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Home / Articles Posted by Pernille Rudlin ( - Page 11)

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About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures.

Pernille is a non-executive director of Japan House London, an Associate of the Centre for Japanese Studies at the University of East Anglia and she is also a trustee of the Japan Society of the UK.

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Here are my most recent posts

在宅勤務のジェネレーション・ギャップ

イギリス政府は、2020年8月1日以降のオフィス業務再開を許可しましたが、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは、2021年まで在宅勤務を継続すると5万人の社員に通達しました。同行のシティ・オブ・ロンドンのオフィスに週1回通勤している友人によると、今も気味が悪いほど人気がなく、必須の社員だけが来ています。エレベーターは1人しか乗れず、トイレの個室は半分が閉鎖されているそうです。多くの企業が長期の変更を導入していることから、ロンドンの高層オフィスビルには終焉が来るだろうと、イギリスのある建築家は予測しています。比較的小さな企業は、シティのオフィスを廃止しました。また、他の会社にオフィスを又貸している企業もあります。

似たようなトレンドは、日本でも見られます。みずほや富士通など、銀行とIT業界の企業が、デジタル・トランスフォーメーションを加速しようとしています。

私は10年前にイギリスの富士通の社員でしたが、かなり頻繁に自宅で仕事をしていました。部署のメンバーが世界各地に散らばっていたため、ほとんどの会議が電話会議でした。ヨーロッパでは、在宅勤務はすでに働き方として定着しています。共働きで子供がいる人にとっては、ほかに現実的な方法が見つからないこともしばしばあります。

ロンドン中心部に住むのは高すぎるため、子持ちで職場がロンドンという人のほとんどは、日本さながら、混み合う電車で長距離通勤しています。この人たちは、新型コロナウイルスのワクチンが広く流通するまで、満員電車に乗るつもりはありません。

とはいえ、ヨーロッパでは、在宅勤務の受け止め方にジェネレーション・ギャップがあるため、企業はこれに対応しなければならないでしょう。若い独身世代は、「デジタル・ネイティブ」であるにもかかわらず、在宅勤務に大きなストレスを感じています。その一因は、孤独感です。若い独身者にとって、職場は社交の場としても重要です。また、信頼の問題もあります。年配の社員は、同僚との人間関係を確立していて、自分の能力にも自信があります。一方、若い社員は、自信がなく、同僚に自分の能力を証明するという点においても十分な歳月を経ていません。

さらには、在宅勤務の物理的な環境もあります。年配の社員は、比較的広い家に住んでいますが、ロンドンに住む若い人たちは、ルームメイトと家やアパートをシェアしています。プライベートな空間は狭いベッドルームで、共有空間はキッチンだけかもしれません。

これはもちろん、日本の都市生活者にも当てはまることです。1DKのアパートに住んでいれば、デスクを置く場所はなく、ドアを閉めて雑音や邪魔をシャットアウトすることもできないかもしれません。

でも、日本とヨーロッパには、ひとつ相違点があります。日本では、中年の人たちも在宅勤務にストレスを感じているという点です。特に管理職者は、仕事の成果物ではなく努力の量に基づいて部下を評価するのに慣れているうえ、報・連・相と以心伝心でコミュニケーションしてきました。このようなアプローチは、リモートな勤務形態には向きません。デジタル・トランスフォーメーションにおいては、情報通信技術の管理もさることながら、人の管理もカギを握っています。

 

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日本のコンテンツのソフトパワー

ヨーロッパの社員向けに日本人の同僚との働き方を説明するセミナーで、ビデオコンテンツを見せてほしいとリクエストされることがありますが、たいていはあまりお勧めしないことにしています。技術的な問題を起こすのが目に見えているからです。YouTubeからストリーミングしようとすれば、ファイアウォールやインターネット接続の問題にぶつかり、クライアントのオフィスにあるDVDプレーヤーを使わなければならなくなるなど、厄介なことが多々あります。

