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Home / Articles Posted by Pernille Rudlin ( - Page 7)

Archives

About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures.

Pernille is a non-executive director of Japan House London, an Associate of the Centre for Japanese Studies at the University of East Anglia and she is also a trustee of the Japan Society of the UK.

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Here are my most recent posts

横断的人事セミナーのご案内

初秋の候、お客様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

平素は、格別のご高配を賜り誠に有難うございます。

この度弊社では、企業の人事、部門マネジャー、経営者の皆様をお招きいたしまして対面での横断的人事セミナー(参加費無料)を開催させて頂くこととなりました。

急速な変化を続けている労働市場・働き方への理解を深め適応していくことは、従業員のモチベーションを高め優秀な人材確保していく上で雇用主にとって今、重要な課題です。

今回もゲストスピーカーとして中田浩一郎弁護士、Lewis Silkin法律事務所からアビ・フレデリック英国法弁護士、項莉英国移民法弁護士、そして異文化コンサルタントのパニラ・ラドリンさんの4名をお招きし、弊社アソシエイトダイレクターの木元美妃からの最新マーケット情報も併せ、各専門分野のプロの視点から、労働環境の変化・人材確保・多様性への課題と対応に焦点を当てたセミナーにしたいと考えております。

 

日時 : 2023年10月4日(水) 16:30~18:00 

            受付16:00~/レセプション(ネットワーキング)18:00~

場所: Lewis Silkin LLP, Arbor, 255 Blackfriars Road, London, SE1 9AX

定員: 先着60名様(先着順、お申込み者多数の場合は1社1名様の参加にご協力いただく可能性がございます。)

 

お申込みの最終締め切りは9月29日(金)までとなります。貴社名、参加者様のお名前とメールアドレスを明記の上、以下のメール宛先までご連絡いただけます様、よろしくお願いいたします。

Email: href="receptionatcentrepeopledotcom">receptionatcentrepeopledotcom

※ご不明な点等ございましたら、お気軽にお電話くださいませ。 (Tel: 020 7929 5551)

尚、ご都合がつかない場合は、貴社内の関係部署にご転送いただけますと幸いです。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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日系企業時代の同僚たちの10年後

10年前に日系企業に勤めていた時の同僚との夕食会が最近ロンドンで開かれ、イギリス人とフランス人の元同僚のほとんどが集まりました。日本であれば、「OB・OG会」などと呼ばれて、このような集まりが開かれるのは珍しくありませんが、イギリスではあまりないことです。個人主義の傾向が強いほとんどの社会では、同期として入社する社員がいるわけでなく、定年退職というものもありません。実際、この会に参加した元同僚もばらばらに入社していて、すでに引退している人もいました。私のように自分から辞めた人もいれば、人員削減で辞めた人もいました。

この会が実現したのは、このチームのメンバーを自らの手で選んで採用したリーダーのおかげでした。その男性はすでに70代で、退職者向けの自己啓発を提供している慈善グループのU3Aに活発に参加しています。孫たちとの時間を増やすために最近引っ越したとのことでした。

この夕食会では家族の話が最大の話題で、子供や孫の写真を見せ合いました。健康も大きなトピックでした。ある企業でCEOを務めている元同僚は、最近、3カ所のバイパス手術を受け、フルタイムでは働かないほうがよいと言われたそうです。コロナ禍が子供たちのメンタルヘルスに及ぼした影響も話題に上がりました。ある同僚のお子さんは自閉症の診断を受けていました。

すでに引退している元同僚では、2人がポルトガル在住、1人がイギリスで市議会議員になっていました(選挙運動中のため、この会には参加できませんでした)。ブルガリアのソフィアに住んでいて参加できなかった人もいました。

コンサルタントとして独立したのは、私を含めて3人でした。また、キャリアのためというよりは単純に知的な挑戦としてパートタイムで学生に戻り、国際関係の修士号課程を始めようとしている人もいました。ファーウェイの上級管理職の打診を受けたそうですが、日系企業で働いた時のような信頼関係は構築できないと感じて辞退していました。

今もなお全員が日本に関心を寄せていました。ある男性は、出張で何度も日本を訪れていましたが、その後、観光客として夫婦で日本に旅行したそうです。その体験がすばらしかったので、今度は北日本や西日本にも行きたいと話していました。

このチームのリーダーは、私がプレスリリースや記事を書くと、必ず「アクションポイントは何なのか」と聞く上司でした。そこで今、この夕食会の記事を書いたところで、それを振り返ってみましょう。

10年前にこのチームが取り組んでいたプロジェクトは、この日系企業のバリューとビジョンを明確に定義して、全世界の社員をまとめることでした。あれから10年、これは今でも重要な作業だと思いますが、昨今では、転職社会、ジョブ型雇用、リモート勤務といった新しい力が社員のまとまりを薄れさせています。  優れたグローバルなリーダーは、社員が1つのチームを形成して、信頼に基づく長期的な人間関係を構築していけるような環境を作る必要があります。

帝国ニューズ・2023年6月14日・パニラ・ラドリン著

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ヨーロッパのEコマースの今

最近、近くの古本屋で書棚を見ていたところ、買い取ったばかりの古本の箱が床をほぼ埋め尽くしているのに気付きました。これに好奇心をそそられて、在庫品をどうやって管理しているのかを店主に聞いてみました。書棚に収まらない本はオンラインで販売しているのかと聞いたところ、ウェブサイトは持っていないとのことでした。コロナ禍の間にEコマースを使ってみたが、利益が出なかったというのです。

Amazonやその傘下の古本販売サイトのAbeBooksとは検索エンジンのランキングで競争ができなかったと、店主は説明してくれました。AbeBooksで古書を売ることはできるけれども、価格競争が激しく、希少本でないかぎり利鞘が非常に小さいのだそうです。

私は今この原稿を書きながら、イギリスの美術品のオンライン競売の様子を見ています。イギリスの美術品や骨董品の競売は、コロナ禍を経て今やほぼ完全にオンラインに移行し、これらがsaleroom.comというウェブサイトに統合されています。大陸欧州や米国の競売も手がけるサイトです。とはいえ、競売会場の入札者も戻りつつあります。私も入札するのであれば、この目で美術品や骨董品を見てからしたいものだと思います。もちろん、知られた作家の作品で出所が確かであれば、リスクはそれほど高くないでしょう。

