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選択と制約とクリエイティビティ

新型コロナウイルスによって、誰もがビジネスモデルの再考を余儀なくされています。多くの大企業にとっては、パンデミックの前から検討していた抜本的な改革を導入する良い口実になると思われます。例えば、イギリスの自動車製造業は、EU離脱だけでも十分に影響を受けていましたが、ますます先行きが暗くなったと私は感じています。

私の住む町では、小さな小売店の多くが店を閉めて、オンラインに移行しました。在庫商品のリストをフェイスブックのページに投稿して、そこから注文を受け付けています。

スーパーの配達サービスは、ほとんどが高齢者や介添えの必要な人のみとなっているので、これに該当しない人は、自分で買いに行かなければなりません。買い物の回数を減らすべく、まとめ買いをしているため、持ち帰るのも一苦労です。

必需品の買い物で手一杯になることが予想されたため、私は、わずかばかりの楽しみとして、月1回のチーズの配達と週1回のヘルシーなお菓子の配達サービスに申し込みました。送られてくるものを細かく選ぶことはできませんが、多少の好みは指定することができます。さらに、棚に入れっ放しになっていた食材を引っ張り出して、クリエイティブな調理法を考えたりしています。

このようなことをしていたら、オーガニック野菜の配達サービスを使っていた時のことを思い出しました。毎週1回、何が送られて来たかと期待の高まる思いで箱を空け、内容物に一喜一憂しては、食材に合ったレシピを試したものです。でも、冬になり根菜類ばかりになったら、面白みに欠けるようになってしまいました。

食料供給を確保してようやく安心できるというのは、世界のどこであれ、人間に共通の性質です。でも、それが満たされた時点で、自分で食べたい、料理したいと思えるものを選びたくなるはずです。ということは、今の事態が終息した暁には、食品を販売する屋台は戻ってくると思われますが、その利用客は、必需品は別途配達で確保している新たな顧客層になると予想されます。

今回の事態を受けて、私もアマゾンの利用が増えました。ペットフードから、コーヒー、お茶、洗剤まで、いろいろ注文してます。アマゾンは、この種の生活品を、かつて中核事業だった書籍や音楽よりも優先順位の高い事業にすると発表しました。

コンテンツ・プロバイダ(私もその一人ですが)も、どのようにして商品をデジタルに顧客に届けるかを考え直しつつあります。私はテレビやラジオの政治風刺番組が大好きなのですが、この種の番組のほとんどは、スタジオ内に観客を入れて収録されています。今回の事態を受けて、当初、これまでの番組形式のまま、無観客で収録されましたが、それでは非常につまらない番組になることが分かりました。でも、最近では、スタッフのクリエイティビティが発揮され、番組の形式が少し変更されて、また笑える内容になっています。

私も今の時間を利用して、eラーニングのコースの改訂を始めました。ユーチューブにサンプルのモジュールを投稿して、新しいビデオも撮影しています。どんなビジネスであれ、与えられた制約のなかでイノベーションを生み出すことは、全員が直面している課題です。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年6月20日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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アメリカ英語とイギリス英語の言語の壁

先日、日本へ出張してきました。イギリス企業の日本の子会社でトレーニングを提供して、イギリスの本社と効果的に働く方法を指導するためでした。日本の社員が指摘する問題点を聞きながら、イギリスの社員から聞いてきた話とすり合わせているうちに、誤解の多くが言葉の壁によって引き起こされていることをあらためて実感しました。

ただし、日本語と英語という明らかに異なる言語の間にある壁ではありません。むしろアメリカ英語とイギリス英語の間の壁であって、言葉というよりは文化の違いから来ているものが多々ありました。

子会社で働いている日本人の社員は、学校でアメリカ英語を教わってきただけでなく、米国に住んだり米系の会社で働いたりした経験を有していました。イギリスの会社は、彼らの英語力と経験に引かれて採用していました。多国籍企業に馴染みやすいだろうと考えたのです。

しかし、多くの日本人社員が指摘したのは、イギリス人も日本人も、指示を出したりフィードバックを提供したりする際に曖昧で間接的だという点でした。特にフィードバックがネガティブな場合にそれが当てはまります。「イギリスの同僚が怒っているのかどうかが分かりません。メールが長い時は怒っているのだと考えることにしています」と、ある日本人社員は言いました。