しかも、これまでは、そもそも良いコンテンツがあまりないというのが現実でした。『ベスト・キッド』や『ロスト・イン・トランスレーション』のような映画はありますが、ステレオタイプ化されていたり、全編を見ずに一部のシーンだけを見ても意味を成さないことがあるためです。

日本とヨーロッパの俳優を使って典型的なビジネスシーンのやりとりを描くビデオを独自に制作することも考えましたが、かなり高価につくうえ、内容がすぐに古くなりがちで、作為的でわざとらしく見える恐れもあります。

ビデオで見ることの意義は理解できます。トレーニングの内容がバラエティ豊かになるうえ、身近に感じられるシーンを通して様々な文化の人たちのふるまいを見ることで、他の文化に対する共感が生まれるからです。

最近になって、日本を題材にしたビデオコンテンツが以前よりもはるかに良くなっていることに気付きました。サンリオのアニメ『アグレッシブ烈子』は、現在イギリスのNetflixで配信されていて、レッサーパンダのOLの様子に、私も涙が出るほど爆笑しています。日本の職場を知らない人にとってはつまらないだろうと思っていたら、18歳の息子と香港から来たホームステイの学生に大受けでした。

おかげで息子とは興味深い会話ができました。やはり動物のキャラクターが出てくる日本の漫画『ビースターズ』と似ていると思ったようですが、『ビースターズ』もアニメ版が今春、Netflixにお目見えすることが分かりました。『深夜食堂』、『全裸監督』、『テラスハウス』などの他の日本発コンテンツに加わる予定です。

息子の世代は、コンテンツ消費のほとんどをNetflix、YouTube、Amazon Primeでしているため、今や私が息子と一緒にテレビを見ることはほとんどありません。おかげでイギリスの公共放送、BBCは、ライセンス料の売上高が下がり始めました。若い世代はノートパソコンやスマホでオンラインのコンテンツを見ていて、テレビは持っていないからです。

企業のほうも、若い世代に訴求しようと思うのであれば、テレビや新聞の広告やニュースではなく、オンラインのビデオに頼らなければなりません。

最も効果があるのは、俳優が台本を演じる会話ではなく、リアルな人たちの実際の会話、もしくはハウツーや体験談のビデオと思われます。この種のビデオは、かつての映画のようなビデオと比べて、はるかに安価に簡単に制作できます。そこで私も、独自に録画を始めました。ただし、セミナーではなく、弊社のPR目的で使う予定です。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年3月11日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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日本とイギリスのパートナーシップ

近くの骨董品店で、日本とイギリスのデザインと製造を折衷したような品物を買うことが時々あります。ほとんどは19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパでジャポニスムが花開いた時期のものです。

昨年購入したミルク瓶には、富士山と木造の帆船、それに茅葺き屋根の家が描かれていました。とてもシンプルな、イギリスの伝統的なミルク瓶の形状で、飾りは金色のハイライト部分を除いてすべて、手作業の絵付けではなく転写印刷で施されていました。

私が興味を引かれたのは、蝶番式の珍しい金属製の蓋が付いていた点でした。この蓋には「クラークの特許品」という刻印がありました。どうやら、イギリスでクラークさんという人が特許を取得した蓋のようです。蓋を閉じたままミルクを充填したり注いだりすることができるデザインでした。

19世紀ですら、日本とイギリスの貿易は、どちらかの国で完全に作られた品物を単に交換する行為ではなかったことが伺えます。イギリス製のミルク瓶の金型が日本に輸出されていたのかもしれません。瓶の絵や金色のハイライトは日本とイギリスのどちらで施されたのでしょうか。金属の蓋はイギリスに到着してから付けられたのでしょうか。はたまた、このミルク瓶は完全にイギリス製で、ただし日本の陶磁器から大きく影響を受けていたということも考えられます。

