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Home / Articles Posted by Pernille Rudlin ( - Page 8)

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About Pernille Rudlin

Pernille Rudlin was brought up partly in Japan and partly in the UK. She is fluent in Japanese, and lived in Japan for 9 years.

She spent nearly a decade at Mitsubishi Corporation working in their London operations and Tokyo headquarters in sales and marketing and corporate planning and also including a stint in their International Human Resource Development Office.

More recently she had a global senior role as Director of External Relations, International Business, at Fujitsu, the leading Japanese information and communication technology company and the biggest Japanese employer in the UK, focusing on ensuring the company’s corporate messages in Japan reach the world outside.

Pernille Rudlin holds a B.A. with honours from Oxford University in Modern History and Economics and an M.B.A. from INSEAD and she is the author of several books and articles on cross cultural communications and business.

Since starting Japan Intercultural Consulting’s operations in Europe in 2004, Pernille has conducted seminars for Japanese and European companies in Belgium, Germany, Italy, Japan, the Netherlands, Switzerland, UAE, the UK and the USA, on Japanese cultural topics, post merger integration and on working with different European cultures.

Pernille is a non-executive director of Japan House London, an Associate of the Centre for Japanese Studies at the University of East Anglia and she is also a trustee of the Japan Society of the UK.

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2年目を迎えたイギリスの「不満の冬」

イギリスはまたも「不満の冬」を迎えていて、ストライキが続発しています。不満の冬というのは、シェークスピアの『リチャード三世』の独白から来ていて、雨続きで暗くて寒いイギリスの冬が社会・政治の動乱と重なる時に使われます。

前回の最もよく知られた不満の冬は1978年から1979年にかけてでした。政府が課した賃金制限に対するストライキが各所に広まりました。私の家族にとっては、日本に5年間住んだ後、イギリスに戻って1年ぐらいの頃でした。何もかもが円滑に回る日本と比べ、イギリスは非常に不便で対立の多い国だと感じたものです。

日産やトヨタなどの日本企業が1980年代のイギリスに及ぼした良い影響のひとつが、マルチスキルの考え方を導入したこと、そして1企業の社員が1つの組合を代表組織とすることで雇用安定と労働条件の改善を手に入れる体制をもたらしたことでした。他の多くの企業がこれらの方法を取り入れた結果、過去数十年間はイギリスでもストライキや労働争議がはるかに少なくなっていました。

今の状況は1970年代に回帰したかのようです。今回の争点は主に賃金ですが、働き方の変化も論じられていて、これが労働条件の悪化と雇用の不安定化につながる(あるいはつながった)という懸念があります。

例えば、鉄道労働者組合は、運転士のみの列車に懸念を表明しています。運転士がドアの開け閉めも担うようになるため、人員削減につながります。雇用主の側は、車掌はなおも同乗していて、ただしドアの開閉業務から解放されるため、安全確認と乗車券確認に集中できるようになると説明しています。

私は最近、空港バスでロンドンへ行ってきましたが(ストライキで列車が運行されていなかったためです)、バスの運転手が乗客のスーツケースを積み降ろしし、乗車券を確認し、それから運転していました。乗車券にはQRコードが付いていますが、確認は手作業でしていました。このデジタル乗車券システムがあるため、乗客が降りる停車所や新しい乗客が乗ってくる停車所はすべて分かっているはずですが、それでも全員の行き先をあらためて確認していました。技術のサポートがないままに、あまりにも多くの仕事を課されているように私には見えました。事実、別のバスに乗るはずだった乗客が乗ってしまい、その人が誤った荷物置場にスーツケースを載せたことを見逃していました。

また、ある大手オンライン・ファッション小売店の配送センターで起きていた労働問題も、最近、発覚しました。作業員がかなりの重さのモニターを手首に付けて、次にどこへ行くべきかの指示を受けていました。作業員がノルマをこなしていないとマネージャーにアラートが送られるシステムでした。しかも、12時間のシフトの間にハーフマラソンとほぼ同距離を歩かなければならないほどのノルマが課されていたのです。同様の仕事をこなせるロボットは存在します。私はほぼ30年前にベルギーのホンダの巨大な倉庫でそうしたロボットを見ました。