イギリス人に対しては、理解しようとしてくれる、下手な英語を大目に見てくれる、目下の社員に対しても礼儀正しいといった称賛がありました。ドイツ人やアメリカ人は、あまりソフトでなく、体面を重視すると見られていました。また、アジアで働いたことのあるイギリス人は、ゆっくりと分かりやすく話してくれるけれども、そうでないイギリス人は、非常に言葉数が多くて、何を言おうとしているのかまったく明確でないとのことでした。

イギリスのマネジメントのスタイルが、得てして気さくな相談者のようなスタイルで、ぼんやりとした全般的な指示を出して部下の意見を聞くスタイルなのだということを説明しました。一方、米国のリーダーシップのスタイルは、スピード重視です。目標を設定し、報告を標準化して、個人個人に対してすべきことを指示します。

米系の多国籍企業に勤めた経験があり、アメリカ英語を流暢に話す日本人マネージャーは、イギリスから明確な回答が返って来ないため、同じ依頼をメールで何度も繰り返す必要があることに不満を募らせていました。「私の求めていることが分からないのでしょうか。それとも意図的に無視しているのでしょうか」。

この問題の解決法は、回答に期限を設け、緊急のコミュニケーションやネガティブなフィードバックのプロセスを確立して、リクエストが理解されたかどうか、対応中かどうかを明確にすることだという点で意見が一致しました。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年5月15日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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ヨーロッパには流通革命が必要

再びホームオフィスで仕事をするようになって、家の前の通りで起きていることがよく分かるようになりました。週に一度、巨大な冷蔵トラックが騒音とともにバックで入って来て、私の家の前に駐車し、三軒隣のイタリアン・レストランに食材を配達していきます。この食材卸売会社の最寄りの配送センターは300キロも離れています。

なぜ私の家の前に駐車するのかというと、レストランの入っている建物がオフィスを50戸の学生向けアパートに改装中で、その関係の車両がレストランの前に停まっていて近付けないからです。でも、ここは16世紀に造られた通りです。キッチンやバスルームの設備50個を届ける巨大なトラックが入って来るたびに、古い建物に破損の被害が出ています。50個まとめて大型車で配送したほうが安価なことは理解できますが、施工業者はセクションごとに改装工事を進めているため、50個を一度に必要としているわけではありませんでした。

ある朝、起床後まもない6時45分頃に騒音が聞こえたので、また工事関係のトラックかと思っていたら、今度はひときわ大きな冷蔵トラックが、通りの突きあたりの広場にあるチェーン・レストランに配送していました。

イギリスのチェーン・レストラン業界には過去1年ほど逆風が吹き荒れ、店舗の3分の1を閉店したチェーンもありました。その多くは、プライベート・エクイティ会社が所有しています。ユニークなブランドの小規模なチェーン店をはるかに大きな全国規模のチェーン店にすることで大量購入によるコスト削減などのスケールメリットがあると見込んで出資したのです。

これらのチェーン店が低迷した背景には全体的な景況があった一方で、拡大とともに食事の質が落ちたことがありました。何日も前に作られた出来合いの材料を再加熱するだけになったのです。

品質や環境配慮は、エコフレンドリーな小型トラックでもっと頻繁に配達すれば向上するでしょう。ヨーロッパのほとんどのトラックはディーゼル車で、二酸化炭素排出量はガソリン車より少ないものの、大気汚染の懸念が今ではヨーロッパ全体の問題となっています。フランスとイギリスは、ガソリンとディーゼルの乗用車を2040年以降は禁じると決めました(トラックは含まれていません)。

しかし、これを実現するには、充電ステーションや物流システムへの投資が必要です。都市部の近郊に配送センターを設置して、顧客ごとに配達品をまとめ、小型の電気トラックで配送する必要が生じるかもしれません。運輸会社は、人工知能の会社と協力する必要があるでしょう。例えば、イギリスのProwlerは、複数の物流会社を検討して意思決定を最適化するソフトウェアを開発しています。

日本の会社がこの物流革命の一端を担えるかもしれないと気付いたのは、近所でいすゞ自動車(伊藤忠商事が主要株主の一社)の小型電気トラックを見かけた時でした。イギリスのタイヤ卸売会社(やはり伊藤忠が株主)が所有するトラックで、イギリスの修理工場チェーン(こちらも伊藤忠が株主)の市内の店舗に静かに配送していました。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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製造業の東への移動とドイツ

