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私の会社の事業が十分に成長したためサポートしてくれる人を雇う必要が生じたという話を、以前の記事でお話ししました。それから3か月になりますが、実は誰も採用できていません。
その理由を自己分析して次の方策を考えようとしたところで、あることに気が付きました。それは、ヨーロッパで事業展開する日本企業が陥りがちな落とし穴に、私自身もはまりそうになっているということでした。
まず最初の落とし穴は、採用候補者のスキルや自分の事業上のニーズを慎重に検討せず、日本語を話せる人に惹かれてしまっているという点です。イギリスでは、日本語を話せる人を見つけるのは難しいことではありません。イギリスに住んでいる日本人は現在3~5万人いて、多くは学生や駐在員ですが、定住者もいて、しばしばイギリス人と結婚しています。
さらに、「語学指導等を行う外国青年招致事業」、通称JETプログラムの経験者が結成している協会のイギリス支部には約6,000人の所属メンバーがいます。イギリス人または英語を母国語とする他の国の出身者で、日本で1~3年、時にはそれ以上にわたって働いた経験があり、通常は学校や自治体政府での経験を有しています。この経験を通じてほとんどの人が日本を好きになり、その結果、日本とのかかわりを持ち続け、日本語力を生かせるキャリアを追求したいと考えています。
2つ目の落とし穴は、日本人(たいていは女性)やJET経験者を一般的な事務職に雇おうとしている点です。職種の定義がどことなくあいまいで、受付から人事、翻訳まで、あらゆることをこなす仕事です。これは、両方にとって不満の原因となることが多々あります。日本人の女性は、格下のOLのように処遇されているのではないかと疑念を抱くようになります。そして、残業や下働き風の仕事を頼まれることについてイギリス人の配偶者に不満を言うと、それなら雇用主に抗議すべきだとけしかけられることがしばしばあります。
JET経験者の場合は、ステップアップするキャリアパスや専門職者として能力開発する機会がないのではないかと不安に感じ始めます。そのような立場の人からどうすべきかと相談を持ちかけられることも多々ありますが、私がいつもアドバイスするのは、法務や経理など自分に合っていると思える職業をまず見つけて、そこから日本とかかわる方法を見つけるべきだというものです。
どちらの場合も、明確な職務記述書を作成し、適切な契約を交わすことで、ある程度の失望は回避することができます。また日本企業は、どのような発展性がある職種かについて、両者が持つべき期待を現実的かつオープンに話す必要があります。可能であれば、必要に応じて研修を提供したり支援したりするなどして、社員のキャリアが進展するごとに職務記述書も改訂すべきです。
さて、私の場合は、必要としているサポート的なスキルをもっと明確にする必要がありそうです。主な仕事は、請求書の発行とその集金、サプライヤへの支払い、そしていくらかの経営管理的な経理(キャッシュフロー予測など)です。この内容であれば、日本語が話せる必要はありません。とはいえ、同じような興味を持った人と一緒に働ければ、そのほうが楽しいことは間違いありませんが。
Pernille Rudlinによるこの記事は、2013年12月1日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました
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