このような相互作用の長い歴史こそが、現在交渉中の日英自由貿易協定がおそらくはかなり基本的な内容になり、これまで以上に大きなメリットを付加することはないと思われる理由です。それに、この協定は、すばやく成立させる必要があります。イギリスのEU離脱の移行期間が終わる2021年1月31日以降の新たな関税を回避するためです。関税引き下げという点で最も恩恵を受けると思われるセクターは食品と農業ですが、これらの分野は通常、最も困難が多く交渉を長引かせる分野でもあります。このため、この部分が日・EUの経済連携協定から継承されることは当面なさそうです。

イギリスの提案はこれを反映していて、中小企業の輸出を促進すること、日本政府の調達プロセスに参加できるようにすること、そして両国間の自由なデータ移転を可能にすることを強調しています。

政府の調達は、賛否両論の分かれるトピックでもあります。イギリス人の多くは、米国との貿易協定を不安に感じていて、米国の民間医療会社がイギリスの国民保健サービスの民営化を押し進めてしまうのではないかと案じています。また、データ移転に関しても懸念が渦巻いています。イギリスの情報通信インフラに中国からの投資が流れ込んでいる現状などがあるためです。

国連の事務総長は、世界が今、第二次世界大戦以来、最大の危機に直面していると語っています。日本とイギリスにとって、戦後の一時期は、史上最も緊縮財政となった時期のひとつでしたが、一方で多数の革新も見られました。日本ではソニーや本田などの企業が設立され、イギリスでは医療、交通、エネルギーが国営化されて福祉国家が確立しました。

今の危機状況が、日本とイギリスの双方にとってメリットのある新しいパートナーシップをもたらし、社会のインフラとサービス、また技術業界のスタートアップにも恩恵をもたらすことを願いましょう。

パニラ・ラドリン著。帝国ニュース 2020年7月8日より

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グローバル志向の人材を引き付けるには、働きたい会社としてのブランドが必要

去年、ロンドンで開かれる日本人マネージャーの会合で、「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」というトピックの講演をしました。このタイトルは、大学で日本語を勉強したり、JETプログラムで数年間にわたって日本で働いたりしたとがあるヨーロッパの若い人たち、あるいは単にアニメやゲームで日本文化のファンになった人たちの感想を集約したものです。

彼らが日系企業で働きたがらない理由は、やりがいのある楽しいキャリアにはなりそうにないと思っているからです。残業が多く、官僚主義で、堅苦しい年功序列があることを案じています。しかも、ヨーロッパの日系企業はほとんどが、面白みに欠けるエンジニアリング業界の販社だと思っています。

そこで私は、「働きたい会社」としてのブランドを強化して若い人たちにアピールすることを、先の会合で提言しました。ヨーロッパの人でも、日系企業での社歴が長い社員の多くは、日系企業で働くのが好きだと言っています。理由を聞くと、違っている、変わっている、興味深い、長期志向で人間味があるなどの答えが返ってきます。欧米系の多国籍企業は、様々な側面が標準化されていて、結果重視で短期志向ですから、それとは異なります。また、日系企業は、現地採用社員の短期的な日本派遣も考えるべきでしょう。日本人以外の新卒採用者が社内人脈を開拓して、意思決定に参加し、キャリアを開発できるようにするためです。

とはいえ、海外の現地採用活動のためだけにブランドを強化するよう、ヨーロッパの駐在員が日本の本社にリクエストするというのは難しいことも分かります。おそらく日本の本社は、グローバル志向の日本人新卒者を雇うのが優先課題だと考えていることでしょう。

今回の講演では、外国と日本の大学を卒業予定の日本人学生を対象とした「キャリタス就活2020」の調査結果も紹介しました。それによると、外国の大学に通う日本人の学生は、ヨーロッパの学生と似たニーズを抱えています。日本の大学生は、安定性を重視していて、海外よりも日本で働き、同じ会社で長く働きたいと考えていますが、外国の大学で学ぶ日本人は、良い報酬をもらいながら自分の夢を実現し、日本よりも海外で働くことを希望しています。

