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Home / Articles Posted by Pernille Rudlin ( - Page 9)

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About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures.

Pernille is a non-executive director of Japan House London, an Associate of the Centre for Japanese Studies at the University of East Anglia and she is also a trustee of the Japan Society of the UK.

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イギリスの飲食業界の未来

イングランドでソーシャル・ディスタンスの制限がほぼすべて解除されたのを受けて、都市に生じた変化が見え始めました。これらの変化が恒久的なものかどうかを考えてみましょう。

一部のトレンドは、昨年3月よりも前から明らかに観察されていました。例えば、大型チェーン店の多くは、過去何年にもわたって業績不振でしたが、今や閉店に追い込まれました。新たに小規模な店が開店していて、主に家庭用品やテイクアウト・フードを販売しています。

レストランやパブも営業を再開しましたが、多くが週に数日のみの営業です。人手不足が生じていて、スタッフを雇えないからです。コロナで仕事に戻ってきていない従業員がいるうえ、一部のレストランではEU諸国からの出身者がスタッフの半分ぐらいを占めていて、その人たちが本国に戻ってしまったためです。イギリス人の若者たちは、低賃金・長時間労働には興味がなく、飲食業界ではキャリアの展望が描けないと考えています。

もちろん、また外に出て飲食できることを人々は喜んでいますが、混雑した屋内の空間には不安も感じています。多くの都市がロックダウンの期間を利用して、「車通りの少ない地区」を設置することにしました。これまでは車が通行していた路上に植物のプランターや手すりを設置して道幅を狭め、カフェやバーが舗道にテーブルといすを置けるようにしたのです。

この方策は、必ずしも全員に歓迎されているわけではありません。路上駐車のスペースが減って、近くに車を停められなくなったため、かえって商売に響くという懸念があります。また、消防車や救急車が通れなくなって、緊急時に遠回りを余儀なくされるということも起きています。イギリスのお天気は屋外での食事には向いていませんが、イギリス人は意志が固いと見え、雨が降っても風が吹いても、温かい洋服を着込んでカフェが設置した傘やテントの下で飲食しています。

カフェ文化が出現して、イギリス各地の都市が大陸ヨーロッパの都市のような様相を呈しつつあります。不動産開発をしている人の話によると、このトレンドはコロナ前からあったそうです。この人は以前はナイトクラブのオーナーでしたが、ナイトクラブは衰退産業だと感じたそうです。スーパーで安価なアルコール飲料が売られていて、若者たちは自宅で「前飲み」してから外出するため、ナイトクラブの高いドリンクにあまりお金を費やしません。友達と集まるのなら、入場料金のないパブやカフェを好み、友達サークル以外の出会いを求めるのであれば、ナイトクラブよりも恋愛サイトに向かいます。

私の住んでいる市では、市議会が10年前に「夜間経済地区」と称して、あるひとつの通りにナイトクラブを集めようとしました。警察のパトロールがしやすくなるうえ、騒音を一地区に押さえ込めるという発想です。  私の家は、その通りからそう遠くありません。7年前にここに引っ越してきた時には、許可時間を過ぎてもあちこちから大音量の音楽が聞こえてくるという問題がありましたが、今ではそのナイトクラブのうち1軒がビーガンのレストランとなり、もう1軒はアパートへの改修工事中です。さらにもう1軒はサービス付きオフィスビルになっていて、1階にカフェが入っています。

この記事は帝国ニュースの2021年9月8日号に掲載されました)

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グローバル・ブランドの管理に長けたフランス

日本ペイントホールディングスが最近、フランスの塗料メーカー、Cromologyを買収したというニュースを見て、理解するのに少し時間がかかりました。この買収は、オーストラリアにある連結子会社のDuluxGroupが新しくイギリスに設立したDGL International UKを通じて行われていました。イギリス人にとってはDuluxは親しみのあるブランドで、1960年代からオールド・イングリッシュ・シープドッグを使ったマーケティングで知られています。CMやペンキの缶でお馴染みのこの犬種がDulux犬と呼ばれているほどです。

