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人事

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Category: 人事

ミレニアル世代と海外勤務

日本と同様にヨーロッパでも、雇用主はミレニアル世代の社員の管理方法に悩んでいます。1980年代から2000年代初めに生まれた若手の社員です。

国を問わずミレニアル世代に共通する点をひとつ挙げるとすれば、言うまでもなく、ソーシャルメディアの使用度でしょう。この結果、この世代は世界に対して比較的オープンマインドであることが、一部で報告されています。イギリスでは、ミレニアル世代は年上の世代に比べてEUを支持する傾向にあり、移民に対しても心を開いています。ミレニアル世代は、会ったことのない人と関係を作り、住んでいる場所や国籍や性別に関係なく、お互いの興味や趣味を介して友情を育んでいくのに慣れています。

これに呼応して、外国に住みたい、外国で働きたい、外国に留学したいと思う割合も、年上の世代より高くなっています。PwCが2015年に行った国際調査によると、男女を問わずミレニアル世代の71%は、キャリアのどこかの時点で外国で働いてみたいと回答しました。また、やはりPwCが2015年に行った複数世代にわたる調査では、すべての年齢層と性別の回答者が、キャリアの早いうちに海外勤務を経験することが重要だと考えていました。

しかし、日本のミレニアル世代の調査では、留学や海外勤務の経験者が以前の世代に比べて減っています。留学や海外勤務から帰ってきた後にどんなポストが待っているか分からないという懸念があることは推測できますし、それは他の国でも最大の懸念となっています。

また、会社の側にも、誰を海外に赴任させるべきか、どんな役職を与えるべきかについて、一定の考え方があると思われます。私は最近、イギリス在住の様々な日本人女性にインタビューしたことのあるイギリス人の研究者と話す機会がありました。彼女の話によると、インタビューした日本人女性の多くは、海外駐在になることを期待して日本の日本企業に入社したそうです。けれども、海外駐在希望が無視され続けたため、自分で会社を辞めてイギリスに来ていました。

日本企業が抱えている問題には、若い人材の確保、社員の高齢化、男女を問わずグローバルな管理業務を担うことのできる人材の欠如などがありますが、こうした問題の多くは、転勤や人事異動についてもっと統合的でインクルーシブなアプローチを取れば解決することのように思われます。ヨーロッパの企業では、ヨーロッパ全域から大学卒業生を雇い入れて、様々な国の事業部門をローテーションさせることが普通に行われています。私のクライアント企業でも大手のいくつかが現在、ローテーションで社員を日本に送っています。グローバルな仕事というのは、必ずしも3~5年の海外勤務である必要はなく、期間は数か月から無期まで、あるいはバーチャルにグローバルな業務を担当することも考えられます。

イギリスのEU残留支持派が展開している政治運動では、ミレニアル世代をターゲットにしたこんなメッセージが語られています。イギリスがEUを離脱すれば、若いイギリス人がヨーロッパの他の国で勉強したり仕事したりするのは難しくなる、というものです。しかし、残念ながらミレニアル世代のもうひとつの特徴は、低投票率です。EU離脱を支持する年上の世代のほうが、熱心に投票所に行くでしょう。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年5月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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オランダのモチベーションと生産性

先週、オランダへ出張した際、現地で会った日本人マネージャーから、スタッフのモチベーションを上げる方法で悩んでいるという話を聞きました。この悩みは、ヨーロッパ勤務の日本人マネージャーからよく相談されるのですが、いつも私が聞きたいと感じるのは、モチベーションとは具体的に何を意味するかということです。

通常、モチベーションの高い社員とは、努力を惜しまず、最後までやり抜く人と考えられています。けれども、これは客観的な測定が難しい性質です。このためヨーロッパの社員は、日本人マネージャーがデスクで仕事をした時間数という尺度でモチベーションを評価するのではないかと懸念しています。実際、この懸念には正当な理由があります。最近私が聞いた話では、スペイン勤務のある日本人マネージャーが、スペイン人のスタッフは日本人やイギリス人と比べてデスクに座っている時間が短いのはなぜかと問いかけたそうです。