働きたい会社としてのブランドを強化し、魅力的なキャリアパスを用意することに加えて、私がもうひとつ提案したのが、ヨーロッパの社員を管理する日本人駐在員を対象に、リーダーシップ、フィードバック提供、ダイバーシティとインクルージョンについてのトレーニングを提供することでした。

もちろん、これは私のビジネスにつながることを期待しての提案でしたが、講演後にある日本人マネージャーと話して、それ以外にも理由があるかもしれないことが分かりました。その人は取締役で、社員の80%は日本人だけれども、若手社員と年配社員の間、および外国の大学を卒業して外国に住んできた社員と日本で大学に行き主に日本で働いてきた社員の間に大きなコミュニケーションギャップがあると言いました。明らかに日本企業は、日本人社員の間でも異なるマインドセットに対応しなければならないということのようです。

このトピックに関するPernille Rudlinのプレゼンテーションのビデオは、Rudlin ConsultingのYouTubeチャンネルで覧いただけます。
 

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年7月10日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

パニラ・ラドリン著「ユーロビジョン: 変わりゆくヨーロッパで日系企業が信頼を構築するには」Kindle版とペーパーバックはamazon.co.jpでご注文できます。

 

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「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」

今月イギリスで開かれる日系企業の人事担当者向けのイベントで、「日本は好きでも、日本企業では働きたくない」と題したプレゼンをする予定です。日本は、ヨーロッパの若い層の間で今までにも増して人気の国になっています。アニメと漫画、それに日本食の人気があるためです。しかし、ジェトロの調査によると、在ヨーロッパの日系企業にとって人材確保は重要な経営課題であり続けています。

若い人たちは、遊び心のある日本のポップカルチャーは大好きですが、技術・製造畑の日系企業でそのような文化を経験できるわけではないと考えています。

日系企業で働きたい人が増えない背景には、もう少し深刻な理由もあり、それは現地採用者にとってキャリア開発の機会がないことです。経営幹部になれるのは日本人だけのように見えるからです。大手の日系企業はこの現状を改善すべく、グローバルな採用・研修制度を導入して、日本以外で採用した社員を日本に赴任させることも行っています。

私が思うに、人材確保の困難はおそらく中小の日系企業でむしろ顕著でしょう。これらの企業では、ヨーロッパ事業は依然として基本的に販売拠点と位置付けているため、有能なエンジニアを雇っても、開発よりは営業が主な仕事になり、失望させてしまう可能性が多々あります。

西欧の日系企業は、管理職者を最も必要としていますが、以前から人件費の問題を抱えています。一方、中欧と東欧の日系企業が最も必要としているのは工場の従業員ですが、これら地域でも人件費が急速に上昇していて、最大の経営課題になっています。知名度に勝る欧米企業と競争しなければならないと思われますが。欧米企業も労働力不足の問題を抱えています。言わずと知れたソリューションは高報酬を出すことですが、そうすれば中欧・東欧で製造するコストメリットに食い込みます。

そこで日系企業は、管理系や技術系の人材をめぐる価格競争に参戦するよりは、何か別の魅力を提供する必要があります。これが、ヨーロッパの若者の間で人気の日本のポップカルチャーへと結び付くわけです。

最近、ある技術系の日系企業で15年以上の勤続経験を持つヨーロッパ出身者が私のセミナーに参加して、「エキセントリックな子供っぽいマインドセット」が日系企業で働くメリットのひとつだと指摘しました。17歳の私の息子も、初めての日本訪問で同じことを発見し、このカルチャーに飛び付きました。ポケモンのポッチャマのぬいぐるみと柴犬のペンケースを手に入れて、ペンケースは今では哲学、数学、経済の教科書に混ざって燦然と輝いています。