ドイツは伝統的に、日本からの投資先としてヨーロッパでの地位をイギリスと争ってきました。日本からEUへの投資の約40%は、イギリスに集中しています。が、日本の外務省によると、日系企業の数においては、ドイツがイギリスの1.5倍です(ドイツ703社、イギリス471社)[1]。

この数値の違いは、ドイツとイギリスに投資している業界の違い、さらに買収されている企業の規模の違いから来ている可能性があります。私自身のリサーチによると、イギリスの日系企業は、ドイツの日系企業に比べて従業員数が多くなっています。

これは、主要雇用主である日本の自動車メーカーがドイツには工場を持っていないのに対し、イギリスには日産とホンダとトヨタの工場があることに起因しているかもしれません。日本の自動車部品メーカーは多数ありますが、その多くはドイツ語で「ミッテルシュタント」と呼ばれる中規模の企業です。

製造業はドイツのGDPの約20%を占めていて、日本と似たレベルです。ドイツは常に技術力の高さで知られてきましたし、リスクを嫌いプロセスを重視するドイツ文化の価値観は、日本企業のマインドセットにも合致します。

かたやイギリスのGDPに占める製造業の割合は11%です。イギリス経済の80%はサービス業、特に銀行や保険などの金融サービスで成り立っているのです。サービス業には、イギリスに複数の子会社を持つ日系企業も含まれています。また、ヨーロッパ全域で融資や他の機能を提供している商社、持株会社、サービス会社なども含まれます。

このことは、日本人の在住者数がドイツよりもイギリスに多いことを説明しているかもしれません(ドイツ4万6,000人、イギリス6万3,000人)。欧州地域のリエゾンやコーディネーターとして、日本の本社と連絡する役割を果たしていると思われます。ただし、日本人の在住者数は、イギリスは減っている一方で、ドイツは増えています。

ということは、イギリスは、サービス業のメッカとしての地位をドイツに奪われつつあるのでしょうか。詳しく見ていくと、イギリス在住の日本人が減っている主な要因は、学生や学術関係者が1年前に比べて3,000人減少したことであるように見受けられます。

駐在員の数は、イギリスは2015年から2017年の間に1%減となりましたが、ドイツ、オランダ、およびヨーロッパ東部では同じ3年間に数百人の増加となりました。

イギリスとドイツへの最近の投資を見るかぎり、過去数年のトレンドはなおも続いていると言えそうです。イギリスへの投資は、地域を管轄する持株会社の設立のほか、バイオ、IT、さらにはイギリス市場向けのサービス業の会社の買収などがあります。イギリスの駐車場の運営会社の買収などがありました。ドイツへの投資は主に、電子機器部品や機械関連の卸売業に流れています。イギリスにすでに営業や生産の拠点を有している日本企業が、ドイツに営業拠点を開設するケースも含まれています。製造拠点がヨーロッパの東部へと移動しているのを受けて、販売のハブも一緒に動きつつあります。

[1] 日本とイギリスの省庁や政府関係者は通常、イギリスの日系企業を1,000社前後としています。日本の外務省の2017年の統計では、イギリスに日系企業が986社あるとされました。しかし、これには、支社、事業所、持株会社(多くの場合、どれも同じ子会社が有しています)、さらに日本国籍のイギリス永住者が現地で設立した企業、合弁会社などが含まれています。ここに記した471社とは、日本に親会社のある日系企業の本社、すなわちイギリスにおける主な子会社のみを数えた数値です。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

 

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疫病対策の歴史と文化の違い

私の夫は、今、単身赴任中です。毎日通勤するには遠すぎる全寮制の学校で働いているためです。一人暮らしのアパートは、かつてサナトリウムだった建物を改築した集合住宅です。第二次世界大戦前に結核患者を隔離するために建てられました。抗結核薬が発見される前は、新鮮な空気に触れて屋外で寝るのが結核の治療法と考えられていました。そのせいで、夫の住むアパートは、大きな窓とドアからひどい隙間風が入ってきます。建物にはセントラル・ヒーティングがありますが、寒いことこの上ありません。

新鮮な空気に触れて屋外で寝るという発想は、実際には結核を治癒する効果はありませんでした。が、部屋の換気を良くすることで、他の人への感染を防ぐことはできました。同様に、屋外で寝ずとも、横になっていることで症状が和らいだのも事実です。

