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今年第1四半期、日本企業による外国企業の買収件数が前年同期比33%減となりました。円安の影響を受けた一時的な落ち込みだと、私は考えています。とは いえ、最近発表された企業再編を見ていると、外国企業の大型買収を成功させられなかったと見なされた上級幹部が引責辞職を求められている様子がうかがえま す。このことから、必ずしも円安だけではなく、「一度痛い目にあって二度目は臆病になる」の心理が作用している可能性もあります。
日経新聞が大手日本企業148社を対象に行った今四半期の調査では、買収意欲が依然として高い状況が報告されました。回答した企業幹部の42.6%は、国内と国外の両方で買収をしたいと答え、国外では北米とヨーロッパの企業が好まれていました。
日本企業が外国企業の買収を成功させるために1つ気を付けるべき点があるとすれば、日本企業は伝統的な日本の家族のように行動し、買収・統合のプロセスに も家族のように順応するという事実を自覚することでしょう。例えば、日本の家族制度には今でも婿養子という縁組のあり方があり、夫が妻の姓を名乗り、妻の 親の相続人となることがあります。特に家業がある場合に、このような養子縁組が選ばれます。
ただし、日本企業は、買収した外国企業に対して「婿養子」モデルを適用することには消極的です。時には買収は、結婚のようでもあります。外国の大手企業の 株式を保有する長い求愛期間を経て、数年後にようやく完全買収に踏み切るというパターンです。そして、やはり結婚と同様に、このアプローチには両側の努力 とコミットメントが求められます。様々な努力を講じて、新しい価値感と習慣を持った新しい家族を作っていく必要があります。
日本企業による外国企業の買収で比較的よくあるのは、買収した企業を家族の一員としてではなく、下宿人のように処遇するモデルのように見受けられます。下 宿人が品行方正に暮らしていて、深夜に大音量で音楽をかけたり家賃を滞納したりしないかぎりは、自由気ままに暮らすことができます。
北米やヨーロッパの企業は、当初はこのアプローチを歓迎するかもしれません。今までどおりの事業運営が許され、あまり干渉もなく、十分に自治が認められる からです。けれども、下宿人と同様に、いずれは家族の団らんから阻害されていると感じ始め、別の良い下宿先を探すべきだろうかと考えるようになります。あ るいは、金銭問題に直面して家賃を払わなくなり、日本の大家が厳しく処遇する可能性もあります。
北米やヨーロッパの企業が他の企業を買収する際、文化的な側面に少なくとも最低限の注意は払われますが、主な関心はシステム、組織編制、ポリシー、目標数 値の統廃合に置かれます。通常、買収された企業が、新しい親会社にどのように順応しなければならないかを知らないまま放置されることはありません。買収合 意のかなり前に、そのことは明確にされるためです。
このドライなアプローチを日本企業が好まないのであれば、外国子会社とどのようにして婿養子のような関係、あるいは配偶者のような関係を構築するかについて、はるかに多くの思案をめぐらせる必要があるでしょう。
パニラ・ラドリン著 The Nikkei Weekly 2013年4月22日号より
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