ジェトロの調査では、製品やサービスをヨーロッパで販売するうえでの最大の課題に「ブランド強化」が選ばれましたが、これは広告宣伝などよりもむしろ、若い層にアピールする「働きたい会社」としてのブランドであるべきです。雇用主としてのブランド認知が広まれば、その会社のものづくりに参加し、販売や経営管理で役に立ち、同時にそれを楽しむ様子を、ヨーロッパの若者が思い描けるようになるでしょう。

このトピックに関するPernille Rudlinのプレゼンテーションのビデオは、Rudlin ConsultingのYouTubeチャンネルで、日本語でご覧いただけます。

 

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選択と制約とクリエイティビティ

新型コロナウイルスによって、誰もがビジネスモデルの再考を余儀なくされています。多くの大企業にとっては、パンデミックの前から検討していた抜本的な改革を導入する良い口実になると思われます。例えば、イギリスの自動車製造業は、EU離脱だけでも十分に影響を受けていましたが、ますます先行きが暗くなったと私は感じています。

私の住む町では、小さな小売店の多くが店を閉めて、オンラインに移行しました。在庫商品のリストをフェイスブックのページに投稿して、そこから注文を受け付けています。

スーパーの配達サービスは、ほとんどが高齢者や介添えの必要な人のみとなっているので、これに該当しない人は、自分で買いに行かなければなりません。買い物の回数を減らすべく、まとめ買いをしているため、持ち帰るのも一苦労です。

必需品の買い物で手一杯になることが予想されたため、私は、わずかばかりの楽しみとして、月1回のチーズの配達と週1回のヘルシーなお菓子の配達サービスに申し込みました。送られてくるものを細かく選ぶことはできませんが、多少の好みは指定することができます。さらに、棚に入れっ放しになっていた食材を引っ張り出して、クリエイティブな調理法を考えたりしています。

このようなことをしていたら、オーガニック野菜の配達サービスを使っていた時のことを思い出しました。毎週1回、何が送られて来たかと期待の高まる思いで箱を空け、内容物に一喜一憂しては、食材に合ったレシピを試したものです。でも、冬になり根菜類ばかりになったら、面白みに欠けるようになってしまいました。

食料供給を確保してようやく安心できるというのは、世界のどこであれ、人間に共通の性質です。でも、それが満たされた時点で、自分で食べたい、料理したいと思えるものを選びたくなるはずです。ということは、今の事態が終息した暁には、食品を販売する屋台は戻ってくると思われますが、その利用客は、必需品は別途配達で確保している新たな顧客層になると予想されます。

今回の事態を受けて、私もアマゾンの利用が増えました。ペットフードから、コーヒー、お茶、洗剤まで、いろいろ注文してます。アマゾンは、この種の生活品を、かつて中核事業だった書籍や音楽よりも優先順位の高い事業にすると発表しました。

コンテンツ・プロバイダ(私もその一人ですが)も、どのようにして商品をデジタルに顧客に届けるかを考え直しつつあります。私はテレビやラジオの政治風刺番組が大好きなのですが、この種の番組のほとんどは、スタジオ内に観客を入れて収録されています。今回の事態を受けて、当初、これまでの番組形式のまま、無観客で収録されましたが、それでは非常につまらない番組になることが分かりました。でも、最近では、スタッフのクリエイティビティが発揮され、番組の形式が少し変更されて、また笑える内容になっています。

私も今の時間を利用して、eラーニングのコースの改訂を始めました。ユーチューブにサンプルのモジュールを投稿して、新しいビデオも撮影しています。どんなビジネスであれ、与えられた制約のなかでイノベーションを生み出すことは、全員が直面している課題です。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年6月20日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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アメリカ英語とイギリス英語の言語の壁

先日、日本へ出張してきました。イギリス企業の日本の子会社でトレーニングを提供して、イギリスの本社と効果的に働く方法を指導するためでした。日本の社員が指摘する問題点を聞きながら、イギリスの社員から聞いてきた話とすり合わせているうちに、誤解の多くが言葉の壁によって引き起こされていることをあらためて実感しました。

