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人事

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Category: 人事

ハイブリッドのリモート勤務のアプローチ

イギリス政府は2021年7月半ば以降、一般企業が社員にオフィス勤務を奨励するのを認めました。ただし、今後フレックス勤務を常態とすべきかどうかについては、政府内でも対立する見方があります。通勤が恒常的に減少すれば、通勤者から収入を計上している産業に影響すると案じる見方があります。鉄道、サンドイッチ店、オフィスビルの保有会社など、様々な商業活動が含まれます。

イギリスでは2003年以降、社員がフレックス勤務をリクエストできるようになっていました。私も10年前に週2、3日の自宅勤務をしました。私のチームは世界各地に点在していて、メンバーのほとんどは他の国にいました。チーム・ミーティングは電話会議でしたので、1時間半の通勤で朝8時に出社するより自宅からしたほうが好都合でした。それでも最低週2日、場合によっては3日は出社するのが重要だと感じました。同僚とコミュニケーションする必要がありました。オフィスの人間関係にまつわる雑談をするためと、アイデアや見方を交換してクリエイティブになるための両方です。

Institute of Directorsが実施した調査では、イギリスのビジネスリーダーの63%がハイブリッドな勤務形態への移行を計画していました。週1~4日は社員に在宅勤務をしてもらう形態です。

言うまでもなくイギリス企業は、リモート勤務が心身の健康、データ・セキュリティ、生産性などに及ぼす影響を懸念しています。日本では、生産性がより大きな懸念になっているようです。レノボ・ジャパンの調査では、日本企業の40%が在宅勤務によって生産性が下がると考えていました。欧州企業では、わずか11~15%です。

これはおそらく、日本では社員が机を並べてコラボレーションする働き方が浸透しているためと思われます。上司や同僚に即座に相談して、助けてもらったり意見交換したりすることができます。

ヨーロッパのチームでも、クリエイティブな業務が多い場合は、同じ場所にいる必要があります。リモート勤務が必要になるのであれば、事前にチーム・ビルディングをして信頼関係を作っておくといった投資が必要です。チームメンバーが円滑にコミュニケーションできるようになるためです。

Boston Consulting Groupでは、このタイプの「クリエイティブ・コラボレーター」は勤務時間の50~60%をオフィスで過ごすべきだと推奨しています。一方、あまり中断されずに集中する必要のある業務、例えば会計・経理などの社員は、50~80%の時間を在宅勤務にすることができるとしています。また、明確に定義されたプロセスやパターンに従って業務を遂行し、あまりサポートを必要としない社員の場合は、ほぼ完全に在宅勤務とすることができます。もちろん、物理的に出社しなければできないタイプの仕事もあります。工場の仕事や顧客と物理的に接する仕事で、これらはリモートにすることはできません。

日本企業がこのようなカテゴリーに従ってハイブリッドなフレックス勤務のアプローチを認めるのであれば、ジョブ型の体制を整える必要があるでしょう。この新しい働き方では、仕事の内容にかかわらず、すべての社員に同じ条件で働くよう求めることはできなくなるでしょう。

帝国ニューズ・2021年6月9日・パニラ・ラドリン著

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ジョブ型の教育研修

ロンドンの金融サービス会社で取締役会議の進行役を務めた時、日本人の取締役が、イギリスの能力開発について様々な疑問をぶつけてきました。専門特化した社内の専門職者が、上級幹部の役職に就くうえで必要な経営の知識をどうやって得るのかを知りたいと思っていました。イギリスでは、多くの場合、社外の講座でその種の知識を習得します。日本では、伝統的にジョブ・ローテーションを通じてOJTでこの種の知識を学ぶところです。

これを説明したところ、さらに質問が出ました。社外研修の費用を払って社員に学習してもらっても、その後転職されるだけだとしたら、会社には何のインセンティブがあるのか、という疑問でした。

