が訪れました。多くが外資系企業に入社し、なかにはメインストリームの日本企業で総合職に挑んだ人もいました。
この時代は、一般職として働いていた女性にとっても難しい時代でした。半ば強制的に転換させられた準総合職コースは、それまでの一般職コースのような年功 序列の報酬体系ではなかったため、多くの場合、給与が下がる結果になったのです。そうした女性たちはほとんど全員が、今や派遣社員のチームを管理しなけれ ばならなくなったため、以前よりも多くの仕事をこなしていました。ひっきりなしに入ってくる新しい派遣社員を研修し、その仕事ぶりを確認し、派遣社員が間 違いを犯せば責めを受けなければなりませんでした。
以前の勤め先が一般職コースを復活させようとしているという話を聞いた時、私は最初、驚きました。派遣社員の犯す間違いと残された元OL(多くは早期退職を選んでいました)にかかる負担が、明らかに事業に大きな影響を及ぼしているのです。
でも、考えてみれば、これは驚きではありませんでした。先月、複数の日本企業を対象に顧客満足度を調べるための聞き取り調査を行った際、多くの企業で、女 性の事務スタッフが私とのミーティングに招待され、その上司たち(たいていは男性)が、彼女たちの目から見た意見やコメントを引き出すべく気遣っていたの です。
私が聞き取り調査をした企業は、サプライヤ企業の事務能力に対する批判が真剣に受け止められることを期待していました。事務的な間違いは、日本では瑣末な こととは見なされません。ほかに問題点がある可能性を示唆していると見られるうえ、小さな間違いが大事につながるという考え方があるためです。
事務職というのが屈辱的な仕事であると考えて、女性がそのような仕事に就くのは男女差別だと宣言していた私は、高慢でした。でも、このような偏見を抱いて いたのは、私だけではないかもしれません。実際、顧客満足度を調べるためのミーティングに秘書を参加させる欧米企業がいったいどれだけあるだろうかと考え ずにはいられません。
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