世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大していますが、ヨーロッパでかつて結核がどのように対処されたかについて考えみると、各国が疫病に対してどのような歴史を持っているかが、文化の違いになって表れているように思えます。また、今でも医療分野の製品やサービスには、文化の違いが色濃く見られます。

中世ヨーロッパのペストは、ノミによって広まりました。そして、感染した家族、町、時には地域一帯を隔離することで、疫病をコントロールしようとしました。19世紀のコレラやチフスは、汚染された食べものと水が主な原因でしたが、ヨーロッパ北部の国が産業化して公衆衛生が改善し、食べものと水の質が向上したうえ、抗生物質が発明されたことで、押さえ込めるようになりました。

日本では天然痘が多く、少なくとも8世紀からありました。子供が多くかかる病気でした。長い時間にわたって近接していること、とりわけ皮膚の接触によって感染します。このため、日本では主に家族や村のレベルで天然痘が管理されました。

日本人がヨーロッパの人ほど握手や抱擁やキスをしない理由はこの歴史にあるのではないかと考えずにはいられません。また、日本人が今でもハンカチを携帯して、洗った手を拭くのに使っている理由も、ここにあるのかもしれません。ヨーロッパでは、ハンカチは鼻をかむ時に使うものです。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、イギリスでは、手を石けんで洗い、手を洗えない時は消毒ジェルを使用し、鼻をかんだり咳やくしゃみをしたりする際はティッシュペーパーで口を覆って即座に捨てるようにという勧告が出されています。また、握手も避けるようにと言われています。もともとイギリス人は、ドイツ人ほど握手はしませんし、イタリア人ほどキスや抱擁をすることもないのですが。

この政府勧告が出た結果として、消毒ジェルはどこも売り切れの状態です。おかげで、インフルエンザは劇的に減少したそうです(イギリスでは毎年数千人の死者が出ます)。もしかすると、イギリス人は、国の医療制度や行政の介入に依存しすぎるようになっていたかもしれません。今になって、自分が主体的に行動しなければならないと気付いて、古いメソッドに戻っているのかもしれません。夫が取った行動も、まさにそれでした。暖を取るために、湯たんぽを買ったのです。昔ながらの方法が、危機の最中に安心感をもたらしています。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年4月8日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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2020年はコンタクトレス&ペーパーレス

1960年代の未来予測を見ると、笑えるものがたくさんあるのは確かです。2020年には月旅行……などは、その例です。が、最近体験したいくつかの出来事を経て、なかにはズバリ的中と言えそうなものもあることに気付きました。ペーパーレス・オフィス、硬貨と紙幣の終焉、様々な仕事やタスクの自動化など、何度となく耳にした予測は、私が思っていた以上に早く実現しつつあります。

私の会社の会計記録のために月1回来てもらっていた簿記係の女性から、昨年末、この働き方では割に合わなくなったと告げられました。実のところ、私自身も、クラウドベースの会計ソフト、Xeroを導入して以来、彼女の必要性をあまり感じなくなっていたところでした。Xeroはニュージーランドの会社が開発した製品で、イギリスの中小企業の間で急速に人気を博しつつあります。税務局のウェブサイトの付加価値税還付機能と互換性のあるソフトウェアを使ってすべての財務記録をデジタル形式で管理しなければならないという義務付けが導入されたことが、これを刺激しています。

Xeroは、税務や会計のエキスパートでなくても簡単に使えて、銀行口座からの自動フィードにもリンクさせられます。しかも、領収書や請求書をPDFで受け取った場合はメールで転送すると自動的に記録に変換して帳簿に入力してくれる機能も追加されました。イギリスの税務局は、領収書、銀行口座の明細書、請求書などをデジタル形式で受理してくれるため、もはや紙の書類を簿記係さんに手渡して整理・照合してもらう必要はありません。つまり、紙のファイルはすべて捨ててよいということです。

このため、銀行口座の記録が十分な詳細度で管理されているかぎり、行く先々で領収書を出してもらう必要はなくなりました。近所の小売店のなかには、最近まで5ポンド以上の購入でないとクレジットカードが使えない店がありましたが、今ではすべての店が少額でもコンタクトレスの決済方法を受け付けています。おかげで、最後に現金を引き出したのは数週間前のことです。