一方で、ある友人の息子は、オンラインで様々なものを販売して、かなりの稼ぎを得ています。ブランド品でもなく、「毛玉取り」のようにありふれた安価な中国製の商品であるにもかかわらずです。その成功の秘訣は、データを徹底的に活用している点です。休暇中ですら販売実績と競合の価格やレーティングをくまなくチェックして、自分の価格とソーシャルメディアの広告を調整しています。

イギリスのB2Cの会社の多くがオンラインのみの業態に変更していて、実店舗は持たなくなりました。その一因は、諸経費、特に光熱費が最近高騰したこと、それに人手不足です。とはいえ、B2Cで最も成功しているオンラインの会社は、最初は実店舗を持っていて、そこでブランドを確立しました。

ですから、日系企業がヨーロッパのEコマース販売を伸ばそうとする際の障壁として最もよく言われる点のひとつが、(特に中小企業の場合)ブランド認知度だというのは、決して驚きではありません。すでにEコマースで海外販売してきた日系企業にとっては、海外市場に関する情報不足の次に2番目に大きな懸念が、ブランドの知名度を向上させることが困難な点です。これは比較的大手の場合にも当てはまります。

最近のJETROの調査に回答した企業の20%以上が、ヨーロッパのEコマース事業を拡大したいと考えていました。ヨーロッパに物理的な拠点を持つことができないのであれば、ヨーロッパのマーケティング専門会社に発注することが「デジタル・ファースト」のソリューションになるでしょう。御社に予算とブランド力があるのであれば、これらの代理店が広告やソーシャルメディア・キャンペーンを展開してくれます。予算が少ない場合、またはありふれた商品やB2Bの商品の場合は、現地の小規模な代理店がEコマース専門の統合されたウェブサイトを推薦してくれて、御社の販売実績とマーケティング・データを分析したうえで、価格設定や商品の位置付けに関して助言を提供してくれます。

帝国ニューズ・2023年5月17日・パニラ・ラドリン著

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アフリカ市場の日系企業に期待感

最近、新しい案件でこれまでにない試みをしました。日系企業のヨハネスブルグのオフィスに集まったアフリカ人社員のグループを対象に、オンラインで研修を提供したのです。この会社にとっても、新しいビデオ会議システムを研修に使うのは初めてのことでしたが、すべて首尾よく運びました。Microsoft Teamsでスライドを見せながら、私が話している様子の動画をライブ配信し、天井に埋め込まれたマイクを介して受講生が私に話すことができました。また、ウェブサイトへのリンクやQRコードを使用して、受講生にスマホで投票にも参加してもらいました。全員が投票できました。

技術のおかげで今までよりもインタラクティブかつインクルーシブな研修ができ、嬉しい体験でした。数年前までは、アフリカの会社に研修を提供するとなると、それなりの覚悟が必要でした。対面形式の研修になり、私の出張費用を出せる顧客はおそらくいなかったのではないかと思われます。15年前に弊社の研修を現地で開催してくれる講師を探そうとしたことがありますが、南アフリカでさえ、弊社の資格条件を満たす人材が見つかりませんでした。

当時、日本とのビジネス経験がある人がアフリカには少なく、経験者は引く手あまたで、フリーランスのコンサルタント業に興味を持つ人はいませんでした。でも、それも変わってきたのかもしれません。今回の受講者の半数以上が、仕事や学業で日本に住んだことがありました。このため、日本についての知識も豊富で、ケーススタディのディスカッションでも非常に洞察に富んだ発言がありました。例えば、「根回し」のような概念を、多くの受講者がすでに熟知していました。

このような優秀な人材を雇えるのは、総合商社のような大手の日系企業だけができることかもしれません。とはいえ、比較的小規模な日系企業にとっても、アフリカ市場を検討する価値が生まれている証拠かもしれません。事業開発分野の優秀な人材を現地で雇っているパートナーが見つかる可能性があるからです。

アフリカの日系企業を対象にジェトロが実施した最近の調査では、ウクライナ侵攻の影響がアフリカ経済に波及していて、物流コストと原材料コストが高騰しているうえ、為替レートも変動が激しいながら、なおも成長機会があると結論されました。回答者の70%は、向こう5年間にアフリカの重要性が高まると期待していました。コートジボワール、エジプト、ケニアが特に明るいスポットで、消費者向け製品と資源・エネルギー、特に太陽発電が有望な産業と見られていました。日系企業が関心を寄せている国としては、かねてより南アフリカが最大ですが、人口の多いナイジェリア、さらにガーナとタンザニアにも注目が集まっています。

この調査の結論は、もう30年近く前に日本の商社で地域本社のプランニングに携わっていた時に目にした投資勧告と非常に似ています。でも、今回の研修で、たとえバーチャルのみとはいえ、これらの国々を代表するアフリカ人の若手の人材と接して、日本に対する理解に感銘を受けましたし、情報通信技術の便利さも実感しましたので、アフリカ市場の日系企業の未来をあらためて楽観するようになりました。

帝国ニューズ・2023年4月12日・パニラ・ラドリン著

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7年後の在英日系企業 ― 新たな第3フェーズ

エグゼクティブ・サマリー

EU離脱を決めたイギリスの国民投票から7年が経過し、日系企業の長期計画がもたらすレジリエンスのメリットが明らかになっています。在英日系企業の従業員数は2018/19年以降、減少しましたが、これは主に自動車業界によるもので、ホンダによるスウィンドン工場の閉鎖を端緒としています。自動車以外の製造業は雇用・投資とも安定していますが、イギリスに新たに進出した製造業企業はありません。

卸売業界の従業員数も減少しました。これは、日系企業が欧州の物流・倉庫・コーディネーション機能をEUへと移したためです。金融業界ではイギリスから相当規模の投資引き揚げがありましたが、とはいえ従業員数は安定していると見られます。