イギリスでは、金融サービス業界に対する規制当局からの圧力がかつて以上に強まっていて、経営幹部は、自分の行動だけでなく部下の行動にも説明責任を問われるようになっています。つまり、毎年のパフォーマンス評価で、パフォーマンスの目標だけでなく、行動面の目標を達成したかどうかも問われることを意味します。パフォーマンスと行動の実績が期待に達しなかったのであれば、どのような種類の研修とリソースを提供する必要があるかを能力開発の面談で話し合うことになります。

日本でも「ジョブ型」の人事制度が導入されるようになっていることから、この種のアプローチが必要になるでしょう。これは成果主義とは異なります。成果主義とは、パフォーマンスの目標とボーナスへの影響に重点を置いているためです。ジョブ型の評価は、パフォーマンスと行動の両方をとらえ、その社員の能力開発にとって何を意味するかを考えます。

マネージャーは、研修を人事部だけに任せておくことはできません。同期や同位の社員に対して同時に研修を施す横並びのアプローチではなく、ジョブ・ディスクリプションと個人の能力開発計画に合った研修が必要だからです。同様に、給与やボーナスも、すべての部署で一律というわけにはいきません。

ただし、配属される職種や事業部門によっては、新卒で入社した社員が仕事の専門性を付けるまでに時間がかかるかもしれません。このため、新卒社員の処遇に当初からあまりにも格差を設ければ、これは不公平になるでしょう。

このため、ヨーロッパの大手企業は、新卒社員向けに多数の研修プログラムを提供しています。例えば、ユニリーバは、新卒社員向けの「フューチャー・リーダー・プログラム」で7つのトラックを設けています。マーケティング、人事、財務、研究開発、サプライチェーン&エンジニアリング、技術管理、顧客開発(営業)です。

私は(30年以上前に)ユニリーバのマーケティング・トラックに入る機会がありましたが、差し出された分厚いバインダーを見て気が萎えてしまい、内定をお断りしました。最初の3年間の予定があまりにも詳細に記載されていたのです。結局、あるPR会社が初めて採用した新卒社員の一人としてキャリアをスタートしましたが、後にこの選択を後悔したものです。この会社の研修は完全に社内で行われ、うまく実践されておらず、研修生の処遇にもばらつきがあったからです。日本企業は、海外でも日本でも、この両極端と日本式の横並びモデルの間でバランスを見つける必要があります。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年11月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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ジョブ型の教育研修

ロンドンの金融サービス会社で取締役会議の進行役を務めた時、日本人の取締役が、イギリスの能力開発について様々な疑問をぶつけてきました。専門特化した社内の専門職者が、上級幹部の役職に就くうえで必要な経営の知識をどうやって得るのかを知りたいと思っていました。イギリスでは、多くの場合、社外の講座でその種の知識を習得します。日本では、伝統的にジョブ・ローテーションを通じてOJTでこの種の知識を学ぶところです。

これを説明したところ、さらに質問が出ました。社外研修の費用を払って社員に学習してもらっても、その後転職されるだけだとしたら、会社には何のインセンティブがあるのか、という疑問でした。

イギリスでは、金融サービス業界に対する規制当局からの圧力がかつて以上に強まっていて、経営幹部は、自分の行動だけでなく部下の行動にも説明責任を問われるようになっています。つまり、毎年のパフォーマンス評価で、パフォーマンスの目標だけでなく、行動面の目標を達成したかどうかも問われることを意味します。パフォーマンスと行動の実績が期待に達しなかったのであれば、どのような種類の研修とリソースを提供する必要があるかを能力開発の面談で話し合うことになります。

日本でも「ジョブ型」の人事制度が導入されるようになっていることから、この種のアプローチが必要になるでしょう。これは成果主義とは異なります。成果主義とは、パフォーマンスの目標とボーナスへの影響に重点を置いているためです。ジョブ型の評価は、パフォーマンスと行動の両方をとらえ、その社員の能力開発にとって何を意味するかを考えます。

マネージャーは、研修を人事部だけに任せておくことはできません。同期や同位の社員に対して同時に研修を施す横並びのアプローチではなく、ジョブ・ディスクリプションと個人の能力開発計画に合った研修が必要だからです。同様に、給与やボーナスも、すべての部署で一律というわけにはいきません。