ただし、日本語と英語という明らかに異なる言語の間にある壁ではありません。むしろアメリカ英語とイギリス英語の間の壁であって、言葉というよりは文化の違いから来ているものが多々ありました。

子会社で働いている日本人の社員は、学校でアメリカ英語を教わってきただけでなく、米国に住んだり米系の会社で働いたりした経験を有していました。イギリスの会社は、彼らの英語力と経験に引かれて採用していました。多国籍企業に馴染みやすいだろうと考えたのです。

しかし、多くの日本人社員が指摘したのは、イギリス人も日本人も、指示を出したりフィードバックを提供したりする際に曖昧で間接的だという点でした。特にフィードバックがネガティブな場合にそれが当てはまります。「イギリスの同僚が怒っているのかどうかが分かりません。メールが長い時は怒っているのだと考えることにしています」と、ある日本人社員は言いました。

イギリス人に対しては、理解しようとしてくれる、下手な英語を大目に見てくれる、目下の社員に対しても礼儀正しいといった称賛がありました。ドイツ人やアメリカ人は、あまりソフトでなく、体面を重視すると見られていました。また、アジアで働いたことのあるイギリス人は、ゆっくりと分かりやすく話してくれるけれども、そうでないイギリス人は、非常に言葉数が多くて、何を言おうとしているのかまったく明確でないとのことでした。

イギリスのマネジメントのスタイルが、得てして気さくな相談者のようなスタイルで、ぼんやりとした全般的な指示を出して部下の意見を聞くスタイルなのだということを説明しました。一方、米国のリーダーシップのスタイルは、スピード重視です。目標を設定し、報告を標準化して、個人個人に対してすべきことを指示します。

米系の多国籍企業に勤めた経験があり、アメリカ英語を流暢に話す日本人マネージャーは、イギリスから明確な回答が返って来ないため、同じ依頼をメールで何度も繰り返す必要があることに不満を募らせていました。「私の求めていることが分からないのでしょうか。それとも意図的に無視しているのでしょうか」。

この問題の解決法は、回答に期限を設け、緊急のコミュニケーションやネガティブなフィードバックのプロセスを確立して、リクエストが理解されたかどうか、対応中かどうかを明確にすることだという点で意見が一致しました。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2019年5月15日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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ヨーロッパには流通革命が必要

再びホームオフィスで仕事をするようになって、家の前の通りで起きていることがよく分かるようになりました。週に一度、巨大な冷蔵トラックが騒音とともにバックで入って来て、私の家の前に駐車し、三軒隣のイタリアン・レストランに食材を配達していきます。この食材卸売会社の最寄りの配送センターは300キロも離れています。

なぜ私の家の前に駐車するのかというと、レストランの入っている建物がオフィスを50戸の学生向けアパートに改装中で、その関係の車両がレストランの前に停まっていて近付けないからです。でも、ここは16世紀に造られた通りです。キッチンやバスルームの設備50個を届ける巨大なトラックが入って来るたびに、古い建物に破損の被害が出ています。50個まとめて大型車で配送したほうが安価なことは理解できますが、施工業者はセクションごとに改装工事を進めているため、50個を一度に必要としているわけではありませんでした。

ある朝、起床後まもない6時45分頃に騒音が聞こえたので、また工事関係のトラックかと思っていたら、今度はひときわ大きな冷蔵トラックが、通りの突きあたりの広場にあるチェーン・レストランに配送していました。

イギリスのチェーン・レストラン業界には過去1年ほど逆風が吹き荒れ、店舗の3分の1を閉店したチェーンもありました。その多くは、プライベート・エクイティ会社が所有しています。ユニークなブランドの小規模なチェーン店をはるかに大きな全国規模のチェーン店にすることで大量購入によるコスト削減などのスケールメリットがあると見込んで出資したのです。

これらのチェーン店が低迷した背景には全体的な景況があった一方で、拡大とともに食事の質が落ちたことがありました。何日も前に作られた出来合いの材料を再加熱するだけになったのです。