オランダに長年住んだ日本人の話では、オランダ人のスタッフに何をすればモチベーションが上がるかなどと聞こうものなら、直ちに「私の時間を無駄にしないでください」という答えが返ってくるとのことでした。つまり、オランダ人にとっては、時間を無駄にすることがモチベーションを下げる大きな要因なのだそうです。

OECDとユニセフの調査によると、オランダは、生産性が高く(通常は労働時間当たりのGDPで定義されます)、また子供の幸せ度が高い国です。この2つの間には関係性があり、それはアムステルダムの風景を見れば明らかです。自転車の後ろに小さなカートや子供用自転車を付けて子供を学校へ送り迎えする父母で溢れています。オランダのファミリーは、午後6時頃に家族揃って夕食を取り、夕暮れ時にはスポーツや他の趣味を一緒に楽しみ、子供だけで出かけるのも自由に認めています。オフィスと学校と住宅はすべて混在しているため、通勤時間も長くありません。

私が現地で聞いた話によると、週に1日か2日は自宅勤務をすることも普通で、特に欧州域内やグローバルな同僚とかかわる仕事、つまり自分のチームが物理的に同じ場所にいない社員の間ではよく行われています。また、子供がいる人は、男女を問わずパートタイム勤務にして、なおも管理職であり続けることも珍しくありません。つまりは、オランダ人のモチベーションを高めようと思うのであれば、生産性の高い働き方ができていると感じさせるのがベストということです。

しかし一方で、オランダ出張中、同じホテルに滞在していたイギリス人のマネージャー2人が朝食を取りながらオランダ人の同僚について次のように話しているのも耳にしました。「オランダ人は確かに能率が良いし、仕事を片付けてくれる。でも、自分流のやり方で片付けるため、蓋を開けてみれば全員がバラバラなことをやっていることもあり、コーディネートが難しい」。

もしかすると、これは、日本とイギリスの特にサービス産業の生産性がオランダよりも低い理由を突いているかもしれません。私たちは、自分で付加価値を生産するよりも、他人の仕事をコーディネートしたり監督したりするのに時間を費やしているのです。その時間が、場合によっては長すぎるということもあるのかもしれません。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2016年4月13日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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インクルーシブな言葉

イギリスのビジネスで許容される用語がいかに変わり続けているかについて、最近クライアントと話す機会がありました。明らかに、「flexible working」は最近では「agile working」に改称されました。「agile」のほうが「flexible」よりも意味が広いためです。「agile」な働き方とは、パフォーマンス や成果にむしろ重点を置いていて、その業務遂行に当たってのwho、what、when、whereに柔軟性があることを意味します。一方、 「flexible」な働き方とは通常、(日本語でもそうであるように)勤務時間に柔軟性があることを意味し、子供のいる女性にとって働きやすい職場を作 ろうとする際によく使われます。「agile」な働き方は、すべての社員を対象としたものであることを示唆しています。

この話をしたクライアントの役職名も、この種の変化を象徴していました。「ダイバーシティ&インクルージョン責任者」というのです。ダイバーシティは今や 日本でもよく使われるようになっていて、主に性別の多様性を意味していますが、最近では多くの企業が国籍や性的指向など他の面の多様性を考慮するように なっています。イギリスで「ダイバーシティ」に加えて「インクルージョン」が使われるようになっている理由は、企業が単に多様な人材を雇用することだけに 集中するのではなく、それらの多様なバックグラウンドを持った社員が意思決定や昇進、さらには自分の周りで起こっている会話や会議から疎外されていると感 じることのない企業文化を作っていくよう促すためです。