ただし、配属される職種や事業部門によっては、新卒で入社した社員が仕事の専門性を付けるまでに時間がかかるかもしれません。このため、新卒社員の処遇に当初からあまりにも格差を設ければ、これは不公平になるでしょう。

このため、ヨーロッパの大手企業は、新卒社員向けに多数の研修プログラムを提供しています。例えば、ユニリーバは、新卒社員向けの「フューチャー・リーダー・プログラム」で7つのトラックを設けています。マーケティング、人事、財務、研究開発、サプライチェーン&エンジニアリング、技術管理、顧客開発(営業)です。

私は(30年以上前に)ユニリーバのマーケティング・トラックに入る機会がありましたが、差し出された分厚いバインダーを見て気が萎えてしまい、内定をお断りしました。最初の3年間の予定があまりにも詳細に記載されていたのです。結局、あるPR会社が初めて採用した新卒社員の一人としてキャリアをスタートしましたが、後にこの選択を後悔したものです。この会社の研修は完全に社内で行われ、うまく実践されておらず、研修生の処遇にもばらつきがあったからです。日本企業は、海外でも日本でも、この両極端と日本式の横並びモデルの間でバランスを見つける必要があります。

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仕事を自宅に持ち込むために

通常であれば、イギリスの会社は、9月に新卒の新入社員を迎えるところです。しかし今年 (2020年)は、新型コロナウイルス感染症のため、大企業の多くが新卒採用やインターンシップを見合わせました。Institute of Student Employersがイギリス企業を対象に今年3月に実施した調査では、回答企業の4分の1以上が新卒採用を減らすと答えました。

とはいえ、今も採用活動を行っている会社や、新入社員を迎えるための計画を立てている会社はあります。新入社員の多くは、在宅勤務を強いられるでしょう。このため、新入社員にチームの一員になったのだと感じてもらうための方法を、クリエイティブに発想しなければなりません。

イギリスの法律事務所に入社したある社員は、ノートパソコンと在宅勤務に必要な機器だけでなく、会社のロゴ入りウォーターボトルやバックパックが入ったウェルカム・パッケージが会社から送られてきて嬉しかったと語っています。ビデオ会議中に他の社員が同じボトルから水を飲んでいたり、バックパックからファイルを取り出したりしたのを見て、チームへの帰属意識を感じたそうです。また、別の会社は、会社のロゴ入りマスク、家庭用お菓子作りキット、それに鉢植えの植物を、新入社員に送りました。

新入社員研修の内容にも、工夫が凝らされています。オフィスの様子をビデオで紹介したり、ランチの金券を送って、ビデオ会議で上司とインフォーマルに食事をしながら話す機会を作ったりしています。

これは、世界各地の日系企業にとっても、良い機会になり得ます。現地採用で入社した社員に、これからはこの会社の一員なのだと感じてもらうチャンスです。日本の本社の様子や日本文化の様々な側面を、ビデオで案内できるかもしれません。

同僚とのランチには、お弁当のデリバリーに使える金券を配布することができます。あるいは、バーチャル・カラオケ大会をグローバルに開催するというアイデアもあります。タイムゾーンが異なるので、早朝参加の人もいれば、晩酌後に参加する人もいて、少しおかしな体験になるかもしれませんが。

これは、日本のメーカーにとって商機でもあります。これまでに私が仕事上で受け取ったなかで、デザインや品質が最も良かったペンや日記帳やノートは、すべて日本企業のものでした。日本製のマスコットやぬいぐるみは、世界中で愛されています。ですから、親しみやすい会社のマスコットを作って、社員が机上に飾れるようにすると良いかもしれません。さらには、シャツ、Tシャツ、ネクタイ、スカーフなどのユニフォーム風のアイテムを歓迎する社員もいます。在宅勤務をしている間も仕事と私生活の線引きをハッキリさせるという点で、実用的なグッズになり得ます。