調べてみたところ、オーストラリアでも広告にDulux犬が使われていましたが、今ではイギリスのDuluxとオーストラリアのDuluxはまったく異なる親会社の傘下に収まっています。Duluxブランドのペンキは、1930年代に初めてイギリス市場で販売されました。イギリス企業のICIが開発した塗料で、ブランド名は「Durable」(長持ちする)と「Luxury」(贅沢)を組み合わせた造語でした。1986年までには、ICIの豪州法人がDuluxの豪州法人を100%所有していましたが、1997年、親会社のICIがこの豪州事業を売却しました。

そして2008年には、イギリスのICIがオランダのAkzoNobelに買収されました。一方、オーストラリアのDuluxGroupは、2010年に独立企業としてオーストラリア証券取引所に上場し、以来、オーストラリア、イギリス、フランスの様々な塗料ブランドを買収してきました。そして

Cromologyは、欧州で4位の建設用塗料のメーカーで、20種類のブランドを有し、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスで製品を販売しています。明らかに日本ペイントは、Duluxをはじめ様々なブランドを中欧・東欧にも拡大する手段としてこの買収を位置付けています。

最近までフランスは、日本企業がヨーロッパに進出する際の拠点として、イギリスやドイツのように大きな存在ではありませんでした。しかし、今回の日本ペイントの動きを見て、これが変化しつつあるのかどうかを考えさせられました。日本企業がフランス拠点の多国籍企業を買収した事例としては、豊田通商による

CFAOは、日本の商社に似たような業態で、170年近い歴史を有しています。アフリカ39か国、特にフランス語圏の国に大きく事業展開しているほか、ベトナムなどかつてのフランス植民地にも進出しています。全世界の従業員数は2万1,000人以上で、トヨタ車の販売のほか、醸造酒、医薬品、小売り、自動車整備サービスなどの事業を有しています。

フランスはこれまで長年にわたり、有名ブランドをグローバルに管理してきた経験があります。しかし、以前にもこの連載で言及したとおり、多国籍企業はしばしば、事業コストが高く、労使関係に問題があるうえ、複雑な官僚主義のある国への投資には消極的です。フランスのマクロン大統領は、労働法を改革し、退職年齢を引き上げ、年金制度の経済負担を軽減しようとしてきましたが、コロナ禍でこれらの動きが停滞しています。来年4月の大統領選で再選を果たすために人気を維持しておかなければならないという事情も働いています。フランスが模様替えのムードになるのかどうかは、来年後半まで見えてこないかもしれません。

(この記事は帝国ニュースの2021年12月8日号に掲載されました)

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イギリスのEU離脱から6か月、日本企業への影響

(この記事は帝国ニュースの2021年7月14日号に掲載されました)

イギリスがEUから離脱し、その移行期間が終了して6か月になります。私自身のリサーチと経産省および三菱UFJリサーチ&コンサルティングが最近実施した調査によると、イギリスの日系企業は多くの人が予想したほどの深刻な影響は感じていません。

その一因は、日系企業が2016年の住民投票以来5年以上かけて、入念な準備で最悪の事態に備えてきたためです。経産省の調査では、大手企業(売上高100億円以上、在英日系企業の約60%)は、イギリスの事業拡大に関して中小企業よりもポジティブな見方を持っています。在庫や原材料を蓄え、物流施設や倉庫を大陸に設置し、通関手続きの増加に伴うコストを吸収するためのリソースとネットワークを持っています。今でもイギリスが重要な市場であり、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)全域の地域コーディネーション拠点として便利な場所だと見なしています。

ただし、大手企業の間でも見方にばらつきは見られます。経産省の調査では、日本の自動車メーカーがイギリス市場の先行きを厳しいと見ていたのに対し、化学、製薬、食品、電機メーカーはより肯定的に見ていました。この見方の違いは、従業員数の推移に如実に表れています。日産は2020年末時点の従業員数が前年比11%減でした。ホンダはイギリス工場を7月に閉鎖する計画で、2020年末時点の従業員数は前年比14%減です。イギリスの従業員数が2桁減になった他の企業には、野村証券、三菱電機、コニカミノルタがあります。