EUの日系企業数という点ではドイツがイギリスとほぼ肩を並べるまでになり、また日本からの駐在員数ではイギリスを抜いて最多になりました。

イギリスのEU離脱と新型コロナウイルス感染症の激動が収束した今、日系資本の投資に新たな第3フェーズが浮上しつつあります。これはむしろ、気候変動、エネルギー、防衛および安全保障をめぐる地政学的な懸念を見据えたフェーズです。イギリスはこの局面において重要なパートナーになると見なされていますが、これら産業への長期的な政策コミットメントを強化する必要があり、それには大型投資と地元コミュニティの支持を取り付けるだけでなく、EU・アフリカ・中東と確実に協業し同調を図っていくことが求められます。

目次

在英日系企業の従業員数は2018/19年まで増加の後に減少… 3

日系企業数はドイツがイギリスとほぼ肩を並べるまでに成長… 5

閉鎖した企業数はドイツよりもイギリスで多数… 6

2017年以降に新設された日系企業数はイギリスとドイツが互角… 7

イギリスはなおも日本企業のM&Aターゲットだが、以前よりも規模が縮小… 7

日本からの投資先としてスイスがイギリスを抜き、正味金額で欧州最大に… 8

製造業の雇用は自動車を除いて安定的に推移… 11

イギリスの金融サービス業界は正味ダイベストメントながらも従業員数は安定… 12

日本からの駐在員数はドイツがイギリスを抜いて欧州の最多国に… 13

これらすべてが何を意味するのか? 新・旧トレンドの加速… 15

在英日系企業の従業員数は2018/19年まで増加の後に減少

2023年4月に発行された東洋経済のデータベース[1]によると、在英日系企業の従業員数は9万8,000人で、2015/16年の10万6,000人から減少しました。

ラドリン・コンサルティングのデータベースは、買収を通じて日本の親会社の傘下に入った企業が多く含まれているため、2021/22年の従業員数は約16万人で、2015/16年の15万6,000人からわずかに増加しています。

どちらのデータにも共通しているのは、2018/19年が従業員数のピークで、以降は減少している点です。これはフランスやドイツとは異なるパターンで、両国とも従業員数が2020/21年にピークに達し、その後減少しました。オランダは増減しながらも、全体としては成長基調です。

従業員数を業界別に見ていくと、イギリスの雇用縮小はほぼ完全に自動車業界の減少によるものであることが伺えます。同業界では約1万1,000人の雇用が製造・卸売業務で失われました。

 

日系企業数はドイツがイギリスとほぼ肩を並べるまでに成長

東洋経済は、日本企業の子会社である現地法人が2015/16年時点でイギリスには875社、ドイツには764社あったと推定しています。それが2022/23年にはイギリスが982社、ドイツが975社となりました。

ラドリン・コンサルティングの推定値には、法人化されていない支店が含まれており、また買収の結果として日本企業の子会社になった企業が東洋経済のデータよりも多く含まれています。2023年6月時点で、そうした組織がドイツには1,113社、イギリスには1,151社ありました。

 

閉鎖した企業数はドイツよりもイギリスで多数

ドイツでは2018年以降に閉鎖した企業数が48社、イギリスでは2017年以降に閉鎖した企業数が145社でした。イギリスで正味閉鎖数が最多だったのは卸売業界です。説明として考えられるのは、倉庫・物流業務の重点がEU単一市場へと移動して、在英拠点は欧州の卸売コーディネーション機能を果たさなくなったため、解消されたか支店に転換されたことです。イギリスで閉鎖された日系企業の業界別の内訳は次のとおりです。

  • 自動車 26社
  • サービス 41社
  • 卸売 39社
  • 製造 27社
  • IT 11社
  • 金融 9社
  • 物流 8社
  • 化学 6社
  • 小売 4社
  • 食品 4社

(一部企業は複数の業界に含まれる)

これらの閉鎖の多くは、イギリス市場から撤退したというよりは統合や合併によるものです。

2017年以降に新設された日系企業数はイギリスとドイツが互角

2017年以降にドイツに新設された日系企業は64社、イギリスは63社でした(うち4社はすでに売却または閉鎖されています)。

イギリスに新設された63社の業界別の内訳は次のとおりです。

  • サービス 35社
  • 卸売 14社
  • IT 6社
  • 金融サービス 6社
  • 製造 3社
  • エネルギー 3社(蓄電、再生可能、生産)
  • 物流 1社(複数の日系企業のコンテナ事業の合併後)
  • 自動車 1社(カルソニックカンセイとの合併後に設立されたハイリマレリ)

(一部企業は複数の業界に含まれる)

イギリスはなおも日本企業のM&Aターゲットだが、以前よりも規模が縮小

2017年から2023年現在までの間に日本企業に買収された企業の数は、イギリスで179社、ドイツで79社を把握することができました。これは網羅的な数値ではなく、弊社の調査力がイギリスに偏っている事実を反映している可能性があります。

さらに、これらの買収の多くは、イギリス企業やドイツ企業を直接的に買収するものではなく、米国企業や欧州の他の国に本社がある企業を買収した結果として、そのイギリス子会社やドイツ子会社が傘下に収まったという経緯でした。また、現時点で把握しきれていない最近の買収もあるかもしれません。

これらの点を念頭に置いて見ていきますが、イギリスで行われた買収179件のうち123件と過半数を占めたのが、2017年から2019年の3年間の案件で、その後は年間25社前後かそれ以下のペースでした。ドイツでも類似したトレンドが見受けられます。

2017年以降に行われた欧州企業の買収のなかでも主だった案件は次のとおりです。

  • 武田薬品が2019年、アイルランドの製薬会社、シャイアー(ロンドン証券取引所の上場企業)を640億ドルで買収
  • 日立製作所が2020年から2022年にかけ、スイスのABBのパワーグリッド事業を110億ドルで買収
  • ルネサスが2021年、米国で設立されイギリスに住所を置いていた半導体会社、ダイアログを59億ドルで買収
  • 三菱商事と中部電力が2019、オランダのエネルギー会社、エネコを44億ドルで買収
  • 大正製薬が2018、ブリストル・マイヤーズ スクイブからフランスの製薬会社、UPSA SASを16億ドルで買収
  • 日立レールが2015年から2019年にかけ、イタリアのアンサルドSTSを15億ユーロで買収
  • ニデック(日本電産)が2017年、エマーソン・エレクトリックのモーター、ドライブ、発電機事業を12億ドルで買収(イギリス・ウェールズのドライブ製造会社、コントロール・テクニクスとフランスのモーター製造会社、ルロア・ソマーを含む)
  • 豊田自動織機が2017年、オランダの物流会社、ファンダランデを13億ドルで買収
  • NECが2018、デンマークのIT会社、KMDを12億ドルで買収
  • 富士フイルムが2019年、米国バイオジェンの保有するデンマーク・ヒレレズの製造子会社を9億3,000万ドルで買収