イギリスの技術投資は非常に近視眼的で、働き方を向上させるためにいかに技術を利用するかではなく、いかに人件費を削減するかに重点を置いています。日本のデジタル・トランスフォーメーションのほうが良い成果を挙げて、イギリスが再び学べることを願っています。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2023年1月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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復活したふれあいの価値

2022年を振り返って思うのは、仕事上でも私生活でも、人とのつながりやふれあいが復活した年だったということです。世界中の人が同じことを体験したはずです。私は一人の時間が好きですが、それでも他の人と対面で接して、自尊心を刺激されたりエネルギーをもらったりすることのできる環境が必要だと実感しました。

私の家族や友人は世界のあちこちに住んでいるので、コロナの前からフェイスブックやメールで連絡していました。でも今年、数年ぶりにいろいろな人を訪ねてみて、家族が近くにいてコミュニティ内で友達を作っている人と、友達のいない場所に引っ越して新しい友達も作っていない人の間で幸せ感に大きな差があることに気付きました。後者の人は、子供が成長して遠くへ引っ越した今では、孤独を感じているだけでなく、意義のない利己的な人生になっていると話していました。

私の仕事でも、対面の研修のほうがオンラインの研修よりも望ましいのは明らかです。たとえ受講者がカメラをオンにしていても、私の話していることが役に立っているのかどうかが見えにくく、また受講者から洞察を得るのも困難です。

大手グローバル企業の経営幹部を対象にIT Services Marketing Associationが行った調査でも、仕事で付加価値を創造するにはコラボレーションの必要があることが明らかになりました。ITサプライヤとコラボレーションしてイノベーションやデジタル・トランスフォーメーションを進めることに対し、コロナ前よりも関心があると答えた回答者は、70%以上に上りました。特に日系企業の経営幹部は、世界平均以上にサプライヤとのコラボレーションに関心を寄せていました。

これはおそらく、日本の集団志向の文化の名残と言えるでしょう。また、日本のサプライチェーンで過去何年にもわたって構築してきたエコシステムも関係していると思われます。英米をはじめ、より個人主義の文化では、サプライヤと顧客の関係がそれほど協力的ではなく、もう少し敵対的です。

今年、久しぶりに会った人の一人が、映画監督をしているドイツ人の友人でした。実に20年ぶりの再会でした。イギリスがEU離脱交渉を進めていた2019年に、私の自宅からそう遠くない海辺のコミュニティでドキュメンタリー映画を撮影していました。夏の間にバラエティショーを興行しているダンサー、コメディアン、歌手、マジシャンのグループ、それにカニ漁師の様子を追いかけた内容でした。

パフォーマーたちは全員イギリス人でしたが、国際的な交友関係を持っている人たちで、うち2人はEU離脱の影響を受けてスペインに移住していきました。カニ漁師は一人で仕事をしていました。息子はこの家業を継ぐ気はなかったそうです。社会的・政治的な問題に関してはイギリスがEUの一部になるべきではないと感じて、EU離脱をめぐる国民投票では賛成票を投じていました。

私のドイツ人の友人は、独立独歩の道を歩むのは良いことではないとイギリスが悟り始めていると確信していて、まもなくEUへの再加盟を希望するだろうと予想しています。私には確信はありませんが、そうなってほしいものだと思っています。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022年12月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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様変わりしたヨーロッパのレンタカー事情

過去2か月ほどの間にイギリスとアイルランドを旅して、新型コロナとサプライチェーン問題が日常生活に及ぼした意外な影響に気付きました。8月にアイルランドのコークにいる親戚を訪ね、最初の数日をダブリンで過ごしました。ダブリンは活気があり栄えていましたが、多くの若者が生活費、特に家賃と住宅価格の高騰に不満を感じていました。