ただし、従業員数を正確に把握するのは以前に比べて困難になっています。イギリスのEU離脱の影響のひとつとして、ソニーやパナソニックのような大手がヨーロッパ法人をオランダやドイツに移転したためです。イギリス拠点は法人化された子会社ではなく支店という扱いになったため、従業員数などの詳細をイギリスの政府機関に申告する必要がなくなりました。

みずほや三菱UFJなど金融サービス会社の多くは以前から日本の本社またはヨーロッパ子会社の支店でしたが、ほかにも数社がこのモデルに移行し、また大陸に子会社を開設することで、今後もEUで金融サービスを提供していくための事業許可を確保しています。EUは、金融サービス会社にさらに圧力をかけて、意思決定機能と顧客対応の担当者をEUに移すよう働きかける可能性を示唆しています。

イギリスは今まで以上にサービス産業の経済になりつつあり、これは雇用を拡大させている日系企業にも表れています。NTTはグローバル本社をロンドンに移しましたし、アウトソーシングはヨーロッパ全域で人材会社の買収を続けています。

経産省の調査では、今後もイギリスの事業を拡大する理由として、英語が使えること、他の多国籍企業があること、そして司法制度の透明性が高いことが挙げられました。地域内の人と事業のネットワークはますます分散しつつありますが、イギリスは今後もそのコーディネーション拠点であり続けると思われます。

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ハイブリッドのリモート勤務のアプローチ

イギリス政府は2021年7月半ば以降、一般企業が社員にオフィス勤務を奨励するのを認めました。ただし、今後フレックス勤務を常態とすべきかどうかについては、政府内でも対立する見方があります。通勤が恒常的に減少すれば、通勤者から収入を計上している産業に影響すると案じる見方があります。鉄道、サンドイッチ店、オフィスビルの保有会社など、様々な商業活動が含まれます。

イギリスでは2003年以降、社員がフレックス勤務をリクエストできるようになっていました。私も10年前に週2、3日の自宅勤務をしました。私のチームは世界各地に点在していて、メンバーのほとんどは他の国にいました。チーム・ミーティングは電話会議でしたので、1時間半の通勤で朝8時に出社するより自宅からしたほうが好都合でした。それでも最低週2日、場合によっては3日は出社するのが重要だと感じました。同僚とコミュニケーションする必要がありました。オフィスの人間関係にまつわる雑談をするためと、アイデアや見方を交換してクリエイティブになるための両方です。

Institute of Directorsが実施した調査では、イギリスのビジネスリーダーの63%がハイブリッドな勤務形態への移行を計画していました。週1~4日は社員に在宅勤務をしてもらう形態です。

言うまでもなくイギリス企業は、リモート勤務が心身の健康、データ・セキュリティ、生産性などに及ぼす影響を懸念しています。日本では、生産性がより大きな懸念になっているようです。レノボ・ジャパンの調査では、日本企業の40%が在宅勤務によって生産性が下がると考えていました。欧州企業では、わずか11~15%です。

これはおそらく、日本では社員が机を並べてコラボレーションする働き方が浸透しているためと思われます。上司や同僚に即座に相談して、助けてもらったり意見交換したりすることができます。

ヨーロッパのチームでも、クリエイティブな業務が多い場合は、同じ場所にいる必要があります。リモート勤務が必要になるのであれば、事前にチーム・ビルディングをして信頼関係を作っておくといった投資が必要です。チームメンバーが円滑にコミュニケーションできるようになるためです。

Boston Consulting Groupでは、このタイプの「クリエイティブ・コラボレーター」は勤務時間の50~60%をオフィスで過ごすべきだと推奨しています。一方、あまり中断されずに集中する必要のある業務、例えば会計・経理などの社員は、50~80%の時間を在宅勤務にすることができるとしています。また、明確に定義されたプロセスやパターンに従って業務を遂行し、あまりサポートを必要としない社員の場合は、ほぼ完全に在宅勤務とすることができます。もちろん、物理的に出社しなければできないタイプの仕事もあります。工場の仕事や顧客と物理的に接する仕事で、これらはリモートにすることはできません。