イギリス企業は過去に日系企業が追求した最大級のM&A案件のターゲットとなってきました。ソフトバンクによるARM買収、日本板硝子によるピルキントン買収、そのほか金融サービス業界の様々な買収がありました。この傾向は、ルネサスによるダイアログ買収を除き、継続していないように見られます。ただし、イギリスの人材斡旋・派遣、ドライブ、タイヤ、食品、紙卸売などの業界で、比較的小規模な買収が行われています。

日本からの投資先としてスイスがイギリスを抜き、正味金額で欧州最大に

前述の大型案件は、必然的に日本から欧州への資本の流れに影響し、結果として投資総額が年ごとに大きく増減しました。

2017年以降の日本からの直接投資の正味累計額では、それまでの最大投資先だったイギリスを抜いてスイスがトップに立ちました。2019年にスイスの卸売・小売業界に多額の投資が流入した理由は、日立によるABBパワーグリッドの買収に関係していたと思われます。スイスとイギリスに次ぐ3位はオランダ、4位はアイルランドでした。

イギリスへの資本の流れは2020年にマイナス、すなわち正味ダイベストメント(投資撤退)となりましたが、これは通信業界によるもので、ソフトバンクに関係している可能性があります。同社の投資活動のかなりの部分がロンドンで行われているためです。また、2018年にはサービス業界が正味ダイベストメントとなりました。この年に同業界では日本企業による子会社の売却という点で目立った動きがなかったため、在英拠点の資産がEU拠点に移転されたためかもしれません。例えば、ソニーが知的財産権の所有法人を変更しました。

製造業では、イギリスの電気機械、食品、化学品への投資が輸送機器(自動車)への投資を上回り、またこれら3分野への投資額は、同期間のドイツと比べても格段の差がありました。

ドイツとイギリスに対する日本からの直接投資の2017年以降の累計額は次のとおりです[1]。

業界 ドイツ イギリス
食品製造 8億ドル 98億ドル
化学品・医薬品製造 31億ドル 71億ドル
電気機械製造 6億ドル 78億ドル
輸送機器製造 93億ドル 8億ドル
通信 6億ドル 453億ドル
卸売・小売 20億ドル 32億ドル
金融・保険 82億ドル -23億ドル
サービス 12億ドル -345億ドル

国別では下図のとおり、アイルランドが化学品・医薬品製造業界で2019年と2020年に多額の資本流入と資本流出を経験しました。これは武田・シャイアーの案件に関係したものと思われます。デンマークの2019年の資本流出は、武田がデンマークの2工場をオリファームに売却したことに関係しているかもしれません。

日本の財務省のデータは、注意して扱う必要があります。機密保持の理由で提供されていないデータが多々あるためです(例えばフランスや金融サービス業界)。

製造業の雇用は自動車を除いて安定的に推移

2019年と2021年に自動車業界でイギリスからのダイベストメントがあった理由は、ホンダのスウィンドン工場閉鎖に伴うものと見られます。2019年2月に発表され、2021年7月に最終的に閉鎖されましたが、この間に同業界の日系サプライヤも20社ほどが在英拠点を閉鎖しました。

自動車業界の日本からの投資が最も流入したのはドイツでした。2019年の大きな流入は、おそらく積水化成によるプロシートの欧州事業買収に関係しています。この案件にはドイツ、ポーランド、チェコ共和国の工場が含まれ、イギリス工場は2021年に閉鎖されました。

イギリスの自動車業界に対する二次的な投資もあったかもしれませんが、このデータには反映されていません。自動車業界の投資先としてベルギーがドイツに次いで2番目となった理由は、ほぼ間違いなくトヨタが欧州事業の統括会社を置いていることによるものです。このため、この金額の一部はイギリスにあるトヨタの工場に流れたはずです。

2018年にはイギリスの自動車業界に比較的大きな資本流入がありましたが、これは日産が2019年にサンダーランド工場で「ジューク」の生産を開始し、その後さらに第3世代の「キャシュカイ」の生産も開始したことに関係している可能性があります。

自動車以外の製造業では、2019/20年まで従業員数が増加し、その後は横ばいとなりました。弊社が調査した日系製造業企業のほとんどは、EU離脱に向けた対応委員会を設置し、様々なシナリオを想定して計画を策定し、投資を行いました。こうしてコストとメリットを分析した結果として、製造業務を閉鎖して他国に移転するよりは居留まって対応策に投資するほうが合理的だと結論したのでしょう。

イギリスの金融サービス業界は正味ダイベストメントながらも従業員数は安定

ラドリン・コンサルティングのデータによると、2017年から2022年にかけて、イギリスの金融業界に対する日本からの投資は累計でマイナスになりましたが、従業員数は比較的安定していました。ただし、これは確認が困難です。日系銀行の大手3社のうち2社が、在英拠点をオランダの欧州本社または日本の本社の支店と位置付けていて、イギリスのみの従業員数が開示されていないためです。

アイルランドは、航空機リースと航空機ファイナンスのハブになっているため、日本の金融サービス業界が2017年以降に最も投資した国になったと見られます。例えば、2020年から2022年にかけて、ジャパンインベストメントアドバイザーの子会社、JPリースプロダクツ&サービシイズがアイルランドにエアバスと合弁でリース事業会社を設立し、航空機数機を取得したことが、2020年の大型投資に寄与した可能性があります。

日本からの駐在員数はドイツがイギリスを抜いて欧州の最多国に

全体として日本からの駐在員はEMEA全域で減少傾向にあり、コロナ収束後も戻っている様子は見られませんが、オランダとアラブ首長国連邦は例外です。

在英(主にロンドンとその周辺)の駐在員数の変化は、欧州の地域本社機能がドイツとオランダに移りつつあることを示していると言えるでしょう。特に金融サービス会社と商社は日本人駐在員の割合が高いため、この傾向が顕著に反映されがちです。