私自身は、用語の正しさばかりを気にするこの種のアプローチに時として苛立ちを覚えます。「言葉狩り」のように思えるからです。でも、そう思うたびに、日 本企業の本社で外国人社員として働いていた時のことも思い出します。個人としてどう処遇されたかに関しては、まったく不満はありませんでした。が、年次報 告書のような英語の資料について意見を求められるたびに、社員を男性・女性、日本採用・外国採用に分けるのは海外の読者にとって違和感があると幾度となく 指摘したものです。これらの区分がなぜ存在するかは知っていました。当時、女性社員の99.9%は一般職で、男性社員は100%総合職だったためです。こ のため、事務系と管理系または営業系の社員割合を示すには、これが手っ取り早い方法だったのです。日本採用と外国採用の区分は、単体か連結かという会計方 式に関係していました。

とはいえ私には、「女性」や「外国」というのが格下であるように感じられたのです。もちろん、これらの区分は後に変更されました。多くの企業で正社員を事 務系と管理系に分ける慣習がなくなったためです。最近では持株会社という形態が登場したため、会計基準も変わり、社員について単体と連結を区別するのは以 前ほど意味を持たなくなりました。

しかし今でも、日本のクライアントから、社員の区分をどう呼ぶべきかについて相談されることがあります。日本からの駐在員を「rotating staff」と呼んでいる企業もありますが、これもまた、日本以外で採用された社員は他国に赴任する可能性がないことをほのめかす言い方です。あるイギリ ス人の社員は、日本の本社が送信してきたメールに部下という意味で「subordinate」が使われていることに不満を感じ、それを私に伝えてきまし た。階級意識の強いイギリス社会ですら、一般社員に対しては「colleagues」や「team members」の呼称が好まれています。

Pernille Rudlin著 帝国データーバンク・ニュースより

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日本企業が「OL] を再考

今から20年ほど前、私は、日本のOLの終焉を宣言する記事を書きました。勤めていた会社が、新卒者を採用して「一般職」と呼ばれるコースに配属する慣行 を廃止したのです。この動きは当時、他の多くの日本企業にも見られました。OLの制服も廃止され、既存のOLには総合職コースへの転換が奨励されました。 将来の事務業務のニーズは派遣社員で埋められるという計画でした。

私はこの成り行きを嬉しく受け止めました。OLというシステムは、私のフェミニズム精神に反していたからです。ただし企業がこのシステムを廃止した理由 は、むしろ金銭的な理由でした。OLは、だいたい20~22歳で入社し、20代半ばまで勤続して、その後は結婚のために退職していくものと期待されていま した。

その間、OLは、机を拭き、ゴミ箱を空にし、部署内の同僚にお茶を入れ、電話に出て、書類仕事を処理したのです。けれども1990年代半ばまでには、30 代後半になっても勤め続けるOLが増え、年功序列の報酬体系ゆえに、そのように基本的な事務業務にしては相当に高い給与を取るようになっているのが明らか でした。

その後の10年間は、大卒者の就職が困難を極め、特に派遣会社での雇用を望まない女子大生にとっては氷河期が訪れました。多くが外資系企業に入社し、なかにはメインストリームの日本企業で総合職に挑んだ人もいました。

この時代は、一般職として働いていた女性にとっても難しい時代でした。半ば強制的に転換させられた準総合職コースは、それまでの一般職コースのような年功 序列の報酬体系ではなかったため、多くの場合、給与が下がる結果になったのです。そうした女性たちはほとんど全員が、今や派遣社員のチームを管理しなけれ ばならなくなったため、以前よりも多くの仕事をこなしていました。ひっきりなしに入ってくる新しい派遣社員を研修し、その仕事ぶりを確認し、派遣社員が間 違いを犯せば責めを受けなければなりませんでした。

以前の勤め先が一般職コースを復活させようとしているという話を聞いた時、私は最初、驚きました。派遣社員の犯す間違いと残された元OL(多くは早期退職を選んでいました)にかかる負担が、明らかに事業に大きな影響を及ぼしているのです。

でも、考えてみれば、これは驚きではありませんでした。先月、複数の日本企業を対象に顧客満足度を調べるための聞き取り調査を行った際、多くの企業で、女 性の事務スタッフが私とのミーティングに招待され、その上司たち(たいていは男性)が、彼女たちの目から見た意見やコメントを引き出すべく気遣っていたの です。