日本企業がこのようなカテゴリーに従ってハイブリッドなフレックス勤務のアプローチを認めるのであれば、ジョブ型の体制を整える必要があるでしょう。この新しい働き方では、仕事の内容にかかわらず、すべての社員に同じ条件で働くよう求めることはできなくなるでしょう。

帝国ニューズ・2021年6月9日・パニラ・ラドリン著

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ワクチン事情から見て取られる国の性格

(パニラ・ラドリン著 帝国ニュース 2021年5月12日)

ヨーロッパでワクチン接種が進められていますが、これが各国のリスク対応について多くを物語っています。

イギリスではこれまでに、人口の半分以上が少なくとも1回目の接種を済ませました。他の欧州諸国と比べてはるかに速いペースです。ドイツ、フランス、オランダは4月初め時点で人口の20%に達していませんでした。

ただし、EU加盟国は今後数週間で急速に追い上げるでしょう。接種1回のワクチンを含め、供給増が見込まれているためです。私も1回目を受けてきましたが、それを喜ぶ一方で、このウイルスがイギリスで12万7,000人以上の死者を出したと思うと考えさせられます。イギリスの死亡率は世界でも最高レベルです。初期段階でリスクを軽く受け止めすぎたのかもしれません。

イギリスはEUのワクチン調達制度に参加することもできましたが、不参加を選びました。代わりにベンチャー投資家を指名して、様々なワクチン候補に多額の投資をする権限を与えました。バイオの専門知識があり、バイテク投資で腕を鳴らしてきた女性です。

驚きではありませんが、25か国から成るEUのワクチン調達制度は、決定までに長い時間がかかりました。ただし、最終的には欧州医薬品庁が4種類のワクチンを承認し、西側で最多の承認数となりました。

ドイツは、ワクチンの大々的な導入に慎重でした。1回目の接種を開始する前に、定められた期間内に2回目用の製品が入手できることを確認しようとしたのです。イギリスは、それほど慎重ではなく、おかげで今、供給が不足しつつあります。私は6月に2回目を受けたいと思っていますが、18歳以下の多くが夏までにワクチンを接種できるかどうかは不透明です。

イギリスがEUのワクチン調達制度に参加していたならばEUの動きが迅速化したかどうかを憶測する向きもあります。イギリス人は、あまり計画や準備をせずに見知らぬ領域に踏み込んで、その後ズルズルと進んでいく傾向にあります。問題が起こるごとにプラグマティズムで物事を直していくのです。

ドイツ人のビジネスパートナーにこの話をしたところ、彼女いわく、ドイツ人は技術的に優れたソリューションを考案するのが好きで、プロジェクトに着手するよりも前に、リスクにどう対処するかを心配してそれに時間をかけるとのことでした。残念ながら、技術的に優れたソリューションが実際にうまく行くという保証はありません。このことは、ワクチンに対するドイツのアプローチに表れていました。中央一元管理のハイテクなワクチン接種センターを建設しましたが、おかげで立ち上がりに時間がかかり、大量のワクチンが未使用のまま備蓄される結果となりました。

イギリスも、同様の問題を起こしてきました。数十億ドルという資金を投じて「世界最先端」のウイルス検査と接触追跡のアプリ、それに一元管理のシステムを開発しましたが、いまだにあまり効果を示していません。ドイツもイギリスも、中央で管理しないローテクな方法を選んだほうが良かったかもしれません。リスクに対する姿勢もさることながら、最終的にはすべての国が、既存の技術インフラとプロセスから制約を受けています。この点では、パンデミックの間にトランスフォーメーションを試みた民間企業が遭遇した状況に通じるものがあります。