これらすべてが何を意味するのか? 新・旧トレンドの加速

過去7年にわたって在英日系企業に関するデータを集めながら、オープンマインドを保つよう心がけてきました。とはいえ、イギリスのEU離脱はすでに存在していたトレンドを加速させるものだという、全体的な見解を持っていたことは認めます(EU離脱が膨大な時間と労力とリソースの無駄だという見方を別にして)。

そこで、今回このデータを見るに当たり、新・旧のどのようなトレンドが浮上してくるかに注目しました。

拙著『The History of Mitsubishi Corporation in London』[1]ではロンドンの三菱商事が1915年からどのように発展したかを解説しましたが、輸出入の貿易業者から地域コーディネーターへと短期に転換したことが明らかでした。これは事業がグローバル化する際の著名なモデルに従っていました。純粋な輸出事業から現地製造事業へ、そして何らかの多国間事業へと展開し、地域レベルのセンター・オブ・エクセレンスを有するようになるという進化の過程です。

三菱商事のような日本の商社は、直接的に製造業を営むことはありませんが、しばしば製造業に投資しています。1989年に三菱商事がイギリスでプリンセス・フーズを買収したのも、その一例でした。これらの事業は主にロンドンを拠点としていて、その理由は、ロンドンがグローバルにも地域的にも重要なハブだと見ているためです。若手社員が情報収集し、国際政策への影響力の及ぼし方を学ぶうえで、良いトレーニングの場になるのです。

EU離脱が現実になった直後に、在英日系企業の経営幹部が多数集まった会合に出席したことがあります。当時の三菱商事EMEA統括者がスピーチに立ち、イギリスのEU離脱は日系企業にとって逆風になると思うが、同社がイギリスから撤退することはないと明言しました。

私自身、三菱商事で経営企画やコーディネーション業務に携わった経験があるため、同社や他の日本の財界[2]企業にとって在英拠点の価値とは戦略的な価値であるということが、本能的に理解できました。とはいえ、ひとたび離脱してしまえばイギリスのEUでの影響力は弱まり、イギリスが日系企業にもたらす戦略的な価値も失われるのではないかと、私は危惧していました。

2017年以降にイギリスから撤退した唯一の日本の商社は双日で、三菱、三井、住友、伊藤忠、丸紅といった大手ではありません。双日は化学品貿易に注力すると決め、その本社をドイツに置くことにしました。ドイツは伝統的に、この地域内の化学品製造のハブと日系企業から見なされています。

イギリスから撤退した他の地域本社は、グローバル化の最初のフェーズに関係した動きでした。日本から製品を輸入していた卸売業企業でしたが、地域コーディネーションと倉庫・物流の拠点をEUに移しました。これはオランダで日系企業の従業員数と駐在員数が大幅に増加した背景となっています。同時に、日本からの駐在員は欧州全域で減少していて、これは卸売業企業の多くがシニアマネジメントを現地化していることの表れかもしれません。

第2フェーズの企業、すなわちイギリスに製造拠点を開設した企業は、やはりイギリス外へ重点を移し、サプライチェーンを引き連れて行きました。消費者家電の製造業企業はかなり前に撤退していたため、主な懸念は自動車業界でした。前述のとおり、自動車業界による欧州への投資を2017年以降に最も引き付けたのはドイツでした。ただし、買収に伴う単発の資本流入だった可能性はあります。ベルギーへの投資の一部は、トヨタ経由でイギリスに流れる可能性があります。また、トヨタも日産もイギリスから引き揚げる兆候は示していません。

第3フェーズは、地域コーディネーションやセンター・オブ・エクセレンスによる事業展開の段階ですが、イギリスではこれがより色濃く表れるようになっています。ただし、地域コーディネーションの中心的な業務とは製造業務のためにサプライチェーンを管理すること、あるいは日本からの輸入品のために物流と倉庫を管理することであり、これらがイギリスを離れた今、イギリスに残ったのは、地政学的な観点に立つ戦略的な投資家で、業界としてはエネルギー、輸送および通信のインフラ、防衛、さらにバイオ・製薬と半導体の研究開発です。

これらの投資家は、海外の成長市場を求めているわけではなく、1990年代から2010年代の失われた30年間に日本企業がイギリスや他国で買収を行ったのとは異なります。動機となっているのはむしろ地政学的な懸念で、気候変動に関係する要因や、通信、エネルギー、デジタルデータなどの業界で敵対国への依存を低減するニーズに関係しています。

現在のイギリス政府は産業政策にまったく触れようとしませんが、イギリスの多数の政治家がこの新しいフェーズを認識していて、イギリスの課題が日本の課題と重なると気付いていることは明らかです。最近ロンドンで開かれた日英イベントでも、現職と歴代の首相および内閣に対する困惑感が伺えました。日本文化のソフトパワーを伝えるジャパン・ハウス・ロンドンの社外取締役としてある展示会に出席してきましたが、ほぼ完全に再生可能エネルギーに焦点を当てていました。

日本政府は先頃、国内企業が開発・生産する防衛装備の規格を米欧と統一すると発表[3]しましたが、これは補修・維持費の抑制に加え、国内企業の事業機会の拡大を狙いとしていて、まさにこの新しい第3フェーズに重なります。イギリス、イタリア、日本は戦闘機開発プログラムを統合し、次期戦闘機の実証試作機を2027年までに共同開発しようとしています。

これらの活動が必ずしもすべて円滑に運ぶことはないでしょう。例えば、日本の商社は、ロシアのLNG開発プロジェクトから撤退する様子は示していません。エネルギー供給の海外依存に及ぼす影響という点で、これは日本政府との協議の議題になっていたことでしょう。例えば、サハリン2プロジェクトは、日本のLNG輸入の約9%を供給しています[4]。

EU離脱後のイギリスで事業を継続するということは、第1フェーズと第2フェーズの企業にとっては、伝統的な輸出入と製造関連の貿易を維持することを意味しました。これらの企業は、あらゆる対応計画を練り、移転する必要のあるものは十分に前もって移転しました。イギリスに拠点を新規開設した製造業企業はなく、イギリスが単一市場に再加入するまでは、おそらくないでしょう。