私が聞き取り調査をした企業は、サプライヤ企業の事務能力に対する批判が真剣に受け止められることを期待していました。事務的な間違いは、日本では瑣末な こととは見なされません。ほかに問題点がある可能性を示唆していると見られるうえ、小さな間違いが大事につながるという考え方があるためです。

事務職というのが屈辱的な仕事であると考えて、女性がそのような仕事に就くのは男女差別だと宣言していた私は、高慢でした。でも、このような偏見を抱いて いたのは、私だけではないかもしれません。実際、顧客満足度を調べるためのミーティングに秘書を参加させる欧米企業がいったいどれだけあるだろうかと考え ずにはいられません。

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日本関連の会社がヨーロッパで人材採用する際の落とし穴

私の会社の事業が十分に成長したためサポートしてくれる人を雇う必要が生じたという話を、以前の記事でお話ししました。それから3か月になりますが、実は誰も採用できていません。
その理由を自己分析して次の方策を考えようとしたところで、あることに気が付きました。それは、ヨーロッパで事業展開する日本企業が陥りがちな落とし穴に、私自身もはまりそうになっているということでした。

まず最初の落とし穴は、採用候補者のスキルや自分の事業上のニーズを慎重に検討せず、日本語を話せる人に惹かれてしまっているという点です。イギリスでは、日本語を話せる人を見つけるのは難しいことではありません。イギリスに住んでいる日本人は現在3~5万人いて、多くは学生や駐在員ですが、定住者もいて、しばしばイギリス人と結婚しています。

さらに、「語学指導等を行う外国青年招致事業」、通称JETプログラムの経験者が結成している協会のイギリス支部には約6,000人の所属メンバーがいます。イギリス人または英語を母国語とする他の国の出身者で、日本で1~3年、時にはそれ以上にわたって働いた経験があり、通常は学校や自治体政府での経験を有しています。この経験を通じてほとんどの人が日本を好きになり、その結果、日本とのかかわりを持ち続け、日本語力を生かせるキャリアを追求したいと考えています。

2つ目の落とし穴は、日本人(たいていは女性)やJET経験者を一般的な事務職に雇おうとしている点です。職種の定義がどことなくあいまいで、受付から人事、翻訳まで、あらゆることをこなす仕事です。これは、両方にとって不満の原因となることが多々あります。日本人の女性は、格下のOLのように処遇されているのではないかと疑念を抱くようになります。そして、残業や下働き風の仕事を頼まれることについてイギリス人の配偶者に不満を言うと、それなら雇用主に抗議すべきだとけしかけられることがしばしばあります。

JET経験者の場合は、ステップアップするキャリアパスや専門職者として能力開発する機会がないのではないかと不安に感じ始めます。そのような立場の人からどうすべきかと相談を持ちかけられることも多々ありますが、私がいつもアドバイスするのは、法務や経理など自分に合っていると思える職業をまず見つけて、そこから日本とかかわる方法を見つけるべきだというものです。

どちらの場合も、明確な職務記述書を作成し、適切な契約を交わすことで、ある程度の失望は回避することができます。また日本企業は、どのような発展性がある職種かについて、両者が持つべき期待を現実的かつオープンに話す必要があります。可能であれば、必要に応じて研修を提供したり支援したりするなどして、社員のキャリアが進展するごとに職務記述書も改訂すべきです。

さて、私の場合は、必要としているサポート的なスキルをもっと明確にする必要がありそうです。主な仕事は、請求書の発行とその集金、サプライヤへの支払い、そしていくらかの経営管理的な経理(キャッシュフロー予測など)です。この内容であれば、日本語が話せる必要はありません。とはいえ、同じような興味を持った人と一緒に働ければ、そのほうが楽しいことは間違いありませんが。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2013年12月1日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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日本の終身雇用と年功上列とヨーロッパの人事制度