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日本企業による海外買収は恐るるに足らず

ロンドン証券取引所の子会社、Refinitivによると、過去2か月間に海外の企業に買収されたイギリス企業が史上最多になりました。買収されているのは主に、評価額が実価を下回っているサービス企業で、保険、カジノ、セキュリティなどの業界企業です。これらの買収は、好ましい投資というよりは、侵略や襲撃であるかのように説明されています。買い手の多くがプライベート・エクイティ会社で、SPAC(特別買収目的会社)でもあるためです。

SPACは、もともと米国で始まりました。投資家のグループが会社を設立して、株式市場で資金を調達し、その資金を元手に別の事業会社を買収します。その目的は、最終的にその事業会社を売却して利益を挙げることです。シティ・オブ・ロンドンでは現在、こうした企業をもっと引き付けるべきかどうかが議論されています。

これは単に新たな形式の資産収奪に終わる可能性があります。日本でハゲタカファンドと呼ばれるものに似ています。

日本企業も、再びイギリスやヨーロッパの企業を買収し始めています。パンデミックでデューデリジェンスが難しくなり、約1年間は買収が滞っていましたが、このところ動きが見られます。ルネサスエレクトロニクスは、イギリスとドイツを拠点とするチップ設計会社のDialogを買収しようとしています。西本Wismettacホールディングスは、冷凍水産品や麺類を輸入するスコットランドのSco-Froの買収を発表しました。リコーは、ヨーロッパでの買収資金を含む5年計画を発表しました。

言うまでもなく、これらの買収は、プライベート・エクイティやSPACによる買収とは非常に異なる性質の買収です。私のリサーチによると、過去5年以内に日本企業に買収されたイギリス企業では、社員数が平均して10~25%増加しています。日本企業は、海外で成長して収益を挙げていくための買収を追求しようとします。また、新規の設備投資や、追加買収をはじめとする他の形式の事業拡大をする意欲もあります。

最近発表されたイギリスの予算には、資本投資のためのさらなるインセンティブが盛り込まれました。2年間にわたる税制優遇で、投資の130%を課税所得から控除することができます。これは、法人税が現在の19%から2023年に25%に引き上げられる影響を緩和することを目的としています。ただし、これが2023年に予想される選挙と同じタイミングであることを皮肉る声もあります。経済が十分に回復すれば、また将来減税が発表されるだろうという見方です。

いずれにしても、日本企業にとっては、法人税率の低さが魅力というわけではありません。特にタックスヘイブン対策税制の改正後、これは理由にならなくなっています。日本企業は、成長を目指して長期的に投資していくつもりであって、リストラして短期に利益を挙げる意図ではないことをきちんとコミュニケーションするかぎり、イギリスでもヨーロッパでも歓迎される投資家になるはずです。

帝国ニューズ・2021年4月14日・パニラ・ラドリン著

Rudlin Consultingとジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングは、M&A後の企業文化統合について、多くの日本およびヨーロッパの企業と協力してきました。詳細については、Pernille Rudlinにお問い合わせください。

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日系企業とイギリスのEU離脱後の物流

2019年9月に帝国データバンクニュースで予測をしました。イギリスが「ハード」なEU離脱をすることになっても、日系企業は十分な備えができているだろうという予測でした。それが的中したようなので、ひとまずはホッとしています。これに際しては、日系の物流会社が重要な役割を果たしたはずです。

日本の自動車メーカーは、イギリスでの生産を停止せざるを得なくなりましたが、これはむしろコロナ禍と半導体不足が理由であって、EU離脱に伴う問題はそれほど関与していません。

JETROが昨年末に行った調査によると、イギリスの日系メーカーがハードなEU離脱に備える対策として取った主な行動は、在庫を増やしておくことでした。イギリスの他の企業も在庫を増やしました。結果として、イギリスやフランスで通関を待つトラックは、懸念されたほど増えていません。ただし、日系企業がほとんど問題に直面していない理由には、サプライチェーンの再構成もあったのではないかと思われます。実際、これはJETROの調査で日系メーカーが取った対策として2番目に多い回答でした。私の見積もりでは、イギリスの日系企業のうち少なくとも30社が、過去2、3年の間にEUのサプライチェーンのハブを大陸に移しました。