ダブリンはアメリカ人観光客でいっぱいでしたが、コーク県の海沿いの保養地ではアメリカ人は非常に少なく、観光客のほとんどがイギリス人と思われました。通常であれば、アメリカ人観光客はダブリンの空港でレンタカーをして国内をドライブ旅行するのが好きです。たいていはアイルランド系アメリカ人で、自分のルーツを求める旅です。でも、この夏はレンタカー代があまりにも高かったため、ダブリンを拠点に列車やバスツアーで他都市を訪れた人が多かったようです。

レンタカー代がこれほど上がった理由は、例年のように新車がレンタカー会社に納車されず、車両不足が生じたことでした。納車の遅れは、レンタカー会社だけでなく個人の消費者にも影響しました。おかげで古い車に乗り続けて、故障しても部品がなかなか手に入らないという事態が起きました。車の修理を待つ間にレンタカーが必要になるため、これも供給をひっ迫させる原因でした。

先月、イングランド東南部のケントに行った時は、借りたレンタカーが故障してしまいました。幸いにも整備担当者がすぐに問題を発見してくれました。バッテリーが古くて充電が利かなくなっているため、新しいバッテリーが必要とのことでした。冷却水も空っぽだと言われました。借りた時点で座席や床にシミや泥がありましたから、車内が清掃されていないのも明らかでした。整備担当者いわく、レンタカーの出入りが激しくて、整備や清掃を十分にする時間がない状態が続いていたそうです。

話をアイルランドに戻すと、不動産登記の仕事をしている従妹いわく、アメリカ人観光客は減っているものの、コークで住宅を買うアメリカ人がコロナ前よりも増えたとのことでした。コークは過去何年かIT業界や製薬業界の米系企業を引き付けてきましたが、比較的最近になってアメリカ人社員が本国から赴任するケースが増えました。リモート勤務やハイブリッド勤務が普通になったことで、アメリカ人社員は家族とアイルランドに移り住んだほうが幸せだと感じるようになったようです。子供がアイルランドの学校に通っていれば、米国の学校のように銃の乱射事件に備えて避難訓練をすることもありません。

近くフランスでレンタカーをする予定ですが、あちらでは中古車が新車と同じぐらいの値段で売れていて、レンタカーも会社ではなく個人から借りる人が出ているそうです。どんな体験になることやら、少し心の準備が必要そうです。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022年11月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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農業分野の技術

ロンドンの日本大使館で最近開かれた祝賀会に出席してきました。福島県産の食品と飲料の輸入規制が6撤廃されたことを祝うものでした。福島県産の酒や桃ジュースが盛大にふるまわれていましたが、出席者の多くは、むしろ福島県産の食品に手を伸ばしているように見えました。

日本食はイギリスで大人気ですが、イギリスの距離と人口規模から考えるに、福島県にとってイギリスが大きな市場になることはないのではないかと思われます。駐英大使もスピーチでそれを認めていて、イギリスの輸入規制撤廃はむしろ象徴的な意義が大きく、EUと中国へのメッセージになることを望むとのことでした。

同様に、2021年に日英経済連携協定が発効しましたが、この結果としてイギリス産の食品が日本で今まで以上に売れることはなさそうです。

とはいえ、食料自給率が必ずしも高くない2つの島国として、日本とイギリスは共通の課題を抱えているため、解決策も一緒に見つけられる可能性があります。ここしばらくの円安とポンド安は、食品、肥料、エネルギーなどの輸入価格を高騰させ、食品のインフレが加速しているため、差し迫った問題になっています。

ただし、日英の状況に違いはあります。イギリスは日本よりも食料自給率が高くて約54%。一方の日本は38%です。イギリスの主な輸入品は生鮮野菜と生鮮果物で、EUからの輸入です。特にオランダが誇る巨大な温室群で垂直水耕栽培される作物が大半を占めています。