品質や環境配慮は、エコフレンドリーな小型トラックでもっと頻繁に配達すれば向上するでしょう。ヨーロッパのほとんどのトラックはディーゼル車で、二酸化炭素排出量はガソリン車より少ないものの、大気汚染の懸念が今ではヨーロッパ全体の問題となっています。フランスとイギリスは、ガソリンとディーゼルの乗用車を2040年以降は禁じると決めました(トラックは含まれていません)。

しかし、これを実現するには、充電ステーションや物流システムへの投資が必要です。都市部の近郊に配送センターを設置して、顧客ごとに配達品をまとめ、小型の電気トラックで配送する必要が生じるかもしれません。運輸会社は、人工知能の会社と協力する必要があるでしょう。例えば、イギリスのProwlerは、複数の物流会社を検討して意思決定を最適化するソフトウェアを開発しています。

日本の会社がこの物流革命の一端を担えるかもしれないと気付いたのは、近所でいすゞ自動車(伊藤忠商事が主要株主の一社)の小型電気トラックを見かけた時でした。イギリスのタイヤ卸売会社(やはり伊藤忠が株主)が所有するトラックで、イギリスの修理工場チェーン(こちらも伊藤忠が株主)の市内の店舗に静かに配送していました。

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製造業の東への移動とドイツ

ドイツは伝統的に、日本からの投資先としてヨーロッパでの地位をイギリスと争ってきました。日本からEUへの投資の約40%は、イギリスに集中しています。が、日本の外務省によると、日系企業の数においては、ドイツがイギリスの1.5倍です(ドイツ703社、イギリス471社)[1]。

この数値の違いは、ドイツとイギリスに投資している業界の違い、さらに買収されている企業の規模の違いから来ている可能性があります。私自身のリサーチによると、イギリスの日系企業は、ドイツの日系企業に比べて従業員数が多くなっています。

これは、主要雇用主である日本の自動車メーカーがドイツには工場を持っていないのに対し、イギリスには日産とホンダとトヨタの工場があることに起因しているかもしれません。日本の自動車部品メーカーは多数ありますが、その多くはドイツ語で「ミッテルシュタント」と呼ばれる中規模の企業です。

製造業はドイツのGDPの約20%を占めていて、日本と似たレベルです。ドイツは常に技術力の高さで知られてきましたし、リスクを嫌いプロセスを重視するドイツ文化の価値観は、日本企業のマインドセットにも合致します。

かたやイギリスのGDPに占める製造業の割合は11%です。イギリス経済の80%はサービス業、特に銀行や保険などの金融サービスで成り立っているのです。サービス業には、イギリスに複数の子会社を持つ日系企業も含まれています。また、ヨーロッパ全域で融資や他の機能を提供している商社、持株会社、サービス会社なども含まれます。

このことは、日本人の在住者数がドイツよりもイギリスに多いことを説明しているかもしれません(ドイツ4万6,000人、イギリス6万3,000人)。欧州地域のリエゾンやコーディネーターとして、日本の本社と連絡する役割を果たしていると思われます。ただし、日本人の在住者数は、イギリスは減っている一方で、ドイツは増えています。

ということは、イギリスは、サービス業のメッカとしての地位をドイツに奪われつつあるのでしょうか。詳しく見ていくと、イギリス在住の日本人が減っている主な要因は、学生や学術関係者が1年前に比べて3,000人減少したことであるように見受けられます。

駐在員の数は、イギリスは2015年から2017年の間に1%減となりましたが、ドイツ、オランダ、およびヨーロッパ東部では同じ3年間に数百人の増加となりました。

イギリスとドイツへの最近の投資を見るかぎり、過去数年のトレンドはなおも続いていると言えそうです。イギリスへの投資は、地域を管轄する持株会社の設立のほか、バイオ、IT、さらにはイギリス市場向けのサービス業の会社の買収などがあります。イギリスの駐車場の運営会社の買収などがありました。ドイツへの投資は主に、電子機器部品や機械関連の卸売業に流れています。イギリスにすでに営業や生産の拠点を有している日本企業が、ドイツに営業拠点を開設するケースも含まれています。製造拠点がヨーロッパの東部へと移動しているのを受けて、販売のハブも一緒に動きつつあります。