また、コンピュータ上で使えるバーチャルなデザインも名案です。スクリーンセーバーや壁紙だけでなく、ビデオ会議の際のバックグラウンドなどが挙げられます。ただし、バックグラウンドを合成ではめ込むにはグリーンバックが必要です。さもなければ、髪の毛が会社のロゴと一体化してしまうでしょう。グリーンバックをウェルカム・パッケージに入れるというのは、新入社員を歓迎する方法としては、やや込み入りすぎているかもしれません。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年39月9日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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在宅勤務のジェネレーション・ギャップ

イギリス政府は、2020年8月1日以降のオフィス業務再開を許可しましたが、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは、2021年まで在宅勤務を継続すると5万人の社員に通達しました。同行のシティ・オブ・ロンドンのオフィスに週1回通勤している友人によると、今も気味が悪いほど人気がなく、必須の社員だけが来ています。エレベーターは1人しか乗れず、トイレの個室は半分が閉鎖されているそうです。多くの企業が長期の変更を導入していることから、ロンドンの高層オフィスビルには終焉が来るだろうと、イギリスのある建築家は予測しています。比較的小さな企業は、シティのオフィスを廃止しました。また、他の会社にオフィスを又貸している企業もあります。

似たようなトレンドは、日本でも見られます。みずほや富士通など、銀行とIT業界の企業が、デジタル・トランスフォーメーションを加速しようとしています。

私は10年前にイギリスの富士通の社員でしたが、かなり頻繁に自宅で仕事をしていました。部署のメンバーが世界各地に散らばっていたため、ほとんどの会議が電話会議でした。ヨーロッパでは、在宅勤務はすでに働き方として定着しています。共働きで子供がいる人にとっては、ほかに現実的な方法が見つからないこともしばしばあります。

ロンドン中心部に住むのは高すぎるため、子持ちで職場がロンドンという人のほとんどは、日本さながら、混み合う電車で長距離通勤しています。この人たちは、新型コロナウイルスのワクチンが広く流通するまで、満員電車に乗るつもりはありません。

とはいえ、ヨーロッパでは、在宅勤務の受け止め方にジェネレーション・ギャップがあるため、企業はこれに対応しなければならないでしょう。若い独身世代は、「デジタル・ネイティブ」であるにもかかわらず、在宅勤務に大きなストレスを感じています。その一因は、孤独感です。若い独身者にとって、職場は社交の場としても重要です。また、信頼の問題もあります。年配の社員は、同僚との人間関係を確立していて、自分の能力にも自信があります。一方、若い社員は、自信がなく、同僚に自分の能力を証明するという点においても十分な歳月を経ていません。

さらには、在宅勤務の物理的な環境もあります。年配の社員は、比較的広い家に住んでいますが、ロンドンに住む若い人たちは、ルームメイトと家やアパートをシェアしています。プライベートな空間は狭いベッドルームで、共有空間はキッチンだけかもしれません。

これはもちろん、日本の都市生活者にも当てはまることです。1DKのアパートに住んでいれば、デスクを置く場所はなく、ドアを閉めて雑音や邪魔をシャットアウトすることもできないかもしれません。

でも、日本とヨーロッパには、ひとつ相違点があります。日本では、中年の人たちも在宅勤務にストレスを感じているという点です。特に管理職者は、仕事の成果物ではなく努力の量に基づいて部下を評価するのに慣れているうえ、報・連・相と以心伝心でコミュニケーションしてきました。このようなアプローチは、リモートな勤務形態には向きません。デジタル・トランスフォーメーションにおいては、情報通信技術の管理もさることながら、人の管理もカギを握っています。

 

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グローバル志向の人材を引き付けるには、働きたい会社としてのブランドが必要

去年、ロンドンで開かれる日本人マネージャーの会合で、「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」というトピックの講演をしました。このタイトルは、大学で日本語を勉強したり、JETプログラムで数年間にわたって日本で働いたりしたとがあるヨーロッパの若い人たち、あるいは単にアニメやゲームで日本文化のファンになった人たちの感想を集約したものです。