イギリスも独自に垂直農法や水耕栽培の施設を開発することは可能ですが、エネルギーの高さが壁になっています。日本でも、主な輸入食品である小麦や大豆、油用種子をこの方法で栽培しようとすれば、エネルギー価格が壁になるでしょう。日本はレタスなどの垂直水耕栽培技術を開発していて、特に福島県では汚染された土を介入させない農法として重要です。そして現在、省エネのソリューション開発にも取り組んでいます。

日英で協力できるもうひとつの分野として、ロボット技術が挙げられます。日本大使館のイベントで、私の住むノーフォークの特産品とされるアスパラガスが福島県の特産品でもあることを知りました。アスパラガスの収穫は、EU離脱後のイギリスで問題になっています。EUからの安価な季節労働者を簡単に雇用できなくなったからです。日本も労働力が不足していて、オランダもそうです。このため、この3カ国すべてでアスパラガスの収穫ロボットが開発されつつあります。同じ技術を調整して、より複雑な農作物にも応用することができます。

水耕栽培されロボットで収穫される野菜と果物の最後の課題は、伝統的な農法で手作業で収穫される作物と比べて味が劣ることです。農業化学品や品種改良が、この解決策になるかもしれません。大使館のイベントで、ヨーロッパのこの業界に投資している日本の商社の人たちに何人も出会いましたが、その理由はここにありそうです。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022年10月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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日本企業の対エジプト投資について

最近、日本の自動車会社のために開催したオンラインの研修に、エジプトからの社員が数人参加していました。これは、コロナ後の世界の利点のひとつです。研修がオンラインで行われるようになったため、西欧の地域本社に出張するのが難しい人たちも、教室形式の研修に参加できるようになりました。ただし、技術的な問題はまだ残っています。エジプト人の参加者の一人はシニア・マネージャーで、他の参加者と共有できる優れた洞察を持っていましたが、音声の品質が悪くて、よく聞き取れませんでした。

ですから、アフリカに事業拠点のある日本企業を対象としたJETROの最近の調査で、エジプトに投資する魅力としてインフラの充実が挙がらなかったのは驚きではありませんでした。むしろエジプトの魅力は、市場規模と成長潜在性にありました。人口が1億人を超えていて、世界最大のアラブ国家、かつアフリカで3番目に大きい国です。

この調査の回答者は、政治の安定性という点でもエジプトを比較的高く評価していました。現在のアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が2013年にムハンマド・ムルスィー大統領を解任に追い込んでから状況が改善し、2021年に非常事態宣言が解除されました。ただし、現在も軍政で、様々な人権の懸念があります。他のアラブ国家は、ムルスィー氏の解任以来、エジプト経済を支えてきました。ムルスィー氏の時代には、同氏がムスリム同胞団のメンバーであることを理由に反対していたのです。

ムスリム同胞団のルーツは、第二次世界大戦前にまで遡ります。イスラム教の宗教的・政治的・社会的な運動としてエジプトで創始され、19世紀からのエジプトのイギリス支配に反対してきました。この占領の結果としてエジプトでは英語が広く話されていて、特に管理層では浸透しています。

しかし、エジプトを魅力的な投資先として安易にとらえるわけにはいかないことを、私は自分の家族の歴史から学んでいます。スカンジナビア航空に勤めた祖父は、1950年代にカイロに駐在していました。使用人や料理人のいる贅沢な暮らしを2年ほど送った後、スエズ危機が発生し、ヨーロッパからの他の駐在員の救出活動を取り仕切る立場に立たされました。その前にも、イギリス人や他の外国人がよく出入りする建物でムスリム同胞団のテロ行為が起こっていました。

