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イノベーション

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Category: イノベーション

日本とイギリスのパートナーシップ

近くの骨董品店で、日本とイギリスのデザインと製造を折衷したような品物を買うことが時々あります。ほとんどは19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパでジャポニスムが花開いた時期のものです。

昨年購入したミルク瓶には、富士山と木造の帆船、それに茅葺き屋根の家が描かれていました。とてもシンプルな、イギリスの伝統的なミルク瓶の形状で、飾りは金色のハイライト部分を除いてすべて、手作業の絵付けではなく転写印刷で施されていました。

私が興味を引かれたのは、蝶番式の珍しい金属製の蓋が付いていた点でした。この蓋には「クラークの特許品」という刻印がありました。どうやら、イギリスでクラークさんという人が特許を取得した蓋のようです。蓋を閉じたままミルクを充填したり注いだりすることができるデザインでした。

19世紀ですら、日本とイギリスの貿易は、どちらかの国で完全に作られた品物を単に交換する行為ではなかったことが伺えます。イギリス製のミルク瓶の金型が日本に輸出されていたのかもしれません。瓶の絵や金色のハイライトは日本とイギリスのどちらで施されたのでしょうか。金属の蓋はイギリスに到着してから付けられたのでしょうか。はたまた、このミルク瓶は完全にイギリス製で、ただし日本の陶磁器から大きく影響を受けていたということも考えられます。

このような相互作用の長い歴史こそが、現在交渉中の日英自由貿易協定がおそらくはかなり基本的な内容になり、これまで以上に大きなメリットを付加することはないと思われる理由です。それに、この協定は、すばやく成立させる必要があります。イギリスのEU離脱の移行期間が終わる2021年1月31日以降の新たな関税を回避するためです。関税引き下げという点で最も恩恵を受けると思われるセクターは食品と農業ですが、これらの分野は通常、最も困難が多く交渉を長引かせる分野でもあります。このため、この部分が日・EUの経済連携協定から継承されることは当面なさそうです。

イギリスの提案はこれを反映していて、中小企業の輸出を促進すること、日本政府の調達プロセスに参加できるようにすること、そして両国間の自由なデータ移転を可能にすることを強調しています。

政府の調達は、賛否両論の分かれるトピックでもあります。イギリス人の多くは、米国との貿易協定を不安に感じていて、米国の民間医療会社がイギリスの国民保健サービスの民営化を押し進めてしまうのではないかと案じています。また、データ移転に関しても懸念が渦巻いています。イギリスの情報通信インフラに中国からの投資が流れ込んでいる現状などがあるためです。

国連の事務総長は、世界が今、第二次世界大戦以来、最大の危機に直面していると語っています。日本とイギリスにとって、戦後の一時期は、史上最も緊縮財政となった時期のひとつでしたが、一方で多数の革新も見られました。日本ではソニーや本田などの企業が設立され、イギリスでは医療、交通、エネルギーが国営化されて福祉国家が確立しました。

今の危機状況が、日本とイギリスの双方にとってメリットのある新しいパートナーシップをもたらし、社会のインフラとサービス、また技術業界のスタートアップにも恩恵をもたらすことを願いましょう。

パニラ・ラドリン著。帝国ニュース 2020年7月8日より

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ヨーロッパには流通革命が必要

再びホームオフィスで仕事をするようになって、家の前の通りで起きていることがよく分かるようになりました。週に一度、巨大な冷蔵トラックが騒音とともにバックで入って来て、私の家の前に駐車し、三軒隣のイタリアン・レストランに食材を配達していきます。この食材卸売会社の最寄りの配送センターは300キロも離れています。

なぜ私の家の前に駐車するのかというと、レストランの入っている建物がオフィスを50戸の学生向けアパートに改装中で、その関係の車両がレストランの前に停まっていて近付けないからです。でも、ここは16世紀に造られた通りです。キッチンやバスルームの設備50個を届ける巨大なトラックが入って来るたびに、古い建物に破損の被害が出ています。50個まとめて大型車で配送したほうが安価なことは理解できますが、施工業者はセクションごとに改装工事を進めているため、50個を一度に必要としているわけではありませんでした。

ある朝、起床後まもない6時45分頃に騒音が聞こえたので、また工事関係のトラックかと思っていたら、今度はひときわ大きな冷蔵トラックが、通りの突きあたりの広場にあるチェーン・レストランに配送していました。

イギリスのチェーン・レストラン業界には過去1年ほど逆風が吹き荒れ、店舗の3分の1を閉店したチェーンもありました。その多くは、プライベート・エクイティ会社が所有しています。ユニークなブランドの小規模なチェーン店をはるかに大きな全国規模のチェーン店にすることで大量購入によるコスト削減などのスケールメリットがあると見込んで出資したのです。

これらのチェーン店が低迷した背景には全体的な景況があった一方で、拡大とともに食事の質が落ちたことがありました。何日も前に作られた出来合いの材料を再加熱するだけになったのです。

品質や環境配慮は、エコフレンドリーな小型トラックでもっと頻繁に配達すれば向上するでしょう。ヨーロッパのほとんどのトラックはディーゼル車で、二酸化炭素排出量はガソリン車より少ないものの、大気汚染の懸念が今ではヨーロッパ全体の問題となっています。フランスとイギリスは、ガソリンとディーゼルの乗用車を2040年以降は禁じると決めました(トラックは含まれていません)。

しかし、これを実現するには、充電ステーションや物流システムへの投資が必要です。都市部の近郊に配送センターを設置して、顧客ごとに配達品をまとめ、小型の電気トラックで配送する必要が生じるかもしれません。運輸会社は、人工知能の会社と協力する必要があるでしょう。例えば、イギリスのProwlerは、複数の物流会社を検討して意思決定を最適化するソフトウェアを開発しています。

日本の会社がこの物流革命の一端を担えるかもしれないと気付いたのは、近所でいすゞ自動車(伊藤忠商事が主要株主の一社)の小型電気トラックを見かけた時でした。イギリスのタイヤ卸売会社(やはり伊藤忠が株主)が所有するトラックで、イギリスの修理工場チェーン(こちらも伊藤忠が株主)の市内の店舗に静かに配送していました。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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Last updated by Pernille Rudlin at 2020-10-28.

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