日本企業に最近買収された在イギリス多国籍企業の人事部長が、ショックを受けた話としてこんな体験談をしてくれました。イギリスに駐在員として赴任するこ とになった日本人マネージャー数人に対する社用車の割り当て方法について日本の本社に質問したところ、回答としてマネージャーの名前と年齢だけが返ってき たというのです。

もちろん、日本企業の年功序列に基づく給与と福利厚生制度のことを知っていれば、至極当然の回答です。でも、ヨーロッパの企業では、給与や福利厚生は仕事 上の役割に基づいています。どの階級でどんな仕事をしているかであって、年齢や勤続年数に注意が払われることはほとんどありません。

私の取引先である在ヨーロッパ日系企業のほとんどは、現地の慣習に合った給与と福利厚生の制度を導入しています。でも、日本の人事制度がヨーロッパの社員に影響を及ぼす側面は、駐在員の社用車の等級に限らず、いくつか存在します。

例えば、終身雇用の文化や、会社が社員の面倒を見なければならないという意識です。日本人であれ外国人であれ、日本企業は会社に対する貢献度がきわめて低 い社員ですら解雇に消極的だということに、多くの人が気付くようになりました。この思いやりある姿勢にはヨーロッパの人も同情する一方で、パフォーマンス 管理をやりにくくするという声もあります。成績の悪い社員の存在がいつまでも許されていれば、他の社員のやる気を損ねるからです。

また、日本の人事制度の特異性が国境を越えた人事異動の障害になるという側面もあります。日立が最近、年齢に基づく管理職の給与の設定方法を廃止すると発 表しましたが、その背景にはこの理由があったと言われています。日系以外の多国籍企業のほとんどは、社内公募制度を導入して、世界のどの国であれ社員が社 内求人に応募できるようにしようとしています。これを受けて、詳細な職務記述書だけでなく、統一的な等級制度も必要になります。社員が自分の等級に適した 仕事がどれかを見極められるようにするためです。

日本からの駐在員が、役割に見合った資格とスキルと経験を有しているかどうかとは無関係に、その役職に就いているように見えることは、ヨーロッパの人には非常に不可解です。

私が日本の企業に対して希望するのは、外国勤務の現地社員をもっと日本の本社に送ることです。日立は、過去2年かけて全世界の社員のデータベースを構築し てきました。これはおそらく、日本からだけでなく世界中で社員の異動を可能にする統一的なシステムを持ちたいと思っていることの表れでしょう。そして、そ のような国際的な人事異動は、職能に基づいて決定するのであって、個人的な能力開発のニーズや「誰の番か」だけで決定するのではないようにしたいという意 思の表れなのではないかと、私は思っています。

ただし、日立の目指す方向性を他の日本企業が追随し、グローバル化の道を歩むようになるとしても、社員への思いやりや忠誠は失わないでほしいと思います。 日本企業での勤務にフラストレーションが伴うことは事実ながらも、ヨーロッパの人はなおも日本企業のもたらす長期的な雇用の安定性を好んでいるからです。

Pernille Rudlin著 帝国ニュースより

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専門知識と経験のある社員の雇用

日系物流企業の駐在員のマネジャーから、イギリスの物流は日本より進んでいると思っていたと最近聞き、意外に思いました。私は90年代のおわりの4 年間、日本に働いていましたが、帰国した当初、日本の宅配便のようなサービスに大きいな商機があると思ったのです。当時ロンドンのアパートに住んでいまし たが、19世紀に造られた狭い路地を巨大なコンテナ車が恐る恐る通行して小さな肘掛椅子一脚を配達しに来た時、これを実感しました。日本なら、はるかに小 さなバンで配達し、所要時間もずっと短かったことでしょう。私が日がな1日、家で配達を待つ必要もなかったはずです。

オンラインショッピングが人気を博し(イギリスはヨーロッパで最大のオンラインショッピング市場となています)、また郵便が自由化されたのを受けて、イギ リスにもMyHermesをはじめとする宅配便のようなサービスが登場しました。荷物を発送する際は自宅に引き取りに来てくれて、オンラインで翌日引き取 りの時間帯を指定できるうえ、重たい荷物の場合は送料も郵便局に持っていくより格安です。