近年には、外国人を狙って断続的に起こるテロ行為のせいで観光業に影響が及んでいました。そして今は、重要な収入源となっていたロシアとウクライナからの観光客が失われています。また、ロシアとウクライナは、世界の輸出小麦の4分の1以上を供給していて、ヒマワリ油は世界供給の約80%を占めています。このため、小麦と調理油の価格が高騰し、これがエジプトに大きく響いています。エジプトは世界最大の小麦輸入国で、人口の3分の2が公的補助制度を通じてパンを購入しているからです。ヨーロッパ・中東・アフリカ地域の国々の絡み合う歴史は、絶えず進化を続けています。

(この記事は帝国ニュースの2022年5月11日号に掲載されました)

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ウクライナ ― デジタル情報戦では優位

ロシアがウクライナに侵攻する1週間前に、リヴィウにある日系技術企業で働くウクライナ人の社員2人からメールをもらいました。私が提供している研修についての問い合わせでした。紛争の緊張が高まっていることは知っていましたが、普通どおり返信すべきと思い、オンライン・ミーティングを翌週にスケジュールしました。

当然ながら、このミーティングはキャンセルされました。キャンセルを申し入れてきた彼らに、何かできることがあったら教えてほしいと返信すると、「ここで起こっていることを、いろいろな人に話し続けてほしい」とのことでした。彼らはすでに、21世紀の戦争でコミュニケーションが果たす重要な役割を認識していました。

白状すると、この出来事があるまで、自分の仕事に関係することとしてウクライナ情勢に注目していたわけではありませんでした。2014年のユーロマイダンとクリミア併合のことは知っていました。顧客の日系企業の人事マネージャーの弟さんがウクライナ軍で戦ったことを聞いていました。

日本企業のウクライナへの投資は比較的限られていて、ほとんどが自動車関連だと思っていましたが、この日系技術企業から連絡を受けたことで、リヴィウに技術産業のクラスターがあり、IT関連の企業やスタートアップが多いことを知りました。事実、日立製作所は、最近買収した米国のソフトウェア会社、GlobalLogicを通じて、ウクライナに7,000人以上の社員を有していました。

ITサービス産業がウクライナで活況を呈している理由は、在欧日系企業を対象にジェトロが実施した最新の調査結果で分かりました。日系企業はヨーロッパでの投資分野として、炭素削減技術に次いで2番目にデジタル・トランスフォーメーション技術に関心を寄せていました。

在欧日系企業の37%が、すでにその種の技術を使用しています。この割合は、東欧と中欧の日系企業では50%以上です。西欧に比べて低いコストでデジタル・スキルのある人材を見つけられます。

デジタルに明るい人材の厚さは、現在の戦況にも表れています。ウクライナは、ロシアのウェブサイトに侵入しただけでなく、西欧にいる私たちの目には、少なくともソーシャルメディアの情報戦では優勢に立っているように見えます。爆撃と殺害のおぞましい映像の間にも、ウクライナの人たちがシェアしている動画のブラックユーモアと明るい勇気に、私たちは感銘を受けています。ウクライナの農夫がロシア側の戦車をトラクターでけん引して盗んでしまったり、タバコを口にくわえたまま素手で地雷を運んで除去したりしている様子が伝わっています。

ウクライナ人のコミュニケーション・スキル、特にゼレンスキー大統領の手腕は、戦争と独裁者と侵攻の記憶を持つ欧州の人たちに共感を誘っています。イギリスでは、あるテレビ局がゼレンスキー大統領のかつてのコメディ番組を放映しています。一介の歴史の教師が選挙で大統領に選ばれてしまうシリーズです。この物語では、この歴史の教師が罵り言葉もたっぷりに白熱した政治汚職反対の演説をしたのを生徒がスマホで撮影してフェイスブックに投稿したことから、有権者の支持を集めてしまったという筋書きになっています。

(この記事は帝国ニュースの2022年4月13日号に掲載されました)

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100年前の日英関係

今から100年前に終了した「英米訪問実業団」について、最近リサーチしています。日本の財界代表者によるイギリス訪問の歴史に、今日に通じるものがあるかどうかを見たいからです。