イギリスのEU離脱から最も影響を受けているのは、EU市場への販売に依存している中小のイギリス企業です。これまでは、EUにいる顧客に少量の製品でも高いコスト効果で出荷することができ、認証取得や通関の心配をする必要はありませんでした。

今では、ありとあらゆる書類への記入が求められ、食品や家畜を出荷しようものなら、保健衛生の認証を取得しなければなりません。ヨーロッパの物流会社のなかには、イギリスからEUへの輸送を受け付けていないところもあります。書類業務に対応できないという理由です。また、イギリスへの輸入品を積載したトラックを出すことにも消極的です。EUへの帰路に積むものがなければ、コストを正当化できないからです。

これらの状況は、いずれ自然に解消するかもしれません。しかし、日系企業が取った対策の多くは、決して一時的なものではなく、長期的なトレンドであって、イギリスのEU離脱の影響も長期にわたるのではないかと、私は考えています。例えば、外務省のデータによると、イギリスで製品を製造している日系企業の数は、2014年と比べて22%減少しました。イギリスの日系企業の総数は11%減ですから、製造業に減少傾向が色濃く表れているのが分かります。その多くが販社に転換し、またEUにある親会社の支社になった会社もあります。結果として、イギリスにある支社の数は31%増となり、法人化された子会社の数は16%減となりました。支社になった企業には、金融サービス業界の企業も含まれています。EUでの金融取引を継続するためです。

イギリスに新たに進出する日系企業はなおも見られますが、ほとんどはエネルギー業界かライフスタイル関連の事業で、イギリスの国内市場が目当てです。日系の物流会社は、国際輸送の専門ノウハウを持っていますがが、今後は日系企業よりもイギリス企業からの需要を見つけていくことになるかもしれません。

帝国ニューズ・2021年3月10日・パニラ・ラドリン著

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英国における日本企業の歴史 とEU離脱 (ビデオとポッドキャスト)

Pernille Rudlinは、BEERG(Brussels European Employee Relations Group)のTom Hayesと、日本企業がBrexitにどのように対応したかについて話し合っており、マーガレットサッチャーが英国をEUへの日本の玄関口として推進したことによる1980年代初頭から現在に至るまで英国/ EU /日本の貿易関係の進展を追跡しています。ビデオとポッドキャストのリンクは以下の通りです。

BEERG Byte #32 from Derek Mooney on Vimeo.

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ヨーロッパの住宅不足が日本企業に商機

在英日本商工会議所に2020年に新たに加入した数少ない日本企業のひとつが、積水ハウスでした。また、大和ハウスは2020年終わりに、オランダのプレハブ住宅会社、Jan Snelを買収すると発表しました。

積水ハウスも大和ハウスも、この事業拡大の理由として、ヨーロッパ全域の住宅不足とスキル不足を挙げています。イギリスでは間違いなく、住宅不足が長年にわたって続いています。私は大学時代の30年前にこの問題を調査しましたが、住宅が不足しているというよりはむしろ、一定水準を満たす住宅が不足していることが問題なのだと言われました。古い家はたくさんあり、なかには19世紀に建てられたものすらありますが、現代生活には不向きです。

また、最近顕著になりつつあるもうひとつの問題は、これらの住宅をたとえ改修できるとしても、人が住みたがらない場所にあることです。イギリスには今も南北格差の深刻な経済問題があり、産業の衰退がその原因です。北部の大きな市や町には雇用がなく、その代わりに崩れかかった空き家が山ほどあります。一方、南部の都市は、人口増に見合うほどの住宅が新築されていません。この結果、若い人たちは一軒家やアパートを窮屈にシェアしていて、それでもどこかに家を買うほどの貯金ができずにいます。

これらの都市に新たに住宅を建てれば問題が解決するのは明らかですが、そのための土地がありません。古いオフィス街の数区画を集合住宅に変えようとする試みは過去にありましたが、非常に低品質で不健康な住環境を生み出しました。