日本の宅配便でも同様のサービスがあるはずですから、日本の物流会社のマネジャーが言っていたのは大規模運送、例えばヨーロッパ全土に大量の自動車部品を運送するといった類の物流サービスを指していたと思われます。

イギリスには物流の資格が存在し、物流学で大学の学位をとることもできますが、そのマネジャーの会社に勤めるイギリス人社員は皆、物流の専門知識は教室で 最新の理論を学ぶのではなく、実務を通じて培っていくものだと考えています。つまり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを重視していて、いわば日本の見習い 式のアプローチに賛同していることを意味します。

この日本のマネジャーいわく、彼の会社の社員はほとんどが生粋のイギリス人です。私がイギリスで研修の講師を務めている金融業界や通商業界の日系企業で は、社員の半数以上がイギリス以外の国籍者です。こうした会社では、学習姿勢や学習能力のほうが、現地市場の知識やスキル、経験よりも重要かもしれませ ん。でも、物流をはじめ、エンジニアリングなど熟練を要するほかの伝統的な業界では、これから育てる人よりも、経験からくる現地市場の理解や専門知識やス キルを持っている人のほうが採用候補者として魅力的に見えるものです。

専門知識・スキルを持つ人材の獲得
ただし、そうした人材は、イギリスのみならず他のヨーロッパでも簡単には見つかりません。一方で若年層の失業率は相変わらず高く、体を使う仕事やオフィス 勤務以外の仕事に就く気持ちはあっても、研究を受けたことがない、経験がないという若者は、安定した仕事を見つけられずにいるのです。

こうした現状をかんがえると、日立の鉄道システム事業部が他者と手を組んで、イングランド北部ユニバーシティ・テクニカル・カレッジを新設したというもの頷ける話です。そうでもしない限り、近くにある日産から社員を引き抜かなければならなくなると思ったのでしょう。

Pernille Rudlin著 帝国ニュースより

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世界の最大の社会人SNS, LinkedIn

パナソニック、三菱地所レジデンス、楽天がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のLinkedInをヨーロッパほか日本国外での人材採用に 活用するという話を、日経新聞で読みました。LinkedInは、世界最大の社会人向けSNSです。本社はカリフォルニア州にあり、世界中で2億 7,000万人以上のユーザーを有しています。人材を見つけて引き付けるうえで効果的な方法であることは間違いありません。

私自身は10年以上前からこのサイトを使っていますが、仕事を見つけるためではなく、在ヨーロッパの日系企業に勤める社員の連絡先を見つけたり調べたりす るのが目的です。ただし、日本人社員や日系企業は概してLinkedInをあまりアクティブに使用していません。日本語バージョンも開設されていて、東京 にも2011年以来オフィスが置かれているにもかかわらずです。

その理由は主にLinkedInが中途採用や転職のために使われていて、それ自体が日本ではまだあまり主流ではないからだろうと思います。実際、ヨーロッ パでも、自分のスキルや経験を公開して、いかにも「就活中」のように見えてしまうことを嫌う人はたくさんいます。私が見たところでは、イギリス人とオラン ダ人はあまり抵抗感がないようですが、プライバシーを気にする(そしておそらくは英語でのコミュニケーションがあまり得意でない)ドイツ人とフランス人は やや消極的です。

私の知り合いのドイツ人の多くは、ドイツのSNSのXingを使っています。とはいえ、ヨーロッパの人(さらにはトルコなどの新興市場にある多国籍企業に勤める人)はみんなLinkedInのことを知っていますので、転職を模索する際にはチェックするでしょう。

つまり、雇用主にしてみれば、スキルや経験に基づいて人材を探すだけでなく、魅力的な会社であると訴求するうえでも良いツールになるということです。

LinkedInに自社のページを開設しようとする日系企業は、まず第一に「公式」ページであることをはっきりとさせる必要があります(個人が運営してい るOB・OGのページなどと区別するためです)。そして、社員が自分のLinkedInのプロフィールを会社の公式ページにリンクするよう奨励します。