この訪問は、1902年に結ばれた日英同盟が破棄されつつある時期に行われました。1921ワシントン会議で日本、イギリス、米国、フランスの四カ国条約が調印され、日英同盟が解消することになったためです。ワシントン会議は1922年に2月に終了しましたが、四カ国条約が発効した1923年8月に日英同盟は正式に失効しました。

日英同盟は、もともと極東におけるロシアの拡張主義に対抗するために締結され、後にドイツからの脅威にも対抗しましたが、1921年までには、イギリスにとってロシアは脅威ではなくなり、ドイツは第一次世界大戦で敗北していました。代わりにイギリスが望んだのは、米国との関係強化でした。米国は、日本に対してより敵対的な姿勢を示していて、太平洋地域や中国で利害対立の可能性を感じていました。

團琢磨が率いた英米訪問実業団は、ワシントン会議のタイミングを見計う格好で、1921年10月から1922年2月にかけて、米国、イギリス、フランスを訪れました。イギリスでは、この使節団の呼び名にいくらかの揺れがありました。産業使節や商業使節と称されたこともありましたが、スピーチの記録などから察するに、イギリスの受け入れ側の多くは、外交目的も兼ねた訪問であることを認識していたようです。

日本は当時、輸出が輸入を上回り、また第一次世界大戦で債権国にもなっていて、国際経済に深く関与していました。渋沢栄一は、日本が国際的影響力を拡大すべき時であり、それには経済と社会の基盤を先進国のレベルに引き上げる必要があると考えていました。

このため、訪問団に参加した財界のメンバーは、造船所や工場を訪れ、関税や商標について議論する一方で、イギリスの労使関係、協同組合運動、イギリス産業連盟にも大きな関心を寄せていました。イギリスの輸送交通インフラを理解することにも熱心でした。イギリスの次にフランスを訪れた使節団は、新たに創設された国際商工会議所を視察しました。

イギリスの実業家が開いた夕食会や昼食会では、貿易の継続が幾度となく話題に上がっていました。とはいえ、イギリスが日本を植民地における競争相手と見なし始めていることは明らかでした。特に綿花製品をめぐる競合があり得ると予期していました。これに対し、團琢磨は、日本とイギリスの両方にとって競争相手は中国だと返しました。

日本の使節団は、日英同盟の解消によって貿易障壁が増えること、また日本の国際的な地位が弱まることを懸念していました。日英同盟は、日本の信用の証左となっていたからです。

この懸念は的中したと言えるでしょう。1929年に世界恐慌が起こると、米国は保護主義を強めました。1932年にはイギリスが帝国特恵関税を導入して、第一に国内の生産者、第二に帝国内の生産者、最後に外国の生産者という政策を取るようになりました。この同じ年に、團琢磨は暗殺されています。

(この記事は帝国ニュースの2022年3月9日号に掲載されました)

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日本と同じく、イギリスも成長を求めて海外進出へ

国内でのみ事業展開してきたイギリス企業の33%が今後3年以内に国際化の目標を持っていることが、今年春に実施されたサンタンデール銀行の貿易バロメーター調査で明らかになりました。これまでの調査で最も高い割合です。コロナ後の事業回復にとって海外市場が最も重視されるというのも、過去にない結果です。

イギリス国内の成長展望は明るくありませんし、EUとの貿易も離脱後は難しくなっていることから、イギリス企業は海外市場が主な成長源になると見ています。これは、バブル崩壊後の日本企業とまったく同じです。

この点はサンタンデールの報告書でも指摘されていて、タクシーでスマホを見ている芸者さんの写真が使われていました。ただし、この調査によると、イギリス企業が進出先として最も関心を寄せているのは米国、次いでオーストラリアです。ドイツ、フランス、インド、中国も、日本よりも前に来ていました。