最近、地元の女性の交流会に行った時には、これが問題になるかもしれないと思いました。この会合では、毎月、チャリティ抽選会があるからです。でも、ここでもコンタクトレスの装置で支払いを受け付けてくれました。このシステムを導入して以来、抽選チケットの売り上げが大幅に伸びたそうです。

私はデビットカードのコンタクトレス決済で抽選チケットを購入しましたが、他の人はスマホを機械にかざしてAndroid Payで支払っていました。

息子のスマホを私のAmazon Primeアカウントで購入して、その代金を小切手で返してねと咄嗟に言ってしまった時も、古さを露呈してしまいました。息子も18歳になり、自分の銀行口座を持つようになったため、これからはスマホの費用を自分で払いなさいという約束だったのですが、いぶかしげな顔で私のことを見て、どうすればいいんだ、銀行から小切手帳はもらっていないと言ったのです。結局、息子は、銀行のモバイルアプリで払ってきました。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年2月12日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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東ヨーロッパの30年前と今

ベルリンの壁崩壊の30周年式典を見ながら、1989年のことを思い出しました。当時はロンドンで働いていて、大学卒業後1年の時でした。東欧の若者の勇気を見ているうちに、もっとグローバルでやりがいのある仕事をしたいと思うようになり、PR会社を辞めて、三菱商事に入りました。

幸い、三菱商事で出会った日本人の上司もチャレンジ精神が旺盛でした。事業機会を探しに、一緒にドイツとチェコスロバキアの各地を回りました。が、すぐに時期尚早だということが分かりました。私たちが販路を模索していたホンダ製のオートバイを買うほどの可処分所得ができるまでには、まだ何年もかかりそうでした。西欧の中古バイクを東欧に送り、修理部品を販売するほうが需要がありました。

同様に、東ドイツのガラス工場をイギリスのガラス会社と結び付ける試みも、不成功に終わりました。その工場は、昔風の重厚なカットの色付きクリスタルガラスを作っていて、顧客のニーズがあるからというよりは、自社に技術があるからという理由で、そうした製品を主体としていました。一方のイギリスの会社は、この工場に投資して品質とデザインを向上させるような意気込みはありませんでした。ドイツの工場の幹部を老舗百貨店のハロッズに連れて行き、ガラス製品の売り場を見せましたが、幹部たちは、値段が高いばかりで、自分たちのような職人技が表現された製品ではないと失望したようでした。

それから30年。今もなお、東と西の間には明らかに雇用と収入の格差があります。ただし、これは主にジェネレーション・ギャップによるものです。東欧の製造業に対しては、多国籍企業が積極的に投資してきました。日本企業も例外ではありません。人件費が安いからです。しかし、英語を話さない非熟練労働者が高齢化する一方で、スキルがあり英語を話す若い労働者は極端に不足しているという問題があります。

2000年代以降に大学を卒業した人たちの多くは、母国がEUに加盟したメリットを謳歌して、西欧でキャリアや学問を追求するようになりました。私も顧客の日系企業でそうした優秀な東欧出身者に出会いました。二人ともリトアニア出身で、見事な英語を話し、人事担当者として非常に良い仕事をしています。

東欧諸国は、様々な給付金や税制優遇で若い労働者を呼び戻そうとしています。日系の人材会社も東欧へ進出して、西欧で働いている日本語話者をリクルートしようとする日系企業を支援しています。

しかし、残念ながら、私が地元の大学で教えた夏期セミナーの日本研究クラスを受講した東欧出身の学生20人ほどを見るかぎり、日系企業への就職意欲はあまりないようでした。ワーク・ライフ・バランスとお堅い企業文化を心配しているのです。

日系企業は、富士通の事例から学べるかもしれません。非製造分野の従業員数でポーランド最大の日系企業となっている同社は、フレックスタイム、医療サービス、教育研修、CSR、スポーツ、法人割引、無料フルーツなどの福利厚生を強調しています。この背景には、業務プロセスや物流、ITサービスのアウトソース先として、ポーランド、ルーマニア、チェコ共和国などの国がホットスポットになりつつあり、人材競争が激化していることがあります。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年12月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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慈善団体の理事の役割

日本からの赴任者によく言われるのが、イギリスでは非営利セクターの存在感が日本に比べてはるかに大きいように見えるという点です。募金イベントを後援してほしいと社員からリクエストされたり、市街地の目抜き通りに慈善団体が店を構えているのを見たりして、そう感じるそうです。イギリスの慈善セクターの年間収入は506億ポンドですが、その半分を支えているのが個人寄付です。残りは、政府の助成金や宝くじ収益、および民間セクターからの寄付で賄われています。