彼らが日系企業で働きたがらない理由は、やりがいのある楽しいキャリアにはなりそうにないと思っているからです。残業が多く、官僚主義で、堅苦しい年功序列があることを案じています。しかも、ヨーロッパの日系企業はほとんどが、面白みに欠けるエンジニアリング業界の販社だと思っています。

そこで私は、「働きたい会社」としてのブランドを強化して若い人たちにアピールすることを、先の会合で提言しました。ヨーロッパの人でも、日系企業での社歴が長い社員の多くは、日系企業で働くのが好きだと言っています。理由を聞くと、違っている、変わっている、興味深い、長期志向で人間味があるなどの答えが返ってきます。欧米系の多国籍企業は、様々な側面が標準化されていて、結果重視で短期志向ですから、それとは異なります。また、日系企業は、現地採用社員の短期的な日本派遣も考えるべきでしょう。日本人以外の新卒採用者が社内人脈を開拓して、意思決定に参加し、キャリアを開発できるようにするためです。

とはいえ、海外の現地採用活動のためだけにブランドを強化するよう、ヨーロッパの駐在員が日本の本社にリクエストするというのは難しいことも分かります。おそらく日本の本社は、グローバル志向の日本人新卒者を雇うのが優先課題だと考えていることでしょう。

今回の講演では、外国と日本の大学を卒業予定の日本人学生を対象とした「キャリタス就活2020」の調査結果も紹介しました。それによると、外国の大学に通う日本人の学生は、ヨーロッパの学生と似たニーズを抱えています。日本の大学生は、安定性を重視していて、海外よりも日本で働き、同じ会社で長く働きたいと考えていますが、外国の大学で学ぶ日本人は、良い報酬をもらいながら自分の夢を実現し、日本よりも海外で働くことを希望しています。

働きたい会社としてのブランドを強化し、魅力的なキャリアパスを用意することに加えて、私がもうひとつ提案したのが、ヨーロッパの社員を管理する日本人駐在員を対象に、リーダーシップ、フィードバック提供、ダイバーシティとインクルージョンについてのトレーニングを提供することでした。

もちろん、これは私のビジネスにつながることを期待しての提案でしたが、講演後にある日本人マネージャーと話して、それ以外にも理由があるかもしれないことが分かりました。その人は取締役で、社員の80%は日本人だけれども、若手社員と年配社員の間、および外国の大学を卒業して外国に住んできた社員と日本で大学に行き主に日本で働いてきた社員の間に大きなコミュニケーションギャップがあると言いました。明らかに日本企業は、日本人社員の間でも異なるマインドセットに対応しなければならないということのようです。

このトピックに関するPernille Rudlinのプレゼンテーションのビデオは、Rudlin ConsultingのYouTubeチャンネルで覧いただけます。
 

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年7月10日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

 

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「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」

今月イギリスで開かれる日系企業の人事担当者向けのイベントで、「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」と題したプレゼンをする予定です。日本は、ヨーロッパの若い層の間で今までにも増して人気の国になっています。アニメと漫画、それに日本食の人気があるためです。しかし、ジェトロの調査によると、在ヨーロッパの日系企業にとって人材確保は重要な経営課題であり続けています。

若い人たちは、遊び心のある日本のポップカルチャーは大好きですが、技術・製造畑の日系企業でそのような文化を経験できるわけではないと考えています。

日系企業で働きたい人が増えない背景には、もう少し深刻な理由もあり、それは現地採用者にとってキャリア開発の機会がないことです。経営幹部になれるのは日本人だけのように見えるからです。大手の日系企業はこの現状を改善すべく、グローバルな採用・研修制度を導入して、日本以外で採用した社員を日本に赴任させることも行っています。

私が思うに、人材確保の困難はおそらく中小の日系企業でむしろ顕著でしょう。これらの企業では、ヨーロッパ事業は依然として基本的に販売拠点と位置付けているため、有能なエンジニアを雇っても、開発よりは営業が主な仕事になり、失望させてしまう可能性が多々あります。