この調査には、年商100万ポンド以上のイギリス企業約1,000社が回答しました。すでに海外で事業展開している企業は、EU離脱移行、EU以外での販売を増やしていると報告していました。  ほとんどの市場に共通する主な課題は、輸送コストと煩雑な行政手続きです。ただし日本だけは、言語と文化の違い、および製品やサービスを調整しなければならないことが、主な課題とされていました。日本は規制を緩和して投資の誘致を円滑化しているため、それが奏功しているのかもしれません。中国、米国、インド、ドイツ、アラブ首長国連邦、スペイン、イタリア、フランスと比べ、日本では行政手続きはさほど問題とされていませんでした。

現時点で国内事業のみのイギリス企業は、42%がオンラインのマーケットプレイスを使用するつもりだと回答し、40%が独自のコマースサイトを開設して製品を販売すると回答しました。日本の顧客に販売したいのであれば、たとえオンラインであっても、言語と文化が壁になることは間違いありません。ウェブサイトを日本語化するだけでなく、日本人の好みに合わせて製品を調整する必要があるでしょう。物理的な拠点を日本に置くことが成功にとって欠かせないと私は確信していますが、海外に拠点を開設する予定の企業は20%しかありませんでした。

また、これから海外進出を考えているイギリス企業は、海外事業のアドバイスを模索する際に主に頼っているのがインターネットだと回答していました。一方、すでに海外展開している企業は、アドバイスの主な提供者が現地市場のビジネスパートナーだと答えていました。

アドバイスを求めてネット検索する人の多くがジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングのウェブサイトに行き当たるのではないかと思いますが、とはいえ弊社のコンサルティングについて真剣に照会してくる企業は、すでに日本に拠点を持っているか、これから開設予定の企業のみだというのは、興味深い点です。いずれもサービス業の企業で、人材紹介、IT、広告、金融サービスに集中しています。

これらの企業にとって日本進出に際しての課題は、人材の採用と管理、そして優秀な社員の引き留めです。今でも多くの企業がむしろ日本企業と提携することを選ぶ理由が、ここにあるかもしれません。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022 年 8月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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エネルギー危機

イギリスでは、夏の鉄道ストライキ、冬の電力削減が懸念され、インフレもますます深刻化していて、1970年代に戻ったかのようです。私はまだ幼かったですし、1970年代のほとんどは日本で暮らしましたが、それでも1年ほどはイギリスに住んで、初めての停電を経験しました。ろうそくの明かりで何でもしなければならないのがとても楽しかったことを覚えています。でも、大人は楽しいとは思わなかったことでしょう。

電気やガスの公益サービスに頼らない暖房の方法を探していて、日本に住んでいた子供時代の思い出がよみがえってきました。日本のメーカーがヨーロッパで灯油ストーブを販売しているのを見つけたのです。仙台に住んでいた時に使っていたのとそっくりですが、あまり匂いはしません。

これを同年代の友達に見せたところ、彼女も1970年代にイギリスで灯油ストーブを使っていたとのことでした。いわく、当時はセントラルヒーティングなどなくて、入浴する夜だけバスルームで灯油ストーブを使ったそうです。あの頃はお風呂が週に1回というのも、まったく珍しくありませんでした。家族で同じお湯を使い回したものです。

湯沸かしは電熱器でしたが、電気代の安い夜間にお湯を沸かしてタンクに貯めておくため、1日に使えるお湯は浴槽2杯分ぐらいしかありませんでした。

今ではほとんどのイギリス人が毎日シャワーを浴びて、いつでもお湯がある状態に慣れています。ガスボイラーが温水器とセントラルヒーティングの両方を兼ねています。電力削減の懸念が言われる前から、政府は、セントラルヒーティングと温水器をガスボイラーから空気熱利用ヒートポンプに切り替えるよう促すためのインセンティブの導入を検討していました。しかし、これまでのところ、切り替えはあまり進んでいません。

設置の初期費用が高いこともありますが、室外機の設置に許可が必要になることも問題です。同じことは、ソーラーパネルの設置が進まない理由にもなっています。イギリスでは多くの人が古い家や文化財保護の指定区域に住んでいて、周囲の景観に溶け込まないような目に見える変更を家屋に加えることができません。