今年、私は2つの慈善団体の理事になりました。ひとつは、ロンドンのジャパン・ソサエティ。もうひとつは、私が住んでいる市で難民や亡命者などの移民がイギリス社会に溶け込めるよう支援している団体です。どちらも法人登記されているため、私は、企業登記局に対して説明責任を負う取締役(director)であると同時に、チャリティ委員会に対して説明責任を負う理事(trustee)ということになります。

イギリスでは、慈善団体の理事と企業の取締役に課される義務は似ていて、寄付者または株主からの資金を守る義務に起因しています。団体や企業が規制を順守していること、慈善目的や事業戦略に則って行動していること、さらにリスクを認識して対応していることを確認しなければなりません。

理事としての責任を理解するために参加したワークショップで、イギリスの非営利セクターは日本だけでなく他のヨーロッパ諸国や米国よりも大きいことを確認しました。ヨーロッパの他の国では、国家が国民を保護する立場にあり、米国では、個人がもっと自立することが求められています。

イギリスの理事にまつわる規制は、17世紀にさかのぼります。国家が提供する保護と個人が自分でもたらす保護の間にあるギャップを、主に教会系の慈善団体が埋めていたのです。しかし、なかには腐敗した団体もあり、本来の受益者にほとんど恩恵をもたらしておらず信用できないと見られるものもありました。そこで、市民が「trustee」すなわち被信託者を指名し、慈善団体が公共の利益のために行動していることを確認させたのです。

また、イギリスと米国の慈善団体に課される規制に重要な違いがあることを、ワークショップの講師が説明してくれました。両国の文化を知っている人には興味深いかもしれません。いわく、米国では結果が重視され、慈善の目標が達成されていれば、どうやって達成されたか、資金がどこから来たかは、さほど問題とされないそうです。これは、米国のビジネス文化にも通じます。法律は守らなければなりませんが、それ以外の道義的責任をどのように果たすかは、各企業の自由です。

一方、イギリスでは、結果だけでなく手段にも責任を負うのが、理事や取締役の役割とされています。裁判になれば、法律に違反したかどうかだけでなく、行動が「合理的」だったかどうかも判断されます。正しいことをすべく十分な努力を講じたのであれば、過ちや監督不行届、目標に達しない結果からは赦免されます。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年10月9日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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EU離脱の最新情報

ここ数か月ほど、イギリスのEU離脱について書くのを避けてきました。語り尽くした感があったことが、その一因です。同じように日系企業も、警告を出すのを止めたかのようです。強硬離脱という最悪の事態に備える計画は、すでに多くの会社が策定済みで、場合によっては実行している会社もあります。また、公の発言は外交官と政治家に任せるようにと日本政府から指示があったという話も聞きます。

イギリス企業も、沈黙を保っています。下手に口を開けば政府との契約を危険にさらすとジョンソン政権から釘を刺された企業も一部にあるためです。金融サービス業界では(日系企業も含めて)、代替となる在EUの法人がすでに設立されていて、事業許可も得ています。外国為替、債券、株式市場に起こるであろう混沌から利益を手にするチャンスすらあります。

とはいえ、何が起きるかを確実に見通すことは不可能です。ボリス・ジョンソン首相が期限直前になってEUが新しい条件を提示しなかったことを批判し、EU基本条約(リスボン条約)第50条のさらなる延期を要求して総選挙に持ち込もうとするという予想も、本当になるかもしれません。ポピュリズム的な選挙運動を展開して、議会の過半数支持を決定的にしたいと考えることでしょう。その後ろ盾があれば、メイ前首相よりも自信を持ってEUに新しい条件を要求し、EUが譲歩しなければ合意なき離脱だと言うことができます。

問題は、メイ前首相に提示された条件が、期待できる最善の内容だったことです。これは、人の移動の自由を廃止し、欧州司法裁判所の管轄からイギリスを除外し、またEUとの関税同盟をなしにするという、ギリギリの線引きに立った交渉の結果でした。これらの線引きをジョンソン首相が消してしまうわけにはいかないだろうと思われます。