第3フェーズの企業にとって、EU離脱後のイギリスで事業を継続していくとは、他の欧州諸国と協力・同調し、かつエネルギー、防衛、通信および輸送インフラ、研究開発といった分野でイギリスが欧州内外に対して有する好ましい影響力を活かしていくことを意味します。これは、第2フェーズの製造分野のプロジェクトのように数千人という雇用を創出してサプライチェーンをもたらすといった大衆受けする影響を及ぼすものではありません。事実、選挙という観点からはマイナスの影響になる可能性があります。原子力発電や風力発電、高速鉄道の開発プロジェクトで見てきたとおり、田園風景を破壊することや巨額の投資が必要になるという事実に対しては、常に反対の声があるからです。これは、日本企業が国内で直面する問題に似ています。

しかも、協業に際しては、単に欧州だけでなく、隣接するアフリカと中東も巻き込む必要があります。言うまでもなく気候変動はグローバルな取り組みを必要とし、1か国だけの環境保護主義などあり得ません。日本政府は過去何十年にもわたり、エネルギー小国であることを案じてきました。これが投資の大半を率いる要因となり、特に日本の商社は海外のエネルギー開発プロジェクトに投資してきました。商社はこれまで、しばしばイギリスの地域本社を通じて、アフリカと中東で水力発電から家庭用ソーラー・システムまで様々な再生可能エネルギーのプロジェクトに投資してきました。

日本企業は他の日本企業との取引を好むため、最初に上陸した企業の砦が確立すれば、サプライチェーンやサポートシステムに含まれる他社が追随します。これが1970~80年代にイギリスに進出した日系自動車業界で起きたことでした。このエコシステムは今もイギリスに確実に存在し、部品サプライヤの多くがエネルギー業界やインフラ業界に製品を供給できます。

この新しい第3フェーズのイギリスへの投資、およびイギリスを経由する投資は、工場の建設・改修にイギリス政府が補助金を出すといった方法で誘致されるものではありません。何年も経ってようやく実る長期的な結果のみに投資する意欲、また政治的なエネルギーを費やして持続可能な政府の政策とコミュニティからの支持を取り付けようとする意欲を示すことで誘致されるでしょう。

このレポートの PDF はここからダウンロードできます

[1] https://biz.toyokeizai.net/en/data/service/detail/id=860&academic=1

[1] https://www.mof.go.jp/english/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/ebpfdii.htm

[1] The History of Mitsubishi Corporation in London: 1915 to Present Day, Routledge Advances in Asia-Pacific Business, 2000 https://www.amazon.co.uk/History-Mitsubishi-Corporation-London-Asia-Pacific/dp/0415228727

[2] 財界とは、日本の実業家や財務金融関係者のコミュニティで、特に大きな資本力と影響力、政界とのつながりを有し、世界に対して日本を代表する立場にあると見なされている企業のコミュニティを指します。

[3] https://asia.nikkei.com/Business/Aerospace-Defense-Industries/Japan-to-standardize-arms-with-U.S.-Europe-for-joint-maintenance、2023年6月22日にアクセス

[4] https://www.reuters.com/business/energy/japans-mitsui-says-no-plans-exit-russias-sakhalin-2-lng-project-2023-06-21/

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イギリスの中小企業の先行き

ロンドンの鉄道駅で電車を待つ間に食事をしたりお弁当を買ったりするのによく利用していた日本食レストランが、営業時間を午後6時までに短縮し、テイクアウトのみの業態に変更したことを知ってがっかりしました。防火・安全規制が変更されたために1か月の閉店を余儀なくされ、その後、限定的にのみ営業を再開したというわけでした。

前日にもロンドンの西1時間のところにあるスラウで別の日本食レストランに行きましたが、前回の来店時からオーナーが変わっていて、今はフィリピン人の経営になっていました。スラウで宿泊したホテルのスタッフも、ほとんどがフィリピン人のようでした。5年前であれば、この種のホテルのスタッフはたいてい東欧からの出稼ぎ者でしたが、イギリスがEUを離脱して労働者が自由に入国できなくなったことで、アジアやアフリカからイギリスに働きに来る人が増えています。

これらの変化に私は驚きましたが、ロンドンの日本食店のカウンターで接客していた店員さんによると、これは最近の変化ではないとのことでした。これを聞いて、最近は以前ほどこの店を利用していなかったことを自覚しました。研修の多くをオンラインで提供していて、頻繁に出張しなくなっているからです。オンラインのほうが、在宅勤務や外国の社員も参加できるというメリットがあります。

それもあって、私自身はここしばらくにわたり、過去何年もなかったような多忙が続いていますが、他のイギリスの中小企業(従業員数が249人以下)は、今、厳しい状況に置かれています。最近の調査では、中小企業経営者の自信のレベルがコロナ禍の始まり以来、最低水準になりました。中小企業は、特にコロナ後の規制環境と労働市場の変化、およびEUとの貿易や光熱費の高騰に対処するだけのリソースがありません。

イギリスの中小企業はイギリスの労働力の60%を雇用していて、日本とほぼ同じ割合です。また、コロナ禍の間に様々な政府の支援を受けてきて、現在のエネルギー危機に際しても支援が出ている点も、日本と似ています。けれども、政府のエネルギー補助金は3月以降は半減します。

これに加えて鉄道ストの影響もあって、特にホテルやレストランの業界には陰鬱なムードが漂っています。鉄道ストは短期的な問題と思われますし、実際にそうであってほしいものですが、もう少し長期的に見れば、中小企業は事業の再考を迫られています。

私自身は、仕事のうえでも社交のうえでも対面の形態が戻りつつあると感じています。企業は、士気やチームワークといった理由から、スタッフが対面で一緒に仕事をすることを願っています。また、人というのは触れ合いを求めるものです。とはいえ、それが大都市の外で起こり、通勤の不要な状況が生まれるかもしれません。

私の地域の当局は、「20分地区」を実現させようとしています。店、レストラン、学校、病院などへ徒歩20分以内で行けるコミュニティです。ロンドンの駅にある日本食レストランも、本来のルーツに戻るかもしれません。私が初めてこの店で食べたのは、ロンドンから南へ1時間のブライトンという町で最初に開店した時でした。ブライトンはハイブリッド勤務の人が増えている場所ですから、地元できっと歓迎されるでしょう。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2023年3月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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日本企業に真の「CXO(最高〇〇責任者)」はいるのか