西欧の日系企業は、管理職者を最も必要としていますが、以前から人件費の問題を抱えています。一方、中欧と東欧の日系企業が最も必要としているのは工場の従業員ですが、これら地域でも人件費が急速に上昇していて、最大の経営課題になっています。知名度に勝る欧米企業と競争しなければならないと思われますが。欧米企業も労働力不足の問題を抱えています。言わずと知れたソリューションは高報酬を出すことですが、そうすれば中欧・東欧で製造するコストメリットに食い込みます。

そこで日系企業は、管理系や技術系の人材をめぐる価格競争に参戦するよりは、何か別の魅力を提供する必要があります。これが、ヨーロッパの若者の間で人気の日本のポップカルチャーへと結び付くわけです。

最近、ある技術系の日系企業で15年以上の勤続経験を持つヨーロッパ出身者が私のセミナーに参加して、「エキセントリックな子供っぽいマインドセット」が日系企業で働くメリットのひとつだと指摘しました。17歳の私の息子も、初めての日本訪問で同じことを発見し、このカルチャーに飛び付きました。ポケモンのポッチャマのぬいぐるみと柴犬のペンケースを手に入れて、ペンケースは今では哲学、数学、経済の教科書に混ざって燦然と輝いています。

ジェトロの調査では、製品やサービスをヨーロッパで販売するうえでの最大の課題に「ブランド強化」が選ばれましたが、これは広告宣伝などよりもむしろ、若い層にアピールする「働きたい会社」としてのブランドであるべきです。雇用主としてのブランド認知が広まれば、その会社のものづくりに参加し、販売や経営管理で役に立ち、同時にそれを楽しむ様子を、ヨーロッパの若者が思い描けるようになるでしょう。

このトピックに関するPernille Rudlinのプレゼンテーションのビデオは、Rudlin ConsultingのYouTubeチャンネルで、日本語でご覧いただけます。

 

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職業人としての説明責任

日本企業で行われる無意味な会議の話がトレーニングのワークショップ中に出ると、私はよく自分の経験をシェアしています。日本企業で働いていた時に、経営企画チームを代表して本社での会議に出席しなければなりませんでした。私にはまったく知識のないトピックの会議でした。ただ稟議書を読んで、いっさい発言せず、最後に「了解」とだけ言うよう指示されて会議に臨みました。会議では、赤字工場の開設に携わった2人が、稟議書に書いてあることを一字一句たがわず読み上げ、続いて数億円の損失処理の承認を求めました。明らかに承認済みの話でしたので、出席者は全員「はい、承認します」と言いました。この会議に何の意味があったのか、いまだに分かりません。ある種の罰ゲームだったのかもしれません。人生の貴重な2時間を無駄にしました。

日本企業には説明責任を社内的に示す同様のメカニズムが存在します

でも、考えてみれば、この会議の目的は、社内の説明責任を確立すること、いわば「筋を通す」ことにあったのでしょう。意思決定が下され、行動が取られ、その理由が説明されたという事実形成です。ほとんどの日本企業には、説明責任を社内的に示す同様のメカニズムが存在します。また、問題が生じた際、経営幹部は社外的にも説明責任を負うとされ、ゆえによく見かける謝罪の儀式が行われるのです。

けれども、ここしばらく相次いだ日本企業のスキャンダルには欠けている要素がひとつあり、これは欧米のメディアやエンターテインメント業界のセクハラ事例にも共通しています。それが、職業人としての説明責任です。日本企業がグローバル化して社員も多様化するにつれ、この要素をコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスのシステムに取り入れなければならなくなるでしょう。

欧米社会の幅広い職業、例えば弁護士、医師、会計士といった伝統的な職業から、最近では人事、金融、エンジニアリングなどの職業まで、あらゆる分野でその専門職者になろうとするのであれば所属が前提となる職業者の協会というのが存在します。加入に際してその倫理規定に従うことを宣誓し、試験を受けて進級したり毎年一定時間の研修を受けたりすることが期待されています。

説明責任は多様性のある労働力を構築するのに役立つ

国境を越えて専門職の資格を相互に認定するプロセスは複雑ですが、とはいえ専門職の資格を有する社員を雇うようにすれば、多様性のある労働力を構築するのに役立つでしょう。専門職の資格というのは、性別、年齢、障害、人種といった属性に左右されないためです。