ロンドン郊外の通勤圏には土地がありますが、緑地や森林を残すための「グリーンベルト」として長年保護されてきました。有意義な環境配慮のように聞こえるかもしれませんが、おおかたこの地域の住民によって利用されています。この地域に住む人たちは、新しい住宅が建設されて新たに人が流れ込み、結果として住宅価格が下がるのを嫌っているためです。

私自身も、以前はそうしたエリアに住んでいました。駅から近く、乗り換えなしでロンドン中心部まで47分でした。環状道路のM25モーターウェイのすぐそばで、近くのヒースロー空港とガトウィック空港からの騒音も常にありました。これをグリーンベルトと呼んで、この地域に住宅を建設させないとは、自分勝手なうえ、現実から目を背ける行為だと思ったものです。

先頃、ロンドンに住んでいたぜんそく患者の少女の死因が「大気汚染」だったということが裁判所の判断で正式に認定されましたが、これはイギリス初、おそらく世界でも初めてのケースでした。「グリーンベルト」なる場所に住んで大気汚染に耐えていた時のことを思い出しました。積水ハウスと大和ハウスが低カーボン技術を使ってこれらの地域に空調の良い家を建てたなら、大いに歓迎されて然るべきです。

Pernille Rudlinによるこの記事は、2021年2月10日の帝国データバンクニュースに日本語で最初に掲載されました

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在イタリアの日系企業のトップ30雇用主 2021年版

在イタリア日系企業の初めてのトップ30雇用主をまとめました(ダウンロードは以下を参照)。東洋経済新報社はイタリアの従業員数を過小報告しており、雇用数ではおそらく英国、ドイツ、フランスに次ぐ第4位だとしばらく考えていました。東洋経済新報社は270社で16,500人の従業員を記録しています。 350社ほどの企業で5万人の従業員がいると弊社は推定しています。また、2018年のイタリアの日本企業300社が2019年に425社に急増したことを示す日本の外務省のデータの背後の理由は不思議に思いました。

両方のパズルの答えは、イタリアで最大の日本の雇用主であった日立グループが2019年にアンサルドからさまざまな鉄道事業を買収し、日立グループの子会社の1つで会った日立ケミカルが2020年にFIAMMを買収したという事実にあるかもしれません。 2020年に日立ケミカルが昭和電工マテリアルズに買収されたことで、NTTグループに次ぐイタリアで2番目に大きな日本の雇用主にランクインしました。もう1つの要因は、NTTデータによる買収を中心に、最近イタリアでもNTTグループが大幅に成長したことです。 

イタリアの他の大規模な日本の雇用主は、以前の買収の結果です。デンソーは、20年以上前のマニエッティ・マレッリからの買収に由来する、イタリアでの主要な製造事業のいくつかを持っています。 Denso Thermal Systems S.p.A.は現在、空調製造事業の地域本部です。  三菱電機は2015年にイタリアの企業Climavenetaを買収しました。イタリアで6番目に大きな日本の雇用主である日本電産は2012年にAnsaldo Sistemi Industriali S.p.A.を買収しました。住友重工業は2018年にLafert(電気モーターとドライブ)を買収しました。

したがって、イタリアの過小評価は、日本のグリーンフィールド投資の突然の流入よりも、計算に含まれていなかった買収にあるように思われます。

イタリアのTop30の日本人雇用者の半数はEMEA地域のTop30にも含まれているため、イタリアでもかなりの存在感を示すことが期待されます。上記の買収は、日本企業に関する限り、イタリアの強みはエンジニアリング、特に鉄道と空調にあることを示しています。イタリアのトップ30にしか入っていない企業から判断すると、繊維(東レ)と医薬品(CBCと武田)そしてもちろん食品(三菱商事が所有するプリンセスのトマト加工工場)は日本の投資家にとって依然として魅力的なセクターです。

2022年版のイタリアのトップ 30 の日系企業をここからダウンロードできます

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