ジョンソン首相の主な狙いは、北アイルランド国境問題をめぐる、いわゆるバックストップ(安全策)条項をなくすことであるように見受けられます。北アイルランドとアイルランド共和国との国境を開放しておく策が見つからないのであれば、北アイルランドを事実上、EUに留める条項です。このバックストップ条項を「離脱協定」から削除して「政治宣言」に入れ、すなわち後で交渉するという小手先の方法もあります。そうなれば、おそらくは現行の2年よりも長い移行期間が必要になることでしょう。

在イギリスの日系企業にしてみれば、イギリスは数か月の混乱の後、数年にわたる移行期間に入ることになるかもしれません。技術的にはEUではなく、ただしそれ以外はすべて今までどおりで、交渉が長引いた後に、強硬離脱に終わるという筋書きです。

そうなれば、日系企業がすでに講じてきた対応策がベストの対応策だったということになります。製造業はサプライチェーンを調整してイギリスを迂回し、金融サービス業はイギリスのスタッフをおおむね維持しながらEUにも本格的な拠点を持つという対処法です。そして、近年イギリス投資を拡大した日系のIT、インフラ、アウトソーシング業界の企業は、公共セクターが重要な市場ですから、EU離脱に伴って必要になる新しい体制で政府の契約を獲得するためにも、口を閉ざしておくべきです。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年9月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

 

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職業人としての説明責任

日本企業で行われる無意味な会議の話がトレーニングのワークショップ中に出ると、私はよく自分の経験をシェアしています。日本企業で働いていた時に、経営企画チームを代表して本社での会議に出席しなければなりませんでした。私にはまったく知識のないトピックの会議でした。ただ稟議書を読んで、いっさい発言せず、最後に「了解」とだけ言うよう指示されて会議に臨みました。会議では、赤字工場の開設に携わった2人が、稟議書に書いてあることを一字一句たがわず読み上げ、続いて数億円の損失処理の承認を求めました。明らかに承認済みの話でしたので、出席者は全員「はい、承認します」と言いました。この会議に何の意味があったのか、いまだに分かりません。ある種の罰ゲームだったのかもしれません。人生の貴重な2時間を無駄にしました。

日本企業には説明責任を社内的に示す同様のメカニズムが存在します

でも、考えてみれば、この会議の目的は、社内の説明責任を確立すること、いわば「筋を通す」ことにあったのでしょう。意思決定が下され、行動が取られ、その理由が説明されたという事実形成です。ほとんどの日本企業には、説明責任を社内的に示す同様のメカニズムが存在します。また、問題が生じた際、経営幹部は社外的にも説明責任を負うとされ、ゆえによく見かける謝罪の儀式が行われるのです。

けれども、ここしばらく相次いだ日本企業のスキャンダルには欠けている要素がひとつあり、これは欧米のメディアやエンターテインメント業界のセクハラ事例にも共通しています。それが、職業人としての説明責任です。日本企業がグローバル化して社員も多様化するにつれ、この要素をコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスのシステムに取り入れなければならなくなるでしょう。

欧米社会の幅広い職業、例えば弁護士、医師、会計士といった伝統的な職業から、最近では人事、金融、エンジニアリングなどの職業まで、あらゆる分野でその専門職者になろうとするのであれば所属が前提となる職業者の協会というのが存在します。加入に際してその倫理規定に従うことを宣誓し、試験を受けて進級したり毎年一定時間の研修を受けたりすることが期待されています。

説明責任は多様性のある労働力を構築するのに役立つ

国境を越えて専門職の資格を相互に認定するプロセスは複雑ですが、とはいえ専門職の資格を有する社員を雇うようにすれば、多様性のある労働力を構築するのに役立つでしょう。専門職の資格というのは、性別、年齢、障害、人種といった属性に左右されないためです。

また、日本企業にとっては、専門職者を雇うことにより、海外事業の説明責任を社内的にも社外的にも確立しやすくなるはすです。職業人としての説明責任を有している社員は、倫理規定に従わなければ、その職業を営む資格を失います。このため、上司や顧客から非倫理的なプレッシャーがかかる状況でも、それに抵抗する強さができます。

ただし、説明責任とは双方向のプロセスです。社員が社内だけでなく職業者の協会に対しても説明責任を負う一方で、管理職者は今までどおり部下の行動に関して社内的にも社外的にも説明責任を負います。つまり、管理職者は、信頼を育み、達成可能な目標と十分なリソースを提供しなければなりません。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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