これは、トヨタ自動車などの日系企業が発売している住宅用蓄電池でも問題になるかもしれません。これらは車の充電にも使用するため、屋外に設置しなければなりません。駐車スペースが自宅の敷地内にあれば問題はありません。でも、多くの都市住民は自宅前の路上に駐車していますから、玄関のドアから歩道を横切って車まで充電ケーブルを伸ばさなければなりません。

このエネルギー危機が最終的には創意工夫を刺激して、この問題を解決することは間違いないでしょう。でも、この冬は、私たちの多くがろうそくと灯油ストーブのお世話になるかもしれません。

Pernille Rudlin によるこの記事は、2022 年 7 月の帝国データバンク ニュースに最初に掲載されました。

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アラブ首長国連邦 ― 多様性と脱炭素

イギリスのBBC放送で「Inside Dubai: Playground of the Rich」という番組が放送されています。ドバイに移住したイギリス人たちの様子を追いかけるシリーズです。彼の地ならではの「太陽と栄華と無税」を謳歌しながらも「規則遵守」が求められ、生活のペースの「凄まじい変化」に対応しなければなりません。

ほとんどのイギリス人にとって、ドバイのイメージは「無税と贅沢と石油」です。とりわけ新型コロナの発生以来、多くのイギリス人セレブリティが機会を見つけては休暇に訪れ、そんなイメージを伝えてきました。彼らがインスタに投稿する写真は、明るい日差しをエンジョイしている写真ばかりで、背後には豪華絢爛な建物や調度が写り込んでいます。でも、居心地の悪さがあるのも否めません。ドバイのイギリス人が植民地時代のようなふるまいをする傍らで、ドバイに住む他の民族の人たちは、はるかに困難な生活を送っているからです。人権侵害にまつわる懸念も払拭できませんし、飲酒、不倫、同性愛に関する厳しい規則もあります。

このイメージは、ジェトロが最近の報告書で説明した結論とは対照的です。いわく、日本企業は再生可能エネルギーや脱炭素に関係する事業開発の場所として中東に魅了されていて、アラブ首長国連邦はサウジアラビアに次いで注目されているとのことでした。

アラブ首長国連邦が中東で最も日系企業の多い国であることは、私も以前から認識していました。数年前に2回訪問して現地の日系銀行で異文化研修を開催しましたし、移民の構成比率が世界で最も高いこの国の文化的な複雑さを理解するために時間を費やしてきました。

この知識が、最近も役に立ちました。ある日本のエネルギー会社から、アラブ首長国連邦でダイバーシティとインクルージョンの研修をサポートしてほしいと依頼されたのです。この研修は、インクルージョンを拡大するための幅広い取り組みの一環と位置付けられていました。年齢や性別や人種にかかわらず、すべての社員の意見に耳を傾けることで、特に脱炭素に関するイノベーションを奨励しようとする取り組みです。

ドバイでは現在、万博が開催されていますが、そのテーマもESG(環境・社会・ガバナンス)を強調しています。「Programme for People and Planet」と称して「新しいアイデアとイノベーションをオープンに交換する」ための活動を展開していて、「人類の進歩の中心に平等、敬意、尊厳を据える」と説明しています。

外国直接投資を誘致する意図もあって、アラブ首長国連邦の指導者らは、すでに万博の準備期間中から、多様性に対して寛容な法律の枠組みが必要になると認識していました。今では、特に特別経済区でのハラスメントと差別を禁じる新法が制定されているほか、飲酒法や個人生活にかかわるイスラム法が緩和されています。

ですから、日本企業がアラブ首長国連邦に対して再びポジティブな感情を抱く理由は理解できます。事業開発の観点だけでなく、会社が変化・進化するうえで必要な多様性を許容する法律の枠組みになりつつあるという点で、この国に魅力を感じているのでしょう。

帝国ニューズ・2022年2月9日・パニラ・ラドリン著

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