昨年、新しい研修の案件を引き受けました。クライアントは日本のIT企業で、B2Bサービスのマーケティングに関する研修をオンラインで日本勤務の社員に提供しています。日本の時間に合わせなければならないため、かなり早起きする必要があるのですが、それ以外にも難しい側面を抱えています。

私はキャリアのほとんどをB2Bサービス業界の日本企業と英米企業、しかもマーケティングや販売の部署で過ごしました。ですから、この案件も私の専門にぴったりはまるのですが、実際にやってみて、営業やマーケティングのアプローチには日本と欧米で大きな違いがあることを今まで以上に痛感しています。欧米のメソッドは主に米国の慣行に影響を受けていて、アメリカ人は往々にして自分たちのやり方が世界標準だと考えるため、ヨーロッパの人は苛立ちを覚えることがあります。とはいえ、特にITのような業界では米国企業が強大な地位にあるため、それらと競争するには米国流の方法論を理解して使用する必要があります。

これら方法論の背後には様々な前提があり、日本の多国籍企業が使いこなすには、それらの前提を表に出して疑問を解決する必要があります。

最初の前提は、顧客企業のターゲット層となる経営幹部を「Cスイート」または「CXO」(最高〇〇責任者)ととらえている点です。私の知るかぎり、日本でCEO、CFO、COOといった肩書き(最近ではCHRO、CDXO、CRMOなども)がある程度使われるようになってから、、10年ぐらいの歴史しかありません。代わりに、社長、副社長、専務、常務などがいて、たいていは常務が各事業部門の責任者です。ですから、日本では常務レベルの役職に「CXO」の肩書きが導入されてきました。

でも、常務と「CXO)」の間には単なる呼称以上の違いがあるように思えます。欧米における「CXO」の肩書きが真に意味するのは、その領域の専門家であることです。そして、意思決定と予算管理の最終権限を任されています。だからこそ、B2Bサービスを販売しようとする企業のターゲットになるわけです。

でも、伝統的な日本企業では、たいていの経営幹部は、特定の事業や機能の「畑」のなかではあっても、基本的にジェネラリストとしてキャリアを歩んできています。日本では財務・会計の資格を持たない人がCFOになっていたり、人事やマーケティングを補助部門と見なして、あまり戦略的にとらえていなかったりするのを見て、欧米の人たちは驚きます。部門長は予算承認の権限は持っているかもしれませんが、承認内容のほとんどは根回しや稟議のメカニズムで下から上がってきたことであって、戦略として掲げたことではありません。

日本の多国籍企業を主な取引先にしてきた日本のサプライヤは、これまでグローバルなマーケティング手法に精通する必要はありませんでした。しかし今では、日本の多国籍企業もグローバル化およびローカル化しているため、日本人以外が「CXO」に就いていて、この種の人材登用が日本の本社でも起こり始めています。ということは、これからしばらくは私も早起きして、日本の社員にマーケティングの研修を提供することになりそうです。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2023年2月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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モロッコと日本

モロッコ政府によると、同国の外資系企業を国別に見ると、最も雇用件数の多いのが日本です。日系企業は75社あり、5万人以上の雇用を創出しています。この数は、今後数年以内にさらに増えるでしょう。2022年4月、日本とモロッコの間で投資の促進と保護、および二重課税の廃止に関する協定が発効したためです。

これまでは、この種の協定がなかったことから、モロッコにある日系企業の拠点は、フランス、スペイン、ドイツの子会社の支店という位置付けでした。社員数が多い企業のほとんどは自動車関連業界で、住友電気工業と矢崎総業に約3万人が雇われています。住友電工は、モロッコに8つの工場を持っていますが、ウクライナの生産を移転するため、これを増やす計画です。矢崎は、90億円を投資してモロッコの生産量を25%増とする計画で、新工場の建設も予定しています。フジクラも、モロッコの工場を稼働させようとしていて、やはりウクライナの生産を移転するためです。

ルノーとステランティス(プジョー)は、モロッコに組立工場を持っていて、モロッコがアフリカ最大の乗用車輸出国になるのに貢献しています。その80%はヨーロッパで販売されていて、主にフランス、スペイン、ドイツ、イタリアですが、EUとの自由貿易協定に支えられています。

モロッコ政府は、現地調達を非常に重視していますが、同国で事業展開している外資系企業をインセンティブや課税の点でサポートしています。また、ルノーの工場があるタンジェとカサブランカを結ぶ高速鉄道をはじめとするインフラにも投資してきました。  モロッコの人件費はスペインの4分の1ほどで、東欧よりも低い水準です。

モロッコで成長しているのは、自動車産業だけではありません。NTTデータは最近、約2億円を投資して1,000人の雇用を創出する計画を打ち出しました。それに先立って、通信分野を担当する両国の大臣の間で覚書が交わされていました。モロッコ政府は、航空宇宙産業と再生可能エネルギー産業の投資の誘致にも熱心です。

モロッコ国王は、2011年のアラブの春以降、民主化改革を導入し、以来、穏健イスラム主義派が政権に就いてきました。しかし、この穏健イスラム主義政党は、昨年の選挙で惨敗しました。新政権は、独立国民連合(RNI)が率いていて、モロッコ実業界で大きな影響力を有するメンバーが含まれています。人権と表現の自由に関しては今も懸念があり、最近の取り締まりでジャーナリストが投獄されました。

日系企業の事業という点では、間違いなく楽観的なムードがあります。アフリカのジェトロが行った最近の調査でも、回答した在モロッコ日系企業の65%が*、事業を拡大する見通しだと答えました。市場規模、成長潜在性、それに社会と政治の安定性はいずれも、他のアフリカ諸国より高いスコアとなっています。  また、インフラの整備と人材確保のしやすさという点でも、モロッコは他のアフリカ諸国を上回りました。ただし、モロッコは英語圏というよりフランス語圏です。そのせいで、日本人駐在員が比較的少ないのかもしれません。