また、日本企業にとっては、専門職者を雇うことにより、海外事業の説明責任を社内的にも社外的にも確立しやすくなるはすです。職業人としての説明責任を有している社員は、倫理規定に従わなければ、その職業を営む資格を失います。このため、上司や顧客から非倫理的なプレッシャーがかかる状況でも、それに抵抗する強さができます。

ただし、説明責任とは双方向のプロセスです。社員が社内だけでなく職業者の協会に対しても説明責任を負う一方で、管理職者は今までどおり部下の行動に関して社内的にも社外的にも説明責任を負います。つまり、管理職者は、信頼を育み、達成可能な目標と十分なリソースを提供しなければなりません。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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日本好きだけど日系企業だ働きたくない

センターピープルの2019年6月19日の人事セミナーで行ったパニラ・ラドリンの「日本好きだけど日系企業だ働きたくない」スピーチのスクリーンキャストです。

 


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ヨーロッパの人材業界

私の会社では在イギリス日系企業の社員数ランキングを管理していますが、最近ランクインした2社はいずれも人材業界の企業で、トラスト・テックとアウトソーシングでした。両社とも過去4年以内にイギリスで複数の人材会社を買収し、ドイツ、オランダ、ポーランドでも人材会社を買収してきました。

この動きを見ていて、13年前のことを思い出しました。イギリスと東欧で複数の企業を買収した別の日系人材会社のコンサルタントをした時のことです。買収したヨーロッパの企業が互いの連携を高め、統合的な戦略と構造を持つための方法を探してほしいと依頼されました。

しかし、ヨーロッパの人材市場はそれぞれ非常にローカルで、独自の慣習と法令があることがすぐに分かりました。最終的にその会社は、日本でさらに大手に買収され、国内市場を重点とする戦略を取るようになったため、ヨーロッパ市場から撤退しました。

今回ヨーロッパ事業を拡大させた2社の戦略的な意図は、売上高拡大という以外にあまり明確ではありません。海外で事業展開している日系企業の顧客に対して製造およびIT分野の人材を提供するとしていますが、これはヨーロッパよりもむしろアジアでのことと思われます。

ヨーロッパの日系メーカーは製造拠点を東へ移しているため、ポーランド、チェコ共和国、スロバキアなどのほうが需要があるでしょう。

イギリスは現在、エンジニアリングとITの人材が不足していています。EU離脱によってEU加盟国の国籍者がイギリスでの在住許可や労働許可を制約されることになれば、さらに悪化すると見られます。EU加盟国からイギリスへの人口流入はすでに劇的に減少し、医療、建設、食品加工などの業界で労働力不足を引き起こしています。

EU離脱の影響を別にして、イギリスの人材市場で過去10年間に起きた主な変化と言えば、規制強化と法令順守の負担増です。日系の人材会社が突如としてイギリス最大の日系雇用主のランキングに食い込んだ理由は、派遣社員が今の法令では人材会社の社員と見なされるようになり、年金や他の福利厚生の受給資格を有するようになったからです。このため人材会社は、賃金の男女差の報告要件やEUのGDPR(一般データ保護規則)などを順守しなければなりません。

業界関係者によると、ヨーロッパの人材会社には単に人材を見つけて紹介する以上のことが求められています。人材不足や多様な人材雇用のプレッシャーがあるため、データから洞察を得て、創意工夫を凝らすことで、顧客企業における役職と職務、および福利厚生や報酬体系の変更を支援し、雇用主としての魅力を高められるようサポートしていく必要があります。

これには、顧客企業に深く介入し、現地市場の人材プールにも精通する必要があります。このように考えていくと、日系の人材会社がヨーロッパの業界にどのような付加価値をもたらせるのか、ヨーロッパ市場から何を学べるのかは、いささか不明です。ということは、やはり売上高拡大だけが買収の目的なのかもしれません。

この記事はパニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」に出てます。Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

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Last updated by Pernille Rudlin at 2022-12-14.

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