ほとんどの場合、日系企業のページはすでに複数存在していることでしょう。これらを整理して、本社のページや各地にあるグループ会社のページなどをそれぞ れ明確に示す必要があります。各地のグループ会社のページと本社のページを相互にリンクして、1つのグループであることを示すことができます。

これらの公式ページは、本社および各地の子会社のマーケティングまたは人事担当者が管理すべきです。会社の規模や事業内容などを含んだ紹介文を作成して、 さらに自社のウェブサイトへのリンクも表示します。また、会社のイメージを反映した魅力的な視覚要素を使って「ブランド」を統一し、製品やサービスの説 明、新着情報やニュースも追加して、使いやすく見せる必要があります。

会社のページが正しく運営されれば、「フォロー」する人が瞬く間に増え、新たな人材を引き付けるのに役立ちます。そればかりか、既存の社員も自分の会社が LinkedInで明確かつ魅力的なメッセージを訴求していることに共感して、今までよりもずっと満足度や忠誠度を高めてくれることでしょう。

(帝国ニューズ・2014年4月9日・パニラ・ラドリン著)

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4月1日は出発の日、でも暗い底流にご用心

日本企業のカレンダーで最も重要な日が近付きつつあります。それは4月1日。ほとんどの日本企業では、この日に新年度が始まるだけでなく、異動や再編の重大発表がすべて行われ、そしてピカピカの新入社員がプロパー採用のサラリーマン、サラリーウーマンとして初日を迎えるからです。

おかげで3月は不安に駆られる1か月となります。赤丸上昇中は誰か、衰退下降線は誰か、新社長のお気に入りとなるのは誰か、どの派閥がどのバトルに勝ちつつあるか、そんな憶測と情報のリークが飛び交うからです。

私のトレーニングに参加するヨーロッパ出身の社員が、日本企業はヨーロッパの企業に比べて社内政治が激しくないように見えて新鮮だという感想を述べるたびに、私はあまりシニカルになりすぎないようにしています。言うまでもなく、3月(やその他の季節)を覆うムードの底を流れる潮の満ち引きに気付かないまま過ごすことは、とても容易です。けれども、日系企業に長く勤めている社員は、うかつにしていると4月になってその暗い底流に足元をすくわれかねないことを、よく知っています。

日系企業で働いていた時、私はこの「クレムリン」風の政治分析のアプローチをちょっとやりすぎていたかもしれません。自分と接点のあった人たちを漏らさずスプレッドシートに記録して、入社年、役職と等級、その他の気付いた点などをすべて書き込んでいたのです。このファイルを毎年4月1日に入念に更新して、好成績を上げた人には称賛の言葉をメールで送っていました。

でも、これが必ずしも突飛な行動ではなかったことが明らかになりました。日系企業に長く勤めているイギリス人の知り合いにこの過去の秘密を打ち明けたところ、その彼も同じようなスプレッドシートを勤続20年にわたってずっと更新し続けていて、リストがあまりにも大きくなったのでプリントアウトして自宅のガレージの壁に貼ったという話をしてくれたのです!

日系企業で働く別のイギリス人のエグゼクティブから、自分の右腕となる役職に誰を選ぶべきかについてアドバイスを求められて、完全に日本の政治モードに入ってしまったこともありました。候補者の年齢、新卒入社だったかどうか、誰がスポンサーやメンターになっているか、もともとどの事業部門の出身だったかなどを、すぐさま聞いてしまったのです。そのエグゼクティブは、私の質問にほとんど答えられなかったばかりか、これらの点にはまったく関心を寄せていませんでした。彼が主な基準としていたのは、今のチームで良い業績を上げているかどうかでした。