*これが書かれて以来、ジェトロの新しいレポートが出てきており、上記の記事が現在リンクされているが、モロッコでの事業拡大を期待している日本企業の数が 54.5% に減少したことを示している。 一方、モロッコは現在および将来の収益性でアフリカのトップの国の 1 つです。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022年6月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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2022年ヨーロッパ、中東、アフリカの日本企業上位30社

2022 年のヨーロッパ、中東、アフリカの日系企業上位 30 社 (以下からダウンロード可能) によると、日系企業上位 30 社の総従業員数は 2021 年の 575,962 人から約 3% 増加し、592,811 人* まで緩やかに増加しています。 EMEA 地域では日本企業に100万人位雇用されており、その約 60% がこれらの大企業グループで働いています。

スウィンドンの英国工場閉鎖のおかげでホンダが撤退しまして、オリンパスに取って代わられました。ホンダがTop30に残れば総従業員数は3%ではなく、 2% の成長になります。 EMEA で従業員数が減少した日本の企業グループは、主にホンダだけでなく、日産 (-8%)、NSG (-6%)、デンソー (-5%) などの自動車セクターでした。

従業員数の増加の一部は買収によるものでした。たとえば、ABB パワーグリッド事業の買収後、欧州中東アフリカ(EMEA)の地域の日立の従業員数は 3 分の 1 近く増加しました。ソニーはまた、2021 年から 2022 年にかけて EMEA で 27% 成長しました。これは、主に英国、オランダ、フィンランド、および米国のビデオゲーム会社による複数の買収の結果である可能性があります。

これは現在、日立のグローバル従業員の 12% とソニーのグローバル従業員の 11% が EMEA 地域にいることを意味し、トップ 30 の平均の14% と比較できます。 EMEA で従業員の割合が平均よりも大幅に高いグループは、大規模な製造業のプレゼンスを持つグループである傾向があります。住友電工は東ヨーロッパと北アフリカに労働集約型のワイヤーハーネス工場を持っているとか、豊田通商はフランスの会社 CFAOを買収して以来、アフリカで大きな存在感を示しています。

全世界の従業員の 38% を EMEA 地域に持つ日本たばこ産業は、日本の最大の企業グループのトップ 10 に入り、16 位から上昇しました。しかし、現在ヨーロッパと中東のウェブサイトに掲載されている数字から判断すると、弊社の計算が過小評価であることが判明しました。約 4,000 人の従業員を雇用するロシアでの事業については、投資の一時停止以外には何も発表していません。リクルートとアサヒはまた、全世界の従業員の 30% 以上を EMEA に配置しています。リクルートは USG People、グラスドアと Indeed を買収し、アサヒはグロールシュやペローニなどのさまざまなビールブランドを数年前買収しました。

2014/5 年以降、この地域で最も拡大した企業グループは、日立 (262%)、NTT (157%)、パナソニック (89%) です。最も縮小したグループは、ホンダ (-55%)、アサヒ (-30%)、富士通 (-25%)、日産 (-22%)、リコー (-15%) です。

このリンクをクリックしすると、2022 年 EMEA の日本企業トップ 30 の PDF をダウンロードはできます。

*この数字は、三菱電機がトップ 30 に含まれたことを反映するために更新されました (2023 年 4 月 17 日)

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ヨーロッパ、中東、アフリカにおける2022年のトップ30の日本企業

当社の2022年版(以下、無料ダウンロード可能)に掲載されている、ヨーロッパ、中東、アフリカにおけるトップ30の日本企業のリストは、従業員総数が若干増加し、2021年の575,962人から593,195人に約3%増加したことを示しています。EMEA地域での日本企業の雇用者は100万人を超えると推定されており、そのうち約60%がこれらの大規模企業グループで働いています。

ただし、ホンダがトップ30から撤退したために、これは2%の成長に留まりました。英国のスウィンドン工場の閉鎖によるもので、代わりにNYKグループが加わりました。EMEA地域で従業員数が減少した日本の企業グループは、主に自動車部門に所属していました。ホンダだけでなく、日産(-8%)、NSG(-6%)、およびデンソー(-5%)もその中に含まれます。

一部の成長は買収によるものです。例えば、日立はABBパワーグリッド事業の買収後、地域内の従業員を約3分の1増やしました。また、ソニーも2021年から2022年までのEMEA地域で27%成長しました。これは、主に英国、オランダ、フィンランド、および米国でのビデオゲーム企業の複数の買収によるものかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これにより、日立のグローバル従業員の12%とソニーのグローバル従業員の11%がEMEA地域に配置されることになります。これは、トップ30の平均値である14%と比較しています。EMEA地域において従業員比率が平均を大幅に上回るグループは、一般的に製造業が大規模に展開している傾向があります。

  • Pilkington Glassの買収によるNSG(グローバル従業員の46%が当地域に配置)
  • 労働集約型のワイヤーハーネス工場を東欧と北アフリカに持つ住友電気工業(26%)
  • CFAOの買収によりアフリカに大きなプレゼンスを持つトヨタツウショウ
  • 旭硝子

日本たばこ産業は、グローバル従業員の38%がEMEA地域に配置されており、日本の大手企業グループのトップ10に入りました。以前の従業員の見積もりが自社によるものであり、今回のウェブサイトの数字から判断すると、それは過小評価だったことが分かり、拡大したわけではありませんが、位置が16位から上昇しました。ロシアでの運営については、投資の一時停止以外に、約4,000人の従業員を雇用しているという事実以外の発表はしていません。

リクルートとアサヒも、グローバル従業員の30%以上がEMEA地域に配置されています。リクルートはUSG People、Glassdoor、Indeedの買収を通じて、アサヒはGrolschやPeroniなどさまざまなビールブランドの買収を通じて、これを実現しています。

2014/5年以降、地域で最も拡大した企業グループは、日立(262%)、NTT(157%)、パナソニック(89%)です。一方、最も縮小したグループは、ホンダ(-55%)、アサヒ(-30%)、富士通(-25%)、日産(-22%)、リコー(-15%)です。

こちらのリンクから、EMEA地域における2022年のトップ30日本企業のPDFダウンロードをご利用いただけます。

*この数字は、2023年4月17日に三菱電機のトップ30への追加と、2023年5月16日にNYKグループの追加を反映したものです。

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