日系企業時代の同僚たちの10年後
10年前に日系企業に勤めていた時の同僚との夕食会が最近ロンドンで開かれ、イギリス人とフランス人の元同僚のほとんどが集まりました。日本であれば、「OB・OG会」などと呼ばれて、このような集まりが開かれるのは珍しくありませんが、イギリスではあまりないことです。個人主義の傾向が強いほとんどの社会では、同期として入社する社員がいるわけでなく、定年退職というものもありません。実際、この会に参加した元同僚もばらばらに入社していて、すでに引退している人もいました。私のように自分から辞めた人もいれば、人員削減で辞めた人もいました。
この会が実現したのは、このチームのメンバーを自らの手で選んで採用したリーダーのおかげでした。その男性はすでに70代で、退職者向けの自己啓発を提供している慈善グループのU3Aに活発に参加しています。孫たちとの時間を増やすために最近引っ越したとのことでした。
この夕食会では家族の話が最大の話題で、子供や孫の写真を見せ合いました。健康も大きなトピックでした。ある企業でCEOを務めている元同僚は、最近、3カ所のバイパス手術を受け、フルタイムでは働かないほうがよいと言われたそうです。コロナ禍が子供たちのメンタルヘルスに及ぼした影響も話題に上がりました。ある同僚のお子さんは自閉症の診断を受けていました。
すでに引退している元同僚では、2人がポルトガル在住、1人がイギリスで市議会議員になっていました(選挙運動中のため、この会には参加できませんでした)。ブルガリアのソフィアに住んでいて参加できなかった人もいました。
コンサルタントとして独立したのは、私を含めて3人でした。また、キャリアのためというよりは単純に知的な挑戦としてパートタイムで学生に戻り、国際関係の修士号課程を始めようとしている人もいました。ファーウェイの上級管理職の打診を受けたそうですが、日系企業で働いた時のような信頼関係は構築できないと感じて辞退していました。
今もなお全員が日本に関心を寄せていました。ある男性は、出張で何度も日本を訪れていましたが、その後、観光客として夫婦で日本に旅行したそうです。その体験がすばらしかったので、今度は北日本や西日本にも行きたいと話していました。
このチームのリーダーは、私がプレスリリースや記事を書くと、必ず「アクションポイントは何なのか」と聞く上司でした。そこで今、この夕食会の記事を書いたところで、それを振り返ってみましょう。
10年前にこのチームが取り組んでいたプロジェクトは、この日系企業のバリューとビジョンを明確に定義して、全世界の社員をまとめることでした。あれから10年、これは今でも重要な作業だと思いますが、昨今では、転職社会、ジョブ型雇用、リモート勤務といった新しい力が社員のまとまりを薄れさせています。 優れたグローバルなリーダーは、社員が1つのチームを形成して、信頼に基づく長期的な人間関係を構築していけるような環境を作る必要があります。
帝国ニューズ・2023年6月14日・パニラ・ラドリン著
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