[1] 日本とイギリスの省庁や政府関係者は通常、イギリスの日系企業を1,000社前後としています。日本の外務省の2017年の統計では、イギリスに日系企業が986社あるとされました。しかし、これには、支社、事業所、持株会社(多くの場合、どれも同じ子会社が有しています)、さらに日本国籍のイギリス永住者が現地で設立した企業、合弁会社などが含まれています。ここに記した471社とは、日本に親会社のある日系企業の本社、すなわちイギリスにおける主な子会社のみを数えた数値です。

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疫病対策の歴史と文化の違い

私の夫は、今、単身赴任中です。毎日通勤するには遠すぎる全寮制の学校で働いているためです。一人暮らしのアパートは、かつてサナトリウムだった建物を改築した集合住宅です。第二次世界大戦前に結核患者を隔離するために建てられました。抗結核薬が発見される前は、新鮮な空気に触れて屋外で寝るのが結核の治療法と考えられていました。そのせいで、夫の住むアパートは、大きな窓とドアからひどい隙間風が入ってきます。建物にはセントラル・ヒーティングがありますが、寒いことこの上ありません。

新鮮な空気に触れて屋外で寝るという発想は、実際には結核を治癒する効果はありませんでした。が、部屋の換気を良くすることで、他の人への感染を防ぐことはできました。同様に、屋外で寝ずとも、横になっていることで症状が和らいだのも事実です。

世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大していますが、ヨーロッパでかつて結核がどのように対処されたかについて考えみると、各国が疫病に対してどのような歴史を持っているかが、文化の違いになって表れているように思えます。また、今でも医療分野の製品やサービスには、文化の違いが色濃く見られます。

中世ヨーロッパのペストは、ノミによって広まりました。そして、感染した家族、町、時には地域一帯を隔離することで、疫病をコントロールしようとしました。19世紀のコレラやチフスは、汚染された食べものと水が主な原因でしたが、ヨーロッパ北部の国が産業化して公衆衛生が改善し、食べものと水の質が向上したうえ、抗生物質が発明されたことで、押さえ込めるようになりました。

日本では天然痘が多く、少なくとも8世紀からありました。子供が多くかかる病気でした。長い時間にわたって近接していること、とりわけ皮膚の接触によって感染します。このため、日本では主に家族や村のレベルで天然痘が管理されました。

日本人がヨーロッパの人ほど握手や抱擁やキスをしない理由はこの歴史にあるのではないかと考えずにはいられません。また、日本人が今でもハンカチを携帯して、洗った手を拭くのに使っている理由も、ここにあるのかもしれません。ヨーロッパでは、ハンカチは鼻をかむ時に使うものです。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、イギリスでは、手を石けんで洗い、手を洗えない時は消毒ジェルを使用し、鼻をかんだり咳やくしゃみをしたりする際はティッシュペーパーで口を覆って即座に捨てるようにという勧告が出されています。また、握手も避けるようにと言われています。もともとイギリス人は、ドイツ人ほど握手はしませんし、イタリア人ほどキスや抱擁をすることもないのですが。

この政府勧告が出た結果として、消毒ジェルはどこも売り切れの状態です。おかげで、インフルエンザは劇的に減少したそうです(イギリスでは毎年数千人の死者が出ます)。もしかすると、イギリス人は、国の医療制度や行政の介入に依存しすぎるようになっていたかもしれません。今になって、自分が主体的に行動しなければならないと気付いて、古いメソッドに戻っているのかもしれません。夫が取った行動も、まさにそれでした。暖を取るために、湯たんぽを買ったのです。昔ながらの方法が、危機の最中に安心感をもたらしています。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2020年4月8日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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