これはかなり新鮮でした。日本企業ではしばしば、出身の部署が悪かったり、悪い派閥に属してしまったり、また過去に過ちを犯してしまうと、それがたとえ善意に基づくものであっても、取り返しがつきません。少なくとも欧米人のマネージャーは、成績の悪い社員を切る際は容赦がない一方で、多くの場合(常にではありませんが)、過去のキャリアに関係なく成績を上げた社員に報います。

日本企業が真にグローバル化して外国人幹部に人事の采配を握らせるようになれば、人脈が厚いだけで成績は振るわない社員には、はるかに居心地が悪くなることでしょう。逆に、自分のキャリアは終わったと思っていた社員に新たな活路が開かれるかもしれません。

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女性管理職が増えれば日本企業のグローバル化に役立つか

数年前、非営利団体J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベーティブ・ネットワーク)の一行がイギリスを訪れた際の夕食会に招かれて参加してきました。イギリスに1週間滞在して、ブリティッシュ・テレコムや保険大手のエーオンなど様々なイギリス企業を訪問し、グローバル・リーダーシップと多様性を学ぶのが目的のツアーでしたが、一行のうち多くの日本人女性(70人)が会社から支援されて来ていたことには感心しました。この夕食会で、女性管理職が増えれば日本企業のグローバル化に役立つかどうかという質問が上がりましたが、時間不足で十分な議論が交わせませんでした。

この質問に対する私の見解は、「イエス」です。女性管理職(日本人)が増えれば、日本企業のグローバル化に役立ちます。その理由は2つあります。第一に、本社の管理職ポストに女性が増えれば、日本企業や日本の企業文化が西側の企業から「異質」と見られることが少なくなります。そして第二に、より多様性のある日本人の労働力を取り込むために日本企業が実践しなければならない調整によって、「非日本人」の多様なグループもより包含されるようになるためです。調整が必要な部分として私が提案するのは、残業に対する姿勢と自宅勤務です。

ヨーロッパのほとんどの企業は、10年前と比べてもはるかに柔軟な働き方を受け入れるようになっていて、そうした新しい働き方は男性にも活用されています。私の知り合いのイギリス人男性のある管理職は、最低週3日の自宅勤務をして子供の学校の送り迎えをしています。グローバルな職種のシニアレベルの管理職の多くは、電話、ウェブ会議、メールなどを使って世界各地のチームを管理していますが、このように時間や場所を問わない仕事のあり方も、このトレンドに一役買っています。

多くの日本企業が管理職に占める女性の割合の目標値を発表していますが、ノルウェーなどヨーロッパの一部の国では、これをさらに進めて、上場企業に対して一定人数の女性取締役を義務付ける規制を導入しています。ただし、この種のノルマに対しては、多くの企業が抵抗感を示しています。実力ではなく性別のみを理由として女性が昇進していると見られるようになれば、女性をさらに孤立させるだけだという恐れがあるためです。

そこで多くのヨーロッパ企業は、女性管理職の割合を義務付ける代わりにメンター制度を導入して、男性と女性の間の人脈作りや女性の昇進を奨励しています。これは、日本企業にとってもメリットのあるアプローチだと思います。既存の「先輩・後輩」の関係を活かしながら、女性だけでなく外国人の社員にも恩恵をもたらせるからです。西洋文化におけるメンタリングとは、メンティー(被育成者)のキャリア開発に特化する傾向があります。でも、私自身は、より広範にわたる先輩・後輩関係のほうが好ましいと思っています。インフォーマルな関係を通じて会社内でお互いの人脈にアクセスし、メンティーが「ファミリーの一員」になったように感じられるためです。

J-Winの女性2人とメンタリングについて話す機会がありましたが、外資系企業から参加していた1人は、アメリカ人男性にメンターになってもらうほうが、日本人男性にメンターになってもらうよりも、はるかに効果的だと感じていました。アメリカ人のメンターは、日本の女性の役割や行動について先入観がまったくないためだそうです。外国人の社員も、日本の企業文化を内側から説明してくれるメンターがいれば、同じように恩恵を受けられるのではないかと思います。

パニラ・ラドリン著 Teikoku Databank News 2014年1月15日号より

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